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「ピンクノイズ」は睡眠の質を下げる?

 睡眠を促す音として「ピンクノイズ」を聴くことが流行しているが、実はピンクノイズは睡眠中の脳の活動を妨げる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。ピンクノイズは広い周波数帯域を含む「ザー」という連続音で、強めの雨音や波の音に似ており、リラックス効果があるとされている。本研究では、ピンクノイズを聴いていた人では夢を見る睡眠段階であるレム睡眠の時間が短くなっていたことが示されたという。米ペンシルベニア大学精神医学睡眠・時間生物学分野のMathias Basner氏らによるこの研究の詳細は、「Sleep」に2月2日掲載された。 Basner氏はニュースリリースの中で、「レム睡眠は記憶の定着や感情の調整、脳の発達において重要である。したがって、この結果は、睡眠中にピンクノイズなどの広帯域ノイズを流すことは有害であり、特にレム睡眠の時間が大人よりもはるかに長く、脳がまだ発達段階にある子どもは、その影響を強く受けやすい可能性を示している」と述べている。 人間は睡眠中、深い睡眠(ノンレム睡眠)とレム睡眠を繰り返す。レム睡眠の「レム」は急速眼球運動(rapid eye movement;REM)の略語であり、多くの場合、夢はレム睡眠時に見られる。ノンレム睡眠は、身体の回復や脳内の老廃物の除去に重要である一方、レム睡眠は、記憶の保存や感情の調整といった認知機能において重要な役割を果たしている。このように、ノンレム睡眠とレム睡眠は互いに補完し合うことで、心身ともに回復した状態で目覚める助けとなっている。 今回の研究では、21~41歳の健康な成人25人(平均年齢28.5±5.9歳、男性7人)を対象に、睡眠実験室で連続7晩の睡眠ポリグラフ検査が行われた。いずれの参加者も、睡眠補助としてノイズを利用した経験がなく、睡眠障害の報告もなかった。参加者には航空機や警報音などの騒音下やピンクノイズが流れている中、あるいは耳栓を装着して騒音を遮断した場合など、さまざまな条件下で眠ってもらった。 研究の結果、50dB(中程度の雨音と同程度)のピンクノイズはレム睡眠の時間を18.6分減少させることに関連していることが示された。同様に、騒音への曝露は、ノンレム睡眠の中で最も深い段階である徐波睡眠の時間が一晩当たり23.4分減少することに関連していた。また、50dBのピンクノイズと航空機の騒音が組み合わさると、徐波睡眠とレム睡眠の両方が妨げられ、ノイズのない状態で寝た場合と比べて覚醒している時間が約15分長くなったとBasner氏らは報告している。このような覚醒時間の延長は、騒音のみ、またはピンクノイズのみにさらされた場合では認められなかったという。さらに、参加者自身も、ピンクノイズまたは騒音にさらされると、睡眠が浅く感じられ、目覚める回数が増え、全体的な睡眠の質が悪化したと報告していた。一方、耳栓を使用した場合には、騒音によって引き起こされた徐波睡眠の23.4分の減少のうち16.9分(72%)が回復した。 研究グループは、「これらの結果は、ピンクノイズを搭載した環境音生成マシンや睡眠アプリが広く使われている現状に疑問を投げかけるものだ」と指摘している。Basner氏は、「総合的に見て、この研究結果は特に新生児や幼児に対する広帯域ノイズの使用に警鐘を鳴らすものだ。また、広帯域ノイズによる影響を受けやすい集団や長期間にわたる使用の影響、広帯域ノイズの種類ごとの違い、睡眠に安全な広帯域ノイズレベルについて、さらなる研究が必要であることも示している」と言う。 さらにBasner氏らは、「今回の結果に基づけば、レム睡眠が神経発達において極めて重要な役割を果たす新生児や幼児に対して広帯域ノイズの一般的な使用を控えるべきである可能性が高い。ただし、この結果を確認するため、さらなる研究が必要である」と結論付けている。

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医師夫妻の年収最大化計画(前編)

FPとして、医師夫婦の方にお伝えしたいこと具体的にイメージしていただくために、ある医師夫婦のお悩みと家計相談の事例をご紹介します。ケース:年の差夫婦夫:加藤はじめ(45歳)消化器内科・民間病院医長(年収:手取り1,000万円)妻:加藤さゆり(32歳)麻酔科・大学病院医員(年収:手取り600万円)子:加藤りな(4歳)病院内の保育所を利用2人は妻さゆりさんの初期研修先の病院で知り合い、研修修了後に結婚。さゆりさんは大学病院の麻酔科に入局しましたが、予定外の妊娠で、入局初年度に第1子を出産、1年間の育児休業を取得。常勤として復帰しましたが、当直やオンコールは免除されています。今の悩みもう1人子供が欲しいが、今でも夫婦とも時間的にギリギリの生活で両立する自信がない。夫婦とも両親は遠方に住んでいるためサポートを受けるのは難しい。妻は非常勤への転換を考えている。2人目の出産を考えていらっしゃるんですね。そうなんですが、今の職場はギスギスして居づらい雰囲気があるんです。当直やオンコールが免除されているせいもあって周囲の目が厳しくて…。2人目を考えるなら、いっそ非常勤になったほうがいいかなとも考えています。私は妻が望むなら非常勤に転換してもいいと思っているんです。夫は年が離れていることもあって、私よりもキャリアを確立しているので、夫に頑張ってもらえばいいかなと。ただ、子供が2人になると、将来の教育費などが大変そうなので、本当に非常勤になって大丈夫かも気になるところです。さゆりさんはご自身の今後のキャリアをどのように描いているのですか?私のキャリアですか…? 目の前のことに精一杯で、将来を考える余裕がなくなっていました。出産前は、専門医資格を取得して、その後はサブスペシャリティ領域でより高い専門性を追求しようと意気込んでいました。子供を産んでも「やれる」と思っていたんですけど、育児の大変さは想像以上でした。キャリアか子育てか、夫のキャリアか妻のキャリアかといった二項対立ではなく、夫も妻も望むキャリアを実現できて、キャリアと子育ての両立も可能にするような解決策を、2人で話し合われてはいかがでしょうか。解説ライフプランとキャリアをいかに融合させていくかが、人生の質に大きく影響を及ぼします。夫と妻はライフプランを共有するだけでなく、それぞれのキャリアプランをお互いに支え合う関係になることが大切です。現在の置かれた状況を整理して、さゆりさんが望むキャリアを積んでいくには何が必要か、そのために夫と妻それぞれができることは何か、夫婦だけでなく、周囲に何か利用できる資源はないかを検討してみます。今の職場は居心地が悪いのですが、専門医を取得するためには大学病院にいる必要があって…。過酷な職場なだけに、誰もが余裕を持てなくなっているのでしょうね。たとえば、1ヵ月に1回でも宿日直を引き受けるとか、ほかの人の負担を少しでも軽くすることができれば、居場所の確保につながるかもしれません。はじめさんのスケジュールと擦り合わせて、時間を捻出できないか検討してみてはいかがでしょうか。チームの一員として役割を果たす姿勢を見せていれば2人目の出産に当たっても、気持ちよく産休や育休を取れるのではないでしょうか。これまで家事や育児は私がやるものと思っていたので、考えたことがありませんでした。正直、あまり考えてこなかったですね。何とかやれているんだろうと思ってました。お二人は年齢が離れているので、はじめさんがリタイアした後もさゆりさんのキャリアは10年以上続きます。さゆりさんにとって、今は大事な「修行の時期」ともいえます。当初描いていたキャリアを何とか諦めずに実現する手だてを考えたいですね。実は、そのことが夫婦の資産価値を最大化することにつながるのです。資産価値の最大化ですか?では、試しに世帯の収入をシミュレーションしてみましょう。さゆりさんが常勤で働き続ける場合と、非常勤に転換した場合です。現在の年収は、はじめさんが額面約1,500万円(手取り1,000万円)、さゆりさんが約800万円(同600万円)です。さゆりさんが常勤を継続した場合、後期研修を終える4年後には専門医資格を取得し、大幅な年収アップが見込めます。はじめさんは今後大きな年収アップはなく、65歳で定年退職の見込みですね。さゆりさんははじめさんの年金受給開始後も10年間にわたって常勤医の年収が見込めます。図 常勤・非常勤画像を拡大するでは、さゆりさんが非常勤に転換した場合はどうでしょう? 非常勤は同じ額面年収(約800万円)でも税負担や社会保障費などで手取りが減る傾向があります(さゆりさんのケースでは手取り540万円に)。また専門医の取得が難しくなり、その面での年収アップが見込めません。また、はじめさんの引退後10年以上働けるのは常勤の場合と同様ですが、さゆりさんは国民年金になっているので、自身の年金額が大幅に減ります。画像を拡大する結果として世帯年収は1億円以上の差が付きました。もちろん、働き方や節税によって大きくこの数字は変わってきますが、将来の年金額にも影響が大きいことは注意していただきたいと思います。画像を拡大するこれだけ差が出るのですね…。医師は高収入ですが、実は老後の年金は驚くほど少ないケースが多いのです。さゆりさんが非常勤になると国民年金だけになりますから、常勤医として厚生年金に加入している人より、将来の年金ははるかに少なくなります。主な稼ぎ手を1人に集中させることは、将来の年金にも影響が及ぶのです。老後も心配ですが、子供の教育費も心配です。2人目が生まれるとしたら、その子が大学に入学するころには夫はリタイアしているかも…。子供が医学部に進みたいとなったら学費が大変です。シミュレーションは子供1人の前提で行いましたが、2人目誕生となると、ますます医師資格という資源を最大限活用するという発想が大事になってきます。夫婦でお互いのキャリアを支え合うことで、キャリア形成が資産形成につながるのです。私も妻のキャリアを支えられるよう、できることを考えてみます。2人だけで抱え込まなくてもいいんですよ。ご近所の方の協力を得たり、家事サービスやベビーシッターを利用したりすることも視野に入れてください。費用はかかりますが、キャリアのための投資と考えてもいいのではないでしょうか。解説夫婦ともに医師という高度専門職でありながら、夫のキャリアを優先するというケースは多いものです。私のインタビューに協力していただいた女性医師の方たちも例外ではありませんでした。とくに夫が年上でキャリアも確立し、高収入を得ている場合、妻が家事・育児をメインで担い、夫をサポートする側に回るという選択をしがちです。しかし、すでにポジションを確保した夫には裁量権があり、時間を捻出できる可能性があるかもしれません。お互いの当直・オンコールの担当が被らないように調整したり、家事と育児も分け合ったりすることで、子育て期を乗り切る余地はありそうです。いろいろ工夫しても埋められないときは、外部サービスを利用することも検討してください。そのようなサービスを利用できる経済力も有効な資源となり、将来への投資となります。まとめ発想を転換し、最強の資産を共に最大化するすべての夫婦に共通する3つの原則があります。原則1:長期的な視点を持つ夫婦の年齢、子供の年齢、お互いのキャリアステージを、10年20年といった時間軸で、具体的に見通すことで、今やるべきことが見えてきます。原則2:お互いを最高の「ビジネスパートナー」と考えるキャリアの機会や家庭内の役割を、感情論ではなく、世帯資産の最大化という視点で合理的に判断する。原則3:根気よく対話を続ける状況の変化に応じて、戦略を柔軟に見直し続けるためのコミュニケーションを欠かさない。以上の原則を共有し、最初はぎこちなくても、まずはスタートしてください。価値観は人それぞれ、家族の在り方もそれぞれです。時間の経過とともに考えも変わっていきます。わが家なりの居心地の良いやり方を見つけてください。後編では「同じ年の夫婦」の家計をシミュレーションします!(3月中旬公開予定)

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第284回 終末期医療における延命治療終了、4学会が合同ガイドライン改訂案

<先週の動き> 1.終末期医療における延命治療終了、4学会が合同ガイドライン改訂案 2.全国がん登録に「死亡場所」追加、研究活用促進へ/規制改革推進会議 3.小児科・産科、総合診療の人材不足鮮明 医師確保計画の改定で/厚労省 4.美容医療の診療録記載を省令で明確化へ、監督強化でパブコメ開始/厚労省 5.出生数70.6万人で過去最少更新、推計より17年早い少子化/厚労省 6.人口減少で経営悪化の病院再編、市立病院が閉院へ/室蘭市 1.終末期医療における延命治療終了、4学会が合同ガイドライン改訂案救急・集中治療領域における生命維持治療の終了・差し控えを巡り、日本集中治療医学会、日本救急医学会、日本循環器学会、日本緩和医療学会の4学会は、合同ガイドライン改訂案を公表した。2014年策定の指針から約11年ぶりの改訂となる。改訂案では「終末期」をあえて定義せず、人工呼吸器などの生命維持治療を開始しない、または終了する際の判断手順を具体化した点が特徴となっている。患者本人の価値観や意思を中心に、家族および医療チームが協議して方針を決定する「共同意思決定」を原則とした。また、1度治療を開始すると中止できないという臨床現場の萎縮を防ぐため、期限を区切って治療効果を評価する「タイム・リミテッド・トライアル」の考え方を明記。治療を差し控え、または終了した場合の緩和ケアについても、苦痛緩和の具体的手順や家族支援の在り方を詳細に示した。これまで、法的責任への懸念や指針のあいまいさから、患者が望まない治療が継続される事例も少なくなかった。今回の改訂案は、現場での判断を支える実践的指針として、患者の尊厳を尊重した医療の実現につながることが期待される。3月27日までパブリックコメントを実施している。 参考 1) 終末期医療の指針、救急など4学会改訂案 意思決定やケアの手順示す(朝日新聞) 2) 延命治療終了の手順具体化 学会指針案、11年ぶり改定(共同通信) 3) 延命治療終了の手順明記 4学会が指針案、患者の意思尊重 医療者・家族の協議求める(日経新聞) 4) 「救急・集中治療における生命維持治療の終了/差し控えに関する4学会合同ガイドライン」パブリックコメント募集のお知らせ(日本救急医学会) 2.全国がん登録に「死亡場所」追加、研究活用促進へ/規制改革推進会議政府の規制改革推進会議は2月26日、規制改革に関する中間答申を公表し、「全国がん登録情報および院内がん登録情報の利活用拡大」を最重要項目に位置付けた。がん登録に含まれる死亡日や死因情報は、遺族の個人情報に該当する可能性から、現行制度では第三者提供が厳しく制限されている。その一方で、多施設共同研究などでは生存確認や死亡情報の活用ニーズが高く、「研究に使えない」との指摘が相次いでいた。中間答申では、死亡日を5日単位でグループ化するなど、個人特定リスクを抑えた加工を施したうえでの第三者提供を検討すると明記。死因についても、がん死亡では部位が判別可能な情報、非がん死ではICD中間分類レベルの提供を可能とする方向性が示された。2026年の制度実施を目指す。これにあわせて、全国がん登録の届け出項目拡充も進められる。厚生労働省は、2027年診断症例から「死亡場所」を登録項目に追加する方針を了承。終末期医療や在宅看取りの実態把握に資する狙いだ。さらに、2028年以降はUICCのTNM分類(腫瘍径、リンパ節転移、遠隔転移)の追加も予定されている。また、院内がん登録とNDB(レセプト・特定健診情報)など公的データベースの連結解析を可能とし、本人同意を不要とする第三者提供の対象に院内がん登録を含める方針も示された。AYA世代や希少がんでは、国際標準分類に基づく情報提供を拡充する。その一方で、議論が続く自治体がん検診の「医師1人+AI読影」解禁は、今回の中間答申には盛り込まれなかった。政府は、今夏に規制改革実施計画を策定し、がん研究基盤の強化を急ぐとしている。 参考 1) がん登録情報の利活用、死亡日など提供方法を検討 中間答申 規制改革推進会議(CB news) 2) がん登録に「死亡場所」も 27年症例から項目追加 厚労省(同) 3) 規制改革推進に関する中間答申(規制改革推進会議) 3.小児科・産科、総合診療の人材不足鮮明 医師確保計画の改定で/厚労省厚生労働省は、2月25日に開かれた「第13回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」で、都道府県を対象に実施したアンケート結果を公表し、医師確保が特に必要な診療科として「小児科」を挙げた自治体が最多の41都道府県に上ったと明らかにした。次いで産科・産婦人科が40、総合診療科が34となり、生命予後に直結しやすく、24時間対応や当直負担の重い診療科で人材不足が深刻である実態が改めて浮き彫りとなった。特定診療科の医師確保に向けた支援策は44都道府県で実施しており、主な手法は(1)診療科を特定した地域枠の設定、(2)人件費や医師派遣費など医療機関への財政支援、(3)大学への寄附講座設置などであった。その一方で、都道府県が養成過程での対策を進めるために国に求める支援としては、財政支援の拡充、制度に関する情報提供や協議の場の設置、臨床研修・専門研修での採用上限設定など制度的関与の強化が多く挙げられた。この検討会において、第8次医師確保計画(後期、2027年度~)に反映する「医師養成過程の取組に係る議論の整理(案)」を大筋で了承した。整理案では、地域枠は原則として恒久定員内で設置する方針を明確化し、医師少数県や離島・豪雪地帯など、やむを得ない事情がある場合に限って臨時定員の活用を例外的に認めるとした。また、医学部段階だけでなく、臨床研修・専門研修を通じた偏在是正を重視し、若手医師の流出入や研修修了後の定着状況、地域枠医師の義務年限終了後の勤務実態を継続的に把握・検証することを都道府県に求めた。大学医学部・大学病院に対しては、地域医療を担う診療科への誘導や研修プログラムの魅力向上など、教育機能と地域医療政策の一体的運用がより強く求められることになる。 参考 1) 医師確保が特に必要な診療科、最多は「小児科」 厚労省の都道府県調査で(CB news) 2) 地域枠は原則「恒久定員内」に設置へ 医師多数県以外も 厚労省検討会が整理案(同) 3) 特に医師確保が必要な診療科として、41都道府県が「小児科」と回答(日経メディカル) 4) 医師確保計画策定ガイドラインの見直しに向けた医師養成過程の取組に係る議論の整理案(厚労省) 4.美容医療の診療録記載を省令で明確化へ、監督強化でパブコメ開始/厚労省厚生労働省は、美容医療を巡る健康被害や不適切な勧誘の増加を受け、医師の診療録の記載ルールを見直す省令改正案を公表し、パブリックコメントを実施している。意見募集は3月17日まで。改正案では、美容医療を提供する場合の診療録の記載事項に「患者の主訴」「患者が希望する治療内容」が含まれることを明確化し、保健所などの立入検査・指導で診療実態を確認できるようにする。これまでは医師法違反などが疑われる事案でも、診療録の記載自体が不十分で根拠が追えず、指導の実効性が上がらないケースがあったためであり、厚労省は監督強化の一環として2026年4月の施行を予定している。今回の医師法施行規則の改正は、美容医療の消費者相談の件数増加を受け、2024年に厚労省は「美容医療の適切な実施に関する検討会」での議論をもとに、同年11月の取りまとめで「診療録記載の徹底」を安全確保の柱に位置付けた経緯がある。わが国の美容医療はSNS拡散とコロナ禍の「特需」を追い風に急拡大し、推計では2024年に市場規模は6,310億円に達している。クリニック数は、2020年の1,404施設から2023年に2,016施設へと増加し、施術件数も2017年約160万件から2024年約306万件に伸長、自由診療の高収益性を背景に研修後すぐ美容医療に進む「直美」医師も2012年の16人から2022年には198人と急増している。その一方で、経験不足や合併症対応の脆弱さを不安視する声があり、国民生活センターへの相談件数も2022年度3,798件から2024年度1万736件へと急増している。自由診療は保険診療と異なり、診療内容について保険審査の枠外で、価格設定や運営の自由度が高い。クリニックによっては、カウンセラーにノルマを課して高額な施術へ誘導するほか、術後の合併症の対応能力不足、未承認の薬剤や医療機器を使用した施術での重篤な被害の発生も繰り返されている。SNSでは「痛みゼロ」「必ず小顔」など断定的表現や根拠不明の肩書が拡散しやすく、広告規制が届きにくい「グレーゾーン」も課題となっている。厚労省では、患者の「主訴」「希望する治療」の記録を明確化して、診療の妥当性や説明・同意の検証、トラブル時の事後検証を可能にし、行政指導につなげたい考え。2025年12月には美容医療機関に安全管理措置や相談先などの報告を年1回程度求める制度整備も進んでおり、今回の省令改正と併せ、統一的な指針整備、若手教育・倫理、広告監視の実効性をどう高めるかが焦点となる。厚労省は、パブリックコメントで記載項目の具体性や運用負担、立入検査での活用方法などへの意見を求めており、4月以降は現場での真摯な対応が求められる。 参考 1) 医師法施行規則及び歯科医師法施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集について(政府) 2) 美容医療の適切な実施に関する検討会 報告書(厚労省) 3) 美容医療、診療録の記載事項に「患者の主訴」「希望する治療内容」も 省令改正へ(CB news) 4) 美への欲望につけこみ高額な課金、死亡事故も…専門医は「過剰営業」を懸念(日経メディカル) 5) 「成功してるじゃん」美容医療で“しこり”も医師が失敗認めず…被害者が施術費用の返還など求めクリニックを提訴(弁護士JPニュース) 5.出生数70.6万人で過去最少更新、推計より17年早い少子化/厚労省厚生労働省が公表した人口動態統計速報(外国人を含む)によると、2025年の出生数は70万5,809人で、1899年の統計開始以降で過去最少を更新し、10年連続減少した。前年差は1万5,179人減(2.1%減)で、2022~24年の約5%減に比べ減少幅は縮小した。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の将来推計(中位推計)では出生数が70万人台となるのは2042年と見込まれており、想定よりも約17年早いペースで少子化が進んでいる。死亡数は160万5,654人で0.8%減と5年ぶりに減少へ転じたが、出生数との差である自然減は89万9,845人と過去最大に拡大した。団塊の世代が全員75歳以上となる中、人口減の加速が改めて示された。婚姻数は50万5,656組で1.1%増、2年連続の増加。ただしコロナ禍前(2019年の59万組台)には戻っていない。離婚は18万2,969組で3.7%減だった。地域別では45道府県で出生数が減少する一方、東京都は8万8,518人(1.3%増)と速報値で9年ぶりに増加し、石川県も6,515人(128人増)と増加に転じた。全国出生数の約3割を首都圏1都3県が占め、地域差も鮮明となった。東京都は、現金給付や保育料無償化の拡大、無痛分娩助成など子育て支援を進めており、周辺自治体から転居希望の増加を指摘する声もある。上野 賢一郎厚生労働大臣は、若年層の所得向上や共働き・共育て支援を進める考えを示し、「婚姻増は良い傾向」と述べている。もっとも、出生数の下振れが続けば、年金・医療・介護の前提となる人口見通しが揺らぎ、給付と負担の再設計を迫る可能性がある。なお日本人のみの出生数・合計特殊出生率は6月公表予定で、出生数は60万人台となる見通しが示されている。政府は2030年までが少子化反転の「ラストチャンス」として、こども未来戦略を推進し、財源として公的医療保険に上乗せする支援金制度を段階的に運用する方針も示している。 参考 1) 人口動態統計速報(厚労省) 2) 2025年の出生数70万人、10年連続で最少更新…東京・石川が増加に(読売新聞) 3) 出生数過去最少の70万人 推計より17年早い少子化 25年速報値(毎日新聞) 4) 2025年の出生数70.5万人 少子化は推計より17年早く、人口減も進行(日経新聞) 5) 2025年、出生数は70万5,809人で10年連続減少、死亡数が160万5,654人で、自然増減は「マイナス89万9,845人」-厚労省(Gem Med) 6.人口減少で経営悪化の病院再編、市立病院が閉院へ/室蘭市北海道室蘭市は、経営悪化が続く市立室蘭総合病院について2027年度をめどに閉院し、高度急性期・急性期機能を製鉄記念室蘭病院へ統合する方針を正式に決定した。市内3病院(市立室蘭総合病院、製鉄記念室蘭病院、日鋼記念病院)の再編を巡り、地域医療連携再編等推進協議会が最終合意に達した。背景には、室蘭市および西胆振地域で進む人口減少と急性期医療需要の縮小がある。3病院が同様の急性期機能を維持し続ければ、病床過剰や症例分散により医療の質低下や医師確保難を招き、病院経営の持続性が失われるとの判断が示された。市立病院は1872年開設、517床・22診療科を有し、約720人が勤務する基幹病院だが、2024年度末で約85億円の負債を抱え、市の一般会計からの多額の繰り出しが市の財政を圧迫していた。再編後、東室蘭地域では製鉄記念室蘭病院が2次医療圏の救命救急・高度急性期拠点を担い、蘭西地域では日鋼記念病院を中心に急性期から回復期、在宅医療までを支える体制とする。道内初の結核患者収容モデル病室の稼働など、政策医療の集約も進める。その一方で、500人超の市立病院職員は公務員の身分を失うため、再就職支援が課題となる。北海道知事の鈴木 直道氏は、患者の受け皿確保や職員雇用について市と連携し、丁寧に対応する考えを示している。今回の閉院は、人口減少地域における公立病院再編の先行事例として、全国の地域医療に大きな影響を与える可能性がある。 参考 1) 室蘭市地域医療連携・再編等推進について(室蘭市) 2) 市立室蘭総合病院、27年度めどに閉院へ 製鉄記念室蘭病院へ機能統合 3病院再編で合意(CB news) 3) 市立室蘭総合病院を閉院へ 北海道室蘭市、70億円超の財政支出も(朝日新聞) 4) 150年の歴史がある市立病院が閉院へ…新年度に23億円支出方針の室蘭市の財政は「危機的水準」(読売新聞)

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アセトアミノフェンの乳児への処方は安全

 乳児期にアセトアミノフェン(パラセタモール)を使うと、湿疹や喘鳴のリスクが上昇することが、これまでの観察研究で報告されている。こうした中、新たな臨床試験により、アセトアミノフェンとイブプロフェンはいずれも、生後1年以内の乳児にも安全に使えることが示された。これらの市販の鎮痛薬と湿疹や細気管支炎との間に関連は認められなかったという。オークランド大学(ニュージーランド)のStuart Dalziel氏らによるこの研究の詳細は、「The Lancet Child & Adolescent Health」に1月27日掲載された。 アセトアミノフェンと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は主要な鎮痛薬の一部であり、世界中で小児の発熱や痛みに対して最も頻繁に処方され、市販薬としても広く購入されている。NSAIDsは強い抗炎症作用を持つが胃腸障害を起こしやすい。イブプロフェンはNSAIDsの一種である。一方、アセトアミノフェンには抗炎症作用はほとんどないが、胃腸への負担が少ないという特徴がある。なお、アセトアミノフェンとパラセタモールは、いずれも同じ成分の薬剤だが、国によって呼び名が異なる。 Dalziel氏らは今回、アセトアミノフェンの使用と湿疹や喘鳴のリスク上昇との関連を示した研究結果を踏まえ、ニュージーランドで出生した生後8週間未満の乳児3,908人(女児49.0%)を対象に、アセトアミノフェンとイブプロフェンのどちらを使用した場合に、湿疹や細気管支炎リスクがより高くなるのかを評価した。児は、1歳になるまで必要に応じてアセトアミノフェンのみを使用する群(1,985人)と、イブプロフェンのみを使用する群(1,923人)にランダムに割り付けられた。 その結果、湿疹の発生率は、アセトアミノフェン群で16.2%(322人)、イブプロフェン群で15.4%(296人)であり、両群間に統計学的に有意な差は認められなかった(差0.8%、95%信頼区間−1.5〜3.1)。一方、細気管支炎による入院の発生率は、アセトアミノフェン群で4.9%(98人)、イブプロフェン群で4.3%(82人)であり、同様に有意な差は認められなかった。17人に19件の有害事象が確認されたが(アセトアミノフェン群8人、イブプロフェン群9人)、処方薬剤に関連した事象は認められなかった。 Dalziel氏は、「この結果によって、親も医療従事者も、これらの重要な薬を引き続き安心して使えるようになるだろう」と述べている。 研究グループは、対象とした児童が6歳になるまで追跡し、アセトアミノフェンやイブプロフェンが原因とされてきた他の健康問題が現れないかを確認する予定だとしている。Dalziel氏は、「3歳で喘鳴を呈する小児の3分の2は、6歳時点で喘息を発症していないことが分かっている。そのため、生後1年間におけるアセトアミノフェン使用が喘息を引き起こすかどうかを最終的に判断するには、学齢期まで待つ必要がある」と説明している。さらに、この追跡調査では、自閉症や注意欠如・多動症(ADHD)の発症率についても調べる予定だという。これらの疾患は、ある程度成長してからの方が正確に診断されるためだ。 論文の筆頭著者であるオークランド大学のEunicia Tan氏は、「最終的には、アセトアミノフェンの使用と喘息、湿疹、花粉症、さらには自閉症やADHDといった発達障害との関連について、重要な証拠を提供できるはずだ」とニュースリリースで述べている。

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米国「食事ガイドライン」改訂――初の超加工食品制限に評価も、専門家から批判も相次ぐ

 米国の「食事ガイドライン(Dietary Guidelines for Americans:DGA)」は、学校給食などをはじめとした国民の栄養摂取の指針となるもので、米国農務省(USDA)と米国保健福祉省(HHS)が5年ごとに改訂している。2026年1月7日に最新版(2025~2030年版)が発表され、大きな内容変更が話題となっている。 改訂版の中心となるメッセージは、「Eat real food(本物の食物を食べよう)」で、全体を通じて「ホールフード」(加工されていない/加工が最小限の食品、全粒粉穀物など)の摂取が推奨されている。従来のDGAは、基本的に塩分や糖分といった1日の栄養目標値の範囲内であれば、あらゆる食品の選択肢が許容されるものとしてきたが、この方針を大きく転換した。主な改訂点は以下のとおり。1)超加工食品・精製炭水化物・添加糖類:初の制限推奨避けるべき、あるいは制限すべき食品として、「高度に加工された食品(highly processed foods)」(化学添加物が添加された肉などで、一般に「超加工食品」と呼ばれるもの)や精製炭水化物(クッキー、白パン、シリアルなど)が明記された。添加糖類の制限も強化され、出生~4歳は「添加糖類を避ける」、5~10歳は「一切推奨しない」という内容が盛り込まれた。2)脂質:飽和脂肪10%上限は維持飽和脂肪は総エネルギーの10%を超えないという推奨は前版から継承された一方で、「healthy fats(健康的な油脂)」として、オリーブ油に加えてバターや牛脂も選択肢として例示された。3)乳製品:小児で「全乳」を明確に推奨小児の1歳以降では「whole milk(全脂肪乳)」がエネルギーや脳発達に重要と明記。これに基づいて「学校給食を低脂肪・無脂肪乳から全脂肪乳を戻す運動(Whole Milk for Healthy Kids Act)」の関連法が提出されている。4)タンパク質の増強食事におけるタンパク質の摂取量を、従来の推奨である体重1kg当たり0.8g/日から1.2~1.6g/日に引き上げた。 一方、本ガイドラインが発表されると、医療や栄養の専門家から批判の声が上がった。  JAMA誌はオンライン版2026年1月14日号の「Perspective1)」でガイドラインの概要を紹介、ホールフード推奨や超加工食品の制限に対しては一定の評価をしつつ、突然の方針転換を「科学ではなく政治によるもので一貫性がない」とし、タンパク質の増加推奨もエビデンスに基づいておらず特定の業界を利するものだとし、実際の学校給食などの変革プロセスも不確実である点などを批判している。 Lancet誌はオンライン版2026年2月16日号の「Correspondence2)」「Comment3)」で、DGAが従来の栄養学の蓄積やエビデンスの扱いから外れており、「政策(予算・制度)と推奨内容の組み合わせが、結果的に健康を悪化させかねない」と警鐘を鳴らしている。 米国心臓病学会(ACC)も2026年1月27日付で解説記事4)を発表し、タンパク質の摂取量の推奨が大きく上がったが、これは独立組織である「食事ガイドライン諮問委員会(DGAC)」が事前にまとめた報告に含まれていないなど、エビデンスとの不一致や策定プロセスの不透明性に対する疑問を表明している。 CareNet.comのコラム「NYから木曜日」でこれまでの多くの米国の医療・健康問題を取り上げてきた米国・マウントサイナイ医科大学 老年医学科の山田 悠史氏に今回のガイドラインの問題点について聞いた。「正しさ」と「問題」が混在するゆえの「タチの悪さ」 ――今回の改訂ガイドラインの主な推奨事項として、以下が挙げられます。・「リアルフード」の重視(自然食品を推奨し、超加工食品を徹底的に排除する)・タンパク質の増量(体重1kg当たり1.2~1.6g/日という、従来の推奨量を上回る目標値を設定)・脂肪の質の再定義(全脂肪乳製品を推奨、調理油としてオリーブオイルに加え、バターや牛脂の使用を肯定)・添加糖と添加物の排除(1食当たりの添加糖を10g以下に制限。着色料、保存料、人工甘味料などの化学添加物を避けるよう警告) 確かに、「超加工食品の過剰摂取是正」や「添加糖の削減」という点では公衆衛生的にも正しい方向を向いています。しかし、脂質に関するアドバイスでは矛盾があったり、過剰なタンパク質推奨がされていたりするなど、科学と政治の混同といった問題がみられます。 この正しさと問題の「混在」が一般の人が見抜くのを難しくしていて、「タチが悪い」と思います。 たとえば、脂質に関するアドバイスの矛盾として、ガイドラインは「飽和脂肪酸の摂取は総カロリーの10%未満に抑えるべき」と従来の基準を踏襲する一方で、「バターや牛脂」を調理油の選択肢として推奨し 、「全脂肪乳製品」を推奨しています。 バターや牛脂は飽和脂肪酸の主要な供給源であり、これらを積極的に推奨しながら「10%未満」という目標を達成することは、一般消費者にとって極めて困難です。多くの質の高いシステマティックレビューは、飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸(植物油など)に置き換えることで心血管疾患リスクが低減することを示唆していますが、ガイドラインでは植物性種子油への言及を避け、動物性脂肪を肯定するバイアスがかかっています。これは現在の栄養疫学のコンセンサスとは異なり、国内産業支援の色が見え隠れします。 タンパク質に関しては、一般成人に対して「体重1kg当たり1.2~1.6g」の摂取を推奨しています。参考までに現在の米国の推奨量は0.8g/kgです。確かに、1.2~1.6g/kgという数値は、アスリートや高齢者のサルコペニア予防には有益であるエビデンスが存在しますが、一般人口全体に対する一律の推奨としては多過ぎる可能性があります。 とくに慢性腎臓病の未診断者も多い状況下で、高タンパク食を無差別に推奨することは一定数の人をリスクにさらすことになる可能性があります。また、この目標を達成するために赤肉摂取が増加した場合、大腸がんや心血管疾患のリスクとの関連も考慮すべきでしょう。「人々の健康と地球の健康」を両立させるアプローチとも逆行しています。赤肉や全脂肪乳製品の推奨は、温室効果ガス排出量の観点から環境負荷が高く、現代の栄養ガイドラインが考慮すべきグローバルな課題を無視しています。 通常、米国の食事指針は、外部の委員会による数年にわたるシステマティックレビューを経て策定されますが、本ガイドラインは「トランプ政権のリーダーシップの下、常識を取り戻す」 と明記されており、政治的意図が前面に出ています。エビデンス以上に「国内農業支援」を進めたい狙いが透けて見えるガイドラインです。――

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インフルA型、B型それぞれの感染に影響する個人的・環境的要因

 インフルエンザの感染伝搬について、個人的および環境的要因が及ぼす影響について評価したカナダ・マクマスター大学のNushrat Nazia氏らによる研究の結果、高年齢であることはとくにB型インフルエンザ感染において防御的に働く可能性が示された。また環境・地理的要因がインフルエンザ感染に与える影響はウイルスの型ごとに異なっていた。Influenza and Other Respiratory Viruses誌2026年2月号掲載の報告。 本研究は、カナダの厳格なキリスト教徒「フッター派(Hutterite)」のコミュニティを対象に行われた。同コミュニティは外部との接触が少なく、ライフスタイルが共通した単一的で明確な集団構造を持つ。Nazia氏らは、「階層構造を明確に定義できる」という特性を活かすことで、一般的な社会では困難な、集団と個人の各要因が感染リスクに与える影響をより高い精度で推論可能な点が本研究の強みとしている。 2008年のインフルエンザシーズンにおける、カナダの46のフッター派コロニーに属する3,271例のデータが解析された。PCR検査で確定されたインフルエンザA型およびB型の週別症例について、人口統計学的要因、ワクチン接種状況、地理的および気象条件との関連を検討した。解析には、コロニーのクラスタリングと時間的自己相関を考慮したIntegrated Nested Laplace Approximations(INLA法)によるマルチレベル・ベイズ階層モデルが使用された。 主な結果は以下のとおり。・3,271例(平均年齢26歳、女性43.5%、インフルエンザワクチン接種率24.3%)中、239例(7.3%)がPCR検査によりインフルエンザと確定された(A型:128例、B型:111例)。・年齢の高さによる防御的な効果が認められ、インフルエンザB型(相対リスク[RR]:0.93、95%信用区間[CrI]:0.91~0.95)ではインフルエンザA型(RR:0.99、95%CrI:0.98~1.00)よりも強い効果が認められた。・男性は女性と比較してわずかに感染リスクが低かった。・いずれのモデルにおいても、個別ワクチン接種による予防効果は認められなかった。しかし、コロニー単位でのワクチン接種群への割り当ては、すべてのインフルエンザ(RR:0.29、95%CrI:0.10~0.83)およびインフルエンザA(RR:0.17、95%CrI:0.04~0.62)の感染リスクの大幅な低下と関連していたが、インフルエンザBでは関連がみられなかった。・最寄りの都市までの距離と標高は、感染リスク低下と弱い関連を示したが、不確実性が大きく、その関連は限定的であった。・前週の気温の高さは、インフルエンザAの感染リスク低下(RR:0.91、95%CrI:0.86~0.95)およびインフルエンザBの感染リスク上昇(RR:1.19、95%CrI:1.09~1.31)と関連していた。

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デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬発売/中外

 中外製薬は、2026年2月20日にデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療を目的とした再生医療等製品のデランジストロゲン モキセパルボベク(商品名:エレビジス点滴静注)を発売した。投与対象は、DMDのうち、エクソン8および/またはエクソン9の一部または全体の欠失変異を有さず、抗AAVrh74抗体が陰性である3歳以上8歳未満の歩行可能な患者となっている。また、本製品は2025年5月13日に条件および期限付承認に該当する製造販売承認を取得している。 DMDは、小児の早期から急速に進行する、希少な遺伝性の筋疾患であり、全世界で男児の約5,000人に1例程度で発症するといわれ、女児での発症は非常にまれな疾患である。DMDでは、筋肉にかかわるタンパク質であるジストロフィンの産生に影響を及ぼすDMD遺伝子の突然変異が原因で発症する。ジストロフィンは、筋線維を強化し、筋収縮時の損傷から保護するタンパク質複合体の重要な成分であり、DMD遺伝子の変異により、DMDでは機能性ジストロフィンを体内で産生できなくなり、筋細胞は損傷に対する感受性が高まり、筋組織の瘢痕化や脂肪化が徐々に進行する。 主な症状としては、歩行能力、上肢機能、肺機能、心機能が失われ、致死的な転帰をたどる。DMDの患者はフルタイムでの介護が必要となる。また、学業や仕事や家庭生活を行うことが困難となり、抑うつや身体的な痛みを患うこともある。 今回発売されたデランジストロゲン モキセパルボベクは、1回の投与で疾患の進行に伴う不可逆的な筋障害が生じる前にDMDの原因となるジストロフィンの欠損を補うよう設計された治療法となる。<製品概要>一般名:デランジストロゲン モキセパルボベク販売名:エレビジス点滴静注禁忌・禁止(一部を抜粋):ジストロフィン遺伝子のエクソン8及び/又はエクソン9の一部又は全体が欠失している患者効能、効果又は性能:デュシェンヌ型筋ジストロフィーただし、以下のいずれも満たす場合に限る・抗AAVrh74抗体が陰性の患者・歩行可能な患者・3歳以上8歳未満の患者用法及び用量又は使用方法:通常、体重10kg以上70kg未満の患者には1.33×1,014ベクターゲノム(vg)/kgを、体重70kg以上の患者には9.31×1,015vgを、60分から120分かけて静脈内に単回投与する。本品の再投与はしないこと(体重別の投与量の表は省略)。承認日:2025年5月13日薬価基準収載日:2026年2月20日発売開始日:2026年2月20日薬価:1患者当たり3億497万2,042円製造販売元:中外製薬株式会社

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睡眠薬、抗コリン薬を処方中の患者を受け持つプライマリケア医に、電子カルテを介し減薬を勧める介入は、不適切処方を減らす効果があるが、死亡リスクを高めるかもしれない(解説:名郷直樹氏)

 高齢者の不適切処方は日本においても大きな問題の1つだが、本研究は米国のプライマリケア医を対象として、65歳以上の高齢者でベンゾジアゼピン、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、抗コリン薬が処方されている患者の不適切処方に対し、電子カルテを通し、前もって介入する群、診察後減薬を検討させる群と標準的な診療を比較し、1剤以上の減薬の効果を検討したクラスターランダム化比較試験である。ランダム化はプライマリケア医ごとに行われ、結果は患者ごとで解析されている。 2つの介入方法であるが、診療前群では、医師が電子カルテを開くと、初回には薬剤継続のリスクの患者との共有、患者向け説明資料、代替治療や減薬アルゴリズムへのリンクが表示され、2回目以降は、前回の情報提供を想起させ、具体的な減薬のお勧めが表示される。診療後介入群では、初回診察時に前もって介入する群と同様な通知が表示され、4週後に電子カルテ上のメールボックスに減薬のお勧めが送信され、診察時間以外に減薬を検討させるという具合である。 結果であるが、1次アウトカムの1剤以上の減薬ができた割合は、前もって介入する群で36.8%、診療後介入群で34.3%、通常診療群で26.8%、通常診療群に対して減薬できる割合が診療前介入群で1.4倍、95%信頼区間(CI)1.14~1.73、リスク差で10.4%、診療後介入群で1.26倍(95%CI:1.01~1.57)、リスク差で6.5%と報告されている。 しかし死亡については、診療前介入群で1.4%、診療後介入群で3.9%、通常診療群で1.8%と、診療後介入群で高い傾向にある。 医療費の視点で見れば、この結果は処方を減らすことによる医療費削減が見込まれ、医療政策の決定に対して重要である。しかし個々の患者の視点で見れば、診療後介入群で減薬が死亡リスクの増加につながる可能性が示されているように、こうした介入を現実に行うかどうかの判断は難しい。減薬は代用のアウトカムにすぎず、その後の患者アウトカムにつながっていない可能性があるという点は、この論文を実装するに当たって十分考慮すべき点だろう。

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第307回 小児科医由来の抗体が強力にRSウイルスを阻止

およそひっきりなしに呼吸器ウイルスに接することがいわば宿命の小児科医の血液由来の抗体が、承認済みの抗体より25倍も強力に呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を阻止し、しかもより多種のウイルス株を相手にできることが示されました1,2)。ニューモウイルス科に属するRSVやヒトメタニューモウイルス(hMPV)は世界の健康を蝕む主因の1つで、高齢者、免疫不全者、2歳以下の小児、とくに生後6ヵ月までの乳児の急な下気道感染症を引き起こします。RSVの融合前Fタンパク質抗原やその抗原を作るmRNA入りのワクチンの高齢者への接種は承認されていますが、小児向けの開発は難航しています。たとえば高齢者への使用が承認済みのモデルナのmRNAワクチンmRESVIAの生後8~23ヵ月の乳幼児への接種試験では、期待とは裏腹に重度/要入院の下気道感染症がより多く発生しており3)、試験中断を余儀なくされています。RSVとhMPVの両方を相手するワクチンmRNA-1365でもやはりRSVによる重度/要入院の下気道感染症がより多く発生しました。成人へのRSVワクチン接種でも心配事があります。RSVワクチンの普及は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が変異株を次々に発生させているように、網の目を潜る変異株の発生を促す恐れがあります。一方、ウイルスの不変領域に取り付く抗体であれば変異株を発生し難くできそうですが、そういう抗体はウイルス阻止効果がいまひとつという弱みがあります。では弱みのない抗体を見つけるにはどうしたらよいか? 小児のさまざまな感染症に日々取り組む仕事柄、RSVやhMPVに繰り返し接する小児科医の自然免疫は実は宝の山で、ウイルスとの歴戦で鍛え上げられた強力な抗体を備えているかもしれません。中国の重慶医科大学小児病院のHui Zhai氏らはそう考え、同病院で10年を超えて働く小児科医10人の血液を調べてみました。すると、それら小児科医の抗体のRSV阻止活性は、仕事でRSVやhMPVに接することのない健康な成人14人を3倍超上回りました。阻止活性が高かった小児科医3人の血液中の抗体をふるいに掛けところ、調べた57の抗体のほぼすべての56がRSVの融合前Fタンパク質にしかと結合しました。続いてそれらの抗体の人工品を作って研究室で検討したところ、CNR2056とCNR2053という呼び名の2つがRSV株のより多くに対してとくに活性を示しました。CNR2047という名称のもう1つの抗体はRSVとhMPVの両方を手広く阻止する交差活性がありました。CNR2056、CNR2053、CNR2047を単独または組み合わせてマウスやラットに投与したところ、RSVやhMPV感染症状を防げました。ウイルス阻止活性は強力で、既存のRSV阻止抗体のニルセビマブ(商品名:ベイフォータス)やclesrovimabを最大25倍上回りました。ニルセビマブやclesrovimabにせよRSVワクチンにせよ今のところ相手しうるRSV株の種類は限られます。小児科医がその職業人生で身に着けた自然免疫から見つかった今回の抗体の組み合わせは、多用途でより手広く感染を防ぐ手段となりうるとZhai氏らは示唆しています1)。参考1)Antibody cocktails based on the occupationally acquired immunity of pediatricians neutralize and confer protection against RSV and hMPV / Science Translational Medicine2)Paediatricians’ blood used to make new treatments for RSV and colds / NewScientist(MSN)3)Snape MD, et al. Safety and Immunogenicity of an mRNA-Based Rsv Vaccine and an Rsv/hMPV Combination Vaccine in Children 5 to 23 Months of Age. Preprints. 2024 Dec 11.

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第301回 麻疹の流行が止まらない!見落としていたもう一つのセキュリティーホール

INDEX2026年麻疹発生状況もう一つのセキュリティーホールと解決策2026年麻疹発生状況年明けからわずか2ヵ月弱だが、現在の麻疹の発生動向を見ると、何とも不気味である。国立健康危機管理研究機構が公表する感染症発生動向調査週報(IDWR)1)の2026年第6週(2月2~8日)までの速報ベースの累計報告数は32例。昨年の同週での累計が3例だったことを考えれば、年初からかなりのハイペースである。第1週から第6週を見ると以下のような推移になり、第5週を境に感染報告数が跳ね上がっている。画像を拡大する累計報告数を都道府県別で見ると、東京都が6例、栃木県、新潟県、大阪府が各4例、埼玉県、千葉県が各3例、神奈川県、岩手県が各2例、北海道、茨城県、愛知県、京都府が各1例。現状は首都圏、東海圏、近畿圏という人口密集地域での報告が主である。本連載でもすでに取り上げているが、昨年の麻疹発生状況もかなりのものだった。2025年最後の第52週(12月22~28日)までの速報ベースの累計報告数は265例で、2024年の同週(12月23~29日)の45例と比較して約6倍まで増加していた。さらに、日本の麻疹土着株の遺伝子型D5は長きにわたって検出事例はなく、それがゆえに日本は2015年、世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局から麻疹排除国として認定されている。現在の麻疹感染報告はいわば輸入例であり、ウイルスの遺伝子型からも、その多くが東南アジア・南アジア方面を起源とするものと推定されている。実際、米国・ボストン小児病院が開発・運営する世界の感染症発生情報を可視化したサイト「HealthMap」2)を参照すると、現状、東南アジアや南アジアでは麻疹がかなり流行していることがわかる。だからこそ、前回、この地域からの技能実習や特定技能での来日者やその雇用主へのワクチン接種の積極的勧奨、そのための接種費用の一部助成などの施策を考えてもよいのではないかと私個人は提案したのであった。もう一つのセキュリティーホールと解決策この考えに今も変更はないが、最近、もっと重要な視点が抜け落ちていると気付き始めた。それは日本人でのワクチン接種の推進である。前回も紹介したように、令和6年度(2024年4月1日~2025年3月31日)のワクチン定期接種対象者の接種率は、第1期が92.7%、第2期が91.0%であり、麻疹の集団免疫獲得に必要なワクチン接種率95%以上にはやや及ばない。ここは従来どおり、国や各自治体による地味な啓発の継続が必要である。だが、麻疹に関してはここにセキュリティーホールがあることを私自身はすっかり忘れていた。それは現在の麻疹のワクチン接種が2回体制になったのは、2006年からである。ご存じのように1回接種では、約5%の人では十分な免疫を獲得できず、また、経年での抗体価低下を補うブースター効果を期待して、このような措置へと変更された。日本で麻疹ワクチンの定期接種が始まったのは1978年で、約30年間は1回接種で済まされていた。当然ながらこの世代には、免疫獲得が不十分な人もかなり抗体価が低下した人もいるはずだ。その意味では、国がかつて風疹ワクチンの接種対象ではなかった中高年男性に対して抗体価検査の無料クーポン配布とその結果に応じた無償接種の機会を提供したことは記憶に新しい。この事業は2024年度で終了したが、改めて麻疹ワクチンの1回接種世代を対象に似たような事業を行ってもよいのではないだろうか?ちなみにざっくり対象人口を計算すると、約1億人と推計される。一般に麻疹の抗体価検査は3,000円前後であるので、この全員が抗体検査を受ければ、予算規模は約3,000億円。そのうち3割程度が接種対象だったと仮定した場合、約8,000円と言われるMRワクチンの接種費用を掛け合わせて約2,400億円。総額5,400億円の計算になる。もちろん大変な規模の支出にはなるが、その後の経済効果まで考えれば、赤字国債を発行しても元が取れるのではないだろうか? いっそこのケースでは、あの“悪名高き”肺炎球菌ワクチンや帯状疱疹ワクチンのように、各年度で対象者を絞った実施でもよいかもしれない。これならば単年度の予算規模は抑えられる。健康安全保障をキーワードに予防医療を強く訴える高市政権にとっても悪い政策ではないと思うのだが。ついでに言うならば、現在、麻疹報告数が多く、大きな予算規模を抱える東京都あたりが先鞭をつけて始めてもよいかもしれない。それこそ東京都お得意の「東京アプリ」を使って、対象者が抗体検査を受けたら〇ポイントを付与する、といった仕組みだ。麻疹に関してWHOは2026年1月26日にイギリス、スペイン、オーストリア、アルメニア、アゼルバイジャン、ウズベキスタンが排除国認定を喪失したことを発表したばかり。日本が同じ轍を踏んでほしくはない。参考1)国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト:感染症発生動向調査週報2)HealthMap

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2月20日 アレルギーの日【今日は何の日?】

【2月20日 アレルギーの日】〔由来〕1966(昭和41)年の今日、石坂 公成氏、石坂 照子氏がIgE(免疫グロブリン)を発見したことにちなみ、日本アレルギー協会により制定。同協会では今日を中心とした1週間を「アレルギー週間」と定め、この期間を中心にアレルギーに関する各種啓発活動を行っている。関連コンテンツ英語で「アレルギーはありますか」は?【1分★医療英語】第130回小児の消化管アレルギー(食物蛋白誘発胃腸症)【すぐに使える小児診療のヒント】身近な抗アレルギー薬に思わぬリスク?長期服用後の中止で激しいかゆみ、FDAが警告【NYから木曜日】「まずは金属除去」ではない? 金属アレルギー診療と管理の手引きを公開/日本アレルギー学会急増するナッツ類アレルギー、近年はより少ない量で発症の傾向/国立成育医療研究センター

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若手医師は帰属意識が高い?首都圏出身者も移住希望?/医師1,000人アンケート

 厚生労働省が2025年12月23日、『令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況』1)を公表し、都道府県別にみた人口10万人当たりの医師数などが明らかになった(参考:「医師数公表、人口当たり医師数が最も多い県・少ない県/厚労省」)。厚生労働省ではこれを基盤として医師偏在をさらに客観的に把握するため、2018年度より「医師偏在指数」*も公表している。また、2025年11月に行われた医師偏在対策に関する検討会では、労働時間などの違い、地域ごとの医療需要(医療ニーズ)などといった考慮すべき5つの要素が示され、2027年度からの次期医師確保計画に向けて必要な見直しが検討されるという2)。*計算式は、標準化医師数÷[地域の人口(10万×地域の標準化受療率比)]で、数値が低いほど医師不足を表す。現行は「医師の性別・年齢分布」が考慮されているが、2027年度より5つの要素(医療需要[ニーズ]及び将来の人口・人口構成の変化、患者の流出入等、へき地等の地理的条件、医師の性別・年齢分布、医師偏在の種別[区域、診療科、入院/外来])が考慮される予定。 そこで、このような状況を踏まえ、ケアネットでは医師が勤務地選択の際にどのような条件を重視するのかなどを調査。20~60代の会員医師1,018名を対象に、移住(Iターン・Jターン・Uターン)3)希望の有無、将来的に希望する勤務地・定住先とその理由、勤務地を決定したタイミングについて、アンケートを行った。若手の地方出身者は帰属意識が高い?首都圏出身者は? まず、回答者の出身エリアと主な勤務エリアは以下のとおりであった。―――――――――――――――――――<出身エリア>北海道:5.8%  東北:7.2%  関東:22.3%  中部:16.7%  近畿:21.3%  中国:8.3%   四国:4.3%  九州・沖縄:12.8%  海外:0.6%<現在の主な勤務エリア>北海道:5.3%  東北:6.1%  関東:30.1%  中部:16.1%  近畿:19.6%中国:8.3%   四国:3.9%  九州・沖縄:10.3%  海外:0.2%――――――――――――――――――― 将来的な勤務希望地(出身地や実家[義実家を含む]のある地域での勤務希望)について、全体の60%超が「はい(いつか戻りたい)」「現在、出身地・実家のある地域で働いている」と回答。また、すでに地元などで勤務している医師は40代以上では4割を超えていた。 今回、本アンケート結果のp.12では、参考までに年代・出身地別の移住意向率も示した。現在、県外に勤務し将来的に移住を希望する割合は20代で高く(47.7%)、首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)を除外した場合にも高い傾向であった。また、驚いたことに、首都圏出身者(263人)のうち85人が首都圏外で勤務していたが、そのうちの7割は戻る意向を示さなかった。一方で、東北エリア、中国エリア出身者の県外勤務者の移住意向は低かった(それぞれ9.1%、7.4%)。 なお、診療科別(内科・外科・その他)での希望有無の違いを比較すると、外科系医師の移住希望はやや少ない傾向であった。希望地の選択理由、20代と60代で共通する理由 本結果から各年代での勤務地選択理由の傾向が明らかになった。20代は「地域/へき地医療への貢献」(18.5%)、30~40代は「子育て・教育環境」(各25.0%、14.9%)を重視する傾向にあった。50代以降では、「親の介護/実家管理」などの問題もやや増加した。60代以降でも約2割の医師は「地域/へき地医療への貢献」を選択していた。 各年代の選択理由については、以下のようなコメントも寄せられた。<20代>・地域枠(山梨県出身/山梨県勤務・糖尿病・代謝・内分泌内科)・出世するためにどこへでも行きたいから(兵庫県出身/千葉県勤務・病理診断科)・家賃が高い(大阪府出身/東京都勤務・眼科)<30代>・義務だったため(新潟県出身/新潟県勤務・内科)・医局を辞め新しい居住地を探す際に、地元が便利なため(神奈川県出身/兵庫県勤務・神経内科)<40代>該当コメントなし<50代>・子を保育園に預けられないとき(感染症など)、実家にみてもらうため。教授から「実家がないと復帰は無理」と言われ、辞めることを暗に勧められた(岩手県出身/岩手県勤務・心療内科)・需要と供給、利便性、将来性などのバランス(東京都出身/山口県勤務・精神科)<60代>長女だから仕方ない(大阪府出身/大阪府勤務・小児科)将来の勤務先、20~30代が意識する時期は… 将来の勤務地を意識する/した時期については、各年代ともに「意識したことがない」医師が最も多かったものの、その傾向は若手になるほど減少に転じている。年代別でみると、20~30代は「前期研修時」(各25.0%、16.2 %)、40代は「医学部入学時」(10.9%)、50代は「親の健康状態の変化」(9.3%)、60代は「入局時」(12.6%)という結果であった。 このほかのアンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。『将来の希望勤務地は?いつ決めた?/医師1,000人アンケート』

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医学英語で「歩行異常」はどう言う?【患者と医療者で!使い分け★英単語】第50回

医学用語紹介:歩行異常 abnormal gait今回は「歩行異常」について説明します。医療現場ではabnormal gaitやgait abnormalityがよく使われますが、患者さんとの会話ではどのような一般的な英語表現を使えばよいでしょうか?講師紹介

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点鼻のアナフィラキシー補助治療薬「ネフィー」発売/アルフレッサファーマ

 アナフィラキシー補助治療薬「ネフィー点鼻液(1mg、2mg)」がアルフレッサファーマから2026年2月12日に発売された。アナフィラキシー補助治療薬としては自己注射製剤のエピペンに続く2剤目となるが、点鼻液での発売は国内初となる。 本製剤はアドレナリンを有効成分とする点鼻液で、蜂毒、食物、および薬物などに起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療薬で、点鼻により簡便な投与が可能である。 ただし、適正使用の観点から安全性および有効性を十分に理解し、使用に関して適切かつ十分な指導ができる医師のみによって本剤が処方・使用されるよう、あらかじめ動画講習を受講し、処方医師登録を済ませておく必要がある。 アルフレッサファーマは2020年4月、米国のバイオ医薬品企業ARS Pharmaと日本国内でのアドレナリン点鼻液の開発および販売におけるライセンス契約を締結。その後、日本人健康成人を対象とした薬物動態試験および第III相臨床試験を実施し、その有効性と安全性が認められたことから、2025年9月19日に製造販売承認を取得していた。<製品概要>販売名:ネフィー点鼻液1mg、2mg一般名:アドレナリン効能又は効果:蜂毒、食物及び薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療(アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人に限る)用法及び用量: 通常、体重30kg未満の患者には、アドレナリンとして1回1mgを、体重30kg以上の患者には、アドレナリンとして1回2mgを鼻腔内に投与する。薬価:1mg:2万2,975.30円/瓶、2mg:2万4,672.10円/瓶製造販売承認日:2025年9月19日薬価基準収載日:2025年11月12日発売日:2026年2月12日製造販売元:アルフレッサファーマ株式会社

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政府主導の現金給付プログラムが死亡率に関連する行動および健康決定要因に与える影響:差の差研究(解説:名郷直樹氏)

 ランダム化比較試験で検討困難な疑問に関して、ビッグデータを用いた観察研究によって検討しようという流れの中にある研究である。37の低~中所得国家を対象とし、政府主導の現金給付プログラムを提供している国と提供していない国を比較し、また提供された国における提供前と提供後を比較して、死亡に関連する17のアウトカムを検討している。 解析方法は、“difference-in-differences study”とあるように、少し特殊である。具体的には、現在現金給付を行っている国の行っていない時期とのアウトカムの差から、行っていない国の現在のアウトカムと行っている国の行っていないのと同時期のアウトカムの差を差し引いたものを効果の指標としている。それぞれのアウトカムの差は、介入前後比較と呼ばれるもので、時間経過に伴う変化が大きなバイアスとなる。この研究で言えば、現金給付が行われる前後で比較すると、時代によるさまざまな変化があり、現金給付と無関係な社会の変化の影響を排除することができず、効果を過大評価しやすい。その影響を考慮するために、両国の時間的なアウトカムの変化を除いて、バイアスの影響を調整しているというわけである。実際の計算式であるが、現在現金給付を行っている国のアウトカムがa%、行っていない国でb%、現在現金給付を行っている国の行っていない時期のアウトカムがc%、行っていない国の同時期でd%としたときに、“difference-in-differences”、「差の差」は (a-c)-(b-d) ということになる。 実際の結果を見てみよう。アウトカムの変化における差95%信頼区間は、早期妊婦健診で+5.0%(2.1~7.9)、施設分娩 +7.3%(3.2~11.3)、熟練者による分娩 +7.9%(3.2~12.6)、望まれた妊娠 +1.9%(0.5~3.2)、排卵間隔の延長 +2.5ヵ月(1.8~3.1)、避妊法の情報不足 -10.3%(-15.2~-5.3)、完全母乳育児 +14.4%(13.3~15.5)、最低限の食事提供 +7.5%(5.5~9.5)、麻疹ワクチン接種 +5.3%(1.6~8.9)、男児の双胎出産0.8/1,000男児出産(0.3~1.4)、下痢の罹患率 −6.4%(-11.7~-1.1)、低体重 −2.0%(-3.6%~-0.4)で、17のうち12の項目で改善がみられている。 この「差の差」分析では、現金給付を行っている国と行っていない国でのアウトカムのトレンドが同様という仮定が必要である。行っていない国での改善が小さければ効果を過大評価するし、大きければ効果を過小評価する危険がある。それについてはほぼパラレルであることが示されている。しかしながら、ランダム化比較試験ほど交絡因子が排除できるわけではない。このデザインから言えるのは、因果というより相関と考えるのが妥当かもしれない。

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PFAS曝露が若者の脂肪性肝リスクを3倍に高める?

 「永遠の化学物質」と呼ばれている有機フッ素化合物(PFAS)によって、若者が代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)を発症するリスクが約3倍上昇する可能性のあることが、新たな研究で示された。PFASの一種であるペルフルオロオクタン酸(PFOA)の血中濃度が2倍高まるごとにMASLD発症のオッズが2.7倍上昇するとの結果が得られたという。米南カリフォルニア大学(USC)ケック医学校ポピュレーションヘルス・公衆衛生科学および小児科学教授のLida Chatzi氏らによるこの研究の詳細は、「Environmental Research」1月1日号に掲載された。 Chatzi氏は、「MASLDは、深刻な健康問題を引き起こすようになるまで、何年にもわたって自覚症状なく進行する可能性がある。思春期に肝臓で脂肪が蓄積し始めると、それが生涯にわたる代謝および肝臓の健康問題の基になってしまいかねない。早期にPFASへの曝露を抑えることができれば、将来の肝疾患の予防につながるかもしれない。これは公衆衛生上、極めて大きなチャンスになる」と述べている。 PFASは炭素とフッ素が強固に結合した化合物で、「永遠の化学物質」との異名の通り、除去や分解は極めて困難である。PFAS化合物は1940年代以降、泡消火薬剤や焦げ付き防止調理器具、食品の包装紙、汚れ防止加工の家具、防水性の衣類など、さまざまな製品に使用されてきた。Chatzi氏らによると、米国人の99%以上で血液中に測定可能なPFASが存在している。また、米国で供給されている飲料水のほぼ半分に、少なくとも1種類のPFAS化学物質が含まれているという。 今回の研究では、USCの2つの先行研究の一環で収集された南カリフォルニア在住の284人(SOLARコホート:8〜13歳の162人、Meta-AIRコホート:17〜23歳の122人)の青少年と若年成人のデータが分析された。全ての参加者が2型糖尿病または過体重の親を持ち、すでに代謝疾患のリスクが高い状態にあった。PFASの血中濃度は血液検査で測定され、肝臓の脂肪量はMRI検査によって評価された。 その結果、PFOAの血中濃度が倍増するごとに、MASLDオッズが約2.7倍(オッズ比2.69、95%信頼区間1.16〜6.26)高まり、この影響は、年齢が高いほど強まることが示された。さらに、喫煙習慣がある若者や、肝臓の脂肪蓄積に関与する遺伝的変異(PNPLA3高リスクアレル)保有者では、そのリスクがさらに高まることも判明した。 Chatzi氏は、「PFAS曝露は肝臓の生物学的機能を阻害するだけでなく、若者の肝疾患リスクにつながる。思春期は特に影響を受けやすい重要な時期であると見られ、肝臓がまだ発達しつつある段階でのPFAS曝露は最も強い影響を及ぼす可能性があることが示唆される」と述べている。 論文の筆頭著者である米ハワイ大学公衆衛生科学分野のShiwen “Sherlock” Li氏は、「特に思春期は発達と成長の重要な時期であることから、PFASがもたらす健康への影響を受けやすい」とニュースリリースの中で指摘。また同氏は、「PFAS曝露は肝疾患だけでなく、いくつかの種類のがんを含むさまざまな有害な健康アウトカムに関連していることが示されている」と述べている。 共著者の1人であるUSCケック医学校ポピュレーションヘルス・公衆衛生科学分野のMax Aung氏は、「この研究結果は、ライフステージに応じたPFAS曝露、遺伝的要因、そして生活習慣要因の相互作用が、MASLDの発症リスクに影響していることを示唆している。遺伝と環境の相互作用について解明を進めることは、MASLDのためのプレシジョン・エンバイロメンタル・ヘルスの発展の一助になる」とニュースリリースの中で述べている。

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第281回 インフルエンザB型増加で再び警報水準に、対策徹底を呼びかけ/厚労省

<先週の動き> 1.インフルエンザB型増加で再び警報水準に、対策徹底を呼びかけ/厚労省 2.在宅医療「頻回・囲い込み」に診療報酬改定で歯止め、訪問看護は1日包括も/厚労省 3.診療報酬改定で看護配置基準を柔軟化、ICT活用を厳格要件化/厚労省 4.わいせつや盗撮で医師・歯科医師28人を行政処分、医師3人が免許取消/厚労省 5.医療保険改革で高額療養費を見直し加速、負担上限を「2年ごと検証」へ/政府 6.電子カルテで患者取り違え、経過観察患者に前立腺全摘出手術/千葉県がんセンター 1.インフルエンザB型増加で再び警報水準に、対策徹底を呼びかけ/厚労省2月6日に厚生労働省は、1月26日~2月1日の第5週に全国約3,000の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者数が1医療機関当たり30.03人となり、警報基準(30人)を超えたと発表した。前週比の約1.8倍で4週連続の増加となり、患者総数は11万4,291人に達した。今シーズンは1度警報水準を下回った後に再び増加しており、1季で2度警報レベルに達するのは少なくとも過去10シーズンで初めてとされる。都道府県別では大分県52.48人、鹿児島県49.60人、宮城県49.02人、山梨県46.97人、千葉県46.08人など22県で警報基準を上回った。その一方で、香川県8.61人、鳥取県9.45人、北海道10.33人は比較的低水準だった。ウイルス型はA型56%、B型44%で、年明け以降はB型の検出割合が増加し、流行再拡大の一因とみられている。B型は学校など集団生活で小児を中心に広がりやすく、嘔吐や下痢など消化器症状を伴う例も報告される。重症例として脳症や筋炎後の腎機能障害がまれに生じうるため注意が必要となる。休校・学級閉鎖は約6,200校に増加した。なお、新型コロナウイルス感染症の定点報告も前週比25%増の2.49人と上昇している。厚労省はマスク着用、手指衛生、換気など基本的対策の徹底を呼びかけ、今後1~2週間は患者増加が続く可能性があるとして警戒を促している。 参考 1)インフルエンザ患者数 前週の倍近くに増加 B型 半数近く占める(NHK) 2)全国インフル定点報告 前週の1.8倍に 1月26日-2月1日(CB news) 3)コロナ新規感染者 前週比25%増 1月26日-2月1日(同) 4)インフルエンザ、再び警報水準に 2度の警報は過去10シーズンで初(日経新聞) 2.在宅医療「頻回・囲い込み」に診療報酬改定で歯止め、訪問看護は1日包括も/厚労省厚生労働省は2026年度の診療報酬改定で、在宅医療を「量の拡大」から「必要性に見合う質と適正化」へ転換する方針を示した。1月30日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で提示された個別改定項目では、通院可能にもかかわらず頻回の訪問診療を受けるケースや、高齢者住宅に併設・隣接する訪問看護ステーションが同一建物内で短時間に多数利用者を回ることで報酬が膨らむような過度な同一建物対応に歯止めをかける。訪問診療では、在宅時医学総合管理料(在医総管)・施設入居時等医学総合管理料(施設総管)の高い評価を、末期がんや要介護度の高い患者を一定割合以上診療する医療機関に限定し、医療・介護ニーズの低い患者への頻回訪問を抑制する。24時間往診体制の評価も、自院での実働体制や連携・委託の関与度に応じてメリハリを付ける。看取り実績の高い在宅療養支援診療所(在支診)・在宅療養支援病院(在支病)の評価は「在宅医療充実体制加算」へ再編し、地域の24時間体制を面的に支える往診時医療情報連携加算の対象も拡大する。また、訪問看護では、同一建物居住者への評価を細分化し、人数が多い区分は月内訪問日数で段階化、20分未満は算定不可とする。さらに併設・隣接ステーションが高齢者住まいに頻回提供する場合、利用者数と1日当たり提供時間に応じた「包括型訪問看護療養費(1日定額)」を新設し、同日の回数増で報酬が伸びにくい仕組みとする。その一方で、情報通信技術(ICT)による情報共有を評価する訪問看護医療情報連携加算など質向上策も導入する。背景には同一建物での訪問看護急増や高収益事例への問題意識がある。運営基準では値引き誘引や紹介対価、特定施設への誘導を禁止し、安全管理と記録の正確性を求める。事業継続計画(BCP)策定や残薬管理、電子処方せん活用も要件化される。詳細は告示・通知待ちだが、契約・記録・連携体制の再点検が急務となる。 参考 1)個別改定項目について(厚労省) 2)在宅医療「もうけすぎ」にメス 診療報酬見直し、高齢者囲い込み防止(日経新聞) 3)2026年度診療報酬改定でも、「適切な形の在宅医療」が量・質の双方で拡大することを目指した対応図る(Gem Med) 4)訪問看護ステーションが隣接等の高齢者住まい居住者に行う訪問看護を「1日当たり包括」療養費で評価(同) 5)在宅医療巡り病院・診療所にBCP策定義務化へ…厚労省、災害時の地域連携促す(読売新聞) 6)高齢者住まい等への頻回訪問に包括評価を導入(日経メディカル) 3.診療報酬改定で看護配置基準を柔軟化、ICT活用を厳格要件化/厚労省2026年度診療報酬改定で、厚生労働省は病院の看護配置基準を「人手不足への救済」と「医療DXによる業務量削減」を前提に柔軟的な設定とする。突発的な欠員で夜勤時間などが一時的に基準から外れても、超過が1割以内で3ヵ月を超えない場合は、入院基本料などの施設基準の変更届を不要とする方向で、感染症対応の特例を人材不足にも広げ、恒久化も視野に入れる。対象は平時からハローワークや都道府県ナースセンターなどの公的紹介を活用し、求人票の提示など採用努力を行う医療機関とし、民間紹介会社の高額手数料による経営圧迫も抑えたい考え。加えて、見守り、記録作成、職員間情報共有などでICT機器を病棟で広く活用し、超過勤務が平均10時間以下で増加傾向がないこと、導入前後の業務量評価・安全配慮、調査への協力など複数の要件を満たす場合、看護要員数や看護師比率等を「基準の9割以上(最大1割減)」でも基準充足と扱い、急性期一般入院料や7対1・10対1、地域包括医療病棟、緩和ケア病棟などに適用する方針。さらに医師事務作業補助者も、生成AIによる退院サマリー・診断書・紹介状などの原案作成、音声入力、RPA、説明動画活用などを条件に、配置要件の見直し(緩和)も検討する。急性期医療機関では救急搬送・全麻手術件数を要件とする新たな入院基本料(A・B)も構想され、看護必要度は項目追加や救急応需状況の反映で基準見直しが議論されている。看護職は全体では増加傾向でも、病院就業者は減少し、求人倍率も高い。算定要件を満たせず収入が落ちる事態を避け、夜勤負担の軽減と地域医療の持続を図る狙い。看護職就業者は2023年時点で約174.6万人、需要推計は2025年約180.1万人とされ、病院就業者は約98.7万人まで減少。日本病院団体協議会は、ICT前提の緩和と一時救済を歓迎している。その一方で、患者安全と効果検証のデータ提出が求められており、今後、医療現場での投資と運用体制が鍵となる。 参考 1)病院の看護職員、必要数を緩和 人手不足の施設の経営安定後押し(日経新聞) 2)ICT利活用・適切な業務遂行等の厳格な要件を前提として「看護職員や医師事務作業補助者の柔軟配置」を認める(Gem Med) 3)ICT利活用により看護師業務負担が減少、この分の看護配置基準柔軟化は病院団体として歓迎-日病協・望月議長・神野副議長(同) 4)救急・手術件数を評価する急性期病院一般入院基本料を新設(日経メディカル) 4.わいせつや盗撮で医師・歯科医師28人を行政処分、医師3人が免許取消/厚労省厚生労働省は2月4日、医道審議会医道分科会の答申を受け、刑事事件で有罪判決を受けるなどした医師16人、歯科医師12人の計28人に対する行政処分を決定した。内訳は免許取消5人、業務停止22人(3ヵ月~2年6ヵ月)、戒告1人で、2月18日に発効する。別途10人には行政指導(厳重注意)が行われた。このうち免許取消は、児童へのわいせつ行為や健診時の盗撮、診療報酬詐欺や脱税などの事案で有罪が確定した医師3人と歯科医師2人。業務停止は収賄、詐欺、薬物関連、暴行・傷害、迷惑行為防止条例違反、道路交通法違反など理由は多岐に及ぶ。2025年12月3日の医道審議会の議事要旨では、医師16件中、免許取消1件、停止3年~3ヵ月の各処分、戒告3件とされたほか、歯科医師7件で免許取消3件、停止7~3ヵ月が答申された。また、元医師1人の再免許付与については適当とする答申は出されなかった。処分は医療への信頼確保を目的とし、医療機関には不祥事の予防とガバナンス、コンプライアンス教育の徹底が改めて求められる。さらに、健診や学校現場での診療行為における倫理遵守、金銭・契約関係の透明化、薬物・交通事案を含む私生活上の法令順守も含め、組織的な再発防止策の整備が重要となる。今回の一連の処分では、刑事有罪事案が中心であり、医師個人の資質管理に加え、採用時のバックグラウンド確認や通報体制の整備など、医療機関側のリスク管理体制の実効性が問われている。 参考 1)医道審議会医道分科会議事要旨(厚労省) 2)医師、歯科医師28人処分 免許取り消しや業務停止(共同通信) 3)厚労省、医師・歯科医師28人の処分決定 免許取り消しや業務停止(毎日新聞) 5.医療保険改革、高額療養費を「2年ごと検証」へ 患者自己負担増の時代に/政府政府が検討する医療保険改革法案で、高額療養費制度の患者負担上限を「少なくとも2年ごとに検証」する規定が新設される見通しとなった。医療費総額の抑制を目的に、上限額が定期的に引き上げられる可能性がある一方で、決定に当たっては「長期治療患者の家計影響を考慮する」と明記する。昨年末には上限を来年8月までに最大38%引き上げる方針が示され、給付抑制で保険料負担を軽くする狙いだ。併せて、出産費用の無償化(分娩費の全国一律化と保険適用)や、OTC類似薬に薬剤費25%を上乗せする新制度、75歳以上の金融所得の保険料・窓口負担への反映徹底も盛り込む。こうした「負担と給付」の再設計が進む中、がん医療では費用の見える化が始まった。日本肺癌学会は『肺がん診療ガイドライン(Web版)』の付録に薬物療法別の薬剤費一覧(保険適用前)を掲載した。術後補助療法では、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が月56万円×3年で約2,030万円、アレクチニブ(同:アレセンサ)は月168万円×2年で約4,032万円、アテゾリズマブ(同:テセントリク)は総額902万円、再発小細胞肺がんの二重特異性抗体タルラタマブ(同:イムデトラ)は1年で約3,184万円と示している。推奨度の根拠には用いないが、患者から費用を問われた際の説明材料とし、今後の制度変更で自己負担が増え得る現実を共有する狙いがある。日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)が、臨床研究の医療経済評価を基本方針化するなど、効果・安全性に加え「費用と持続可能性」を臨床判断に組み込む動きが広がっている。高額療養費は、重い疾患ほど利用頻度が高く、上限の見直しは治療継続や就労、家族介護に直結する。こうした高額な医薬品を用いた医療を提供する医師は、治療選択肢の効果・副作用に加え、想定される自己負担の幅(多数回該当、年間上限など)について患者への説明責任が一段と増す。同時に、薬価・給付の議論は選挙の争点化も進むため、現場から実データを発信しつつ、費用対効果と公平性の両立を問う姿勢が求められる。治療内容のみならず、診療費用の自己負担についての情報提供が、今後いっそう重要になる。 参考 1)高額療養自己負担、2年ごと検証(共同通信) 2)医療保険制度を維持するには 医療費削減で患者が負担? 高額療養費制度の見直しで治療を受けられない恐れも(中日新聞) 3)年収700万円の人なら約3万円の負担増!「高額療養費の見直し」再燃で、8月からどう変わる?(ダイヤモンドオンライン) 4)肺がん診療指針に薬剤費の一覧、数千万円の治療も 見える化の狙いは(朝日新聞) 6.電子カルテで患者取り違え、経過観察患者に前立腺全摘出手術/千葉県がんセンター千葉県がんセンターは2026年2月6日、60代男性患者に対し、検査結果の取り違えにより不要な前立腺全摘出手術を行った、医療事故を公表し、患者に謝罪した。事故は2025年に発生。男性は前立腺生検の結果、経過観察が妥当とされていたが、検査を担当した医師が、同日に別患者から得られた悪性度の高い前立腺がんの病理結果を、誤って当該患者の電子カルテに貼り付けた。主治医は、この誤った情報を基に高リスク前立腺がんと診断し、約3ヵ月後に前立腺全摘出および骨盤内リンパ節切除を実施した。手術後、摘出組織の病理所見がカルテ記載と大きく異なることに主治医が気付き、調査の結果、検査結果の取り違えが判明した。患者の身体には手術に起因するとみられる影響が出ているが、詳細は公表されていない。病院は賠償について協議中としている。その一方で、検査結果を誤って外された別患者には、主治医が原本確認を行っており、治療への影響はなかった。同センターでは、11年前にも乳がん検査結果の取り違えによる誤切除事故が発生しており、再発防止が課題となっていた。病院は外部委員を含む医療安全調査委員会を設置し、電子カルテへの検査結果貼付時の患者確認、主治医による原本確認の徹底など、原因究明と再発防止策を検討するとしている。 参考 1)千葉県がんセンターにおけるアクシデントの発生について(千葉県) 2)検査結果取り違え前立腺摘出 電子カルテ誤追記、千葉県がんセンター(朝日新聞) 3)千葉県がんセンター 検査結果取り違え不必要手術 患者に謝罪(NHK) 4)千葉県がんセンター、誤って前立腺摘出 60代男性を別患者と取り違え(日経新聞)

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事例41 胃腸炎への抗生物質製剤の査定【斬らレセプト シーズン4】

解説事例の診療所では、風邪から派生したと考えられる胃腸炎であっても、必要があれば経口用セフェム系製剤を投与していました。今回、C事由(医学的理由による不適当)にて査定となりました。査定理由を調べるためにカルテを参照しました。咽頭に発赤がある旨と下痢が複数回あったとの記録がありました。医師は、単なる感冒はウイルス性疾患であり、いわゆる抗生物質製剤は有効ではなく、他に必要性があると判断した場合に投与できることを承知されていました。添付文書を調べてみたところ適応に「咽頭・喉頭炎」と類似の病名がありました。事例には「咽頭・喉頭炎」が表示されていないために査定となったものと考えましたが、類似と考えられる「感冒性」が表示されているので適応があると考えられたのではないかと推測しました。しかしながら、支払基金の審査基準である「審査の一般的取り扱い」に、「支払基金・国保統一事例651(令和7年8月29日)」として、「感冒性胃腸炎」には「抗生物質製剤【内服薬】又は合成抗菌薬【内服薬】の算定は、原則として認められない」とあります。この基準に基づき査定となったものと推測できます。他には、感冒、小児のインフルエンザ、小児の気管支喘息、感冒性胃腸炎、感冒性腸炎、慢性上気道炎、慢性咽喉頭炎のみの病名では抗生物質製剤または合成抗菌薬の算定が認められない病名として列記されていました。医師には、この基準を伝えて、抗生物質製剤または合成抗菌薬を投与する場合は、医学的必要性がわかる病名を付与していただくようにお願いして査定対策としています。

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英語で「脱水症」って?インバウンド客にも多い訴え【患者と医療者で!使い分け★英単語】第49回

医学用語紹介:脱水(脱水症)dehydration救急外来に来る外国人の患者さんの中には、旅行中に「脱水(脱水症)」になって搬送されるケースも多いのではないでしょうか。脱水症を表す医学用語はdehydrationですが、ほかにどのように説明できるでしょうか?講師紹介

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不思議の国のアリス症候群、特定の薬剤が関連か

 不思議の国のアリス症候群(Alice in Wonderland syndrome:AIWS)は、物体や人の大きさが変わって見える、体が宙に浮くような感覚、時間の歪みなどの視覚的・知覚的歪みを伴う神経疾患である。従来から片頭痛やてんかん発作との関連が指摘され、その後、腫瘍や感染症、さらには薬物との関連も報告されている。フランス・ニース大学病院のDiane A. Merino氏らによる研究グループは、世界保健機関(WHO)の医薬品安全性データベースを解析した結果、モンテルカストやアリピプラゾールなどの特定の薬剤がAIWSの発現に関与している可能性を明らかにした。Psychiatry Research誌2026年2月号に掲載。 本研究では、1967年~2024年12月15日までにWHO医薬品安全性データベースVigiBaseに登録されたAIWS症例を抽出し、小児(0〜17歳)と成人(18歳以上)に分けて不均衡分析を実施した。AIWSと薬剤の関連性は、シグナル指標としてInformation Component(IC)と95%信頼区間(CI)を算出し、95%CIの下限値(IC025)が正の値を示す場合をシグナルが検出されたとみなした。 主な結果は以下のとおり。・抽出されたAIWS 87例のうち、小児は26例(29.9%)で平均年齢7.1歳(標準偏差[SD] 4.0)、成人は45例(51.7%)で40.6歳(SD 13.0)であった。・56例(64.4%)が重篤と判断された。転帰が判明している症例のうち43例(79.6%)が回復または回復中であることが確認された。・小児群では、喘息・アレルギー治療薬のモンテルカスト(IC:3.2、95%CI:1.7~4.2)および注意欠如・多動症(ADHD)治療薬のメチルフェニデート(IC:2.3、95%CI:0.3~3.5)において有意なシグナルが検出された。・成人群では、抗うつ薬のセルトラリン(IC:3.4、95%CI:2.1~4.4)、抗てんかん薬のトピラマート(IC:3.1、95%CI:1.3~4.2)、抗精神病薬のアリピプラゾール(IC:3.6、95%CI:2.5~4.4)、およびモンテルカスト(IC:2.7、95%CI:0.7~3.9)に有意な関連が認められた。・新型コロナウイルスワクチンも頻繁に報告されていたが(17例、19.5%)、統計的に有意なシグナルは検出されなかった(IC:0.63、95%CI:-0.26~1.31)。一方で、髄膜炎菌ワクチンについては有意なシグナルが認められた(IC:2.7、95%CI:1.2~3.7)。 本研究により、メチルフェニデートやモンテルカストといった特定の薬剤が年齢層に応じてAIWSを引き起こすトリガーとなる可能性が示唆された。著者らは、AIWSは通常、薬剤の投与中止により回復するが、視覚的・知覚的歪みの症状が患者に混乱をもたらす可能性があるため、慎重なリスク・ベネフィット評価が必要であり、本研究は自発報告データベースに基づくため、今後さらに大規模な集団ベースの調査が必要だとまとめている。

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