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2021.

抗精神病薬でけいれん発作リスクが増大する疾患は

 スイス・バーゼル大学のMarlene Bloechliger氏らは、統合失調症、情動障害、認知症患者における抗精神病薬の使用と初回けいれん発作発生との関連を検討した。その結果、情動障害患者では、中~高力価第1世代抗精神病薬の使用は抗精神病薬非服用に比べけいれん発作のリスクを2.5倍に増加したが、その他の抗精神病薬使用とけいれん発作との関連は認められなかった。また認知症患者では、アミスルプリド、アリピプラゾール、リスペリドン、スルピリドを除く抗精神病薬で、その使用がけいれん発作リスクを増大させる所見が示されたことを報告した。CNS Drugs誌2015年7月号の掲載報告。 研究グループは、1998~2013年のUK-based Clinical Practice Research Datalinkデータベースを用いて、コホート内症例対照分析法による追跡研究を実施した。統合失調症、情動障害、認知症患者を特定し、けいれん発作誘発可能性が示唆されている4種の抗精神病薬――(1)オランザピンまたはクエチアピン、(2)アミスルプリド、アリピプラゾ-ル、リスペリドンまたはスルピリド、(3)低~中力価の第1世代抗精神病薬(クロルプロマジン、ズクロペンチキソール、フルペンチキソール、ペリシアジン、プロマジン、チオリダジン)、(4)中~高力価の第1世代抗精神病薬(ハロペリドール、プロクロルペラジン、トリフロペラジン)を服用している患者、および抗精神病薬を非服用患者における、けいれん発作の発生頻度を推定した。交絡調整のため、情動障害または認知症患者におけるけいれん発作のオッズ比を、抗精神病薬の使用と使用時期で層別化し、独立して推測した。 主な結果は以下のとおり。・コホートの総患者数は6万121例であった。・それらのけいれん発作頻度は、1万人年当たり、(1)オランザピンまたはクエチアピン使用者で32.6(95%信頼区間[CI]:22.6~42.6)、(2)アミスルプリド、アリピプラゾール、リスペリドンまたはスルピリド使用者で24.1(同:13.2~34.9)、(3)低~中力価の第1世代抗精神病薬使用者で49.4(同:27.7~71.0)、(4)中~高力価の第1世代抗精神病薬使用者で59.1(同:40.1~78.2)、そして抗精神病薬非服用患者では11.7(同:10.0~13.4)であった。・認知症患者は、抗精神病薬使用の有無にかかわらず、情動障害患者と比べ初回けいれん発作の発生頻度が有意に高かった。・情動障害患者では、非服用者と比べ(3)低~中力価の第1世代抗精神病薬使用が、けいれん発作のリスク増加と関連したが(調整オッズ比:2.51、95%CI:1.51~4.18)、他の抗精神病薬の使用との関連は認められなかった。・認知症患者においては、非服用者と比べ(1)オランザピンまたはクエチアピンの使用(調整オッズ比:2.37、95%CI:1.35~4.15)、(3)低~中力価の第1世代抗精神病薬の使用(同:3.08、1.34~7.08)、(4)中~高力価の第1世代抗精神病薬の使用(同:2.24、1.05~4.81)は、けいれん発作のリスク増加と関連したが、(2)アミスルプリド、アリピプラゾール、リスペリドンまたはスルピリドの使用との関連は示されなかった(同:0.92、0.48~1.75)。・統合失調症患者における抗精神病薬の使用に関しては、対象数が少なく検討できなかった。関連医療ニュース 抗精神病薬の適応外処方、年代別の傾向を調査 せん妄患者への抗精神病薬、その安全性は 認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加  担当者へのご意見箱はこちら

2022.

統合失調症、心臓突然死と関連するプロファイルは

 統合失調症患者の心臓突然死(SCD)には、心血管プロファイルと服用する抗精神病薬の因子のほかに、身体的攻撃性が重大なリスク因子として関与していることが明らかにされた。台湾市立病院精神科医療センターのPing-Yi Hou氏らが、大規模患者コホート研究にて、SCDの発生率とリスク因子を調査し報告した。統合失調症患者は早期死亡リスクが高く、その潜在的要因としてSCDへの注目が増していた。Schizophr Research誌オンライン版2015年7月22日号の掲載報告。 検討は、1985年1月1日~2008年12月31日までに台湾北部の精神科医療センターで統合失調症(DSM-III-R、DSM-IV基準による)と診断された連続患者8,264例を対象に行われた。国の死亡データベースとリンクし、64件のSCD症例を特定し、標準化死亡比(SMR)を推算。リスクセットサンプリングを用いて1対2で無作為に選んだ対照と適合して評価した。各被験者の社会人口統計学的および臨床的特徴、処方薬のデータを集めて、標準化されたカルテレビューを行い、多変量条件付きロジスティック回帰分析にて、指標入院時および直近入院時のSCDの相関性を調べた。 主な結果は以下のとおり。・SCDのSMRは、4.5であった。・指標入院時にSCDリスクとの関連が認められた臨床的プロファイルは、身体的疾患(補正後リスク比[aRR]:2.91、p<0.01)、攻撃行動(同:3.99、p<0.01)であった。・直近入院時に関しては、心電図異常(aRR:5.46、p<0.05)、第1世代抗精神病薬(同:5.13、p<0.01)がSCDリスク上昇と関連していた。また、攻撃行動(同:3.26、p<0.05)もリスク増大と関連しており、同要因の一貫した関連が認められた。関連医療ニュース 抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか 統合失調症患者の突然死、その主な原因は 認知症への抗精神病薬使用は心臓突然死リスクに影響するか

2023.

うつ病へのボルダリング介入、8週間プログラムの成果は

 うつ病は、先進国における最も一般的な疾患の1つである。そして、うつ病患者の身体活動は、重要な治療介入であると考えられる。ロッククライミングやボルダリングは、うつ病治療に有用であると考えられる多くの側面を有しているが、うつ病患者に対するボルダリングのグループ介入の研究はほとんど行われていなかった。ドイツ・フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクのKatharina Luttenberger氏らは、ボルダリングによる心理療法的介入の8週間プログラムを開発し、その介入効果を評価した。BMC psychiatry誌2015年8月25日号の報告。 ボルダリング介入は、週に1回3時間を8週間実施した。参加者は、介入群と待機群の2群に無作為に割り付けられた。介入群は、ベースライン測定直後よりボルダリング介入を実施し、非介入群は通常治療8週間後よりボルダリング介入を行った。8週間隔で4測定点において、ベックうつ病評価尺度-II(BDI-II)、症状チェックリスト-90-R(SCL-90)、リソースと自己管理スキルに関するアンケート(FERUS)、注意テストd2-Rを実施した。合計47例が試験を完了し、データは記述統計学を用い分析した。エフェクトサイズはCohen's dを用い算出した。主要仮説は、回帰分析と治療必要数(NNT;BDI-IIにおける6点以上の改善)にて算出した。 主な結果は以下のとおり。・ボルダリング介入8週間後、うつ病の指標でプラスの効果が認められた(BDI-II:Cohen's d=0.77)。これは、唯一有意なうつ病の症状変化の予測因子として、グループの回帰分析で示された(p=0.007)。・NNTは4であった。・本知見は、ボルダリング介入がうつ病の効果的な治療法である可能性を示す最初の報告であり、さらなる研究が必要である。関連医療ニュース うつ病にダンスセラピー、その効果は 少し歩くだけでもうつ病は予防できる 日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project  担当者へのご意見箱はこちら

2024.

レビー小体型とアルツハイマー型を見分ける、PETイメージング

 レビー小体型認知症(DLB)とアルツハイマー型認知症(AD)の鑑別診断において、PETイメージングによる脳内のアセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性を測定する方法が有用である可能性が示された。国立研究開発法人放射線医学総合研究所分子イメージング研究センターの島田 斉氏らが検討を行った結果、AD患者と比較してDLB患者では一貫して顕著な脳内コリン作動性障害がみられたという。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2015年8月17日号の掲載報告。 研究グループは、脳AChE活性測定の診断能を調べるため、DLB患者とAD患者で、[11C]MP4A PETイメージング法を用いた検討を行った。DLB患者14例とAD患者25例、および年齢で適合した健常対照(HC)18例を対象とし、全被験者にMP4A PETスキャンを行い、脳内局所のAChE活性を測定した。スキャン画像の解剖学的標準化を行い、k3値、AChE活性指数を、ボクセルごとに非線形二乗法分析によって推算した。関心領域(Volumes of interest:VOI)は、正面、側頭、頭頂、後頭皮質および前方と後方の帯状束回(ACGとPCG)で、パラメトリックk3イメージで同定した。そしてVOIごとに、k3値によるADとDLBの鑑別診断能を、ROC曲線下面積(AUC)で評価した。ボクセルベースの統計学的分析も行った。 主な結果は以下のとおり。・皮質AChE活性の平均値は、AD患者(HCとの比較で-8.2%)およびDLB患者(-27.8%)ともにHCより有意に低かった(それぞれp<0.05、p<0.001)。・また、AD患者とDLB患者との間に、皮質平均AChE活性の有意な差が認められた(p<0.001)。・ACG以外の同定VOIのすべての局所において、脳AChE活性の測定により、DLBとADを区別することが可能だった。とくにPCGにおける診断能が最も有意であった(AUC=0.989、95%CI:0.965~1.000)。関連医療ニュース 認知症、アルツハイマー型とレビー小体型の見分け方:金沢大学 うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 統合失調症と統合失調感情障害、鑑別のポイント  担当者へのご意見箱はこちら

2025.

双極性障害の喫煙率、うつ病統合失調症と比較すると

 米国・ケンタッキー大学のJames G Jackson氏らは、世界規模の論文複合解析を行い、双極性障害と喫煙との関連について調べた。その結果、双極性障害では一般集団と比べて現喫煙者が多いこと、喫煙経験(開始)が多い一方で、禁煙者は少ないことが明らかになった。また、双極性障害患者の喫煙行動の頻度は、うつ病統合失調症の中間に位置し、統合失調症で最も高頻度であったなども示された。Bipolar Disorders誌オンライン版2015年8月4日号の掲載報告。 本検討で研究グループは、(1)双極性障害患者は、一般集団と比べて喫煙行動との関連が認められる、(2)双極性障害患者の喫煙行動率は、うつ病患者と統合失調症患者の中間程度である、との2つの仮説を立て検証した。PubMed検索または上席著者の論文コレクションから、成人喫煙者に関する論文56本を複合解析に組み込み、双極性障害患者 vs.対照群の現喫煙者、現喫煙の重度喫煙者、喫煙者だが禁煙中、喫煙経験者の各オッズ比(OR)と95%信頼区間[CI]値を算出し評価した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害vs.一般集団の現喫煙者の複合OR(16ヵ国51試験に基づく)は、3.5(95%CI:3.39~3.54)であった。・データは限定的であったが、禁煙者のORは0.34(95%CI:0.31~0.37)、喫煙経験者のORは3.6(95%CI:3.30~3.80)であった。・双極性障害 vs.統合失調症の現喫煙者の複合OR(10ヵ国20試験)は、0.76(95%CI:0.74~0.79)であった。・喫煙経験者は、統合失調症よりも双極性障害で少ないと言える(OR:0.83、95%CI:0.75~0.91)。・双極性障害 vs.うつ病の現喫煙者の複合OR(7ヵ国18試験)は、2.05(95%CI:2.00~2.10)であった。・喫煙経験者は、うつ病よりも双極性障害で多いと言える(OR:1.5、95%CI:1.40~1.70)。一方で禁煙者は、双極性障害のほうがうつ病よりも少ない可能性がある(OR:0.51、95%CI:0.45~0.59)。関連医療ニュース 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか 精神疾患発症と喫煙の関連性 統合失調症と双極性障害、脳の違いはどこか  担当者へのご意見箱はこちら

2026.

軽度うつ病患者の大うつ病予防効果を検証するRCTは実施可能か

 大うつ病の基準に満たない持続性抑うつ症状は、大うつ病に進行するリスクの高い慢性状態を表す。それら抑うつ患者や軽度うつ病に対する、人間中心療法(Person-Centred Counselling)や低強度の認知行動療法といった心理療法のエビデンスは限られており、とくに長期アウトカムは限定的であった。ブラジルのジュイス・デ・フォーラ連邦大学のElizabeth Freire氏らは、大うつ病の基準に満たない抑うつ症状および軽度うつ病患者を対象とした心理療法に関する無作為化対照試験の、実行可能性について検証を行った。BMC Psychiatry誌2015年8月15日号の掲載報告。 パイロット/実行可能性試験であった本検討は、被験者募集登録率、ベースラインから6ヵ月時点でのアドヒアランスと継続(非脱落)率を主要評価項目とした。また重大副次評価項目として、6ヵ月時点でのうつ病回復またはうつ病発症予防とし、これらの評価は被験者の治療状況を盲検化したうえで独立した評価者が構造化臨床面接により行った。5件の一般診療所(GP)で36例の患者が登録され、週1回8週にわたる人間中心療法のセッションを受ける群(各々最大1時間)と、週1回8週にわたる認知行動療法(毎回20~30分間、電話サポートでリソースの活用を促す)のセッションを受ける群に無作為に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・GPの患者数からみた被験者登録率は1.8%であった。・両群の介入に関して、患者は平均5.5セッション参加した。・追跡6ヵ月時点の評価に組み込まれた患者は、72.2%であった。・6ヵ月時点で評価が行われた被験者のうち、ベースライン時に軽度うつ病と診断された被験者の71.4%で回復が認められ、ベースライン時に持続性うつ病と診断された被験者のうち66.7%は大うつ病への進行を認めなかった。・6ヵ月時点での回復およびうつ病発症予防、その他のいずれのアウトカムにおいても、治療群間で有意な差は認められなかった。・以上から、被験者登録は実行可能であり、プライマリケア設定で大うつ病の基準に満たない患者および軽度のうつ病患者に対して、人間中心療法と認知行動療法はいずれも提供可能であることが示された。・ただし、GPでの登録には多大な労力を要することも示唆された。・本研究は、短期間の人間中心療法と低強度の認知行動療法は有効であると思われること、その効果については、医療経済面の評価を含む大規模無作為化対照試験で評価すべきであることを示唆するものであった。関連医療ニュース うつ病の精神療法、遠隔医療でも対面療法と同程度 日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project 自殺リスク評価の無作為化試験は実施可能なのか  担当者へのご意見箱はこちら

2027.

なぜ高齢期うつ病は寛解率が低いのか

 うつ病およびうつ症状は高齢者に高頻度に認められるが、潜在的に可逆的である。うつ病エピソードの治療における主な目標は完全回復である。高齢期のうつ病(DLL)患者を対象とした観察研究では、反応および寛解という観点において、臨床試験に比べ予後不良であることが示されているが、DLLの経過に関する観察研究はほとんどなかった。ノルウェー・Innlandet Hospital TrustのTom Borza氏らは、DLL患者を対象とした観察研究を行い、寛解または症状の改善に関する治療経過について検討した。その結果、うつ病エピソードの既往、健康状態不良、認知症の併存などが、寛解率の低さや症状改善が小さいことと関連していることを明らかにした。結果を踏まえて著者らは、「臨床医が治療の評価を行う際は、これらの因子にとくに注意を払うべきである」と述べている。BMC Psychiatry誌2015年8月5日号の掲載報告。 研究グループは、モンゴメリ・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)を用いて評価した反応、寛解、症状特異的な変化という観点からDLLの経過を検討し、反応と寛解に関連する臨床的変数を探索した。ノルウェーの専門医療サービスの高齢者精神科でうつ病治療を勧められた60歳以上の患者を対象とし、多施設前向き観察研究を行った。入院時から退院時までMADRSを用いて評価。エフェクトサイズ(ES)を算出し、治療期間中にMADRSのどの症状変化が最も大きいかを判定した。MADRSスコア(連続変数)の変化および寛解・反応(二値変数)の予測因子を評価するため、施設内のクラスター効果を調整した回帰モデルを推定した。 主な結果は以下のとおり。・入院期間中のMADRSは、平均値68、中央値53、最小値16、最大値301であった。・患者145例のうち、99例(68.3%)が治療に対し反応を示した(MADRSスコア50%以上の改善)。・74例(51.0%)に寛解(退院時のMADRSスコア9以下)が認められた。・治療期間中、MADRSの項目のうち「自己報告による悲しみ(ES=0.88)」「倦怠感(ES=0.80)」が最大の改善幅を示した。「集中困難(ES=0.50)」の改善幅が最小であった。・認知症の診断は、治療期間中の低い寛解率、MADRSスコアの改善が小さいことと関連していた。・健康状態不良は、低い反応率と関連した。・うつ病エピソードの既往は、低い寛解率と関連していた。関連医療ニュース 注意が必要、高齢者への抗コリン作用 抗精神病薬の治療域、若年者と高齢者の差はどの程度か SPECT画像診断で大うつ病高齢者のSSRI有効性を予測:大分大  担当者へのご意見箱はこちら

2028.

統合失調症治療、安定期の治療継続は妥当か

 抗精神病薬の継続的な治療は、すべての統合失調症患者に対するゴールドスタンダードの治療パラダイムとして推奨されているが、安定状態にあるすべての統合失調症患者に対し継続的な抗精神病薬が必要なのか、またそれが理にかなっているのか疑問を抱く臨床医も少なくない。ベルギーのルーヴェン・カトリック大学精神科センターのMarc De Hert氏らは、安定状態にある統合失調症患者に対し、治療の継続が妥当であるか否かを明らかにするシステマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、治療継続は、プラセボおよび治療中断に比べて再発リスクが低く、再発までの期間も長いことを報告した。CNS Drugs誌オンライン版2015年8月21日号の掲載報告。 本検討は、(1)統合失調症患者における再発/入院リスクを治療継続、治療中断、プラセボ投与で比較する、(2)再発リスクと治療状況との関連について、複数の研究特性を調べる、(3)再発までの期間と抗精神病薬による治療期間との関連性を調べることが目的であった。MEDLINE(1950~2014年11月まで)により系統的文献検索を行った。試験適格基準は、安定状態にある統合失調症患者を対象とし、再発/再入院または再発までの期間を、プラセボまたは治療中断と、治療継続[経口および持効性注射剤の第1または第2世代抗精神病薬(FGA/SGA)による治療]とで比較した無作為化対照試験で、6ヵ月以上のフォローアップが行われており、英語で発表されたものとした。また、他のシステマティックレビューやコクランレポートの参考文献を検索し、追加の研究を選定した。2件のメタ解析(プラセボ vs.継続、中断 vs.継続)を実施し、これら治療下で安定している統合失調症患者における再発/入院リスクの最適評価を行い、研究特性の役割を検証した。再発までの期間のデータに関しては、記述的分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析に適格と思われた48件の報告が同定され、そのうち21件が適格基準を満たした。・さらに、コクランおよびその他のシステマティックレビューで特定され、適格基準を満たした25件のデータを追加し、結果的に合計46件の報告が解析に組み込まれた。・治療期間6ヵ月以上の安定状態にある統合失調症患者の再発リスクは、治療継続群に比べて、治療中断群は3倍(オッズ比[OR]:3.36、95%信頼区間[CI]:2.36~5.45、p<0.0001)、プラセボ投与群は6倍(OR:5.64、95%CI:4.47~7.11、p<0.0001)高かった。・全試験を通して救済治療の有用性(p=0.0102)が、プラセボ群 vs.治療継続群の再発ORに関する系統的な差異を説明できる唯一の試験特性であった。・再発までの期間を報告した複数の試験で、再発(徴候)までの期間は、プラセボ群または治療中断群と比べて、治療継続群において一貫して有意な延長が認められた。・治療中断から症状再発までの期間は、ばらつきが大きかった。・臨床的安定の失敗を示す再発までの期間平均値は、治療中断では7~14ヵ月、プラセボでは5ヵ月早まっていることが示唆された。・解析に組み込んだすべての報告において、治療継続群において試験終了までに再発した患者が50%未満であったため、同群の再発までの期間中央値は評価できなかった。・治療継続は、プラセボおよび治療中断に比べ再発リスクが低く、無再発期間を延長した。また、治療中断群の“成功率”は、実際の成功率より高く見積もられていると思われた。・現時点では統合失調症の潜在的な再発予測因子はほとんど確認されておらず、再発が統合失調症患者における治療抵抗性のみならず機能悪化を惹起する可能性も示唆されることから、継続治療が、良好な臨床診療の“ゴールドスタンダード”であると思われる。関連医療ニュース 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か 統合失調症患者の抗コリン薬中止、その影響は ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

2029.

統合失調症の推定生涯有病率、最新値は何%

 統合失調症の有病率に関する研究結果は一貫性に欠けており、最近のシステマティックレビューはない。そこで米国・Evidera社のJason C Simeone氏らは、住民ベースの最新の有病率を推定し、推定有病率の変動に関する要因を解明することを目的にシステマティックレビューを行った。結果、推定生涯有病率は約0.5%であることを示した。本レビューについて著者らは「統合失調症に関する疫学の最新情報であり、研究間の推定有病率の差異を明らかにした点に意義があるだろう」と述べたうえで、「全体としてエビデンスはまだ少なく、新たな研究は確認されなかった」とまとめている。BMC Psychiatry誌オンライン版2015年8月12日号の掲載報告。 研究グループは、MEDLINE、Embase、PsycInfoを用い2003~2013年に発表された一般住民における統合失調症の有病率に関する観察研究を検索し、1990~2002年のレビュー論文も追加した。施設入所者、ホームレス等の特殊集団における推定有病率に関する報告は除外して評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・レビューには65試験が組み込まれた。うち31件(48%)は欧州で行われ、35件(54%)は5万例以上を対象としていた。・12ヵ月間の推定有病率中央値は0.33%、四分位範囲(IQR)は0.26~0.51%であった(21試験)。・推定生涯有病率中央値は0.48%(IQR:0.34~0.85%)であった(29試験)。・有病率は、研究デザイン、地理的地域、評価時期よび研究の質のスコアによって異なったが、サンプルサイズと有病率との関連はみられなかった。・年齢調整推定有病率は粗推定有病率より17~138%高値であった(9試験)。・狭義の統合失調症と比較し、より広義の統合失調症スペクトラム障害の定義を使用すると、同定された症例は18~90%増加した(6試験)。・入院患者のみにおける生涯有病率は、あらゆる受診患者と比較して60%低かった(2試験)。・一貫した傾向は、診断基準の違いのため認められなかった。関連医療ニュース 呼称変更から12年、統合失調症への偏見は軽減されたのか:東京大学 双極性障害患者の約半数が不安障害を併存 統合失調症の同胞研究、発症と関連する脳の異常  担当者へのご意見箱はこちら

2030.

栄養サプリメントは認知機能に影響せず/JAMA

 米国立眼研究所(NEI)のEmily Y. Chew氏らは、加齢黄斑変性(AMD)を有する高齢者を対象とした試験(AREDS2)被験者について、栄養サプリメント[長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)やルテイン/ゼアキサンチンを含む]の認知機能への効果について評価を行った。その結果、プラセボと比較してスコアの年次変化に統計的に有意な差は認められなかったことを報告した。これまで観察的研究データにおいて、食事による飽和脂肪酸の高摂取と野菜の低摂取がアルツハイマー型認知症のリスク増大と関連する可能性が示唆されており、研究グループは今回、本検討を行った。JAMA誌2015年8月25日号掲載の報告より。LCPUFAやルテイン/ゼアキサンチンの効果を検証 AREDS2は二重盲検無作為化試験で、米国の82の大学および地域医療センターの網膜専門医により2006年10月~2012年12月に、被験者の登録と観察が行われた。被験者は、後期AMD発症リスクを有する患者であった。 5年にわたる試験期間中、年次ごとの眼科検診に加えて、ベースラインと2年ごとに、訓練を受けたスタッフにより電話を介して複数の認知機能テストが行われた。 被験者は要因配置割り付けにより、LCPUFA(1g)またはルテイン(10mg)/ゼアキサンチン(2mg)を投与、もしくはプラセボを投与され、また全員にビタミンC、E、βカロチン、亜鉛のさまざまな組み合わせ投与が行われた。 主要アウトカムは、一連の認知機能テストで確認された複合スコアの、ベースラインからの年次変化であった。ベースラインで年齢、性別、人種、高血圧の既往歴、教育レベル、認知機能スコア、うつ病スコアで補正を行い、治療群と非治療群の複合スコアの差を評価した。複合スコアは、全テストのスコアを提示したもので、範囲は-22~17であり、高スコアほど認知機能は良好であることを示した。プラセボと比較し認知機能スコアの年次変化に有意差なし AREDS2被験者4,203例のうち3,741例(89%)が、付属の認知機能試験に同意し、そのうち93.6%(3,501/3,741例)が各種の認知機能テストを受けた。被験者の平均年齢(SD)は72.7(7.7)歳、57.5%が女性であった。 結果、サプリメント投与群と非投与群でスコア変化について統計的に有意な差はみられなかった。認知機能複合スコアの年次変化は、LCPUFA投与群-0.19(99%信頼区間[CI]:-0.25~-0.13) vs.非投与群-0.18(同:-0.24~-0.12)で、年次差は-0.03(同:-0.20~0.13)であった(p=0.63)。同様の結果が、ルテイン/ゼアキサンチン投与群(-0.18、-0.24~-0.11) vs.非投与群(-0.19、-0.25~-0.13)でもみられた(年次差:0.03、99%CI:-0.14~0.19、p=0.66)。 また、LCPUFA投与とルテイン/ゼアキサンチン投与の相互作用に関する分析でも、有意な差はみられなかった。

2031.

うつ病の精神療法、遠隔医療でも対面療法と同程度

 米国・Health Equity and Rural Outreach Innovation CenterのLeonard Egede氏らは、無作為化非盲検非劣性比較試験にて、高齢うつ病患者に対する遠隔医療による精神療法は対面治療に比べ劣っていないことを明らかにした。多くの大うつ病の高齢者(とくに退役軍人)は、エビデンスに基づく精神療法を利用しようとしない。一方で、移動の制限があったり、地理的に孤立していたりする高齢者に対して、遠隔医療は最適な治療を提供する機会を増やす可能性が示唆されていた。検討の結果を踏まえて著者は、「遠隔医療は、移動せずに家庭にいながらエビデンスに基づく治療を受けることができ、対面治療が難しい高齢者の治療障壁を取り除くのに有用と思われる」とまとめている。Lancet Psychiatry誌2015年8月号(オンライン版2015年7月16日号)の掲載報告。 本検討は、高齢退役軍人のうつ病に対する行動活性化療法について、対面療法に対して遠隔療法の非劣性を立証することを目的とした。対象は2007年4月1日〜2011年7月31日にRalph H Johnson退役軍人医療センターおよび地域の関連クリニック4施設を受診し、大うつ病のDSM-IV基準を満たした58歳以上の退役軍人(主に男性)であった。遠隔治療群または対面治療群に無作為に割り付けられ、いずれにも行動活性化療法が8セッション行われた。主要評価項目は、老年期うつ病評価尺度(GDS)、ベックうつ病評価尺度(BDI)(12ヵ月後のスコアがベースラインから50%低下)、DSM-IV構造化面接(SCID)臨床医版による治療反応(12ヵ月の評価でうつ病ではないと診断される)であった。解析対象は、4セッション以上の治療を終了し、すべての評価項目を測定されたper-protocol集団であった。 主な結果は以下のとおり。・780例がスクリーニングを受け、241例が遠隔治療群(120例)または対面治療群(121例)に無作為化され、解析対象(per-protocol解析)はそれぞれ100例(83%)、104例(86%)であった。・GDSに基づく治療反応率は、遠隔治療群22.45%(90%信頼区間[CI]:15.52~29.38)、対面治療群20.39%(同:13.86~26.92)、絶対差2.06%(同:-7.46~11.58)で有意差はなかった。・BDIに基づく治療反応率も、遠隔治療群24.05%(90%CI:16.14~31.96)、対面治療群23.17%(同:15.51~30.83)、絶対差0.88%(同:-10.13~11.89)で有意差はなかった・DSM- IV SCID臨床医版による治療反応率も、遠隔治療群43.33%(90%CI:34.74~51.93)、対面治療群48.42%(同:39.99~56.85)、絶対差-5.09%(同:-17.13~6.95、p=0.487)で有意差はなかった・intention-to-treat解析でも同様の結果であった。・MEM解析で、BDIおよびGDSに関して治療経過に経時的な有意差はないことが認められた。・非劣性基準(非劣性マージン15%)を満たし、有害事象はみられなかった。関連医療ニュース 統合失調症再発予防、遠隔医療に改善の余地あり 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始 日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project

2032.

双極性障害患者の約半数が不安障害を併存

 双極性障害患者において不安障害は、アウトカムの重大要素としての認識がますます強くなっている。しかし、報告されている有病率はばらつきが大きく、信頼性の高い推定値は得られていない。カナダ・ダルハウジー大学のBarbara Pavlova氏らは、双極性障害患者における不安障害の生涯有病率を、システマティックレビューとメタ解析により調べた。その結果、双極性障害患者の不安障害のリスクは非患者と比べて約3倍有意に高く、2人に1人が一生涯のうちに不安障害を有することが示されたという。結果を踏まえて著者らは、「双極性障害患者では不安障害と気分障害とを並行して評価すべきである」と提言している。Lancet Psychiatry誌2015年8月号の掲載報告。 研究グループは、双極性障害患者の不安障害の生涯有病率を明らかにすること、およびその割合を双極性障害のない人と比較する検討を行った。PubMedを介してWeb of KnowledgeとMedlineの発表論文を検索した。言語は問わず、2014年6月1日時点で単語「双極性(bipolar)」が付随した用語を検索キーワードに用いた。双極性障害がある成人で、DSM-IIIとDSM-IV準拠の不安障害の生涯有病率について、オリジナルデータを報告している試験を包含した。なお被験者には、併存疾患の有無を問わず、双極性障害の診断確定に検証診断インタビューが行われていた。なお、データが現在有病率のみであったり、現在か生涯か不明であったり、矛盾がみられたデータについて著者と連絡がとれず確定ができない場合、それらの試験は除外した。また、双極性障害成人患者におけるDSM-IIIとDSM-IV準拠の生涯有病率の、ランダムエフェクトメタ解析を行った。双極性障害患者のあらゆる不安障害の生涯有病率を定量化した。最後に、双極I型障害 vs.双極II型障害、双極性障害 vs.一般対照の有病率を比較した。  主な結果は以下のとおり。・試験40件、1万4,914例の個人データを解析に組み込んだ。被験者は、北米、ヨーロッパ、オーストラリア、南米、アジアにわたっていた。・双極性障害患者の不安障害の生涯有病率は、45%(95%信頼区間[CI]:40~51)であった。・直接比較の5つのサンプル、計1,378例の双極性障害患者 vs.一般対照5万6,812例の分析から、双極性障害患者の不安障害の有病リスクは、一般対照と比べて3倍高いことが示された(リスク比[RR]:3.22、95%CI:2.41~4.29、p<0.0001)。・13試験、双極I型障害(4,270例) vs.双極II型障害(1,939例)の分析では、これら両サブタイプ間に不安障害の生涯有病率の差はないことが示された(RR:1.07、95%CI:0.96~1.20、p=0.223)。・なお含有した試験間に有意な不均一性はみられなかったが、試験の特徴の違いについて報告されておらず確認はできていない。関連医療ニュース うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 双極性障害ラピッドサイクラーの特徴は 双極性障害に抗うつ薬は使うべきでないのか  担当者へのご意見箱はこちら

2033.

精神病性うつ病に対する最も効果的な薬物治療は

 精神病性うつ病に対する最も効果的な薬物治療(抗うつ薬と抗精神病薬の併用、抗うつ薬単独療法、または抗精神病薬単独療法)に関するエビデンスは限られている。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJaap Wijkstra氏らは、急性の精神病性うつ病患者に対する薬物治療について、抗うつ薬単独療法、抗精神病薬単独療法、抗うつ薬と抗精神病薬の併用療法を比較することを目的にレビューを行った。その結果、抗うつ薬と抗精神病薬の併用療法は、抗うつ薬単独療法、抗精神病薬単独療法、プラセボのいずれと比較しても高い有効性を示すことを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年7月30日号の掲載報告。  本報告は2005~2009年までの報告に関するレビューのアップデートで、以下の2点について検討した。(1)急性の精神病性うつ病患者に対する薬物治療の臨床効果を比較する(抗うつ薬単独療法、抗精神病薬単独療法、抗うつ薬と抗精神病薬の併用療法について、それぞれおよび/またはプラセボと比較)。(2)現在のエピソードにおける治療反応性の差が前治療への無反応と関連するか否かを評価する。 2013年4月12日時点で、Cochrane Central Register of Controlled Trials and the Cochrane Depression, Anxiety and Neurosis Group Register(CCDANCTR)を検索し、分析評価した。 主な結果は以下のとおり。・検索アブストラクト3,659件のうち、レビュー対象の適格基準を満たしたRCTは12件(929例)のみであった。・臨床的不均一性のため、メタ解析はほとんど実施できなかった。・主要アウトカムは、精神病ではなく抑うつの重症度(反応性)の軽減とした。分析の結果、抗うつ薬あるいは抗精神病薬による単独療法において、有効性を示すエビデンスは認められなかった。・しかし、抗うつ薬+抗精神病薬の併用療法は、抗うつ薬単独療法(3件のRCT; リスク比[RR]:1.49、95%信頼区間[CI]:1.12~1.98、p=0.006)、抗精神病薬単独療法(4件、1.83、1.40~2.38、p=0.00001)、プラセボ(2件の関連するRC、1.86、1.23~2.82、p=0.003)のいずれと比較してもより効果的であることが示唆された。・バイアスリスクは非常に大きかった。その要因は、診断に関する試験間の差異、ランダム化および割り付けが不確実、治療介入の差異(抗うつ薬および抗精神病薬の種類による薬理学的差異)、異なるアウトカム基準などであった。・導き出された結論に対する信頼性に限界があり、精神病性うつ病に関しては研究の余地が大きかった。・抗うつ薬と抗精神病薬の併用療法が、それぞれの単独療法あるいはプラセボと比較して有効であることを示すエビデンスはあったが、抗うつ薬単独、抗精神病薬単独治療に関するエビデンスは限定的であった。関連医療ニュース 難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か 治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の比較 統合失調症患者への抗うつ薬併用、効果はどの程度か  担当者へのご意見箱はこちら

2034.

精神疾患の診断、過去の診断名が大きく影響

 精神医学において診断はユビキタスであり、ベネフィットをもたらす一方で、ラベリング効果の弊害となりうる。英国・キングストン大学のDanny C.K. Lam氏らは、境界性パーソナリティ障害(BPD)併存の診断という不適切な提示がパニック症患者に対する臨床医の判断に影響を及ぼすかどうかを評価した。その結果、診断がもたらす保険数理的価値にかかわらず、現在も問題が併存しているように見える状況下では、臨床医は過去の診断名に大きく影響されることを明らかにした。著者らは、「したがって臨床医は、患者の記述に診断ラベルを使用すること、および過去の診断名が今もなお妥当であるかを確かめることに注意すべきだ。そうしたラベルが自身の臨床診断に影響しうることを忘れず、絶えず診断名に疑問を持つよう努めるべきである」とまとめている。British Journal of Clinical Psychology誌オンライン版2015年7月25日号の掲載報告。 研究グループは、与えられた情報の内容によって臨床医の判断がどのように影響されるかを評価する実験的研究を行った。臨床医265人に対して、1人の女性が単純性の“パニック症”の経験を述べているビデオを見せ、その後、彼女の現在の問題と起こりうる予後を評価してもらった。ビデオを見せる前に臨床医には彼女の情報を書面で与えた。その際、与える情報によって臨床医を3群に無作為に割り付けた。(1)個人データおよび一般的背景の情報のみ、(2)(1)の内容+BPDと一致する行動記述、(3)(2)の内容+診断名(BPDの既往歴)。 主な結果は以下のとおり。・BPDの診断名は、情報のみまたはBPD“症状”の行動記述よりも、患者の問題や予後に関するネガティブな評価と関係していた。・診断名は、治療への取り組みや反応といった治療変数のみならず、リスク問題や対人関係の有効性に関する医師の判断に、不適切かつネガティブな影響を与える可能性があった。関連医療ニュース 統合失調症の正確な早期診断のためには うつ病診断は、DSM-5+リスク因子で精度向上 境界性パーソナリティ障害、予防のポイントは  担当者へのご意見箱はこちら

2035.

ドイツ版ベックうつ病調査票、実地臨床で活用可能か

 臨床の場において、抑うつ症状の評価手段としてベックうつ病調査票(BDI)が確立されているが、ドイツにおいて疫学調査用にapplied version(BDI-V)が開発されている。ドイツ・Federal Institute of Occupational Safety and Health(FIOSH)のUwe Rose氏らは、BDI-Vとさまざまな機能評価尺度との関連を分析し、BDI-Vのカットオフ値について検討した。検討の結果、性別によりカットオフ値に差がみられ、女性で高い傾向にあることが明らかになったという。Journal of Occupational Medicine and Toxicology誌オンライン版2015年7月19日号の掲載報告。 研究グループは、BDI-Vとさまざまな機能評価尺度との関連を分析し、労働者におけるBDI-Vのカットオフ値を決定することを目的とした。仕事、年齢、健康、就労に関するドイツの第1回コホートスタディより6,339人の就労者を研究対象とした。抑うつ症状についてBDI-Vにより評価し、機能に関するデータは個人インタビューにより取得した。カットオフ値はミニマックスの分類原理を適用したROC曲線により判断した。 主な結果は以下のとおり。・ミニマックス原理によりBDI-Vカットオフ値は、男性回答者で20~24、女性回答者では23~28であった。・これに対応する感度は男性で0.64~0.75、女性で0.59~0.74であった。・特異度は男性で0.64~0.75、女性で0.60~0.74であった。・すべての項目において、女性回答者で高いBDI-Vカットオフ値が示された。・数値幅は前回の研究における推奨値より低く、数値の性別による差異が示された。関連医療ニュース うつ病治療の助けとなるか、うつ病認知再評価ツール うつ病患者の疲労感を評価する新ツール 認知症のBPSD評価に「阿部式BPSDスコア」:岡山大

2036.

認知機能改善効果が期待される新規抗うつ薬

 大うつ病性障害(MDD)では、しばしば認知機能障害の併発がみられる。いくつかの臨床試験で、MDDに対する抗うつ薬の認知機能促進作用が示されてきた。カナダ・トロント大学のJoshua D. Rosenblat氏らは、MDD患者の認知ドメインに及ぼす抗うつ薬の影響についてシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。その結果、抗うつ薬は精神運動速度と遅延再生にプラスの影響を及ぼし、なかでもvortioxetineが大きく寄与している可能性を示唆した。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年7月25日号の掲載報告。 研究グループは、MDDにおけるさまざまな認知ドメインに対する抗うつ薬の影響を統合評価する検討を行った。Cochrane Central Register of Controlled Trials、PubMed、Embase、PsychINFO、Clinicaltrials.govおよび関連するレビュー記事を検索し、2015年4月15日以前に発表された試験を特定した。抗うつ薬の認知機能への影響を評価したランダム化臨床試験のデータを統合し、ランダム効果モデルを用いて標準化平均差(SMD)を決定した。 主な結果は以下のとおり。・vortioxetine(国内未承認、728例)、デュロキセチン(714例)、パロキセチン(23例)、citalopram(国内未承認、84例)、phenelzine(国内未承認、28例)、ノルトリプチリン(32例)、セルトラリン(49例)の認知機能への影響を評価した9件のプラセボ対照ランダム化試験(被験者2,550例)を特定した。・抗うつ薬は、精神運動速度(SMD:0.16、95%信頼区間:0.05~0.27、I2=46%)と遅延再生(同:0.24、0.15~0.34、0%)にプラスの影響を示した。・認知制御および実行機能に対しては、統計学的に有意な影響は認められなかった。・vortioxetineを除外して解析したところ、精神運動速度において注目すべき統計学的有意差の消失が認められた。・SSRI(371例)、SNRI(25例)、三環系抗うつ薬(TCA)(138例)、ノルエピネフリンおよびドパミン再取り込み阻害薬(NDRI)(46例)の影響を比較した8件の直接比較ランダム化試験が特定された。・それら試験結果を統合し分析した結果、認知機能への影響を示す統計学的有意差は認められなかった。・以上、抗うつ薬では、精神運動速度および遅延再生に対し有意なプラス効果があることを示唆するエビデンスが認められた。・検討は、結果の不均一性、不十分な試験数、サンプルサイズが小さく、結果はきわめて限定的である。関連医療ニュース 新規抗うつ薬の実力、他剤比較で検証 難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か うつ病急性期治療、どの抗うつ薬でも差はない  担当者へのご意見箱はこちら

2037.

抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症にアリピプラゾール補助療法

 高プロラクチン血症は、いくつかの抗精神病薬に関連した好ましくない有害事象である。ドパミンパーシャルアゴニストであるアリピプラゾールの併用は、効果的に抗精神病薬誘発性の高プロラクチン血症を減弱させる可能性があるが、理想的な投与レジメンは不明である。中国・北京Hui-Long-Guan病院のJing-Xu Chen氏らは、統合失調症患者のプロラクチンレベルや高プロラクチン血症に対する、アリピプラゾール補助療法の用量を評価することを目的に、検討を行った。Psychoneuroendocrinology誌2015年8月号の報告。 対象は、高プロラクチン血症(女性:24ng/mL超、男性:20ng/mL超)を発現した安定期統合失調症患者(18~45歳)。対象患者は、固定用量リスペリドン治療に加えて、プラセボ、アリピプラゾール5mg/日、10mg/日、20mg/日のいずれかを8週間投与する4群に無作為に割り付けられた(各々、30例、30例、29例、30例)。血清プロラクチンレベルは、ベースラインと2、4、8週目で測定した。臨床症状や副作用は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、臨床全般印象・重症度尺度(CGI-S)、薬原性アカシジア評価尺度(BAS)、Simpson-Angus 錐体外路系副作用評価尺度(SAS)、UKU副作用評価尺度(UKU)を用い、ベースラインと8週目で評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・無作為化対象患者119例のうち、89.9%(107例)が8週間の試験を完了した。・試験終了時、プラセボと比較し、いずれのアリピプラゾール投与量においても、プロラクチンレベルの低さ(2週目から)、反応率の高さ(30%以上のプロラクチン減少)、プロラクチン正常化率の高さで有意差が認められた。・効果は、5mg/日よりも10mg/日、20mg/日において有意に優れていた。・精神病理および有害事象レベルに関しては、いずれの治療群において有意な変化は認められなかった。 リスペリドン誘発性の高プロラクチン血症に対するアリピプラゾール補助療法は効果的かつ安全であり、精神病理、有害事象に悪影響を与えることなく、その多くは2週間で最大に近い改善を示した。関連医療ニュース 2つの月1回抗精神病薬持効性注射剤、有用性の違いは プロラクチン上昇リスクの低い第二世代抗精神病薬はどれか 薬剤誘発性高プロラクチン血症への対処は?

2038.

統合失調症の同胞研究、発症と関連する脳の異常

 先行研究において、統合失調症における構造的な脳結合性の異常が観察されている。それら異常の長期的なマッピングと、同胞研究による遺伝的リスクの理解は、統合失調症に関連する漸進的な発達的変化について重要な見識を与えてくれる。オーストラリア・メルボルン大学のAndrew Zalesky氏らは、小児期発症統合失調症(COS)の青年において発達過程の変化を示す皮質間結合を確認し、類似の変化が非罹患同胞にみられるかどうかを検討する前向き研究を行った。その結果、非罹患同胞の統合失調症発症に対するレジリエンスと関連する中間表現型を伴う後頭側頭部の結合性の成熟遅延が、COS患者の特徴的なマーカーであることが示唆されたことを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年7月15日号掲の載報告。 今回研究グループが行った検討は、米国立精神衛生研究所(NIMH)の進行中のCOS研究の一部として、1991年1月1日から2011年4月30日まで20年以上にわたって行われたものであった。12~24歳のCOS患者109例(画像272枚)、非罹患同胞86例(画像184枚)、健常対照102例(画像262枚)において、皮質間結合性のマップを作成。皮質領域間の構造的結合性を、MRIから得られた皮質厚値等を用いて推定して検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・健常対照群と比較しCOS患者および非罹患同胞では、左後頭側頭部における皮質厚低下と結合性低下の有意な相関が認められた(p<0.05)。・非罹患同胞における皮質厚低下は青年期中期までに正常化したが、COS患者では明らかに長い成熟遅延を示した。・COS患者において、年齢に伴う皮質厚低下の正常化が症状改善と関連していた。・健常対照群と比較して、患者群のうち陽性症状が高度なサブグループ群では、14歳から18歳にかけて左後頭側頭部における皮質厚の相関が有意に減少したが(p<0.05)、陽性症状が低度の患者群では認められなかった。 結果を踏まえ、著者らは「これらの知見は、統合失調症の神経回路マップにおける遺伝的影響および結合性特異的発達異常を示しており、COS患者の幻視は後頭葉と側頭葉を結ぶ下縦束の発達遅延に起因している可能性があるという仮説につながる」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定 統合失調症患者の脳ゲノムを解析:新潟大学 うつ病のリスク遺伝子判明:藤田保健衛生大  担当者へのご意見箱はこちら

2039.

2つの月1回抗精神病薬持効性注射剤、有用性の違いは

 統合失調症患者に対する2つの持効性注射剤の有用性を評価するため、ドイツ・ハンブルク大学エッペンドルフメディカルセンターのDieter Naber氏らは直接比較試験を行った。アリピプラゾール400mg/月1回(AOM400)とパリペリドンパルミチン酸エステル月1回(PP)について、Heinrichs-Carpenter QOL評価尺度(QLS)、健康関連QOL、機能尺度を用いて検討した結果、AOM400はPPと比較し、健康関連QOLの優れた改善や良好な忍容性プロファイルにより、高い全般的有効性が示唆された。Schizophrenia research誌オンライン版2015年7月28日号の報告。 成人統合失調症患者(18~60歳)を対象に、経口薬からAOM400またはPP(筋肉内注射を4週間以上継続)への変更を行った。試験デザインは、28週間、無作為化、非劣性、オープンラベル、評価者盲検、直接比較にて実施した。主要評価項目は、混合モデルを用いた反復測定分析で評価した、QLS合計スコアの非劣性および優越性である。 主な結果は以下のとおり。・対象患者295例は、AOM400群(148例)、PP群(147例)に無作為に割り付けられ、それぞれ67.6%(100/148例)、56.5%(83/147例)が28週間の治療を完了した。・ベースラインから28週後のQLS合計スコアの変化における統計学的に有意な最小二乗平均値の差(4.67、95%CI:0.32~9.02、p=0.036)により、PP群に対するAOM400群の非劣性、ならびに優越性が認められた。・臨床全般印象・重症度尺度(CGI-S)スコアおよび治験責任医師による問診において、PP群に対するAOM400群の有意な改善が認められた。また、事前に定義したサブグループ解析では、35歳以下のAOM400群の患者において有意に良好な一貫したパターンが認められた。・治療継続期において治療下で発現した一般的な有害事象は、AOM400群と比較しPP群でより多く認められた。また、有害事象は継続中止の最も多い理由であった(PP群:19.7%[27/137例]、AOM400群:11.1%[16/144例])。・すべての理由による中止件数は、AOM400群で少なかった。関連医療ニュース アリピプラゾール持続性注射剤の評価は:東京女子医大 初回エピソード統合失調症、LAIは経口薬より優る 経口抗精神病薬とLAI併用の実態調査  担当者へのご意見箱はこちら

2040.

双極性障害の自殺予防、どうすべきか

 双極性障害は自殺企図および自殺死リスクの増加と関連している。国際双極性障害学会(ISBD)では、双極性障害における自殺企図・自殺死に関する疫学、神経生物学および薬物治療に関して現存の文献を検討し、タスクフォース報告書としてまとめた。その中で筆頭著者のカナダ・トロント大学のAyal Schaffer氏らは、推定自殺率が過去の報告よりも低かったことを報告した。そのほか、最も多い自殺の方法や全体的なリスクなどを明らかにしたうえで、「こうした理解が、双極性障害における自殺予防に対する認識の高まりや、より有効な治療法の開発につながる」と述べ、「リスク低減や治療進展のために、遺伝学的知見の再現研究や治療オプションの、より信頼できる前向きデータが必要である」と指摘している。Australian & New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年7月16日号の掲載報告。 著者らは、1980年1月1日~2014年5月30日までの双極性障害患者における自殺企図または自殺死に関する論文を対象に、システマティックレビューを行った。対象とした研究は、双極性障害における自殺企図または自殺死の発生率、特徴、遺伝学的/非遺伝学的生物研究、双極性障害に特化した薬物療法の論文などで、自殺率について加重統合解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害における統合自殺率は、164/10万人年(95%信頼区間 :5~324)であった。・性別に特化した自殺率データにより、男女比は1.7対1と算出された。・双極性障害患者は全自殺の3.4~14%を占めていた。方法としては服薬自殺、首つり自殺が最も多かった。・疫学研究の報告によると、双極性障害患者の23~26%に自殺企図が認められ、臨床サンプルにおいてより高率であった。・双極性障害では自殺企図および自殺死における遺伝学的関連が多く認められるが、それを再現する研究はほとんど行われていなかった。・リチウムあるいは抗けいれん薬を用いた治療データにより、自殺企図および自殺死の予防効果が強く示唆された。ただし、自殺に対する相対的な効果の確定にはさらなるデータが必要である。・抗精神病薬あるいは抗うつ薬を用いた治療の、自殺予防効果の可能性に関するデータは限定的なものであった。関連医療ニュース 双極性障害の自殺、どの程度わかっているのか 統合失調症患者の自殺企図、家族でも気づかない:東邦大学 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か  担当者へのご意見箱はこちら

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