侵襲的人工換気を受けるICU入室成人患者に対する手首拘束具の使用について、低頻度(限定的)使用戦略は高頻度(系統的)使用戦略と比べて、14日時点のせん妄または昏睡のない日数を減少させないことが示された。フランス・パリ・シテ大学のRomain Sonneville氏らR2D2-ICU Investigator Study Groupが、非盲検無作為化試験「R2D2-ICU試験」の結果を報告した。先行研究によると、ICU入室患者の約半数が身体拘束を受けているとされる。ICUにおける身体拘束は現実的な安全対策と見なされている一方、身体拘束が患者のストレスや興奮を増大させ、鎮静薬などの使用によってせん妄や昏睡のリスク、ひいては死亡や認知機能低下などのリスクが高まる懸念も指摘されている。しかし、身体拘束の頻度を減らすことが臨床アウトカムを改善できるかについては、これまで明らかにされてこなかった。JAMA誌オンライン版2026年3月17日号掲載の報告。
無作為化後14日間のせん妄または昏睡のない生存日数を評価
試験は、2021年1月5日~2024年1月2日にフランスの10ヵ所のICUで行われた。研究グループは、スクリーニング時点で、侵襲的人工換気開始から6時間未満で、かつ少なくとも48時間以上の人工換気の継続が予想される成人患者405例を登録し、身体拘束を限定的に行う手首拘束具の低頻度使用戦略群(重度の興奮状態[Richmond Agitation-Sedation Scale:RASSスコア〈-5:無反応~4:攻撃的〉が3以上]とされ、必要性がある場合にだけ手首拘束具を使用する、201例)、または高頻度使用戦略群(手首拘束具を系統的に装着し毎日評価して使用する、204例)に無作為に割り付けた。
主要アウトカムは、無作為化後14日間のせん妄または昏睡のない生存日数。副次アウトカムは、自己抜去の発生率、90日死亡率などであった。
2024年5月17日に追跡を終了し、2025年6月1日~12月15日に統計学的解析が行われた。
主要アウトカムの有意差なし、自己抜去発生や90日死亡率も差が認められず
主要アウトカムのデータは396例で得られた。年齢中央値は65歳(四分位範囲[IQR]:56~73)、245例(62%)が男性で、Sequential Organ Failure Assessment:SOFAスコアは7(IQR:4~10)であった。
無作為化後14日間のせん妄または昏睡のない生存日数中央値は、低頻度使用戦略群6.67日(95%信頼区間[CI]:5.69~7.65)、高頻度使用戦略群6.30日(95%CI:5.35~7.24)であった(補正後群間差:0.37日、95%CI:-0.71~1.46、p=0.51)。
自己抜去は、低頻度使用戦略群18例(9.2%)、高頻度使用戦略群17例(8.5%)で発生し、90日死亡率はそれぞれ37.2%、41.0%であった。
(ケアネット)