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第33回 「異常Q波」アップデート~最近の考え方~【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第33回:「異常Q波」アップデート~最近の考え方~ここ何回かのレクチャーで扱った「異常Q波」。これまでの右前胸部誘導(V1~V3)は「存在」確認で診断できましたが、そのほかの誘導ではどうでしょうか? ちまたの教科書などではさまざまな「定義」が述べられ、やや混沌としている印象です。「心筋梗塞」の反映という観点から、波形の特徴はもちろん、誘導同士の組み合わせや個数まで、Dr.ヒロが最新の考え方を解説します。さぁ、知識をアップデートしましょう!【問題】陳旧性心筋梗塞を反映する「異常Q波」に関する診断条件のうち正しいものを2つ選べ。1)深さ:2mm以上2)深さ:同一誘導のR波高の1/3以上3)隣接する誘導グループのうち、3つ以上で認める4)QS型5)幅:0.03秒以上解答はこちら4)、5)解説はこちら心筋梗塞の診断に役立つ「異常Q波」の定義に関する問題です。今回は症例問題がありませんが、次回に扱おうと思います。選択肢として挙げたものは、いずれも教科書などで取り上げられるものを題材としています。2000年代に入ってから、「Q波」を用いた心筋梗塞の診断法はいくつか改良がなされました。少し前までの“当たり前”が、今は“そうじゃない”ってこともあるんです。今後も微修正される可能性はありますが、目下、最新の診断基準を共有したいと思います。“「異常Q波」な人ってどれくらいいる?”労働衛生協会のデータによると、2017年に健康診断で心電図検査を受けた13万6,000人のうち、「有所見」(要経過観察・受診・精査)とされたのは8.5%、そのうち「異常Q波」は5.4%(男性6.3%、女性3.5%)に認められました。つまり、「心電図異常」を理由に二次健康診断として医療機関を紹介された人は、20人に1人の確率で「異常Q波」の所見が認められるわけです。残念ながら、受診しない方もいますから、受け手側のわれわれが抱くイメージと若干ズレている可能性はありますが、「異常Q波」は割とコモンな所見だってことです。健康診断でこんな状況なのですから、心血管疾患の患者さんが集まる病院では「異常Q波」の出現頻度がもっと高いでしょう。“時代とともに変わる異常Q波の定義”ところで、「異常Q波」を指摘する意味は何だったでしょうか? それは死んで機能しなくなった心筋の反映で、その“代表選手”は「心筋梗塞」です。冠動脈閉塞により心筋梗塞が起こり「異常Q波」が記録された様子のイメージを、図1からつかんでみましょう。(図1)異常Q波と心筋梗塞の関係画像を拡大するところで、心筋梗塞のすべての患者さんが「強い胸痛」を発症し、カテーテル治療を受けて、自身の病名をその後も忘れずに完全に把握しているとしたら…心電図でQ波を探すよりもご本人に問診すれば済むはずです。しかし、患者さんの多くはメディカル・プロフェッショナルではありませんし、記憶があいまいなケースも多々あります(第32回)。それよりもっと重要なのは、自分の知らないうちに心筋梗塞を起こしている人がいるということです。まったく症状がなかったり、心筋梗塞だと思わずにガマンしてしまったり…後者は別にして、「無症候性」(silent)心筋梗塞が全体の1/3を占めるなんていうショッキングな論文1)、2)もあります。こうした “いつの間にか心筋梗塞”を見抜く術として心電図検査があり、とくに「異常Q波」がその役割を果たすと言えます。このへんで少し昔話。心電図が苦手でキライだった “ダメ医学生”の時代(第24回、第25回)、当時のボクが習った「異常Q波」の定義は、A) R波高≦1mm(0.1mV)なら「Q波」とみなして良い、B) 幅≧0.04秒(40ミリ秒[ms])、C) 深さ≧同一誘導でのR波高の25%(1/4)、でした。A)は「1mmなかったら、陽性波が“ない”のと同じ」ってこと。ごくごく小さいR波がわずかにあり「Q波」かな?と悩む場合には、今でも時おり参考にしています。B)は心電図波形の方眼紙では、横1mmが「0.04秒(40ミリ秒[ms])」に相当するので、これも“1mmつながり”です。最後のC)については、問題の選択肢2)のように「1/3」と記載している本もありました。『1/3とか1/4って言うけど、いちいちR波が何ミリ、Q波が何ミリとかって測るのが面倒だなぁ…』と思った記憶があります。一つずつR波高と比べるのも確かに大変ですし、早期にPCIがなされてR波の減高が軽度にとどまる場合、相当な深さのQ波でないと“異常”とはならず、現実をうまく説明できません。そんな“現場の声”が届いたのか、2000年に心筋梗塞の定義が見直されました。その後、約20年間に何度か改訂がなされ、現在の異常Q波の定義は次のものです。一昔前の定義がまったくダメというわけではありませんが、目下“最新版”というものをお示しします。■過去の心筋梗塞を示唆する心電図所見3)(左室肥大、左脚ブロックを除く)■V2~V3誘導:幅>0.02秒のQ波あるいはQS型それ以外:幅≧0.03秒 かつ 深さ≧1mmのQ波あるいはQS型(I、II、aVL、aVF、V4~V6誘導*1)が隣接する誘導グループ*2のうち2つ以上で認められる。V1~V2誘導:R波幅>0.04秒 かつ そろってR/S>1で陽性T波*1:V2、V3は別に定義されており、その心は「III、aVR、V1を除く」ということ(正常でも「異常Q波」様の波形が出る代表的なIII誘導)。*2:(1)I、aVL、(2)V1~V6、(3)II、III、aVFの3つ。“「V1~V3」と「それ以外」で考えよ”一見して気づくのは「V2、V3」と「それ以外」で分けている点でしょう。前回までは「V1~V3」で扱ったのに? 個人的には、この定義のようにV1誘導だけを“のけ者”にするような定義は好みません。現在の定義でV1誘導が除かれているのは、V1誘導では健常者でも「Q波」が出ることがあるためで、単独ではもちろん、人によっては「V1、V2にQ波あり」でも、心エコーなどでは左室「前壁」含めて何にも異常がない方もいます。ただ、同じパターンでホンモノの心筋梗塞の既往がある人もいます。なので、たとえV1誘導単独でもQRS波が陰性波から始まっていたら「Q波」と指摘して欲しいですし、その「異常」基準はV2、V3誘導と同じで結構です。“例外・特殊”、“~だけ”という言葉は、漏れのない判読を推奨するDr.ヒロ流の教えに反します。ちなみに「0.02秒」の条件はあまり気にしないでOKですよ。横幅で言ったら0.5mmですし、それ以下なら正常と言えるわけでもなく(「q波」としての指摘はすべき)、ひとまず「V1」も含めて“あるだけで異常“のスタンスは崩さないほうが良いでしょう。ですから、本質的な理解としては「V1~V3」と「それ以外」で良いと思います。そして、定義ではQS型が「あるいは」で並列しています。これは陽性(r/R)波がまったくないため、「Q波」とも「S波」とも決めがたいという意味で、実質的には「(異常な)Q波」と同義として扱って良いのでした(第17回)。次に、深さの「1/4(ないし1/3)以上」が「1mm」になったのはいいとして、幅はどうでしょう? 「0.03秒(30ms)」って、横1mmが0.04秒(40ms)なのに…って思いませんか? 個人的には、人の目を引くくらい“幅広”なら、ほぼ1mmでアウト、厳密に1mm以上じゃなくていいよっていう解釈です。このように「V1~V3“以外”」では深さも幅も「1mm」がキーワードですから、これをDr.ヒロは“1mm基準”ないし“1ミリの法則”と呼んでいます。ほかにも冒頭で紹介した一昔前の基準も含めて、「異常Q波」の世界では「1mm」が頻発するのです。では、もう一つの「隣接する」(contiguous)ってどういうことでしょう? 一見“n”と“g”を打ち間違えたように見えますが、“g”でOKです。意味的には“continuous”と似ていますがね。この「contiguous」という単語って、あまり英語が得意でないボクにはここ以外ではあまり使われない気がしますが、皆さんはどうでしょうか?胸部誘導の場合、電極を貼る位置が“隣同士”あるいは“お隣さん”、たとえば「V2、V3、V4」とか「V5、V6」とか。いずれにせよ2つ以上が大事。Dr.ヒロ流では“お隣ルール”という名称で解説しています。胸部誘導は、電極位置がそのまま左室壁の「どこ」に対応していましたし(第17回)、心筋梗塞は同じ血管で灌流される一定のゾーンがやられるわけで、「単独」とか「飛び飛び」のような誘導にはならないんです。これはわかりやすいですね。“肢誘導での「隣」に注意すべし”一方の肢誘導では、“お隣ルール”の理解に注意が必要です。標準様式の心電図では、用紙の左半分の上からI、II、III、aVR、aVL、aVFと並んでいますが、見た目通りの“IはIIの隣”や“aVRとaVLは隣同士”というのは間違いです。ややこしいことに、肢誘導では波形の並び順ではなく、「空間的・位置的」に、お隣なんです。『へ…?この人、何言ってんの?どういうこと?』と、思われる方がいるかもしれませんが、大丈夫。全然難しいことではないんです。ボクはすでに何度もレクチャーで扱っています。肢誘導の空間的な位置を示すものと言えば…そう、「肢誘導界」の円座標の世界です(第5回)。ここでは、「IとaVL」、そして「II・aVF・III」の組み合わせが“隣接誘導”*3になります。*3:Dr.ヒロ流では“仲良し誘導”という言い方をすることもある。■“お隣ルール”での隣接誘導群の考え方■胸部誘導は電極の貼り位置そのまま肢誘導は“円座標”の世界での話であることに注意!そして最後。気をつけていないと見過ごしてしまいそうですが、「異常Q波」の定義のはずが、3つ目にV1、V2誘導の「R波」が述べられています。なぜ「R波」が心筋梗塞なのか、聞いたことがあるでしょうか? こちらは“裏”ないし“鏡”の世界と言える、左室「後壁」という「前壁」の真反対の話です。「Q波」の話題から少しズレるので、今回は扱うのをやめておきます(軽く目をやる程度で済ませてください)。以上が最近の「異常Q波」の考え方のトレンドですので、しっかり理解しておきましょう。次回は、具体的な症例でこれらの知識を用いてみようと思いますので、ご期待あれ!Take-home Message異常Q波の診断基準をアップデートしよう。V1~V3誘導では「存在」ないし「QS型」、それ以外の誘導では“1mm”がキーワード(幅・深さ)単独ではなく、“お隣ルール”で「2つ以上」が本当の「異常Q波」杉山裕章. 心電図のみかた・考え方(応用編). 中外医学社;2014.p.80-124.1)Kannel WB, et al. N Engl J Med. 1984;311:1144–1147.2)De Torbal A, et al. Eur Heart J. 2006;27:729–736.3)Thygesen K, et al. Circulation. 2018;138:618-651.【古都のこと~鈴虫寺(華厳寺)】人生の岐路に立ったり悩んだりしたとき、われわれは神や仏に願うでしょう。“鈴虫寺*1”として有名な西京区の華厳寺(山号:妙徳山)*2は、京都でも有名な“ご祈願スポット”で、嵐山エリアで松尾大社や西芳寺(苔寺)のすぐ近くです。長めの石段を上ると、山門の左手に“幸福のお地蔵さま”*3に並ぶ行列が…。受付で志納料を払い、大書院に通されると周囲に鈴虫が飼育された木枠のガラスケース*4が! そして部屋中に響く鈴虫の音! 録音かと疑ってしまうくらいの見事な“大合唱”でした。当寺オリジナルスイーツ茶菓“寿々むし”とおいしいお茶をいただきながら*5、僧侶の“鈴虫説法”に耳を傾けます。自らの来し方を振り返り、行く末を思案するー妙に説得感があり、随所にシャレを効かせた“プレゼン”の上手さに脱帽しました。鈴虫の音はオスの求愛行動によるもので、メスが一緒にいることで初めて鳴くそうです。鈴虫の寿命は約100日。成虫となり最後の1ヵ月に精一杯鳴き、産卵後ほどなくオス・メスとも亡くなっていく話は“無常”ともリンクしたなぁ。受験合格、婚活、出世、起業…利己的な願いを胸に寺を訪れたとしても涙がちょっと出てきましょう。30分ほど話を伺い、鈴虫ケースをもう一周眺め、本尊である大日如来に手を合わせました。そして、最後にちゃっかりお地蔵さまにもお願いをして帰るDr.ヒロなのでした(笑)*1:鈴虫の英語表記は「bell(-ringing) cricket」で、欧米ではコオロギの一種と扱われている。石碑には「鈴蟲の寺 華厳禅寺」と書かれている。*2:鳳潭上人が華厳宗の復興のため享保8年(1723年)に開山。その後、臨済宗に改宗(明治元年[1868年])され、現在に至る。*3:「幸福地蔵大菩薩」。わらじスタイルは日本で唯一。たった一つだけ願い事を聞いてくれる(一願成就)。黄色の幸福御守を両手に挟み、心の中でお願い事を言うのがお約束。住所、氏名を先に言うのを忘れずに(お地蔵さまが家まで歩いて来てくれる)。*4:当日は約4,000匹とのことだったが、多い時はケース数が2倍(7,000~8,000匹)になることも。*5:禅宗の教えの一つに「茶礼」がある。

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うつ病患者の睡眠障害と自殺との関係~メタ解析

 これまで、睡眠障害と自殺との潜在的な関連は、いくつかのレビューにより検証されてきた。中国・中南大学のXiaofen Wang氏らは、うつ病患者における睡眠障害と自殺との全体的な関連性を推定し、より具体的な関連因子を特定するため、メタ解析を実施した。BMC Psychiatry誌2019年10月17日号の報告。 PubMed、EMBASE、Cochrane Libraryより、2019年1月1日までに公表された、うつ病患者の睡眠障害と自殺との関連を報告した研究をシステマティックに検索した。オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を用いて、アウトカムを測定した。異質性は、コクランのQ検定、I2を用いて評価した。各研究の方法論的品質の評価には、Newcastle-Ottawa Scale(NOS)を、エビデンスの品質評価には、Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation(GRADE)を用いた。睡眠障害と自殺との全体的な関連性を評価し、不眠症、悪夢、過眠症、自殺念慮、自殺企図、自殺完遂など、より具体的なカテゴリーを推定した。 主な結果は以下のとおり。・18研究が抽出された。・全体として、睡眠障害は、うつ病患者の自殺と密接な関連が認められた(OR:2.45、95%CI:1.33~4.52)。・自殺念慮、自殺企図、自殺完遂に対する睡眠障害の増加リスクは、1.24(95%CI:1.00~1.53)~2.41(95%CI:1.45~4.02)の範囲であった。・自殺との高い相関が認められた因子は、悪夢(OR:4.47、95%CI:2.00~9.97)および不眠症の持続(OR:2.29、95%CI:1.69~3.10)であった。・エビデンスの質は、全体的なアウトカムおよびうつ病サブグループで非常に低く、うつ病サブグループで低いと評価された。 著者らは「抽出された研究が観察研究であったことを考慮するとエビデンスの質は低いものの、睡眠障害、とくに悪夢や不眠症は、うつ病患者の自殺リスクを高める可能性があることが示唆された。このメカニズムを明らかにするためには、より適切に設計された研究が必要である」としている。

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成人ADHDにおける金銭的意思決定

 成人期の注意欠如多動症(ADHD)は、金銭的意思決定(financial decision-making:FDM)を含む日常生活において、さまざまな問題と関連している。しかし、成人ADHDのFDMに関する研究は限られており、標準化された客観的手法で検討されたことは、これまでなかった。オランダ・フローニンゲン大学のDorien F. Bangma氏らは、主観的および標準化された客観的尺度の両方を用いて、成人ADHDのFDM能力について調査を行った。Neuropsychology誌2019年11月号の報告。 対象は、成人ADHD群45例および健康成人対照群51例。個々の金銭的状況、神経心理学的評価、FDMのさまざまな側面を測定するための標準化されたテストおよびアンケートを含む包括的なテストバッテリーを実施した。 主な結果は以下のとおり。・成人ADHDは、対照群と比較し、収入が少ない、借金が多い、預金が少ないなど金銭的状況が有意に悪かった。・成人ADHDは、金銭的能力を測定する標準化されたテストにおいても、対照群と比較し、スコアが有意に低かった。また、意思決定と将来への影響を測定するテストにおいても同様の結果が得られた。・成人ADHDは、対照群と比較し、衝動買いが多く、回避的または自発的な意思決定スタイルを用いることがより多く報告された。・媒介効果は、FDMの2つの測定値で認められたが、これらの測定値の群間差は、統計学的に有意なままであった。 著者らは「成人ADHDは、FDMに関するいくつかの問題を抱えている。このことは、成人ADHDの金銭的状況の悪さを部分的に説明できる」としている。

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急性期全般不安症に対する第1選択薬の有効性、受容性比較~メタ解析

 全般性不安症(GAD)の第1選択薬としては、SSRIやSNRIがガイドラインで推奨されている。中国・西安交通大学のHairong He氏らは、これら第1選択薬の有効性、受容性を比較するため、ネットワークメタ解析を用いて、エビデンスのアップデートを行った。Journal of Psychiatric Research誌2019年11月号の報告。 成人GADの急性期治療に使用された11種類の薬剤のプラセボ対照および直接比較試験について、1980~2019年1月1日のエビデンスを電子データベースより検索した。各研究より、人口統計、臨床、治療に関するデータを抽出した。主要アウトカムは、有効性(ハミルトン不安尺度の合計スコアのベースラインからの変化)および受容性(すべての原因による治療中止)とした。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たしたランダム化比較試験は、41件であった。・有効性に関しては、fluoxetineとボルチオキセチンを除くすべての薬剤において、プラセボよりも有効であった。ハミルトン不安尺度スコアの加重平均差は、エスシタロプラムの-3.2(95%信頼区間[CI]:-4.2~-2.2)からvilazodoneの-1.8(95%CI:-3.1~-0.55)の範囲であった。・受容性については、vilazodone(オッズ比:1.7、95%CI:1.1~2.7)のみがプラセボよりも悪化が認められており、その他の薬剤では有意な差は認められなかった。・直接比較試験では、ボルチオキセチンは、受容性および忍容性が優れていたが、有効性と奏効率が悪かった。・全体として、デュロキセチンとエスシタロプラムは有効性が高く、ボルチオキセチンは受容性が良好であった。

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統合失調症、双極性障害、うつ病患者における抗精神病薬切り替え治療の影響

 米国・Analysis GroupのRajeev Ayyagari氏らは、統合失調症、双極性障害、うつ病患者における、抗精神病薬の切り替えと再発および医療資源利用との関連について評価を行った。Journal of Medical Economics誌オンライン版2019年10月30日号の報告。 6年にわたる米国6州のメディケイド請求データより、抗精神病薬の切り替えと非切り替えの比較について、レトロスペクティブに分析を行った。ベースライン時に統合失調症、双極性障害、うつ病と診断されたすべての患者および1つ以上の錐体外路症状(EPS)が認められた患者について、現疾患の再発、他の精神疾患の再発、すべての原因による救急受診、すべての原因による入院、EPS診断までの期間を分析した。 主な結果は以下のとおり。・切り替え群(1万548例)は、非切り替え群(3万1,644例)よりも、現疾患の再発、他の精神疾患の再発、入院、救急受診、EPS診断までの期間が短かった(各々、log-rank p<0.001)。・切り替え群では、入院までの期間中央値は21.50ヵ月、救急受診までの期間中央値は9.07ヵ月(非切り替え群13.35ヵ月)であった。・現疾患の再発、他の精神疾患の再発、EPS診断については、2年間の研究期間中に、50%未満の患者で認められた。・1つ以上のEPSが認められた患者のサブグループ解析では、同様の関連性が認められた。・本研究の限界として、因果関係ではなく関連性のみが推測されている可能性があり、未評価のパラメータが群間で異なる可能性がある。 著者らは「抗精神病薬の切り替えは、再発リスクと関連している可能性が示唆された。これは、重度の患者では軽度の患者よりも治療反応が不良であり、多くの切り替えエピソードを必要とするためであると考えられる」としている。

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若い女性の座っている時間とうつ病との関連

 身体活動(PA)の不足や長時間の座りっ放し(sitting time:ST)は、死亡率やうつ病などの慢性疾患リスクの増加と関連している。2つのリスクは独立しているともいわれているが、それらの連合効果や層別効果はよくわかっていない。オーストラリア・クイーンズランド工科大学のT. G. Pavey氏らは、若年女性におけるうつ症状のリスクと12年間に及ぶPAやSTの複合効果について調査を行った。Journal of Science and Medicine in Sport誌2019年10月号の報告。 対象は、2000~12年にオーストラリアの女性の健康に関する縦断的コホート研究に参加した22~27歳の女性。うつ症状に対するPAとSTの連合効果は、一般化推定方程式モデルを用いて算出した。対照群は、STが4時間/日未満およびPA四分位の第一位とした。うつ症状とPAおよびSTとの関連は、ST、PAそれぞれの層別化後に調査した。 主な結果は以下のとおり。・調整された連合効果モデルでは、対照群(低ST、高PA)と比較し、うつ症状のオッズ比は、STが4時間/日超、6時間/日超、8時間/日超およびPAなしの女性で有意に高かった。・すべてのPAカテゴリにおいて、STが10時間/日以上の女性のうつ症状リスクが最も高かった(PA四分位第四位:1.72[95%CI:1.38~2.14]、PA四分位第一位:1.49[95%CI:1.16~1.91])。・STによる層別解析では、STが10時間/日超の女性を除き、PAを報告した女性において、PAなしと比較し、うつ症状の割合が低下していた。・PAによる層別解析では、STが8~10時間/日によるリスク増加は、PAにより軽減していたが、STが10時間/日以上では、PAレベルが上昇しても、抑うつ症状リスクの低下は認められなかった。 著者らは「若年女性の抑うつ症状リスクに対し、低PAと高STの連合効果および層別効果があることが示唆された。高レベルのPAは、高STの保護効果があるものの、STが10時間/日以上の女性では、その効果が期待できない」としている。■「うつ病軽減」関連記事うつ病患者、入浴がうつ症状を軽減

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双極性障害患者の自殺企図有病率~メタ解析

 双極性障害(BD)は、自殺リスクの高い重度の精神疾患である。中国・Guangdong Academy of Medical SciencesのMin Dong氏らは、BD患者の自殺企図の有病率および関連因子についてメタ解析を実施した。Epidemiology and Psychiatric Sciences誌オンライン版2019年10月25日号の報告。 PubMed、PsycINFO、EMBASE、Web of Scienceより、2018年6月11日までの文献をシステマティックに検索した。BD患者の自殺企図有病率は、変量効果モデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・検索により3,451件中79件(3万3,719例)が適合基準を満たしていた。・自殺企図の生涯有病率は、33.9%(95%CI:31.3~36.6%、I2=96.4%)であった。・サブグループおよびメタ回帰分析では、自殺企図の生涯有病率と関連する因子は以下のとおりであった。 ●女性 ●双極I型障害 ●特定不能のBD ●ラピッドサイクラー ●収入レベル ●地理的特性 著者らは「BDでは、自殺企図が一般的に認められ、多くの因子が関連している。BD患者の自殺企図の発見や予防を促進するためには、さらなる努力が必要であり、心理社会的介入と併せて気分安定薬の長期使用の可能性を検討すべきである」としている。

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術後せん妄予防に対するメラトニン~メタ解析

 外科の高齢患者は、術後せん妄発症リスクが高い。せん妄の予防には、非薬理学的介入が推奨されるが、せん妄の発症を減少させる確固たるエビデンスを有する薬剤は、今のところない。米国・アリゾナ大学のAshley M. Campbell氏らは、周術期のメラトニンが、外科手術を受けた高齢患者のせん妄発症率を低下させるかについて評価を行った。BMC Geriatrics誌2019年10月16日号の報告。 1990年1月~2017年10月に英語で公表された文献を、PubMed/Medline、Embase、PsycINFO、CINAHLおよびリファレンスより検索した。2人の独立したレビューアーが、タイトルおよびアブストラクトをスクリーニングし、コンセンサス生成とバイアス評価を含む文献全文レビューを行い、データを抽出した。術後入院患者(平均年齢50歳以上)のせん妄を予防するためにメラトニンまたはラメルテオンを使用し、その結果を報告した研究は組み入れ対象とした。固定効果モデルを用いてデータをプールし、フォレストプロットを生成し、せん妄発症率のサマリーオッズ比を算出した。不均一性は、Cochran's Q値およびI2値を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・335件をスクリーニングし、定性分析に6件、メタ解析に6件(1,155例)の研究を抽出した。・対象研究の患者平均年齢は、59~84歳の範囲であった。・介入群には、心臓胸部、整形外科、肝臓の手術の前夜または手術当日から1~9日間、メラトニンまたはラメルテオンを2~8mg/日投与していた。・せん妄の発症率は、介入群で0~30%、対照群で4~33%であり、メラトニン群で有意な減少が認められた。メタ解析のサマリーエフェクトによるオッズ比は0.63(95%CI:0.46~0.87、Cochran's Q=0.006、=72.1%)であった。・1つの研究を分析より削除すると、全体のオッズ比が0.310(95%CI:0.19~0.50)に減少し、不均一性も減少した(Cochran's Q=0.798、I2=0.000)。 著者らは「対象研究において、周術期のメラトニンは、高齢患者のせん妄の発症率を低下させることが示唆された。最適な投与量は明らかではないが、メラトニンおよびメラトニン受容体アゴニストの潜在的なベネフィットにより、外科手術を受けた高齢患者のせん妄予防に使用するための選択肢となりうる可能性がある」としている。

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認知症予防の可能性、カマンベールチーズvs.運動

 東京都健康長寿医療センター、桜美林大学、株式会社 明治(以下、明治)の共同研究グループは、高齢者女性を対象としたランダム化比較試験(RCT)において、カマンベールチーズの摂取による認知機能低下抑制を示唆し、認知症予防の可能性を見いだすことに成功した1)。 2019年11月6日、明治主催のメディアセミナー「人生100年時代に考える認知症予防について~カマンベールチーズの新たな可能性~」が開催。鈴木 隆雄氏(桜美林大学老年学総合研究所 所長)が「人生100年時代~認知症予防とBDNF」を、金 憲経氏(東京都健康長寿医療センター研究所 研究部長)が「カマンベールチーズがBDNFに及ぼす影響~ランダム化比較試験」について講演した。BDNF濃度が認知症予防に影響 国内外の研究報告によると、高齢者の認知症の中で最も多くの患者数を占めるのがアルツハイマー病である。現在の日本では、認知症は高齢者人口の約15%を占め、その前駆状態である軽度認知障害(MCI)すなわち認知症予備軍は約13%を占めている。MCIの高齢者の約半数が5年以内にアルツハイマー病に移行することが報告されていることから、鈴木氏は「MCIの段階で予防対策を講じることが極めて重要」と述べた。さらに、「エビデンスの質、科学的根拠のレベルの高さが重要となる中で、これまでの認知症予防の視点での食品研究はほとんどが観察研究だった。今回の試験結果は介入試験からの結果であり、信頼性は高い」と、過去の研究とエビデンスレベルが異なる点を強調し、Journal of the American Medical Directors Association 9月号1)に掲載された研究について解説した。 今回の研究で一番の焦点となったのは、BDNF(脳由来神経栄養因子)の上昇である。BDNFとは、神経細胞の発生・成長・維持・再生を促進させる、いわば“脳の栄養分”とも呼ばれる重要なタンパク質で、脳内、とくに記憶の中枢である海馬に高濃度に存在している。BDNFの血中濃度は加齢や糖代謝異常、そして認知症に伴い減少することが示されており、臨床的に広く評価されている指標でもある。 BDNFの変動については、運動が血中BDNF濃度の増加に寄与していることがこれまでいくつかの研究で示されている。しかし、同氏は「食品とBDNFの関連性についてのエビデンスレベルの高い研究は少なく、今回の研究の意義は大きい」と、述べた。カマンベールチーズで血中BDNF濃度が有意に上昇 以前、65歳以上の高齢女性を対象にチーズ摂取と認知機能に関する観察研究を行い、チーズ摂取の有無と認知機能の関連性を明らかにした金氏は、「国内では、アルツハイマー病マウスでのカマンベールチーズの作用が示唆2)されていたことから、今回、実際のヒトを対象として、70歳以上のMCIの高齢女性を対象としたRCTを行った」と述べた。 次に、同氏はチーズの利用価値について説明。チーズは栄養価が非常に高く、タンパク質、ミネラル、ビタミンを効率よく補うことができる食品であり、世界で1,000種類以上も存在する。なかでも、カマンベールチーズには、デヒドロエルゴステロールという神経細胞において抗炎症作用を示す成分が含まれるほか、白カビの作用によりトリグリセリドからオレイン酸が、タンパク質からアンモニアが生じる。 このような過程で生じたオレイン酸とアンモニアが反応し、オレアミドが産生される。これが脳内のミクログリアに作用することで、アミロイドβの除去2)やミクログリアの過剰な炎症を抑制2、3)すると考えられている。 今回の研究では、カマンベールチーズ群と対照チーズ群でオレアミドの含有量を比較。その結果、カマンベールチーズ群の含有量は対照チーズ群の10倍以上であった。また、今回のRCTの結果、血中BDNF濃度がカマンベールチーズ群では対照チーズ群と比較して有意に増加し、ベースラインから変化率が6.18%も増加した。これらの結果を踏まえて、金氏は「血中BDNF濃度が約6.2%も増加するということは、フレイル高齢者が1回あたり60分の運動を2回/週、3ヵ月継続したもの(変化率:7.6%)4)とほぼ同等の効果であり、注目に値する」と述べ、「来年に発表される長期追跡試験のデータから認知機能改善作用が確認できるかどうかが今後の課題である」と、締めくくった。

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今シーズンのインフルエンザ診療の動向は?

結果概要ここ数年、過去最大規模の流行を繰り返すインフルエンザだが、今年は早くも流行が始まっている。現場での診療方針はどのような傾向にあるのだろうか。ケアネットでは先月、会員医師を対象に「今シーズンのインフルエンザ診療について」のアンケートを行い、325人から回答を得た。アンケートでは、早期流行の実感、迅速診断キットの使用頻度、抗インフルエンザウイルス薬の処方頻度、外来での抗インフル薬の選択について答えていただいた。主な結果は、以下のとおり。6割超の医師が、インフルエンザの早期流行を実感している約8割の医師が、迅速診断キットと抗インフル薬をほぼ全例に使用最も処方頻度が高い抗インフル薬はオセルタミビル、次いでザナミビル集計結果の詳細と、寄せられたご意見を以下にまとめた。62%の医師が、早期流行を実感している厚生労働省により、例年より早期の流行開始が報告されたが、実臨床ではどう感じているのだろうか。アンケート回答の結果を見ると、62%の医師がインフルエンザの早期流行を「実感している」と答えた。早期流行は、臨床現場の感覚ともおおむね一致していることが示された。迅速診断キットはほぼ全例に使用されるが、「不要」という意見も「外来でのインフルエンザ診断に、どのくらい迅速診断キットを使用しますか」という設問に対しては、「インフルエンザが疑われる患者のほぼ全員に使用する」と答えた医師が78%に上った。次いで、「ほかの重篤疾患との鑑別など、必要性が高い場合のみ使用する」(13%)、「患者から希望があった場合のみ使用する」(7%)、という結果だった。迅速診断キットについて、日本医師会は「検査は必ずしも全例に実施する必要はない」との見解1)を示しているが、現場に広く受け入れられるには時間がかかりそうだ。インフルエンザのほぼ全例に抗インフル薬が処方次に、「抗インフル薬の外来処方についてお聞かせください」という問いに対し、77%の医師が「発症後48時間以内と想定される患者のほとんどに、抗インフル薬を処方する」と答えた。「高リスク患者には抗インフル薬を処方するが、低リスク患者にはなるべく処方しない」は17%、「抗インフル薬は基本的に処方しない」は5%だった。オセルタミビルの次に多いのはザナミビル薬剤選択に関しては、オセルタミビル(商品名:タミフル)が最も多く61%、次いでザナミビル(同:リレンザ)22%、ラニナミビル(同:イナビル)7%、バロキサビル(同:ゾフルーザ)6%、ペラミビル(同:ラピアクタ)1%という回答結果となった。「処方しない」と答えた医師は3%に留まった。2018年に10代への使用制限が解除され、経口投与かつ剤形選択ができるオセルタミビルを第1候補とする医師が多いと考えられる。高リスク患者にはペラミビル、インフル疑い・48時間経過例には麻黄湯かさらに、「前問で選択した薬剤以外の抗インフル薬を処方するのは、どのような場合ですか?」という記述形式の設問に対しては、「年齢(小児・高齢者など)」、「経口/吸入の可否」、「予防投与の場合」、「妊娠の有無」、「患者アドヒアランス」、「アレルギーや副作用などの既往歴」、「患者負担(経済面)」など、患者の希望や状況によって、処方を調整しているという声が多数寄せられた。また、入院症例や重症例などの高リスク群には、ペラミビルを処方するという意見が多かった。このほか、アンケートの選択肢にはなかったが、麻黄湯を積極的に使うという意見も見られた。全身状態が安定している人や理解がしっかりしている人には説明後、麻黄湯を処方することがある。(小児科・40代・岡山県)症状が強い症例には麻黄湯を併用している。周囲の発生状況を確認している。(内科・50代・高知県)偽陰性を疑う場合は麻黄湯を使う。(内科・50代・京都府)48時間以上経過した場合は麻黄湯を選択する。(循環器内科・60代・埼玉県)耐性ウイルスや、全例における薬物治療に対する懸念の声も最後に、日頃のインフルエンザ診療で取り組んでいる工夫や、困っている点について尋ねたところ、さまざまな意見が寄せられたので、その中から一部を抜粋して紹介する。診療での工夫に関しては、30~40代の医師による意見が目立った。不要な抗インフル薬の処方は減らすよう、心掛けている。(呼吸器内科・30代・大分県)小児症例では危険度が高いと判断し、小児科に受診を勧めている。(内科・40代・大阪府)今年は院内発生があり、感染拡大予防に努めている。(消化器内科・30代・広島県)一方、困っている点に関しては、耐性ウイルスを気にする声が多かった。12歳以下の小児ではザナミビル吸入やオセルタミビルを投与する方針である。(循環器内科・60代・福岡県)耐性ウイルスが疑われ、いったん解熱した患者が再発熱した場合の対応に困る。(消化器内科・50代・愛知県)耐性を気にするが、どちらかというと皆さんが苦しいのを少しでも和らげたいと思うので、効果が出るものを処方したい。(内科・50代・長野県)さらに、抗インフル薬を使用した薬物治療については、疑問の声も挙がった。本当に全症例に抗インフル薬が必要か疑問に思っている。対症療法の方が免疫獲得できていいような気もする。(その他・50代・静岡県)軽症インフルエンザの扱いには疑問を感じることもある。(放射線科・40代・京都府)インフルエンザ診療における情報は、治療薬の選択肢が増えたり、使用上の注意が改訂されたりと、シーズンを問わず更新されている。今年の流行ピークが訪れる前に、最新の情報を確認して、万全の体制で臨みたいところだ。アンケート概要タイトル今シーズンのインフルエンザ診療についてお聞かせください実施日2019年10月28~11月3日調査方法インターネット対象ケアネット会員医師(有効回答数:325人)【分類詳細】内科系:内科、神経内科、循環器内科、消化器内科、血液内科、呼吸器内科、糖尿病・代謝・内分泌内科、腎臓内科、感染症内科、心療内科、総合診療科外科系:外科、整形外科、消化器外科、形成外科、脳神経外科、心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺外科その他:小児科、精神科、放射線科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、眼科、皮膚科、産婦人科、泌尿器科、麻酔科、救急科、腫瘍科、臨床研修医アンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました。参考1)インフルエンザ診療で不要なこと:医師会の見解今季インフルエンザ治療のポイントとは?東京都でインフルエンザ流行開始、昨年比で3ヵ月早くゾフルーザに低感受性の変異株に関する調査結果ゾフルーザに「使用上の注意」の改訂指示

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治療抵抗性うつ病におけるMetS有病率~FACE-DR研究

 フランス・ソルボンヌ大学のOphelia Godin氏らは、フランス人の治療抵抗性うつ病(TRD)患者のコホートにおけるメタボリックシンドローム(MetS)有病率を推定し、社会人口統計学的、臨床的および治療に関連する因子との相関について検討を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2019年10月15日号の報告。 対象は、2012~18年に中等度~重度(MADRSスコア20以上)のうつ病エピソード(DSM-IV基準)を有し、ステージII以上の治療抵抗性(Thase and Rush基準)が認められたTRD患者205例。社会人口統計学的および臨床的特徴、ライフスタイルの情報、治療および併存疾患に関する情報を収集し、血液サンプルも採取した。MetSは、国際糖尿病連合(IDF)基準に従って定義した。 主な結果は以下のとおり。・MetS基準を満たしていたTRD患者は、全体の38%であった。・MetSの頻度は、40歳以上の患者において女性(35.2%)よりも男性(46.3%)で高かった(p=0.0427)。・糖尿病のマネジメントは良好であったが、高血圧または脂質異常症の治療を受けていた患者は3分の1未満であった。・多変量解析では、血清CRPレベルの異常は、他の潜在的な交絡因子とは独立して、MetSリスクを3倍増加させることが示唆された(95%CI:1.5~5.2)。 著者らは「TRD患者では、他の精神疾患患者よりもMetS有病率が高く、十分な治療が行われていない可能性がある。TRD患者の心血管疾患を予防するために、MetSの診断および治療をシステマティックに行う必要がある。本調査結果は、精神科医とプライマリケア医との連携を強化し、統合ケアの必要性を示唆している」としている。

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認知症の攻撃性および興奮に対する介入比較~メタ解析

 認知症患者の精神症状の治療には、薬理学的介入と非薬理学的介入の両方が用いられる。カナダ・St. Michael's HospitalのJennifer A. Watt氏らは、認知症の攻撃性および興奮に対する薬理学的介入および非薬理学的介入の有効性比較を行った。Annals of Internal Medicine誌オンライン版2019年10月15日号の報告。 対象研究は、認知症の攻撃性および興奮に対する治療介入を比較したランダム化比較試験。データは、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、CINAHL、PsycINFOより検索し、2019年5月28日までの灰色文献および選択した研究やシステマティック・レビューから抽出したリファレンスを用いた。研究の選択、データの抽出、バイアスリスクの評価は、独立した2人1組のレビューアにより実施された。 主な結果は以下のとおり。・攻撃性と興奮をターゲットとした介入148件(2万1,686例)の分析では、通常ケアと比較し、以下の治療介入が臨床的に有用であった。 ●学際的ケア(標準化平均差[SMD]:-0.5、95%信頼区間[CI]:-0.99~-0.01) ●マッサージおよびタッチ療法(SMD:-0.75、95%CI:-1.12~-0.38) ●マッサージおよびタッチ療法と音楽療法の併用(SMD:-0.91、95%CI:-1.75~-0.07)・レクリエーション療法は、統計学的に有意ではあったが(SMD:-0.29、95%CI:-0.57~-0.01)、臨床的には通常ケアよりも効果的とはいえなかった。・本研究の限界として、研究の46%において、アウトカムデータが欠落しており、バイアスリスクが高かった。また、治療介入の有害性およびコストは評価されていなかった。 著者らは「認知症の攻撃性および興奮を軽減するための非薬理学的介入は、薬理学的介入よりも効果的であると考えられる」としている。

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統合失調症に対する抗炎症薬の有用性~メタ解析

 統合失調症では、脳の炎症誘発性状態の傾向が重要な役割を担っているとのエビデンスが蓄積されつつある。この傾向を代償するうえで、抗炎症薬は有用である可能性がある。オランダ・Academic Medical CenterのN. Cakici氏らは、統合失調症に対するいくつかの抗炎症作用を有する薬剤の有効性に関するランダム化比較試験(RCT)の最新情報について、メタ解析を実施した。Psychological Medicine誌2019年10月号の報告。 PubMed、Embase、the National Institutes of Health website、the Cochrane Database of Systematic Reviewsより、臨床結果を調査したRCTをシステマティックに検索した。 主な結果は以下のとおり。・症状の重症度に関連する、次の薬剤の有効性を検討した研究は56件であった(アスピリン、ベキサロテン、セレコキシブ、davunetide、デキストロメトルファン、エストロゲン、脂肪酸、メラトニン、ミノサイクリン、N-アセチルシステイン、ピオグリタゾン、ピラセタム、プレグネノロン、スタチン、バレニクリン、withania somnifera extract)。・2つ以上の研究によるメタ解析で有意であった薬剤は以下のとおりであった。 ●アスピリン(平均加重エフェクトサイズ[ES]:0.30、270例、95%信頼区間[CI]:0.06~0.54) ●エストロゲン(ES:0.78、723例、95%CI:0.36~1.19) ●ミノサイクリン(ES:0.40、946例、95%CI:0.11~0.68) ●N-アセチルシステイン(ES:1.00、442例、95%CI:0.60~1.41)・サブグループ解析では、初回エピソード精神病および早期統合失調症の研究において、より肯定的な結果が得られた。・ベキサロテン、セレコキシブ、davunetide、デキストロメトルファン、脂肪酸、プレグネノロン、スタチン、バレニクリンでは有意な効果は認められなかった。 著者らは「すべてではないが、抗炎症作用を有するいくつかの薬剤(アスピリン、エストロゲン、ミノサイクリン、N-アセチルシステイン)において有効性が示唆された。初回エピソード精神病や早期統合失調症患者の症状重症度に関して、より有益な効果が観察された」としている。

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第32回 右脚ブロックの“魔法”に注意!~華々しさに潜む傷跡~【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第32回:右脚ブロックの“魔法”に注意!~華々しさに潜む傷跡~ある日、交通外傷の患者さんが運ばれて来ました。意識レベルも悪く右足からはひどく出血し、変形もあり骨折していそうです。それだけを見て「整形外科」を案内して良いでしょうか? 皆さんなら外表からはわかりにくい頭部や内臓にも異常がないかチェックするでしょう。当たり前のことのようですが、こと心電図の話となると別物。目立つ所見にばかり気を取られ、より重要な部分に注意が及ばないことがしばしばあります。こうした状況を「右脚ブロック」を例にDr.ヒロと一緒に確認してみましょう!症例提示70歳、女性。高血圧症、脂質異常症、心臓弁膜症(大動脈弁閉鎖不全症)にて内服治療中である。定期外来で記録された心電図を以下に示す(図1)。(図1)定期外来での心電図画像を拡大する【問題1】心電図所見として誤っているものを2つ選べ。1)QRS電気軸:+120°2)洞(性)徐脈3)完全右脚ブロック4)PR(Q)延長5)低電位(胸部誘導)解答はこちら1)、5)解説はこちら1問目はイントロ問題。軽~中等度の大動脈弁閉鎖不全症のある70歳、女性です。いつもの通り、まずは“真っ白な心”で心電図を眺めます(第10回、第30回)。もちろん読みは「系統的判読」でね(第1回)。1)×:電気軸はQRS波の「向き」に注目します。お決まりの順番はaVL:下、I:ほぼ“トントン(第9回)”、-aVR:上、II:上、です。I(+0°)を“トントン・ポイント”(TP)と考えれば、TPに直交し(±90°)、aVFが上向きですから「+90°」を選択します(あえて消去した自動計測値は「+78°」でした)。2)○:調律の判定は、はじめの“レーサー(R3)・チェック”です。R-R間隔は整、心拍数は“新・検脈法”(第29回)を使って、胸部誘導の最後を「+0.5拍」と数えて7.5×6=45/分なので徐脈ですね。P波の向きは“イチニエフの法則”(第2回)通りで「洞調律」ですから、心拍数からは「洞(性)徐脈」です。3)○:QRS波の向き・高さ・幅を“スパイク・チェック”しましょう。幅は一番広いところで見ると3~4目盛りあり、幅広(wide)です(自動計測値も「136ms」)。QRS幅が広い時に考えるのは「脚ブロック」で、普通はまず右脚か左脚かを考えます。V1とV6誘導による“顔認証”が診断の基本で、「右脚ブロック」は以下のように特徴的な形をしたV1誘導に反応できるようになりましょう(図2)。(1)「rsR'型(ないしそのバリーエション)」や(2)「RR'型(またはrR'型)」の2つが大半を占め、これらはともに“M字”パターンのQRS波形となるのが特徴的です。ワイドで単相の(3)のようなパターンもありますがまれなので、まずは“M字”で覚えておきましょう。QRS波の命名法を意識すれば、今回は「rsR'型」となり、“M字サイン”陽性で「完全右脚ブロック」です。(図2)右脚ブロックのQRS波形(V1誘導)画像を拡大する4)○:「PR(Q)間隔」は“バランス・チェック”でしたね。P波とQRS波が“つかず離れず”と言えるのは3~5目盛りで、時間にすると120~200ms(0.12~0.2秒)です。心電図(図1)ではPR(Q)間隔はほぼ6目盛り(240ms)ですので、「第1度房室ブロック」と言えるレベルの「PR(Q)延長」でしょう。5)×:「低電位(差)」は肢誘導と胸部誘導とで診断基準が異なり、多くは肢誘導で見られます。「すべての(胸部)誘導でQRS波の振幅≦1.0mV(1cm)」が胸部誘導での基準ですが、一番大きなV4誘導に着目すれば、R波高だけでも1cm(10mm)ありますので、「低電位(差)」には該当しません。心電図診断洞(性)徐脈(45/分)完全右脚ブロック第1度房室ブロック症例提示80歳、男性。転居に伴い来院(初診)。紹介状(診療情報提供書)は持参していない。お薬手帳を確認すると、糖尿病、脂質異常症、高血圧症で内服加療されている様子。心疾患の既往を問診すると、以下の返答であった。「心臓の病気? あー、血管が詰まったよ。2~3度はカテーテルも受けたかな。今は胸には何にもないよ」血圧148/67mmHg、脈拍90/分・整。以下に心電図(図3)を示す。(図3)初診外来時の心電図画像を拡大する【問題2】心電図所見として正しいものを選べ。1)洞(性)頻脈2)右軸偏位3)完全右脚ブロック4)ST上昇5)QT延長解答はこちら3)解説はこちら転医してきた患者さんですが、皆さん、こういう状況ってままありませんか? 紹介状もない状況で、“お薬手帳”と初診時検査からある程度の推測を余儀なくされる患者さん…そんな状況でとられた心電図の読みが問われています。仮に紹介状があったとしても、心電図の読みは平坦な気持ちで眺めましょう。1)×:R-R間隔は整でおおむね太枠(マス)3.5個分くらいなので、「頻脈」ではないですね。もちろん“新・検脈法”で84/分と求めて判断してもOKです。2)×:QRS波の「向き」は、I:上、aVF:下は明らかですから、「左軸偏位」ゾーンです。“トントン法Neo”(第11回)を使えば、正味で-aVRは「+1mm」、IIが「-1mm」ですので、両者の中間(+45°)に“トントン・ポイント”はあります。IないしaVFの極性から求める電気軸は「-45°」ですよね。Dr.ヒロお得意の“左右違い”です。3)○:見た目に1問目の波形よりもQRS幅は明らかに広く、V1誘導も「rSR'型」ですから、「完全右脚ブロック」の診断で間違いありません。ちなみに、イチエルゴロク(I、aVL、V5、V6)の「側壁誘導」で最後のS波が“おデブ”な感じ(slurred S-wave)になるのも、右脚ブロックの特徴ですから知っておきましょう。4)×:これは“目のジグザグ運動”ね(第14回)。V1誘導だけ微妙ですが、ギリギリ・セーフと考えて下さい。ST変化に関しては、むしろニサンエフ(II、III、aVF)の「ST低下」があるように見えます。5)×:QT間隔もPR(Q)間隔と同様に“バランス・チェック”です。心拍数が正常範囲(50~100/分)なら、R-R間隔の半分までは“セーフ”と考える(目視法)か、自動計測の「QTc間隔」*1の“カンニング”も実践的です。wideなQRS波では長く見えがちですが、今回は「QT(c)延長」はありません。*1:実は「QT(c)時間」には性差があり、男性:450ms、女性:460msを上限と考えると良い。【問題3】自動診断は「前壁梗塞の可能性」となっている。どの所見によるものか。また、早急な対処が必要か?解答はこちら V2、V3誘導の異常Q波、早急な対応はおそらく不要(陳旧性心筋梗塞)。解説はこちらボクが解説したかった本題は、コレです。人によって多少の差はあるかもしれませんが、この心電図(図3)で一番目立つ所見は「完全右脚ブロック」。次に「左軸偏位」かなぁ…? でも、それだけで終了したら、「系統的判読」の観点からは“半人前”。前問で扱ったST変化以外にもう一つ、大事な所見があります。それは前々回(第30回)に扱った「異常Q波」。これは右前胸部誘導(V1~V3)に注目して下さい!“右脚ブロックの“魔法”に注意せよ”科学的ではありませんが、「脚ブロック」には“魔力”があります。心電図を読む者に“魔法”をかけて混乱させるのです。それ自体を見つけた満足感からほかの所見を見落としてしまったり、逆にそれ以上読まなくていい所見*2で騒いでしまったり…。*2:「左脚ブロック」にも、「異常Q波」や「ST上昇」、「陰性T波」…それ自体に病的意義を求めてはいけない“魔力”所見がある。右前胸部誘導のST-T変化は「2次性変化」と呼ばれ、脚ブロックに“流されて”生じる所見と考えましょう。そのため右脚ブロックの場合、V1~V3誘導のST部分が“マスク”されて判定不能になりますが、その他の多くは「普段通り」読めるのです。“おデブ”なQRS波に心乱されないようにしてくださいね。ポイントは“クルッと”の“ク”で、「異常Q波」を指摘するプロセス。V1には1mmにも満たないですが、きちんと陽性波(r波)から始まっています*3。でも、V2とV3にはそれがなく、陰性波から始まっていますね。つまり「Q波」、しかもダメなやつです。V1~V3誘導では、「存在する」、すなわち「異常」でしたから、V2、V3誘導には「異常Q波」があり、隣り合う2つにこれがあったら…まず疑うべきは「心筋梗塞」による壊死巣の存在でしたよね(第17回、第30回)。V2~V4誘導は前胸壁のド真ん前にある誘導ですから、梗塞部位はズバリ左室「前壁」*4ですね。*3:1mmに満たないr波は「ない」と考え、「Q波あり」とする考え方も一部にあり。*4:V1誘導にもQ波ありと考えたら「前壁中隔」ですね。「そう言われるとたしかにそうだなぁ~」そうなんです! こんなに幅広く(1mm以上)、しかも深い(V2:9mm、V3:3mm)のに“見逃す”んです。あたかもwideなQRS波にすべてを包み込まれるかのように…これが右脚ブロックの“魔法”ですから、とくに注意して臨むようにしましょう。その意味では、必ず最後に「自動診断」を確認するクセをつけると良いでしょう。“カンニング”を積極的に薦める先生って、Dr.ヒロくらいかも(笑)。今回なら「前壁梗塞の可能性:V2・V3」という“ヒント”から、「異常Q波はあったっけ…」と思えたら見逃しは水際で防げるかもしれません。■右脚ブロックの“魔力”に注意!■V1~V3誘導のST低下、陰性T波「以外」は普通に読んでOK“急性か陳旧性か?”心筋梗塞は時期により、おおむね発症1週間以内が「急性期」、1ヵ月以上経ったら「陳旧性期」と呼ばれます*5。さて、心電図で心筋梗塞の所見を見た時、「部位」の次に問題にするのは「時期」、つまり“いつ”起きたかということです。皆さんも医学生時代から必死に覚えたのではないでしょうか? T波増高、ST上昇、異常Q波、ST回復、陰性T波…。それぞれが○時間、ないし○日とかね。でも、実際には各所見の有無で「発症後○○時間(日)」と推定できるほど単純ではありません*6。*5:1週間と1ヵ月の間は「亜急性期」と呼ぶ。10日~2、3週間くらいのイメージで良い。*6:来院・診断・PCIのタイミングで全然異なる。今回の症例のように「症状(胸痛)がない」、「ST上昇がない」のに“現在進行形”、つまり「急性」を疑うのは基本ナンセンスです。今回は普通の外来ですからね。ほかにすることは…? もちろん、患者さんへの問診や、過去の心電図との比較が大事です。今回の方は、病歴や心エコー所見(前壁の菲薄化)、そして後日届いた前医からの紹介状にあった数年前の心電図でも、同様な所見を確認できたので「陳旧性」と判断しました。当然、至急の対応などは不要ですよね。以上、“右足のキズ”(右脚ブロック)に潜む古い心筋梗塞の“爪痕”(異常Q波)を探す練習をしました。Take-home Message「脚ブロック」には“魔力”がある~「見落とし」や「深読み」に注意せよ右脚ブロック波形に紛れた異常Q波(とくにV1~V3誘導)を見逃すな!【古都のこと~宇治上神社~】皆さんは、宇治市には世界文化遺産が2つあることをご存じでしょうか? 一つは誰もが知る宇治平等院。もう一つはウジガミ神社、「氏神」ではなく「宇治上」と書く平等院の鎮守社*1です。平等院から宇治川を“川向こう*2”に渡って「さわらびの道*3」を行き、学問の神「宇治神社」*4にも参拝を済ませたら徒歩数分で赤鳥居に到着します。簡素な門をくぐって縋破風(すがるはふ)が美しい拝殿に対面。両横の円錐形の“清め砂”の存在感に背筋が伸びます。そして「桐原水」*5が湧き出ている手水舎側から裏手に回れば、世界遺産たる由縁の本殿(国宝)が姿を現します。平安時代後期に伐採された木材が使われ、神社建築としては現存最古になるとのこと。「一間社流造の内殿三棟*6」…素人のボクには「意外にアッサリしてるなぁ」というのが正直な感想(笑)。平等院と対照的なのは、ここ朝日山の山裾には“静”の空気が流れており、より精神が研ぎ澄まされるでしょう。最後に宮司お手製の限定御朱印をゲットすれば、秘かな宇治の魅力を堪能できます。皆さまもぜひ、平等院とともに訪れてみてください。*1:「(宇治)離宮明神」の神位を与えられており、宇治上神社の別称でもある。*2:宇治川(淀川の京都府内での名称)。*3:この辺りは光源氏の死後、薫君や匂宮を中心に描かれる『宇治十帖』の舞台にもなっている(「早蕨」は四十八帖)。*4:宇治上神社にも祀られる菟道稚郎子(うじのわきいらつこ:応仁天皇の末子)が祭神。聡明で百済で学問を究め皇太子となったが、異母兄の大鷦鷯尊(おおさざきのみこと、のちの仁徳天皇)に皇位を譲るべく自死したという美談に涙。宇治上神社と宇治神社は明治維新までは二者一体で、離宮上社・下社と呼ばれていた。*5:残存する「宇治七名水」はここのみ。三大銘茶の一つを支えた貴重な水と思われる。*6:いっけんしゃながれづくり。「一間社」は正面の柱間が一つのもの。「流造」は前面の屋根を長く伸ばしたスタンダードな神社形式の一つ。宇治上神社は内殿三棟を覆屋(後世にかけられた)が囲む様式で、一般的な神社とは異なる外観。写真では確認できないが、左右の社殿が中央よりも大きいのも特徴。

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睡眠時間と認知症リスク~メタ解析

 睡眠時間と認知症リスクとの関連について、一貫性のない結果が疫学研究で報告されている。この関連性を明らかにするため、中国・Chinese PLA General HospitalのLi Fan氏らが、プロスペクティブコホート研究のシステマティックレビューとメタ解析を実施した。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2019年10月8日号の報告。 対象者には、コミュニティまたは臨床環境における認知症またはアルツハイマー病(AD)の患者と一般集団を含めた。睡眠時間とすべての原因による認知症またはADとの関連を調査したプロスペクティブコホート研究を、PubMed、EMBASE、Web of Scienceよりシステマティックに検索した。睡眠時間(短時間または長時間vs.正常)とすべての原因による認知症またはADとの関連について、ランダム効果モデルと組み合わせた逆分散法を用いて検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・特定された研究は、すべての原因による認知症で7件、ADで6件であった。・プール解析では、長時間睡眠は、すべての原因による認知症リスクを77%(ハザード比[HR]:1.77、95%信頼区間[CI]:1.32~2.37)、ADリスクを63%(HR:1.63、95%CI:1.24~2.13)増加させることが示唆された。・短時間睡眠は、すべての原因による認知症(HR:1.20、95%CI:0.91~1.59)またはAD(HR:1.18、95%CI:0.91~1.54)のリスク増加との有意な関連は認められなかった。 著者らは「長時間睡眠のみが、認知症およびADリスク増加と有意な関連が認められた。この関連の根底にあるメカニズムをより理解するためにも、今後の研究が必要である」としている。

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統合失調症患者に対するアリピプラゾール単独療法への切り替え~多施設コホート研究

 慢性期統合失調症患者に対する抗精神病薬の変更に際しては、いくつかのリスクを伴う。岡山大学の大林 芳明氏らは、慢性期統合失調症患者におけるアリピプラゾールへのより良い切り替え方法について検討を行い、これに関連する要因について調査を行った。Psychopharmacology誌オンライン版2019年10月18日号の報告。 本研究は、多施設共同歴史的コホート研究として実施した。慢性期統合失調症患者178例を対象に、アリピプラゾール単独療法への切り替えを行い、6ヵ月間継続投与を行った。各群の内訳は、非一括切り替え群107例(追加投与後切り替え群45例、交差切り替え群62例)、一括切り替え群71例であった。Cox比例ハザードモデルを用いて、潜在的な交絡因子を調整した。 主な結果は以下のとおり。・178例中、アリピプラゾール単独療法へ切り替えられた患者は101例(56.7%)、臨床全般重症度(CGI-S)スコアにおける症状改善が認められた患者は98例(55.0%)であった。・カプランマイヤー生存曲線では、非一括切り替え群は、一括切り替え群よりも優れていた(log-rank test p=0.012)。・Cox比例ハザードモデルを用いていくつかの変数を調整した後、追加投与後切り替え群では、一括切り替え群よりも、6ヵ月後のハザード比[HR]が有意に低かった(HR:0.42、95%CI:0.21~0.82、p=0.01)。・精神症状のためにアリピプラゾールへ切り替えた場合、非一括切り替え群は、一括切り替え群よりもHRが低かったが(HR:0.41、95%CI:0.21~0.81、p=0.01)、副作用については有意な差は認められなかった。・オランザピンからの切り替えの場合、追加投与後切り替え群は、最小HRを示した(HR:0.29、95%CI:0.07~1.11、p=0.07)。 著者らは「柔軟なアリピプラゾール切り替え戦略は、慢性期統合失調症患者にとってより良い結果をもたらす可能性がある」としている。

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精神疾患が死亡率と平均余命に影響/Lancet

 精神障害は若年死と関連していることが、デンマーク・オーフス大学のOleguer Plane-Ripoll氏らによる、デンマークの全国登録を用いたコホート研究の結果、示された。精神障害の発症年齢を加味した生存年損失(life-years lost:LYL)で評価すると、精神障害は死亡率の増加と平均余命の減少の両方と関連していたという。これまでシステマティックレビューにより、精神障害を有する人は若年死のリスクが増加することが一貫して示されてきたが、このエビデンスは平均余命減少の相対リスクまたは粗推定値に基づいていた。著者は、「今回の新しい方法は、若年死のより正確な推定値を提供するとともに、競合リスクや特定の死因に関連する、これまで正当に評価されていない特性を明らかにした。精神障害を有する人々の全身状態のケアも最大限に高める必要がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2019年10月24日号掲載の報告。精神障害と死亡関連指標を包括的に解析 研究グループは、1995年1月1日~2015年12月31日までのある時点でデンマークに居住していた95歳未満の736万9,926人を対象に解析した。 精神障害に関する情報はDanish Psychiatric Central Research Registerを用い、死亡日および死因についてのデータはDanish Register of Causes of Deathを用いて入手した。 精神障害は10グループ、死因は11グループに分類し、死因はさらに自然死(疾患および健康状態による死亡)および外因死(自殺、殺人、事故)に層別化。精神障害別にポアソン回帰モデルを用いて性別、年齢、暦時間で補正した死亡率比(MRR)を推定するとともに、全死因死亡および死因別の超過LYL(精神障害を有する人と一般集団とのLYLの差異)を推定した。すべての精神障害が、死亡率の増加および平均余命の減少と関連 死亡率(/1,000人年)は、精神障害の診断を受けた人が一般集団より高いことが認められた(28.70[95%信頼区間[CI]:28.57~28.82]vs.12.95[95%CI:12.93~12.98])。 すべての種類の精神障害が死亡率の増加と関連しており、MRRは気分障害の1.92(95%CI:1.91~1.94)から物質使用障害(substance use disorder:SUD)の3.91(3.87~3.94)の範囲にわたっていた。また、すべての種類の精神障害が平均余命の減少と関連しており、超過LYLは女性における器質性障害の5.42年(95%CI:5.36~5.48)から男性における物質使用障害の14.84年(14.70~14.99)の範囲にわたっていた。 死因別に検討した結果、あらゆる種類の精神障害を有する男性は、がん死亡率が高かったものの、一般集団と比較してがん関連死による損失年は少ないことが認められた。

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抗うつ薬治療によるうつ病患者の症状の軌跡

 現代の精神医学において、うつ病診断は診断基準を用いて行われるが、治療により各症状がどのように推移するかはよくわかっていなかった。京都大学の田近 亜蘭氏らは、抗うつ薬治療によるうつ病患者の症状の推移について調査を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2019年10月16日号の報告。 未治療のうつ病患者に対するセルトラリンおよび/またはミルタザピンによる25週間の実用的ランダム化比較試験の参加者2,011例を対象に、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いて、9つの診断基準症状を反復評価した。反復測定による混合効果モデルを用いて、ベースラインからの変化を推定した。各症状の消失時間は、カプランマイヤー生存分析を用いてモデル化した。 主な結果は以下のとおり。・PHQ-9合計スコアは、ベースライン時で18.5(SD:3.9、2,011例)であったが、1週目には15.3(SD:5.2、2,011例)、3週目には11.5(SD:5.9、1,953例)、9週目には7.8(SD:6.0、1,927例)、25週目には6.0(SD:5.9、1,910例)まで減少した。・自殺念慮と精神運動症状は、急速な改善が認められた。気力低下や睡眠障害についても、ゆっくりではあったが改善が認められた。・生存分析では、主要分析結果が確認された。 著者らは「新規うつ病患者では、抗うつ薬治療開始後、自殺念慮や精神運動症状は早期に消失するが、睡眠障害や気力低下の消失には時間を要する」としている。■「抗うつ薬比較」関連記事抗うつ薬21種の有効性と忍容性を検討~522試験のメタ解析/Lancet

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双極性障害患者のパーキンソン病発症リスク~メタ解析

 パーキンソン病では運動症状および非運動症状を呈するが、その10年以上前から気分障害が先行して起こる可能性がある。また、双極性障害は、うつおよび躁エピソードが周期的に出現する疾患であり、病態生理にドパミンが関連している可能性が示唆されている。ポルトガル・リスボン大学のPatricia R. Faustino氏らは、双極性障害とその後の特発性パーキンソン病との関連について評価を行った。JAMA Neurology誌オンライン版2019年10月14日号の報告。双極性障害患者はパーキンソン病の発症リスクが有意に高い可能性 2019年5月までのパーキンソン病、双極性障害、躁病に関連するエビデンスを、Cochrane Controlled Register of Trials、MEDLINE、Embase、PsycINFOより検索した。対象研究は、双極性障害の有無によるパーキンソン病発症の可能性に関して報告している研究とした。2人の独立したレビュアーが研究を選択し、データを抽出した。変量効果モデルを用いてデータをプールし、オッズ比(OR)、95%信頼区間(CI)、I2を算出した。主要アウトカムは、パーキンソン病のORとした。 双極性障害とパーキンソン病発症との関連を評価した主な結果は以下のとおり。・対象研究は7件(437万4,211例)であった。・双極性障害の診断歴は、その後の特発性パーキンソン病診断の割合を増加させた(OR:3.35、95%CI:2.00~5.60、I2=92%)。・バイアスリスクの高い研究を削除し感度分析を行ったところ、双極性障害患者ではパーキンソン病リスクの増加が認められた(OR:3.21、95%CI:1.89~5.45、I2=94%)。・研究デザインと診断の確実性に基づき事前に計画したサブグループ解析では、有意な影響は認められなかった。 著者らは「双極性障害患者では、一般集団と比較し、パーキンソン病の発症リスクが有意に高い可能性がある。しかし、サブグループ解析では、この関連性を過大評価している可能性が示唆された。このことから、双極性障害がその後のパーキンソン病発症と関連していることを考慮し、双極性障害患者のパーキンソニズムの特徴を鑑別診断することが重要である」としている。

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ストレス関連障害、重症感染症発症と関連/BMJ

 ストレス関連障害は、その後の命に関わる感染症のリスクと関連することが、アイスランド大学のHuan Song氏らによるスウェーデンの住民を対象とした同胞・適合対照コホート研究で明らかにされた。関連性は家族的背景や身体的・精神的並存疾患を調整後に確認されている。精神的ストレスは、免疫力を低下し感染症への罹病性を増す可能性があり、ヒトおよびその他の動物における一連の実験的研究で、精神的ストレスと急性呼吸器感染症との関連性が示唆されている。しかしながら、髄膜炎や敗血症のような命に関わる重症感染症との関連についてはデータが限定的であった。BMJ誌2019年10月23日号掲載の報告。敗血症、心内膜炎、髄膜炎など死亡率が高い感染症のリスクを検証 検討はスウェーデン住民を対象に、1987~2013年にストレス関連障害(外傷後ストレス障害[PTSD]、急性ストレス反応、適応障害、その他のストレス反応)を有した14万4,919例を特定し、ストレス関連障害と診断されていない同胞18万4,612例および一般住民からの適合対照144万9,190例と比較した。 主要評価項目は、高死亡率の重症感染症(敗血症、心内膜炎、髄膜炎またはその他の中枢神経系感染症など)であった初発入院または外来受診の1次診断(Swedish National Patient Registerで確認)、およびそれらの感染症またはあらゆる原因の感染症による死亡(Cause of Death Registerで確認)とした。 複合交絡因子について調整後、Coxモデルを用いてこれら命に関わる感染症のハザード比を推算した。発生増大リスクは同胞ベース解析で1.47倍、住民ベース解析で1.58倍 ストレス関連障害診断時の平均年齢は37歳(5万5,541例、男性38.3%)であった。 平均追跡期間8年の間に、命に関わる感染症の発生(1,000人当たり)は、ストレス関連障害群2.9、同診断のない同胞群1.7、同診断のない適合対照群1.3であった。 同診断のない同胞群と比較して、ストレス関連障害群は命に関わる感染症リスクの増大が認められた。ハザード比は、あらゆるストレス関連障害については1.47(95%信頼区間[CI]:1.37~1.58)、PTSDは1.92(1.46~2.52)であった。 同様の増大リスクは、住民ベースの適合対照との比較でも認められた。ハザード比は、あらゆるストレス関連障害については1.58(95%CI:1.51~1.65、同胞ベース解析における増大リスクとの差に関するp=0.09)、PTSDは1.95(1.66~2.28、p=0.92)。 ストレス関連障害は、検証したすべての重症感染症と関連していた。最も相対リスクが高かったのは髄膜炎(同胞ベース解析で1.63[95%CI:1.23~2.16])、次いで心内膜炎(1.57[1.08~2.30])であった。また、「ストレス関連障害診断時の年齢が若い」および「精神科合併障害の併存」、とくに「薬物使用障害」においてハザード比が高かった。一方で、ストレス関連障害の診断後最初の年にSSRI薬を使用していた場合は、ハザード比が減弱されていた。

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