呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:342

抗結核薬耐性の最大リスク因子は「2次抗結核薬の投与歴」

 超多剤耐性結核(XDR-TB)を含む抗結核薬耐性の最大のリスク因子は、「2次抗結核薬の投与歴」であることが、米国疾病対策予防センター(CDC)のTracy Dalton氏らの調査(Global PETTS)で示された。多剤耐性結核(MDR-TB)は、Mycobacterium tuberculosisを原因菌とし、少なくともイソニアジドとリファンピシンに対する耐性を獲得した結核で、XDR-TBはこれら2つの1次抗結核薬に加え、2次抗結核薬であるフルオロキノロン系抗菌薬および注射薬の各1剤以上に耐性となった結核と定義される。XDR-TBの世界的発生は実質的に治療不能な結核の到来を告げるものとされ、MDR-TBに対する2次抗結核薬の使用拡大によりXDR-TBの有病率が増大しつつあるという。Lancet誌2012年10月20日号(オンライン版2012年8月30日号)掲載の報告。

XDR結核患者へのリネゾリド追加投与、約9割が半年以内に喀痰培養陰性化

 超多剤耐性(XDR)の結核患者に対してリネゾリド(商品名:ザイボックス)を追加投与することで、6ヵ月時点までに87%で喀痰培養陰性化が認められたことが報告された。一方で、リネゾリドを投与した人の8割で、臨床的に明らかな有害事象が認められた。韓国・International Tuberculosis Research CenterのMyungsun Lee氏らが、40人弱について行った無作為化試験の結果で、NEJM誌2012年10月18日号で発表した。

フィブリン-3濃度、胸膜中皮腫の新たなバイオマーカーとして有効

 血漿中フィブリン-3濃度は、胸膜中皮腫のバイオマーカーとして有用であることが示された。胸膜中皮腫を早期に発見し個々の治療戦略を立てるため、新たなバイオマーカーが必要とされているが、米国・ニューヨーク大学Langone Medical CenterのHarvey I. Pass氏らが、血漿中と胸水中のフィブリン-3濃度を測定し、胸膜中皮腫の有無による違いなどについて調べ明らかにした。中皮腫のないアスベスト曝露者と胸膜中皮腫患者の識別が可能であったという。NEJM誌2012年10月11日号掲載より。

コントロール不良の喘息患者にチオトロピウム投与で、肺機能、症状増悪リスクが改善/NEJM

 吸入グルココルチコイドと長時間作用性β刺激薬(LABA)で治療を行いながらもコントロール不良の喘息患者に対し、チオトロピウム(商品名:スピリーバ)を投与することで、肺機能が改善し、症状増悪リスクが約2割減少することが、オランダ・Groningen大学医療センターのHuib A.M. Kerstjens氏らによる検討で示された。喘息患者900人超について行った無作為化試験の結果で、NEJM誌2012年9月27日号(オンライン版2012年9月2日号)で発表した。

細胞培養インフルエンザワクチンの製造販売承認を申請

 バクスター株式会社は2日、細胞培養H5N1インフルエンザワクチンおよび細胞培養プロトタイプワクチンについて、9月19日付で厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを発表した。これは、武田薬品工業株式会社との細胞培養法によるインフルエンザワクチンの日本における共同開発と、同社による国内生産・供給に向けた取り組みの一環とのこと。

多剤耐性結核、PA-824を含む3剤併用レジメンが有望

 薬剤感受性の多剤耐性結核の新規治療法として、PA-824+モキシフロキサシン+ピラジナミド併用療法は適切なレジメンであり、今後、開発を進める価値があることが、南アフリカ共和国Stellenbosch大学のAndreas H Diacon氏らの検討で示された。薬剤抵抗性の結核による世界的な疾病負担を軽減するには、投与期間が短く耐性になりにくい新規薬剤の開発が求められる。近年、種々の新規抗結核薬の臨床評価が進められ、なかでもbedaquiline(ジアリルキノリン、TMC207)とPA-824(nitroimidazo-oxazine)は用量依存性の早期殺菌活性(early bactericidal activity; EBA)が確認され有望視されている。Lancet誌2012年9月15日号(オンライン版2012年7月23日号)掲載の報告。

成人喘息患者における吸入コルチコステロイド投与量の調整

 軽症~中等度成人喘息患者の治療失敗を予防するための吸入コルチコステロイド投与量の調整戦略について、呼気一酸化窒素濃度や症状に基づく調整が、医師の評価に基づく調整よりも優れてはいないことが明らかにされた。米国・テキサス大学のWilliam J. Calhoun氏らによる無作為化比較試験「BASALT」の結果で、これまで同戦略についてはコンセンサスが得られていなかった。JAMA誌2012年9月12日号掲載報告より。

非喫煙者の非小細胞肺がんにおける予後予測因子

 非喫煙者における肺がん(LCINS)は、病因や臨床的特徴、予後の違いから、喫煙者における肺がんとは異なる疾患として認識されている。今回、LCINSにおける特異的予測マーカーの同定を目的とした米国MDアンダーソンがんセンターのXia Pu氏らの研究から、炎症関連遺伝子の変異がLCINSの臨床的転帰に影響する可能性があることが示唆された。Clinical Cancer Research誌オンライン版2012年 9月13日号に掲載された。