循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:177

高血圧合併のAF再発患者に腎除神経術は有効か/JAMA

 高血圧症を有する発作性心房細動患者に対して、肺静脈隔離術に加えて腎除神経術の施行で、肺静脈隔離術単独と比べて12ヵ月後の心房細動無発症の確率が有意に増大したことが示された。米国・ロチェスター大学のJonathan S. Steinberg氏らが、302例を対象に行った研究者主導型の国際多施設共同単盲検無作為化試験「ERADICATE-AF」の結果、明らかにした。腎除神経術は、心臓交感神経活性を抑制し、心房細動に抗不整脈性効果をもたらす可能性が示されていた。JAMA誌2020年1月21日号掲載の報告。

アルツハイマー病へのスタチンの効果~RCTのメタ解析

 アルツハイマー病の治療としてのスタチンの使用について広く議論されている。中国・Anhui Medical UniversityのKun Xuan氏らは、アルツハイマー病治療におけるスタチンの効果について無作為化比較試験(RCT)のメタ解析を行ったところ、短期間(12ヵ月以内)のスタチン投与がMMSEスコアに有益な効果をもたらすことが示された。また、スタチンはアルツハイマー病患者の神経精神症状の悪化を遅らせ、日常生活能力を有意に改善した。一方、ADAS-Cogスコアの変化において効果はみられなかった。Neurological Sciences誌オンライン版2020年1月13日号に掲載。

小児がんサバイバー、心臓放射線照射減少でCADリスク減/BMJ

 小児がんの成人サバイバーでは、心臓放射線照射への曝露の歴史的な減少により、冠動脈疾患のリスクの低減がもたらされたことが、米国・セントジュード小児研究病院のDaniel A. Mulrooney氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2020年1月15日号に掲載された。小児がんの成人サバイバーは過去の治療に関連した合併症を有し、心筋症、心臓不整脈、冠動脈や弁膜、心膜の疾患などの心血管疾患は、晩期の健康アウトカム負担の主要な寄与因子とされる。一方、心毒性を有する治療への曝露パターンは時代とともに変化しており、現在のがん治療プロトコールは治癒率の改善に重点を置きつつ、長期的な有害作用の最小化に注力しているという。

心房細動後1年間の出血リスク、AIによる新予測モデルが有望(GARFIELD-AF)

 脳卒中リスクを有する心房細動患者において、ビタミンK拮抗薬(VKA)治療開始後1ヵ月のPT-INR連続測定値を使用したAIによる新予後予測モデルが、至適範囲内時間(TTR)による予測と比較して高い精度を有する可能性が示唆された。東海大学の後藤 信哉氏らが、GARFIELD-AFレジストリのデータにより検討した。Eur Heart J Cardiovasc Pharmacother誌オンライン版2019年12月10日号掲載の報告。

不飽和脂肪酸が認知機能の低下を抑制?

 これまでの研究では、高齢者の食事脂肪摂取と認知機能の関係について、一貫性のない結果が示されてきた。今回、中国・華中科技大学同済医学院のYi-Wen Jiang氏らの研究で、総炭水化物または飽和脂肪酸(SFA)を、一価不飽和脂肪酸(MUFA)や多価不飽和脂肪酸(PUFA)、とくにn-6 PUFAへ置き換えることが、高齢者の認知機能障害のリスク低下に関連していることが明らかとなった。さらに、植物性脂肪では認知機能障害との逆相関が示された。The Journal of Nutrition誌オンライン版2019年12月25日号に掲載。

再入院抑制施策の導入で、死亡は増大したのか/BMJ

 米国では再入院率を低下させるため、インセンティブ付きのプログラム「Hospital Readmissions Reduction Program(HRRP)」が施行されている。しかしそのために、直近の退院患者では再入院が必要となった場合も入院を拒否される可能性があり、死亡リスクが増大するのではとの指摘がある。実際にここ数年、心不全で入院が必要になったメディケア受給者で退院後30日死亡が増加しており、全米で経過観察病棟や救命救急部門(ED)での治療の増加が報告されているという。米国・テキサス大学サウスウエスタン医療センターのRohan Khera氏らは、HRRP対象症状で入院した患者の退院後間もないEDなどの利用データと患者アウトカムについて、プログラムの影響を評価する必要があるとして調査を行った。結果、プログラムの影響はみられなかったことが判明したという。BMJ誌2020年1月15日号掲載の報告。

膝関節術後のVTE予防、osocimabは有効か/JAMA

 膝関節置換術を受ける患者の術後静脈血栓塞栓症の発生(主要アウトカム10~13日時点)に関して、osocimabの術後投与(0.6、1.2、1.8mg/kg量)はエノキサパリン投与に対して非劣性を示す基準を満たし、osocimab術前投与(1.8mg/kg量)はエノキサパリン投与に対して優越性を示す基準を満たしたことが示された。カナダ・マックマスター大学のJeffrey I. Weitz氏らが、第II相の国際多施設共同非盲検無作為化試験「FOXTROT試験」の結果を報告した。osocimabは、XI因子を阻害する長時間作用型の完全ヒトモノクローナル抗体である。これまでXI因子阻害が血栓塞栓症の予防に効果があるかについては明らかになっていなかった。JAMA誌2020年1月14日号掲載の報告。

フレイル施策を掲げる、国の本当の狙いとは/日本医師会

 2020年度から75歳以上の健康診査にフレイルが追加される。高齢者の低栄養に医師の介入が求められることから、国からのプライマリケア医に対する期待は大きいであろう。2019年11月28日、「人生100年時代の健康と栄養を考える-フレイル予防対策における日本型食生活の役割-」が開催(日本医師会、米穀安定供給確保支援機構主催)。本稿では飯島 勝矢氏(東京大学高齢社会総合研究機構 教授)による基調講演の内容についてお届けする。

心房細動患者、断酒の効果は有りか無しか/NEJM

 習慣的に飲酒をしている心房細動患者が断酒をすることで、不整脈の再発が減少したことが、オーストラリア・アルフレッド病院のAleksandr Voskoboinik氏らが、140例を対象とした多施設共同前向き非盲検無作為化比較試験の結果、示された。これまで、過剰な飲酒が心房細動の新規発症や有害な心房リモデリングと関連することは知られていたが、断酒による心房細動2次予防への効果は明らかにされていなかったという。NEJM誌2020年1月2日号掲載の報告。

中年期の健康的な生活様式は平均余命にどう影響?/BMJ

 中年期の健康的な生活様式の順守は、主要慢性疾患(がん、心血管疾患、2型糖尿病)のない平均余命を延長することが、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のYanping Li氏らによる検討の結果、示された。これまで、修正可能な生活様式因子(喫煙、身体活動、アルコール摂取、体重、食事の質)が、平均余命および慢性疾患発症の両者に影響することは知られていた。しかし、複数の生活様式因子の組み合わせと、主要な疾患(糖尿病、心血管疾患、がんなど)のない平均余命との関わりについて、包括的に検討した研究はほとんどなかったという。BMJ誌2020年1月8日号掲載の報告。