グラム陰性菌の菌血症、迅速抗菌薬感受性試験は臨床的に有効か/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2026/04/30

 

 グラム陰性桿菌による血流感染症患者において、迅速抗菌薬感受性試験(AST)の追加は標準ASTと比較し、「desirability of outcome ranking(望ましい順位のアウトカム):DOOR」による評価では優越性は認められなかったことが、米国・Vanderbilt University Medical Center大学のRitu Banerjee氏らが行った「FAST試験」の結果で示された。血液培養時の陽性血液培養ボトルを用いて直接、感受性の表現型を評価する迅速ASTについて、その結果に基づき抗菌薬治療を行うことで臨床アウトカムを改善するかどうか、臨床的意義は不明であった。著者は、DOORでは差がなかったものの副次アウトカムや事前に規定した探索的アウトカムでは差がみられたことから、「今回の知見は、他の有効性および安全性のアウトカムと併せれば、迅速ASTの使用に関して役立つ可能性がある」とまとめている。JAMA誌オンライン版2026年4月18日号掲載の報告。

主要アウトカムは、より望ましいアウトカムが得られる確率

 FAST試験は、多剤耐性グラム陰性菌の有病率が高い4ヵ国の7施設(ギリシャ2、インド1、イスラエル3、スペイン1)で実施された無作為化非盲検優越性試験。

 対象は、血液培養でグラム陰性桿菌が検出され、かつ血液培養の結果通知時点で入院中の患者で、年齢は問わなかった。ただし、直近7日以内のグラム陰性桿菌検出、血液培養結果通知時点で死亡、血液培養グラム染色でグラム陽性桿菌・グラム陽性球菌・グラム陰性球菌・酵母菌・真菌・複数の形態のグラム陰性桿菌を認めた患者などは除外した。

 研究グループは、血液培養判定から16時間以内に対象患者を迅速AST群または標準AST群に無作為に割り付け、迅速AST群では各施設の標準ASTに加えVITEK REVEAL(bioMerieux製)を用いて迅速ASTを行った。

 両群とも、全例、各施設の抗菌薬適正使用プログラムによる評価を受け、臨床チームで治療変更や抗菌薬の選択、用法および用量などを決定した。

 主要アウトカムは、無作為化後30日時点のDOORであった。DOORは「有害イベントなしで生存」、「1つ以上の有害イベントを伴う生存」、「死亡」の3段階で順位付けし、有害イベントは入院継続または退院後30日以内の再入院、臨床効果なし、望ましくない事象(腎不全、多剤耐性菌の院内感染など)と定義した。迅速AST群で標準AST群より良好なDOORが得られる確率の95%信頼区間の下限が50%を超えた場合に、標準AST群に対する優越性が認められることとした。

 副次アウトカムは、30日死亡、30日までの入院期間、集中治療室入室、院内感染、3日以内の有効な抗菌薬治療開始までの時間、3日以内の抗菌薬の増量または減量などであった。

カルバペネム耐性菌感染症患者で、有効な抗菌薬治療開始までの時間が早まる

 2023年12月~2025年5月に899例が無作為化され、このうち850例が解析対象集団となった(迅速AST群413例、標準AST群437例)。年齢中央値72歳、女性が43%であった。

 迅速AST群で標準AST群より良好なDOORが得られる確率は48.8%(95%CI:45.3~52.4)であり、優越性は示されなかった。

 有効な抗菌薬治療開始までの時間の中央値は両群で差はなく、抗菌薬の増量または減量までの時間の中央値は迅速AST群(22時間)が標準AST群(36時間)より14時間(95%信頼区間[CI]:6~22)短かった。その他の副次アウトカムは両群で差は認められなかった。

 事前に規定されたサブグループ解析では、カルバペネム耐性菌感染症患者集団において有効な抗菌薬治療開始までの時間の中央値は迅速AST群で9.5時間、標準AST群で28時間であった(群間差:-18時間、95%CI:-42~6)。

(ケアネット)

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コメンテーター : 小金丸 博( こがねまる ひろし ) 氏

東京都健康長寿医療センター 感染症内科専門部長

J-CLEAR推薦コメンテーター