精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:354

認知症ドライバーの運転能力、どう判断すべきか

 認知症高齢者は、危険運転のリスク群であるが、すべての認知症タイプにおいて同様であると考えてよいのだろうか。オランダ・フローニンゲン大学のDafne Piersma氏らは、認知症の病因が異なっても運転能力に同様の影響があるのかを検討するため、文献レビューを行った。Traffic Injury Prevention誌オンライン版2015年4月15日号の掲載報告。

パートナーがうつ病だと伝染するのか

 カップル間において、一方のうつ病はもう一方の適応障害のリスク因子となることを、スイス・チューリッヒ大学のAndrea B. Horn氏らが報告した。研究グループの検討では、このことはとくに男性に当てはまったという。適応障害は、ストレスフルなことに適切に対処できないことが診断理由である傾向が高い。一方で、臨床的に問題となる不適応を招く社会的リスクについては、ほとんどわかっていないが、文献的考察で、カップル間のコミュニケーションにおけるうつ病の影響やサポート状況の変化が示唆されていた。Psychother Psychosomatik Medizinische Psychologic誌オンライン版2015年3月30日号の掲載報告。

統合失調症の社会参加に影響する症状は何か

 認知機能、陰性症状、抑うつは統合失調症における障害の潜在的な予測因子である。米国・マイアミ大学のMartin T. Strassnig氏らは、さまざまな障害とそれを決定付ける潜在的な要因を評価した4件の研究の統合解析から、認知機能に関する治療は社会的機能にあまり影響しないことを示した。このことは、統合失調症における認知障害の治療に関する先行研究と一致するもので、著者は、「統合失調症の特徴は認知障害ではなく、陰性症状が社会的予後と関連していることであり、この特徴に応じて治療に取り組まなくてはならない」との見解を示した。Schizophrenia Research誌オンライン版2015年4月10日号の掲載報告。

若者の新型うつ病へのアプローチとなりうるか

 日本では、とくに若者の間で「新型うつ病」や「ひきこもり(6ヵ月以上持続している重度の社会的なひきこもり)」と表現される新たな精神医学的事象が報告されてきている。信頼ゲームと呼ばれる経済ゲームが現実社会における対人関係の評価に利用できることから、早稲田大学高等研究所の渡部 幹氏らは、大学生を対象に予備的研究を行った。その結果、信頼行動が精神医学的評価スケールと関連していることを報告した。著者は、「新型うつ病やひきこもり等の人々における経済ゲームの妥当性が研究されるべきである」とまとめている。PLoS One誌オンライン版2015年4月2日号の掲載報告。

統合失調症への支持療法と標準的ケア、その差は

 英国・チェリイ・ノウル病院のLucy A Buckley氏らは、統合失調症に対する支持療法の有効性を、その他の治療法と比較するレビューのアップデートを行った。24件の無作為化試験(RCT)を組み込み評価した結果、標準的ケアとの比較では再発、入院、全般的機能に有意差は認められず、また心理的あるいは心理社会的療法のほうが入院、精神状態の改善、患者の治療満足度において有意に良好であったという。ただし、いずれの試験もエビデンスの質がきわめて低いものであったため、支持療法とその他の治療法との差異を明確化するには至らなかったと述べている。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年4月14日号の掲載報告。

アリピプラゾール、脳卒中後の抑うつに対するメカニズム

 虚血性脳卒中後、うつ病を発症することは少なくない。虚血性脳卒中の発作後、慢性弱ストレス(chronic mild stress:CMS)が加わることにより抑うつに進展するか否かに関し、韓国・釜山大学校のYu Ri Kim氏らは、マウスを用いて検討を行った。その結果、発作後のCMSにより生じるドパミン作動性ニューロン損傷や海馬におけるニューロン新生低下をアリピプラゾールが回復させ、抗うつ作用を発揮する可能性を示唆した。Behavioural Brain Research誌2015年7月号の掲載報告。

難治性うつ病発症に肥満が関連か

 肥満と大うつ病性障害(MDD)は公衆衛生上の大きな問題である。MDDは不均一な疾患であり、反復性MDD(MDD-R)と単一エピソードのMDD(MDD-S)とでは病因や予後が異なることが知られているが、肥満との関連性についてのエビデンスは不十分である。オランダ・フローニンゲン大学のYeshambel T Nigatu氏らは、一般住民を対象とした大規模観察研究において、肥満がとくにMDD-Rの発症と関連している可能性があることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「この問題を十分に評価するためにはさらなる大規模研究が必要であり、MDDに対する肥満の影響を調べる場合はMDDの不均一性を考慮すべきである」とまとめた。BMC Public Health誌オンライン版2015年4月10日号の掲載報告。

アルツハイマーへのリバスチグミン、その有用性は

 英国・オックスフォード大学のJacqueline S Birks氏らは、アルツハイマー型認知症(AD)に対するコリンエステラーゼ阻害薬リバスチグミンの臨床での有効性と安全性を確認するレビューを行った。13試験を包含した解析の結果、同薬は軽症~中等度ADに有益と思われること、プラセボとの比較で認知機能やADLの低下に対して効果があることが観察されたが、その程度はわずかで臨床的意義については不確かであることなどを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年4月10日号の掲載報告。

うつ再発にマインドフルネス認知療法が有望/Lancet

 うつの再発・再燃の予防療法として、マインドフルネス認知療法(mindfulness-based cognitive therapy:MBCT)と抗うつ薬維持療法を比較検討する無作為化試験PREVENTが、英国・オックスフォード大学のWillem Kuyken氏らにより行われた。有効性および費用対効果の観点で行われた評価の結果、MBCTが抗うつ薬維持療法より優れるというエビデンスは示されなかったが、両療法とも、再発・再燃、残存性のうつ症状およびQOLなどで良好なアウトカムを保つことが認められたという。Lancet誌オンライン版2015年4月20日号掲載の報告より。