全般性不安症(GAD)は、近年有病率が増加している精神疾患の1つである。GADは未診断のケースも多く、患者本人、医療制度、社会に対し悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、GADに伴う経済的な負担やQOL低下に対する効果的な治療の必要性が増している。不安症状の軽減に対し疼痛治療薬であるプレガバリンによる治療が有望であることが示唆されている。しかし、その有効性を評価し、他の治療オプションと比較するためには、さらなる研究が必要とされる。スペイン・Hospital de la Santa Creu i Sant PauのNarcis Cardoner氏らは、GAD治療におけるプラガバリンの有効性、安全性、最適な投与量を評価するため、メタ解析を実施した。Frontiers in Pharmacology誌2025年2月7日号の報告。
プレガバリン治療患者を介入群とし、対照群にはベンゾジアゼピン、SSRI、SNRI、プラセボが投与された患者が含まれた。有効性および安全性は、各種評価尺度と有害事象を用いて評価した。対象研究には、ランダム化臨床試験を含めた。4つの主要なデータベースより検索した。PRISMAガイドラインに従いメタ解析を実施した。アウトカムの指標には、ハミルトン不安評価尺度(HAM-A)、臨床全般印象度の改善度(CGI-I)、治療中止率、コスト、質調整生存年(QALY)を含めた。メタ解析では、オッズ比(OR)、平均差(MD)、95%信頼区間(CI)を用いて、Review Manager 5.4ソフトウェアにより実施した。サブグループ解析と感度分析は、フォローアップ調査と投与量に基づき行った。
主な結果は以下のとおり。
・14研究、4,822例を分析に含めた。
・プレガバリンは、治療期間を通じて、HAM-A全体スコア低下に対する有効性が認められた。
【2週間】MD:−1.23、95%CI:−1.79~−0.66
【4週間】MD:−1.12、95%CI:−1.60~−0.63
【8週間】MD:−2.50、95%CI:−4.21~−0.79
【12週間】MD:0.99、95%CI:0.35~1.63
【6ヵ月~1年間】MD:−3.31、95%CI:−4.30~−2.31
・プレガバリンは、HAM-Aに対する反応率が高かった(OR:1.51、95%CI:1.31~1.75)。
・プレガバリンは、CGI-Iスコアの改善が良好であり(MD:−0.25、95%CI:−0.38~−0.12)、反応率も高かった(OR:1.33、95%CI:1.15~1.55)。
・治療中止率は低かった(OR:0.80、95%CI:0.70~0.91)。
・有害事象は、さまざまな用量のSSRI、SNRI、ベンゾジアゼピンよりも良好であった。
・プレガバリン治療は、費用対効果のより高い治療であった(MD:0.02、95%CI:0.01~0.03)。
著者らは「プレガバリンは、GADに対し効果的かつ忍容性の高い治療薬であり、他の第1選択薬と比較し、優れた有効性および安全性を示す」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)