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長期介護における抗精神病薬再投与の要因

 抗精神病薬は、有害事象などが懸念されるにもかかわらず、認知症の周辺症状(BPSD)に対して一般的に用いられる。長期介護における抗精神病薬の使用中止(Halting Antipsychotic Use in Long-Term care:HALT)試験では、抗精神病薬の減量に成功したが、抗精神病薬の再使用または中止に達しなかった患者が19%でみられた。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のLiesbeth Aerts氏らは、抗精神病薬の再使用の理由や現在使用中の要因と、介護スタッフの要望や行動変化との関連について調査を行った。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2019年7月5日号の報告。 HALT試験に参加した133例中39例は、抗精神病薬の使用を中止したことがないか、定期または頓服で使用されていた。これらの結果に至るまでの状況に関する看護スタッフ、総合診療医、家族の見解について、アンケートベースのアプローチを介して収集した。これらの情報は、観察と詳細ファイル(経過記録、医療記録、処方チャート、インシデントレポート、退院サマリー)を用いて三角法で測定した。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬再使用の最も一般的な要因は、看護師(63.2%)であり、次いで家族(39.5%)、総合診療医(23.7%)、専門医(13.2%)、病院スタッフ(10.5%)であった。・参加者の46.2%において、抗精神病薬使用のための複数のドライバーが認められた。・客観的尺度でこれらの変化が時間とともに識別されなかったとしても、抗精神病薬の再使用の最も多かった理由は、興奮性および攻撃性行動の増加によるものであった。・同意や抗精神病薬使用の習慣は、教育を行ったにもかかわらず不十分なままであった。 著者らは「男性患者の興奮や攻撃性が認められ、介護スタッフによりとくに悪化していると認識されることが、抗精神病薬使用の重要なドライバーとなっていた。HALT試験で使用されたトレーナーモデルは、行動変化に対応する際、スタッフの能力と非薬理学的アプローチを適応することへの自信を向上させるためには不十分であった可能性がある」としている。

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この耳鳴りは治療が必要な耳鳴りか

 2019年7月18日、『耳鳴診療ガイドライン 2019年版』の発刊に寄せ、金原出版はメディアセミナーを都内で開催した。 一般外来でも耳鳴の主訴は多いが、自然に改善することもあるために放置されるケースもあり、見過ごされている。しかし、高齢社会となり、耳鳴にともなう難聴や生活・認知機能への影響なども指摘され、これらへの対応として今回、耳鳴診療ガイドラインが日本聴覚医学会耳鳴研究会により編集された。ガイドラインが「強く推奨する」耳鳴りの治療法 講演では、「耳鳴りに悩む患者さんたちへ~標準的な診断と治療~」をテーマに神崎 晶氏(慶應義塾大学医学部 耳鼻咽喉科学教室 専任講師)を講師に迎え、耳鳴の診療とともにガイドラインの概要が説明された。 耳鳴患者の有病者数は全人口の15~20%(うち65歳以上が約30%)とされ、わが国では2~3%(約300万人)いると推定されている。診断では一般的な問診のほか耳鳴苦痛度質問表での評価、耳内の所見観察、純音聴力検査、耳鳴検査などが行われる。また、臨床では非拍動性の耳鳴が多く、その多くは加齢に伴う難聴と診断される場合が多いという。専門医への紹介のメルクマールとしては、難聴の有無がその1つとされ、患者が生活への支障を訴えた場合も治療介入の対象になる。 現在の標準的治療としては、教育的カウンセリングが行われ、次に音響療法や認知行動療法、そして条件付きながら薬物療法として抗うつ薬、抗不安薬などの処方、サウンドジェネレーターの装着、人工内耳の手術などが行われる。また、教育的カウンセリングと認知行動療法は、耳鳴診療ガイドラインの中で「実施を強く推奨する」に位置付けられている(ただし認知行動療法は現時点で保険未適応)。耳鳴診療ガイドラインに記載されたCQ つぎに耳鳴診療ガイドラインの内容について、「クリニカルクエスチョン(CQ)は10項目が記載され、システマティックレビューは1,214の文献を抽出。MINDS診療ガイドラインに準拠した作成がされている」と説明を行った。 たとえばCQ3「それぞれの治療の長所と短所は何か」では、「薬物療法は、エビデンスが低く、副作用を伴うものもあり」とされ、「耳鳴り順応療法、補聴器、音響療法は、デバイスによる効果と補聴器による難聴への有効性がある」とされる。 CQ6では「薬物療法(漢方を含む)は耳鳴に効果があるか」では、「エビデンスがなく不適当としながらも、併存するうつ病、不眠、不安障害を軽減する」としているほか、「間接的に治療効果を高める可能性がある」などが記載されている。耳鳴診療ガイドラインの効果の検証が課題 最後に同氏は今後の課題として、耳鼻科領域で大規模臨床研究が遅れているわが国の現状から「新しい治療に関するエビデンス収集のための他施設大規模調査の必要性」、「本ガイドラインの効果の検証」、「治療選択アルゴリズムの作成」、「わが国における認知行動療法の開発とエビデンスの集積」、「複合補聴器の効果の検証」、「治療における費用対効果の検証」と6項目を挙げ、「今後、知見の集積ができれば、ガイドラインの改訂を行うこともある」と展望を示し、講演を終えた。

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日本人の婚姻状態と不眠症状との関連

 配偶者の有無は、健康に関連する社会経済的要因の1つである。いくつかの研究では、配偶者の有無と不眠症との間に有意な関連が認められることが示唆されている。日本では、未婚者の割合が増加しており、不眠症に大きな影響を及ぼす可能性がある。順天堂大学の川田 裕美氏らは、日本における配偶者の有無と不眠症との関連について調査を行った。European Journal of Public Health誌オンライン版2019年7月6日号の報告。 対象は、2010年の国民生活基礎調査より抽出した30~59歳の3万5,288人。配偶者の有無に応じて5群(独身、家族と同居している夫婦、夫婦のみで生活、未亡人、離婚)に分類を行った。不眠症関連症状(IRS)は、「私は眠れなかった」との回答に基づき収集した。配偶者の有無によるIRSの性別多変量オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)の算出には、潜在的な交絡因子で調整されたロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・IRSの有症率は、男性で2.5%、女性で2.8%であった。・多変量OR(95%CI)は以下のとおりであった。 ●独身男性:1.15(0.89~1.49) ●離婚した男性:1.69(1.11~1.49) ●夫婦のみで生活している男性:1.01(0.73~2.58) ●独身女性:1.56(1.20~2.03) ●離婚した女性:2.43(1.83~3.22) ●夫婦のみで生活している女性:1.31(1.01~1.71) 著者らは「日本人において離婚した男女、独身女性、夫婦のみで生活している女性では、夫婦以外の家族と同居している人よりもIRSの割合が高かった。この関連性は、失業男性でより明白であった」としている。

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万引き家族(前編)【親が万引きするなら子どももするの?(犯罪心理)】Part 1

今回のキーワード自己正当化敵意バイアスポジティブバイアス抽象的思考の困難さ反社会的モデル格差罪悪感フリーライダーみなさんは、万引きを見かけたことはありますか? なぜ万引きするのでしょうか? 逆に、私たちはなぜ万引きしないのでしょうか? そもそもなぜ万引きは「ある」のでしょうか? 万引きは遺伝するのでしょうか? そして、万引きをしないためにはどうすれば良いでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、映画「万引き家族」を取り上げます。「万引き」と「家族」というまったく相いれない2つのテーマが絡み合っており、後半にかけて私たちの心を激しく揺さぶります。万引き(窃盗)は、犯罪の検挙人員の割合としては2割程度で多くはないです。しかし、認知件数の割合は6割近くあります。認知されていない暗数を含めると、もっとあるでしょう。つまり、万引きは、犯罪の中で最も多いながら、実際に犯人が捕まることが最も少ないと言えます。この映画を通して、万引きを主とする犯罪(反社会的行動)を精神医学的、進化心理学的、そして行動遺伝学的に掘り下げます。そして、犯罪と遺伝の関係という「不都合な真実」を「なかったこと」にしたいという私たちの心理にあえて迫ります。その「真実」を踏まえてこその対策を一緒に考えてみましょう。なお、スリルを求める病的な万引き(クレプトマニア)や摂食障害に伴う万引き(盗食)については今回割愛します。家族にあるまじき3つの「万引き」とは?ストーリーの舞台は、平屋の古い一軒家。6人の家族が、貧しいながらも、冗談を言い合い、いつも笑いが絶えません。彼らなりに一生懸命に生きて、お互いを気遣っており、家族の温かさが描かれています。しかし、同時に、その家は、周りを高層マンションに囲まれており、今にも崩れそうで、社会から取り残された危うさも暗示されています。実は、彼らには、家族にあるまじき多くのスキャンダルがありました。これらを3つにわけて整理してみましょう。(1)家族が万引きして生計を立てている父親の治は、時々呼ばれるだけの日雇いの建築作業員です。資格も経験もなく、実際はほとんど働いていません。彼の「稼ぎ」は、スーパーや釣り道具屋などでの万引きと車上荒らしです。母親の信代は、クリーニング工場で、パートで働いていましたが、リストラされてからは無職です。それまでは、当たり前のようにクリーニングに出された衣類のポケットの中の金品をくすねていました。祖母の初枝は、月6万円近くの年金を得ています。これが、この家族の唯一の定収入です。初枝も、パチンコ店で、隣の客の玉をくすねたり、不倫した元夫と不倫相手との間にできた息子の家族の家に押しかけ、金品をたかっています。やがて、初枝は急死しますが、治と信代はその遺体を床下に埋めて、年金の「万引き」(不正受給)も始まります。1つ目のスキャンダルは、家族が万引きで生計を立てていることです。そして、家族全員が万引きで得たものを当たり前のように当てにしてます。(2)家族が子どもを「万引き」(誘拐)して育てている治は、近所で、寒い中、罰として外に出されている5歳のじゅりをかわいそうだからとの理由で、家に連れて帰ります。そして、信代は、じゅりの体中にあるやけどの痕を見て、かつての自分と同じく虐待されていることを確信し、帰さずに育てることを決意します。実は、すでにいる11歳の息子の祥太も、数年前に治が車上荒らしをした時に、パチンコ屋の駐車場の車に残されて熱中症になっていたところを、治が助け出し、連れ帰っていたのでした。2つ目のスキャンダルは、家族が子どもを「万引き」(誘拐)して育てていることです。治と信代の間には子どもはいません。積極的ではなかったにしても、治と信代は、祥太とじゅりを誘拐しています。また、治は、かつて初枝がパチンコ店で客の玉を盗んでいるのに気付いてから初枝と仲良くなり、信代とともに初枝の家に転がり込んだのでした。そして、信代と異母姉妹と自称していた亜紀も、実はもともとは家出少女で、初枝に誘われて家に居候するようになったのでした。つまり、この家の6人は、誰一人として血がつながっていないのでした。(3)家族が子どもの社会性を「万引き」(隔絶)している祥太とじゅりは、家の出入りを自由にしています。しかし、祥太は小学校に行っていません。じゅりも幼稚園や保育園に行っていません。ご近所付き合いもありません。もちろん、誘拐がばれてしまう恐れがあるからです。そのため、祥太とじゅりは、実質的にはこの家に閉じ込められていると言えます。その代わりに、治は、祥太に万引きの仕方を教えています。そして、2人の連携プレーで万引きを毎回成功させています。さらに、祥太がじゅりに万引きの仕方を教えるようになります。3つ目のスキャンダルは、家族が子どもの社会性を「万引き」(隔絶)していることです。子どもの教育を受ける権利や社会性を育む権利を奪うこと、そして万引きなどの犯罪(反社会的行動)を教えることは、虐待に当たります(教育ネグレクト、心理的虐待)また、亜紀は、風俗バイトをしています。このバイト自体は、反社会的行動とは言えないです。ただ、このバイトのことを聞いた初枝は、気にも止めずに受け止めています。本来は、自分の体を大切にできて、先行きが見える、より社会性のある仕事をしてほしいと願うのが親心のはずなのにです。「万引き家族」は「万引き」をどう思っているの? ―犯罪心理治、信代、初枝がしている万引き、誘拐、虐待などは、どれも犯罪(反社会的行動)として許されないことです。子どもたちが見ているなら、親としてなおさらです。一体、彼らは「万引き」(反社会的行動)をどう思っているのでしょうか? 彼らのセリフを通して、主に3つの犯罪心理(認知的バイアス)を掘り下げてみましょう。(1)自分は悪くない―自己正当化治は、万引きについて祥太に「お店に置いてあるものはまだ誰のものでもない」「店がつぶれなきゃいい」と説明しています。信代はクリーニング工場で「盗ったんじゃない、拾ったんだ」「忘れるやつが悪い」と思っています。また、信代は、誘拐について「違うよ。別に監禁も身代金も要求していないから」「(虐待していた親は)今頃せーせーしてるんじゃない?」と言っています。治も「保護してやったんだ」と開き直ってもいます。治は祥太に、学校に行かせない理由について「家で勉強できないやつが学校へ行くんだ」と言い聞かせています。1つ目の犯罪心理は、「万引き」する自分は悪くないと思うこと、つまり自己正当化です。これは、反社会的行動の理由付けをして自分は間違っていないと思い込むことです。そうすることで、罪悪感を抱きにくくなります(中和)。(2)相手が悪い―敵意バイアス信代は捕まった時、初枝の死体遺棄について女性刑事に「捨てたんじゃない。拾ったんです。誰かが捨てたのを拾ったんです。捨てた人ってのはほかにいるんじゃないですか?」と答え、暗に初枝を見捨てた息子夫婦のほうが悪いと言い張っています。また、信代は、じゅりを誘拐した理由についてその女性刑事に「憎かったのかもね。母親が」と答えます。2つ目の犯罪心理は、「万引き」される相手が悪いと思うこと、つまり敵意バイアスです。これは、うまくいかないことを相手の悪意によるものだと思い込むことです。そうすることで、自分の反社会的行動の責任を相手(社会)に押し付けることができます。(3)向こう見ず―ポジティブ・バイアス治は、じゅりをあっさり連れて帰ってから半年後に、じゅりが行方不明の事件になっているニュースを見て、「やばいな、やばいよな」と急にオロオロし始めます。大事になっていることを見て、自分の思い付きでしたことのまずさにようやく気付いたのでした。一方、信代は、じゅりを連れて歩く時に初枝から「こういうのはかえって大っぴらにしたほうが疑われないのよ」と言われて、同意します。さらに、信代は、同僚に誘拐がバレていることを知った後も、「大っぴら」にしています。「見つかったらその時はその時だ」「コソコソ生きるなんて性に合わない」という思いなのでした。3つ目の犯罪心理は、「万引き」に向こう見ずであること、つまりポジティブ・バイアスです。これは、後先をあまり考えずに、自分に都合が良くなると思い込むことです。そうすることで、反社会的行動の重大性やそれが明るみになる危険性に目をつむることができます。なぜ「万引き」するの?―犯罪の危険因子このように、「万引き」(反社会的行動)について、自分は悪くない、相手が悪い、向こう見ずという犯罪心理(認知的バイアス)が働いてることがわかりました。それでは、なぜそんな犯罪心理が働くのでしょうか? つまり、そもそもなぜ「万引き」するのでしょうか?治、信代、初枝を通して、犯罪の危険因子を主に3つ探ってみましょう。次のページへ >>

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万引き家族(前編)【親が万引きするなら子どももするの?(犯罪心理)】Part 2

(1)やってはいけないことの意味がよく分からない-抽象的思考の困難さ治は、祥太から「『スイミー』って話、知ってる?」「『スイミー』ってね、小さい魚がみんなで大きなマグロをやっつける話なんだけど、何でやっつけるか知ってる?」と聞かれます。すると、「そりゃ、おまえ、マグロがおいしいからだろ」「最近、マグロ食ってねえからなあ」と話がすり替わり、両手を魚の口のように広げて、「ぐわー!おー!」と祥太を襲うマネをしています。治は、日常生活の具体的な話はできます。軽い冗談も言えます。しかし、小さい魚たちが協力して大きな魚に勝つ方法を想像できず、その方法について興味も持てません。「スイミー」のストーリーの意図や要旨が理解できず、理解したいとも思っていないようです。1つ目の犯罪の危険因子は、やってはいけないことの意味がよく分からない、つまり抽象的思考の困難さです。これは、相手の気持ちを探る洞察、自分の気持ちや行動を振り返る反省、先の見通しを立てる予測が困難になることです。つまり、相手の気持ちも自分の気持ちも将来もあまり読めず、その日暮らしで場当たり的に生きています。実際に、治は、仕事の能力が低いにしても、そもそも真面目にコツコツ働いて、経験を積んだり、貯金をしようとしません。お金があれば、すぐにパチンコにつぎ込みます。なお、お金がなければパチンコをやらないので、ギャンブル依存症というほどではないです。治は、「万引き」をはじめとするやってはいけないこと自体はわかっています。つまり、善悪の判断は表面的にはできます。しかし、「なぜやってはいけないのか?」「やったら相手はどう傷付くのか?」「バレたら自分の将来はどうなるのか?」についてはあまり深く考えることができていないです。つまり、やってはいけないことの意味がよくわかっていないと言えます。よって、あまり考えなく、手っ取り早く金品が手に入ってバレにくいから万引きをしていると言えます。バレてとがめられれば、その瞬間に罪悪感は抱きますが、次の瞬間にはけろっとしています。また、子育てとはこうあるべきという抽象的思考(規範意識)が働かないので、虐待をしているという認識すらないです。このように、抽象的思考の困難さによって、洞察、反省、予測ができないため、自分は悪くない、相手が悪い、向こう見ずという犯罪心理が働きやすくなると言えるでしょう。また、このワンシーンで、治は11歳の祥太よりも精神的に幼いことが判明します。祥太がもともと賢いことを差し引くと、治の精神年齢(知能)は、高学年の小学生から良くても中学生です。これはIQ(知能指数)に換算すると60~85程度で、治は軽度知的障害から知能境界域(境界知能)に当たります。ちなみに、健常の知能の目安は、IQ 85以上とされています。なお、ここで誤解がないようにしたいのは、知能が低いこと(知的障害)が、犯罪の主要な原因ではないことです。その理由は、知能が低ければ低いほど、日常生活を送るのにも援助が必要になるので、犯罪はできなくなるからです。つまり、犯罪の危険因子は、知能が、犯罪ができるレベル以上であり抽象的思考ができないレベル以下であると言えます。実際に、非行に走る少年たちの多くは、知能が境界域(IQ が70~85)であることが指摘されています。このように、知的レベルから考えると、非行は、高学年の小学生から中学生に多く、幼稚園児から低学年の小学生には少ないのも納得ができます。(2)やってはいけないことをする親がいた-反社会的モデルの存在じゅりが元の家に戻らないという態度を示したことで、信代は「選ばれたのかな…私たち」「でも、こうやって自分で選んだほうが強いんじゃない?」と初枝に語りかけます。「何が?」と聞かれた信代は、「キズナよ、キズナ」と照れながらも、うれしそうに答えます。「キズナ」に対して人一倍敏感なのは、信代自身が親から虐待されていた過去があったからでした。2つ目の犯罪の危険因子は、やってはいけないことをする親がいた、つまり反社会的モデルの存在です。これは、親が虐待をすることなどを通して、自分や相手を大切にすることを教えていないばかりか、自分や相手を大切にしないことを教えてしまっていることです。つまり、親が、相手を傷付けても良いという悪い見本になっています。これでは、やって良いことと悪いことの意味がはっきり伝わりません。実際に、信代は、捕まって取り調べの時、「(じゅりが元の家に)戻りたいって言ったんですか?」と戸惑いながら、刑事に尋ねます。さらに、じゅりに一度も「ママ」と言われていなかったことを刑事に指摘されて顔をしかめます。信代は、自分なりにじゅりを大切にしていると自認していました。しかし、それが独りよがりだったかもしれないということに初めて気付かされたのでした。ここで、じゅり自身も虐待のサバイバーとして、流されるままに信代に従っていただけだったこともわかります。また、信代は、ぐうたらな治の世話焼きをしょっちゅうしていますが、最後は、刑事に「自分が全部やりました」と言い、治の罪まで肩代わりしています。信代は、親から大切にされていなかった分、相手をどう大切にして良いか分からず、やり過ぎてしまうなどの独りよがりな面もあります(共依存)。さらに、信代は、祥太から万引きの善悪を聞かれた時、「父ちゃんは、何だって?」と質問を返して、はぐらかします。信代は、治よりも知的レベルが高い分、子どもに万引きを教えるという後ろめたさは多少なりとも抱いています。しかし、祥太を学校に行かせないことを含めて、治のやり方に流されています。このように、もともとの反社会的モデルの存在によって、周りに流されやすく、自分は悪くないという犯罪心理が働きやすくなると言えるでしょう。(3)やってはいけないことを刺激する社会がある-格差信代は、年下の大卒男性と結婚して寿退社した元同僚が職場の社長にあいさつに来ていたのを見て、「あいつ整形?」「辞める前にデリヘルやってたっしょ」と悪口を言い、隣の同僚となじります。「勝ち組」であるその元同僚がおもしろくないのでした。その後、信代なりに一生懸命に働いていたのに、時給が高い古株であることを理由に、リストラされます。さらに、仲の良かった同僚は、裏切りによりリストラを免れます。信代は、定職と友人を同時に失ったのでした。また、初枝が亜紀を居候させたのは、ある意図があったことが後に明らかになります。実は、亜紀は、初枝の元夫と不倫相手との間にできた息子の長女だったのです。それを知った上で、初枝は亜紀を家出するよう誘ったでした。亜紀は、自分なりに、親が自分よりも優秀な妹を大切にすることへの不満があったからです。しかし、亜紀は自分の家族と初枝との関係を知りません。亜紀の家族は、亜紀と初枝との関係を知りません。初枝にも元夫との間にできた息子がいましたが、その嫁とそりが合わず、別居してからは音信不通になっていたのでした。3つ目の犯罪の危険因子は、やってはいけないことを刺激する社会がある、つまり格差です。これは、同僚、友人、知人などの身近な周りの人たちと比べて、自分が経済的、人間関係的に恵まれていない不満を抱くことです(相対的剥奪)。簡単に言えば、お金とつながりの境遇において、報われない社会への恨みです。実際に、信代は、失業により同僚との経済的格差が生まれます。仲の良かった同僚に裏切られたことにも腹を立てます。治との間に子どもができなかったことについて、直接的な心理描写はないですが、誘拐を容認する心理を生み出しているでしょう。それは、目の前にいたじゅりへの純粋な愛しさではないです。それは、「お前(じゅりの母親)なんかにこの子を返してやるもんか」という、自分を虐げた自分のかつての母親への憎しみです。それをじゅりの母親に重ね合わせた復讐心でもあります。一方、初枝は、元夫の不倫、息子の親不孝から孤独に陥っていました。「治」と「信代」という実は本来の息子と嫁の名前を、治と信代に名乗らせていることも納得がいきます。さらに、初枝が亜紀を隠密に居候させているのは、自分の境遇に不満を持つ初枝なりの、元夫、不倫相手、息子夫婦への復讐なのでした。ちなみに、亜紀の風俗バイトでの源氏名は、妹の名前の「さやか」です。自分が妹の名を風俗店で名乗ることによって、妹をおとしめて仕返ししたいという心理がありそうです。このように、格差によって、社会への復讐心から、相手が悪いという犯罪心理が働きやすくなると言えるでしょう。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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万引き家族(前編)【親が万引きするなら子どももするの?(犯罪心理)】Part 3

なぜ「万引き」しないの? ―社会脳祥太は、いつも万引きをする駄菓子屋にじゅりを連れていき、初めて万引きをさせます。その直後、駄菓子屋のおじいさんから呼び止められ、「これやる」とゼリー棒を2本渡されます。そして、「その代わり、妹にはさせるなよ」とたしなめられます。実は、おじいさんはすべてお見通しだったのです。この時初めて、祥太に罪悪感が芽生えます。初枝が亡くなった後、祥太は、治から「これ(初枝を床下に埋めること)は内緒だぞ。ばあちゃんは最初からいなかった。おれたちは5人家族だ」と告げられますが、納得がいきません。その後、治が初枝のへそくり9万円を探し出し、信代と飛び跳ねて大喜びする様子を目の当たりにしていら立ち、祥太は持っていたヘルメットを放り投げます。祥太は、後に児童相談所に保護された時、刑事から「あの人たち(治と信代)ねえ、私たちが家に着いた時、荷物まとめて逃げようとしてるところだったんだよ。あなたを置いて」「本当の家族だったらそういうことしないでしょ」と聞かされます。さらに、祥太は、児童養護施設に入って半年後、治に再会します。その別れ間際、祥太は治に「わざと捕まった」と伝えます。実際は、じゅりの万引きがばれそうになって、その身代わりになるために、わざと自分の万引きを店員たちに見せつけて、注意を引いて逃げて、結果的に捕まったのでした。それなのにです。この時、祥太は、治に決別を悟らせます。子どもが父親を見限る瞬間です。その直後、治は、祥太が乗り込んだバスを必死に追いかけます。まるで、テレビの世界名作劇場のワンシーンです。もはや、どちらが子どもか分からなくなります。そして、独りぼっちになったのは、祥太ではなく、治だったことに気付かされます。祥太は、治が「本当の家族」ではないと見限ったのでした。家族の温かみはまったく表面的であることに気付いたのでした。治は、祥太の将来を考えていません。ただ自分の寂しさを満たしたかっただけなのでした。治は、祥太の幸せよりも自分の幸せを優先していたのでした。ここで考えたいのは、祥太は、治と違って万引きをしなくなりました。なぜでしょうか? もっと言えば、私たちは、なぜ「万引き」(反社会的行動)をしないのでしょうか? その答えを進化心理学的に解き明かしてみましょう。数億年前の太古の昔から、自然界では、動物同士が獲物を奪う奪われるという取り合いの関係(競争)になるのはごく当たり前のことでした。しかし、数百万年前に誕生した私たち人類は、サバンナ(草原)で猛獣に襲われたり飢え死にしないために、家族(血縁)を中心とした村(社会)をつくり、助け合い(協力)の関係を築きました。そして、その社会の中でうまくやっていくためのさまざまな社会的感情を進化させました(社会脳)。その基盤になるのが信頼です。そして、社会に望ましい行動を促すのが誇りです。逆に、社会に望ましくない行動(反社会的行動)を抑えるのが、罪悪感です。つまり、私たちが犯罪をしない理由の答えは、「本当の家族」を中心とする社会に対して罪悪感を抱く社会脳を進化させたからであると言えるでしょう。なぜ「万引き」は「ある」の? ―犯罪の起源私たちが「万引き」(反社会的行動)をしない進化心理学的な理由がわかりました。それでは、そもそもなぜ「万引き」は「ある」のでしょうか? その答えを、もう一度、進化心理学的に考え、犯罪の起源に迫ってみましょう。私たち人類は、原始の時代に長らく、約150人程度の村人たちによる助け合い(協力)をする村を維持して、生存確率を高めました。そこは、限られた資源をわけ合う平等社会です。逆に言えば、私たちは、そもそも不平等(格差)であることを嫌います。しかし、そんな中、協力して得た資源を出し抜いて総横取りする種が現れました。助け合い(協力)よりも、取り合い(競争)の心理が上回った種です(フリーライダー)。フリーライダーとは、周りがお金を払って乗り物に乗っているのに、自分だけただで乗ろうとする種という意味です。なぜなら進化の本来の姿は競争だからです。私たち人類は、信頼による協力とだましによる競争の心理を器用に使いわけて、バランスを取りながら進化してきたのでした。つまり、私たちの心の中には、信頼の心と同時に、常に裏切りの心が潜んでいるわけです。ただし、裏切りの心は必ず出てくるわけではありません。また、裏切り者は増えません。その理由として、裏切りの心理は短期的には効率的であるというメリットはありますが、長期的には秩序のある社会から排除されるというデメリットのほうが大きくなるからです。原始の時代に排除されることは、すなわち死を意味します。原始の時代は常に飢餓と隣合わせであることを考え合わせると、飢餓や戦争などにより社会の秩序が不安定になり(アノミー)、不平等(格差)が広がった時にこそ、この社会への裏切りの心理が高まると言えるでしょう。これが、信代や初枝の復讐心の正体です。つまり、犯罪が「ある」という理由の答えは、不平等な社会に対しては裏切る「反社会脳」を進化させたからであると言えるでしょう。ちなみに、約5千年前に、文字が発明され、法が明記されるようになりました。それ以降、懲罰による犯罪の抑止や更生の考え方が、文化として根付いていったのです。なぜ「万引き」は「ある」の? ―犯罪の起源「万引き」(反社会的行動)の起源が進化心理学的にわかりました。それでは、「万引き」は遺伝するのでしょうか? その答えを、行動遺伝学的に考えてみましょう。双生児研究において、反社会的行動の一致率は二卵生双生児が50%程度であるのに対して、一卵生双生児は80%へと高率になることがわかっています。ここから、遺伝、家庭環境、家庭外環境の影響の強さの相対的な比率が算出されます。なお、厳密には男女差、年齢差、研究機関の差がありますが、わかりやすくするために、青年期の平均男女のおおむねの数値として示します。<< 前のページへ

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双極I型障害における日照量と自殺企図歴との関連

 多くの国際的な研究において、自殺や自殺企図の頻度には、春または夏にピークを迎えるといった季節的なパターンがあるといわれている。ドイツ・ドレスデン工科大学のMichael Bauer氏らは、双極I型障害患者における日照量と自殺企図歴との関連について調査を行った。Journal of Psychiatric Research誌2019年6月号の報告。 日照量は、太陽からの光エネルギーが地表に当たる量とした。北および南半球の広範囲な緯度の32ヵ国50施設より、双極I型障害患者5,536例のデータを収集した。自殺関連データは、51ヵ国310地点より3,365例のデータが利用可能であった。 主な結果は以下のとおり。・自殺企図歴は、1,047例(31.1%)で認められた。・自殺企図歴と冬季/夏季の平均日照量の比率との間に、有意な逆相関が認められた。・この比率は、冬季の日照量が夏季に比べて非常に少ない地球の極に近い地域で最も小さく、年間を通じて日照量の変動が比較的少ない赤道付近の地域で最大となった。・自殺企図に関連する他の因子は、女性、アルコールまたは薬物依存歴、より若年のコホートであった。・国が後押しする宗教を有する国では、この関連性は小さくなった(すべての推定係数:p<0.01)。 著者らは「冬季と夏季の日照量が大きく変化する地域で生活している双極性障害患者は、自殺企図が増加している可能性がある。双極性障害の経過に対する日照量の影響については、さらなる調査が求められる」としている。

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認知症発症に生活様式と遺伝的リスクはどう関連?/JAMA

 認識機能障害および認知症のない高齢者において、好ましくない生活様式と高い遺伝的リスクの双方によって認知症リスクは増加し、同じ遺伝的リスクが高い集団であっても、生活様式が好ましい群はリスクが低いことが、英国・エクセター大学のIlianna Lourida氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2019年7月14日号に掲載された。遺伝的要因により認知症リスクは増加することが知られている。一方、生活様式の改善によってこのリスクをどの程度減弱できるかは明らかになっていない。多遺伝子性リスクと健康的な生活様式で認知症リスクを評価 研究グループは、健康的な生活様式は遺伝的リスクとは無関係に認知症リスクを低減するか評価することを目的に、後ろ向きコホート研究を行った(英国・UK Biobankの助成による)。 英国の人口ベースのコホートであるUK Biobank(登録期間2006~10年)の参加者のうち、ベースライン時に認識機能障害および認知症のない60歳以上の欧州系の地域住民を対象とし、2016年または2017年まで追跡した。 アルツハイマー病と認知症に関連する一般的な遺伝的バリアントの負荷を表す多遺伝子性リスクスコアを構築し、五分位に基づき遺伝的リスクを3段階に分類した(低リスク:第1[最低]五分位、中リスク:第2~4五分位、高リスク:第5[最高]五分位)。 健康的な生活様式の重み付きスコアは、4つの十分に確立された認知症リスク因子からなる指標(非喫煙、定期的な身体活動、健康的な食事、中等度のアルコール摂取)に基づき3段階に分類した(好ましい:健康的な生活様式因子の数が3または4つ、中間的:同2つ、好ましくない:同0または1つ)。 主要アウトカムは、全原因による認知症の新規発症とし、病院の入院/死亡記録で確認した。遺伝的リスクを問わず、健康的な生活様式は認知症リスクを低減 19万6,383例(平均年齢64.1[SD 2.9]歳、女性52.7%)が解析に含まれた。観察人年は154万5,433人年(フォローアップ期間中央値8.0年[IQR:7.4~8.6])で、この間に1,769例が認知症を発症した。 生活様式は、「好ましい」が68.1%、「中間的」が23.6%、「好ましくない」が8.2%であった。遺伝的リスクは、高リスクが20%、中リスクが60%、低リスクが20%だった。 遺伝的リスクが高い参加者のうち、1.23%(95%信頼区間[CI]:1.13~1.35)が認知症を発症し、これは低リスク集団の発症率0.63%(0.56~0.71)と比較して有意に高かった(補正後ハザード比[HR]:1.91、1.64~2.23、p<0.001)。また、中リスク集団も、低リスク集団に比べ認知症リスクが有意に高かった(1.37、1.20~1.58、p<0.001)。 生活様式が好ましくない参加者のうち、1.16%(95%CI:1.01~1.34)が認知症を発症し、好ましい集団の発症率0.82%(0.77~0.87)に比べ有意に高かった(補正後HR:1.35、1.15~1.58、p<0.001)。中間的集団も、好ましい集団に比し認知症リスクが有意に高かった(1.17、1.04~1.31、p<0.009)。遺伝的リスクが高い集団では生活様式が好ましい群は認知症リスクが低い 遺伝的リスクが高リスクかつ生活様式が好ましくない参加者のうち、1.78%(95%CI:1.38~2.28)が認知症を発症し、低リスクかつ生活様式が好ましい集団の発症率0.56%(0.48~0.66)に比べ有意に高かった(補正後HR:2.83、2.09~3.83、p<0.001)。また、重み付けされた健康的な生活様式スコアと、多遺伝子性リスクスコアには、有意な相互作用は認めなかった(p=0.99)。これは、生活様式因子と認知症の関連は、遺伝的リスクに基づいて実質的に変化しなかったことを示す。 遺伝的リスクが高い参加者のうち、生活様式が好ましい集団の認知症発症率は1.13%(95%CI:1.01~1.26)であり、好ましくない集団の1.78%(95%CI:1.38~2.28)と比較して有意に低かった(0.68、0.51~0.90、p=0.008)。 著者は、「遺伝的リスクが高い集団では、生活様式が好ましい群は好ましくない群よりも認知症リスクが低いことが示された」とまとめ、「この集団の生活様式が好ましい群における認知症の絶対リスク低減率は0.65%であり、これは生活様式が原因の場合、10年間で遺伝的リスクが高い集団に属する生活様式が好ましくない121例を好ましい生活様式に改善することで、1例の認知症が予防可能であることを意味する」としている。■「アルコールと認知症」関連記事日本人高齢者におけるアルコール摂取と認知症

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てんかん患者の日中の眠気と交通事故リスク

 愛知医科大学の松岡 絵美氏らは、てんかん患者における日中の過度な眠気や睡眠障害について、とくに抗てんかん薬に焦点を当て検討を行い、てんかん患者における睡眠関連問題が交通事故リスクと相関するかについて調査を行った。Seizure誌2019年7月号の報告。 てんかん患者325例でエプワース眠気尺度(ESS)を、322例でピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を用いて評価した。運転免許証を有するてんかん患者239例が、交通事故に関連する質問に回答した。てんかん患者の交通事故と日中の眠気や睡眠障害は関連が認められなかった てんかん患者の眠気と交通事故に関する調査の主な結果は以下のとおり。・焦点性てんかんにおいて、意識障害、年齢、ラコサミドの投与は、それぞれESSスコアに有意な影響を及ぼすことが示唆された。・バルプロ酸およびラコサミドの投与は、抗てんかん薬以外の睡眠改善薬と同様に、PSQIによる睡眠障害に有意な影響を及ぼすことが示唆された。・全体の交通事故に対し、年齢とLEVは交通事故発生に影響を及ぼした。・てんかん発作に関連する交通事故に対し、有意な影響を及ぼす唯一の因子は、睡眠改善薬であった。・てんかん発作と関連しない交通事故に対し、有意な影響を及ぼす因子は見当たらなかった。・これら3つの交通事故とESSスコアまたはPSQIスコアとの間に相関は認められなかった。 著者らは「てんかん患者の交通事故と日中の眠気や睡眠障害は関連が認められなかった。さらに、抗てんかん薬は、日中の眠気や交通事故リスクの増加に影響を及ぼしていなかった」としている。

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ICU患者のせん妄、家族の自由面会で減少せず/JAMA

 集中治療室(ICU)における家族の面会時間を自由にしても、制限した場合と比較してせん妄発生の有意な低下は確認されなかった。ブラジル・Hospital Moinhos de VentoのRegis Goulart Rosa氏らが、ICUにおける家族の面会がせん妄の発生に及ぼす影響を検証したクラスター・クロスオーバー無作為化臨床試験の結果を報告した。ICUにおける家族の面会時間を自由にする方針は、患者および家族中心のケアの重要なステップとして、米国クリティカルケア看護師協会(AACN)や米国集中治療医学会(SCCM)のガイドラインにより推奨されているが、その影響ははっきりしていなかった。JAMA誌2019年7月16日号掲載の報告。患者、家族、医師を組み込んだクラスター・クロスオーバー無作為化試験を実施 研究グループはブラジルの、面会時間が制限(1日4.5時間未満)されている成人ICU 36施設において、患者、家族および医師を対象としたクラスター・クロスオーバー無作為化臨床試験を実施した。 2017年4月~2018年6月の期間に参加者を募り、被験者を自由面会群(19施設、1日最長12時間、患者837例、家族652例、医師435例)または制限面会群(17施設、中央値1.5時間/日、患者848例、家族643例、医師391例)のいずれかに無作為化して、2018年7月まで追跡調査した。 主要評価項目は、ICU入室中のせん妄発生率で、Confusion Assessment Method for the Intensive Care Unit(CAM-ICU)を用いて評価した。副次評価項目は、患者のICU感染、家族の不安と抑うつ(Hospital Anxiety and Depression Scale:HADSで評価、範囲:0[良好]~21[最悪])、ICUスタッフのバーンアウト(燃え尽き症候群)(Maslach Burnout Inventoryで評価)などであった。せん妄発生率、家族の自由面会19%vs.制限面会20%で有意差なし 患者1,685例、家族1,295例、医師826例が登録され、患者1,685例全員(100%)(平均年齢58.5歳、女性47.2%)、家族1,060例(81.8%)(平均年齢45.2歳、女性70.3%)、医師737例(89.2%)(平均年齢35.5歳、女性72.9%)が試験を完遂した。 1日の平均面会時間は、家族の自由面会群で有意に長かった(4.8時間 vs.1.4時間、補正後群間差:3.4時間、95%信頼区間[CI]:2.8~3.9、p<0.001)。ICU入室中のせん妄発生率は、家族の自由面会群と制限面会群との間に有意差は認められなかった(18.9% vs.20.1%、補正後群間差:-1.7%、95%CI:-6.1%~2.7%、p=0.44)。 事前に定義した9つの副次評価項目のうち、ICU感染(3.7% vs.4.5%、補正後群間差:-0.8%、95%CI:-2.1%~1.0%、p=0.38)、スタッフのバーンアウト(22.0% vs.24.8%、補正後差:-3.8%、95%CI:-4.8%~12.5%、p=0.36)などを含む6つの項目でも、両群に有意差はなかった。家族に関しては、不安(スコア中央値:6.0 vs.7.0、補正後群間差:-1.6、95%CI:-2.3~-0.9、p<0.001)および抑うつ(スコア中央値:4.0 vs.5.0、補正後群間差:-1.2、95%CI:-2.0~-0.4、p=0.003)のいずれも、自由面会群が有意に良好であった。

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統合失調症患者の再入院までの期間、持効性抗精神病薬vs.経口抗精神病薬

 統合失調症患者の再入院までの期間に、退院後の持効性抗精神病薬(LAI)治療または経口抗精神病薬治療によって違いがあるのか、台湾・高雄医学大学のChing-Hua Lin氏らが比較検討を行った。さらに、LAI処方率の傾向についても併せて調査を行った。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2019年7月1日号の報告。 2006~17年に試験の実施施設から退院した統合失調症患者1万3,087例を対象に、退院後、自然主義的な条件下でフォローアップを行った。主要アウトカムは、再入院までの期間とした。LAIと経口抗精神病薬および第1世代LAIと第2世代LAIの比較において、生存分析を用いて評価した。LAIの処方率に関する時間的傾向の存在は、単純線形回帰およびコクラン・アーミテージ傾向検定を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・退院後1年間では、LAI群は、経口抗精神病薬群と比較し、再入院率が有意に低く、再入院までの期間が有意に長かった。・第1世代LAI群と第2世代LAI群では、再入院率および再入院までの期間に有意な差は認められなかった。・第1世代LAI群では、第2世代LAI群と比較し、抗コリン薬を投与された割合が有意に高かった。・LAI処方率は、2006~17年にかけて、年平均0.5%の有意な増加が認められた。 著者らは「再入院リスクの低減において、LAIは経口抗精神病薬よりも有意に優れていたが、第1世代LAIと第2世代LAIでは同等であった。しかし、第2世代LAIは、第1世代LAIよりも抗コリン薬併用率が低かった。LAI処方率の増加は、臨床医がLAIによる患者の治療で経験を積み、成功体験を重ねたことに起因すると考えられる」としている。

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ソーシャルメディア使用時間とうつ病や大量飲酒との関連

 思春期のソーシャルメディアの使用は、さまざまな否定的なアウトカムにつながっているが、この関連性については明らかとなっていない。ノルウェー・Norwegian Institute of Public HealthのGeir Scott Brunborg氏らは、ソーシャルメディアに費やされた時間の変化が、思春期のうつ病、問題行動、一過性の大量飲酒と関連しているかを、一階差分(first-differencing:FD)モデルを用いて検討を行った。Journal of Adolescence誌7月号の報告。 ノルウェーの青年763人(男性の割合:45.1%、平均年齢:15.22±1.44歳)を対象に、6ヵ月間隔で2つのアンケートを実施した。ソーシャルメディアに費やされた時間の変化とうつ症状、問題行動、一過性の大量飲酒との関連性は、すべての時系列の要因を効果的にコントロールする統計手法であるFDモデルを用いて推定した。また、スポーツの頻度、教師不在でのレジャーの頻度、友人関係の問題の3つを経時的推定交絡因子として検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・3つの推定交絡因子で調整した後、ソーシャルメディアに費やされた時間の増加は、うつ症状(b=0.13、95%CI:0.01~0.24、p=0.038)、問題行動(b=0.07、95%CI:0.02~0.10、p=0.007)、一過性の大量飲酒(b=0.10、95%CI:0.06~0.15、p<0.001)の増加と関連が認められた。・しかし、これらの関連に対するエフェクトサイズは、あまり大きくはなかった。 著者らは「思春期においてソーシャルメディアに費やされた時間が増加すると、うつ症状、問題行動、一過性の大量飲酒の増加と、わずかではあるが関連することが示唆された」としている。

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双極性障害患者における日中の光曝露とうつ症状との関連

 光療法などの人工的な光曝露は、双極性うつ病に有効であるが、双極性障害(BD)患者におけるコントロールされていない日中の光曝露とうつ症状との関連は、明らかとなっていない。藤田医科大学の江崎 悠一氏らは、日常生活におけるBD患者の日中の光曝露とうつ症状との関連について調査を行った。Journal of Psychiatric Research誌2019年9月号の報告。 本研究は、BD患者181例を対象とした横断的研究である。平均日中光強度および照度1,000ルクス以上の総時間を、周囲光を測定するアクチグラフを用いて、7日間連続で測定した。うつ症状はMontgomery Asbergうつ病評価尺度を用いて評価し、8点以上をうつ状態と定義した。 主な結果は以下のとおり。・うつ状態の患者は、97例(53.6%)であった。・平均日中光強度の三分位で最も高かった群では、うつ状態の割合が有意に低かった(p for trend=0.003)。・年齢、雇用状態、BD発症年齢、ヤング躁病評価尺度のスコア、就寝時刻、身体活動で調整後の多変量解析では、平均日中光強度の三分位で最も高かった群は、最も低かった群と比較し、うつ状態のオッズ比(OR)が有意に低かった(OR:0.33、95%CI:0.14~0.75、p=0.009)。・同様に、照度1,000ルクス以上の総時間の三分位で最も高かった群は、最も低かった群と比較し、うつ状態のORが有意に低かった(OR:0.42、95%CI:0.18~0.93、p=0.033)。 著者らは「BD患者では、日常生活における日中の光曝露の増加が、うつ症状の軽減と関連していることが示唆された」としている。

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日本人高齢者の身体能力と認知症発症との関連

 身体能力を評価することは、認知症リスク評価を容易にする可能性がある。しかし、どのような身体能力が認知症発症と最も関連するかについては、明らかとなっていない。国立長寿医療研究センターの土井 剛彦氏らは、日本人高齢者における身体能力と認知症発症との関連について検討を行った。Physical Therapy誌オンライン版2019年6月4日号の報告。 本研究は、地域在住の高齢者を対象としたプロスペクティブ研究である。65歳以上の高齢者1万4,313人のうち、2011~12年に5,104人が研究参加を承諾し、そのうち4,086人(女性の割合:52%、平均年齢72.0歳)が基準を満たしていた。ベースライン時の身体能力として、握力テスト、5回椅子立ち上がりテスト(Five-Times Sit-to-Stand Test:FTSST)、Timed Up & Go Test(TUG)より身体能力レベルを収集した。各テストにおける身体能力レベルは、性別層別四分位値に基づいて、最高レベルのC1から最低レベルのC4に分類した。認知症発症に関する情報は、毎月の医療記録より収集した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中(平均期間:42.9ヵ月)に認知症を発症した高齢者は、243人(5.9%)であった。・log-rank検定では、低身体能力レベルは、認知症の重大なリスク因子であることが示唆された。・共変量で調整した後、Cox比例ハザードモデルでは、FTSST-C4群において、認知症リスクと有意な関連が認められた(ハザード比:1.69、95%CI:1.10~2.59)。・同様に、TUG-C4群においても、認知症リスクと有意な関連が認められた(ハザード比:1.54、95%CI:1.01~2.35)。・握力レベルと認知症リスクとの間に有意な関連は認められなかった。・本研究では、医療記録データの使用による制限を受けた。 著者らは「身体能力レベルの低さは、認知症リスクと関連が認められた。認知症リスクを評価する際には、身体機能の適切な評価を行うべきである」としている。

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日本人双極性うつ病患者に対するクエチアピン徐放性製剤の長期試験

 日本人双極性うつ病患者に対するクエチアピン徐放性製剤(XR)の有効性および安全性は、8週間のランダム化プラセボ対照二重盲検試験で示された。しかし、双極性障害は継続的な治療が必要とされる慢性疾患である。九州大学の神庭 重信氏らは、クエチアピンXRの長期的な有効性および安全性について検討を行った。BMC Psychiatry誌2019年6月26日号の報告。 8週間のクエチアピンXR二重盲検試験を完了した日本人双極性うつ病患者を対象に、長期的な有効性および安全性を評価するため、52週間のオープンラベル非対照延長試験を行った。有効性の評価には、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)、17項目のハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D17)、臨床的全般改善度-双極性障害重症度(CGI-BP)を用いた。安全性の評価では、有害事象、臨床検査値、バイタルサイン、薬原性錐体外路症状評価尺度(DIEPSS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)、コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)の分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・平均MADRS合計スコアは、ベースライン時の30.9(SD 6.9)から8週目で16.1(SD 10.6)、52週目で9.1(SD 8.7)まで低下した。・クエチアピンXR治療の長期的な有効性は、HAM-D17合計スコア、CGI-BPの重症度および変化量において認められた。・最も一般的な有害事象は、傾眠、鼻咽頭炎、口渇であった。・クエチアピンXRによる長期的な治療は、臨床検査値パラメータを含む安全性プロファイルに影響を及ぼさず、新たな安全性の懸念も認められなかった。 著者らは「日本人双極性うつ病患者に対するクエチアピンXRの有効性は、長時間持続し、新たな安全性の懸念も認められなかった」としている。

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非定型抗精神病薬治療に対する精神科医と精神科薬剤師の考え方

 統合失調症や双極性障害の治療選択は、その治療効果の不均一性により複雑化する。米国・イリノイ大学のDaniel R. Touchette氏らは、統合失調症および双極性障害への非定型抗精神病薬の治療選択に、臨床家の考え方や健康システム/保険政策がどのように影響するか検討を行った。Journal of Pharmacy Practice誌オンライン版2019年6月25日号の報告。 American College of Clinical Pharmacy(ACCP)およびCollege of Psychiatric & Neurologic Pharmacists(CPNP)のメンバーを対象に横断的調査を実施した。非定型抗精神病薬の有効性および安全性、薬剤選択に対する併存疾患の影響、非定型抗精神病薬の治療選択に影響を及ぼす因子に関する考え方を評価した。非定型抗精神病薬を選択する際に有効性と安全性は同程度に重要視 非定型抗精神病薬の治療選択への影響を検討した主な結果は以下のとおり。・対象は、精神科薬剤師24人および精神科医18人。・平均年齢は39.6歳、女性の割合は57.1%であった。・薬物療法の有効性と安全性を同程度に重要視していた臨床家は64.3%、安全性をより重要視していた臨床家は26.2%、有効性をより重要視していた臨床家は9.4%であった。・統合失調症における最も重要な薬剤特性は、陽性症状の軽減(92.7%)、入院の減少(87.8%)であった。・双極性障害における最も重要な薬剤特性は、躁病エピソードの軽減(87.8%)、再発の減少(53.7%)、入院の減少(53.7%)であった。・最も注意すべき懸念点は、無顆粒球症(78.1%)、不整脈(70.7%)、錐体外路系副作用(68.3%)であった。・処方制限は、抗精神病薬の選択(80.5%)、服薬アドヒアランス(55.0%)、治療結果(53.4%)に影響を及ぼすと考えられていた。 著者らは「非定型抗精神病薬を選択する際に、有効性と安全性は同程度に重要視されていた。処方制限は、治療選択や治療結果に影響を及ぼすと考えられている」としている。

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非アルツハイマー型認知症に対するコリンエステラーゼ阻害薬の使用

 非アルツハイマー型認知症は、すべての認知症の約30%を占め、主要な認知障害や行動障害を呈する。コリンエステラーゼ阻害薬は、脳内のアセチルコリンレベルを上昇させることにより、記憶力を改善し、アルツハイマー型認知症(AD)の対症療法に承認されている薬剤である。そして、潜在的なコリン作動性機能障害を伴う他の認知症においても研究されている薬剤である。米国・ベイルート大学のPaul Noufi氏らは、非ADに対するコリンエステラーゼ阻害薬の使用について報告を行った。Drugs & Aging誌オンライン版2019年6月14日号の報告。 主な内容は以下のとおり。・レビー小体型認知症(LBD)やパーキンソン病認知症(PDD)は、ADよりも重度なコリン作動性機能障害があるとのエビデンスも報告されている。・しかし、ADとの併存疾患の増加を考えると、血管性認知症(VaD)において客観視することが困難である。・また、前頭側頭型認知症(FTD)において、コリン作動性の喪失に関するエビデンスはほとんどない。・コリンエステラーゼ阻害薬は、LBDとPDDに対する臨床試験において認知、行動、機能の有意な改善が認められたが、データに影響を及ぼす使用尺度の不均一性、試験期間、限られたサンプルサイズのため、リバスチグミンのみがPDDへ承認されている。・同様に、VaDに対する試験は、純粋なVaDについて事前に定義された包括基準の欠如、脳血管疾患の位置や程度に関する幅広い異質性によって制限される。・FTD患者では、コリンエステラーゼ阻害薬により、主に認知機能や行動症状の悪化との関連が認められた。 著者らは「非ADに対するコリンエステラーゼ阻害薬は、軽度~中等度のコリン作動性副作用の報告やVaDにおけるリバスチグミンの心血管系および脳血管系イベントの有意ではない増加傾向が報告されているが、忍容性は高く、とくにコリン作動性の欠如が認められる場合には、ケースバイケースでの慎重な使用が正当化されるべきである」としている。

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うつ病に対する森田療法~許容性に関する定性的研究

 日本において森田療法は広く認知されているが、英国ではほとんど知られていない。英国・エクセター大学のHolly Victoria Rose Sugg氏らは、英国における森田療法の許容性について検討を行った。BMJ Open誌2019年5月29日号の報告。 フレームワークアプローチで分析した治療後の半構造化面接により、森田療法と通常ケアについてランダム比較パイロット研究を実施した。英国・デボン州のGeneral Practiceデータより検索を行い、森田療法を受けた患者16例を抽出し、分析のために目的に応じてサンプリングした。 主な結果は以下のとおり。・患者の意見や森田療法の経験の違いにより、モデルとなる5つのテーマを特定した。・全体として、これまで経験した他の治療法との比較において、森田療法の価値を理解した患者の多くで受け入れられた。・これらの患者では、自然現象としてどう困難を受け入れ許容しているか、症状から外部要因へ注意を移行するか、などが強調され、症状軽減およびエンパワーメント感覚の促進が認められた。・治療に対する患者の期待と照らし合わせ、森田療法の原理を理解することが、森田療法の許容と有意に関連していることが認められた。・また調査結果は、森田療法の原理と実践の違いを強調しており、患者は安静時の恐怖や不快感などの治療プロセスの取り組み、セラピストからの十分な支援の必要性、治療コミットメントなどに注目していた。 著者らは「英国において、森田療法は受け入れられ、そのアプローチは有益かつ斬新であると思われる。したがって、森田療法の大規模研究が進行することは、臨床プロトコールの微修正につながるであろう。患者の期待や治療への理解が森田療法の許容に重要な役割を果たしており、今後の研究において、これら潜在的因子を調査する必要がある」としている。

3279.

アリピプラゾールやハロペリドールによる神経突起病変保護作用

 ドパミンD2受容体(D2R)の機能亢進は脳の発達に変化を及ぼし、その後、統合失調症に類似した症状を引き起こす。D2RがDISC1遺伝子(Disrupted in schizophrenia 1)と相互作用を示すことが知られているが、細胞内シグナル伝達や神経突起におけるこれらの相互作用の影響は、明らかとなっていない。オーストラリア・ウーロンゴン大学のPeng Zheng氏らは、皮質ニューロンにおけるAkt-GSK3βシグナル伝達および神経突起形態に対するD2R過剰活性の影響について検討を行った。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌2019年6月8日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・D2R過剰活性は、皮質ニューロンにおけるプロテインキナーゼB(Akt)およびグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK3β)リン酸化の減少と関連した神経突起損傷を引き起こした。・アリピプラゾールは、ハロペリドールと比較し、神経突起病変の予防において、より有効であった。・アリピプラゾールは、ハロペリドールと異なり、D2R機能亢進によって誘導されるホスホ(p)Akt-pGSK3βのダウンレギュレーションを保護し、このことは異なる経路の関与が示唆された。・DISC1突然変異マウスの皮質ニューロンにおいて、D2Rの機能亢進が認められ、これはキンピロール処置した皮質ニューロンにおいて、より重度の神経突起損傷を引き起こした。・Ca2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII)の蛍光免疫染色法では、皮質錐体神経細胞がD2R機能亢進誘導の神経突起損傷と関連していることが確認された。・D2R機能亢進が、pGSK3βシグナル伝達を変化させたD2R-DISC1複合体形成をもたらすことが、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)技術を用いて明らかとなった。 著者らは「D2R機能亢進誘導のD2R-DISC1複合体形成が、pAkt-pGSK3βシグナル伝達の減少と関連しており、神経突起障害を引き起こすことが示唆された。アリピプラゾールとハロペリドールは、神経突起病変を予防したが、異なる細胞内シグナル伝達経路を介していると考えられる」としている。

3280.

うつ病に対するボルチオキセチン治療と自殺リスク

 米国・BlackThorn TherapeuticsのAtul R. Mahableshwarkar氏らは、成人うつ病患者に対するボルチオキセチン治療に関連する自殺念慮や自殺行動のリスクを評価するため検討を行った。CNS Spectrums誌オンライン版2019年6月14日号の報告。 自殺関連事象は、2つの試験プール(短期[6~8週間]プール試験:10ランダム化プラセボ対照試験、長期[52週間]プール試験:3オープンラベル拡大試験)を用いて事後評価した。自殺関連事象の評価には、コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)および治療下で発現した有害事象(TEAE)のデータを用いた。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時、短期プール試験においてC-SSRSの自殺念慮または自殺行動が報告された患者の割合は、プラセボ(14.7%)と同程度であった(ボルチオキセチン5mg:19.8%、ボルチオキセチン10mg:13.0%、ボルチオキセチン15mg:11.2%、ボルチオキセチン20mg:13.7%、デュロキセチン:13.2%)。また、6~8週間の治療期間を通じて変化は認められなかった(プラセボ:17.0%、ボルチオキセチン5mg:19.3%、ボルチオキセチン10mg:13.5%、ボルチオキセチン15mg:12.6%、ボルチオキセチン20mg:15%、デュロキセチン:11.3%)。・短期プール試験でのTEAEに基づく自殺関連事象の発生率は、プラセボ0.4%、ボルチオキセチン5mg:0.2%、ボルチオキセチン10mg:1.0%、ボルチオキセチン15mg:0.7%、ボルチオキセチン20mg:0.7%、デュロキセチン:0.7%であった。・52週間のボルチオキセチン治療後での発生率は、C-SSRSの自殺念慮9.8%、C-SSRSの自殺行動0.2%、TEAEに基づく自殺関連事象1%未満であった。・いずれの研究においても、自殺は完遂されなかった。 著者らは「うつ病患者の自殺念慮や自殺行動リスクの増加に、ボルチオキセチンは影響を及ぼさないことが示唆された」としている。■「ボルチオキセチン」関連記事ボルチオキセチン治療中のうつ病患者における睡眠と抑うつ症状との関係

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