うつ病の精神療法、遠隔医療でも対面療法と同程度

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うつ病の精神療法、遠隔医療でも対面療法と同程度のイメージ

 米国・Health Equity and Rural Outreach Innovation CenterのLeonard Egede氏らは、無作為化非盲検非劣性比較試験にて、高齢うつ病患者に対する遠隔医療による精神療法は対面治療に比べ劣っていないことを明らかにした。多くの大うつ病の高齢者(とくに退役軍人)は、エビデンスに基づく精神療法を利用しようとしない。一方で、移動の制限があったり、地理的に孤立していたりする高齢者に対して、遠隔医療は最適な治療を提供する機会を増やす可能性が示唆されていた。検討の結果を踏まえて著者は、「遠隔医療は、移動せずに家庭にいながらエビデンスに基づく治療を受けることができ、対面治療が難しい高齢者の治療障壁を取り除くのに有用と思われる」とまとめている。Lancet Psychiatry誌2015年8月号(オンライン版2015年7月16日号)の掲載報告。

 本検討は、高齢退役軍人のうつ病に対する行動活性化療法について、対面療法に対して遠隔療法の非劣性を立証することを目的とした。対象は2007年4月1日〜2011年7月31日にRalph H Johnson退役軍人医療センターおよび地域の関連クリニック4施設を受診し、大うつ病のDSM-IV基準を満たした58歳以上の退役軍人(主に男性)であった。遠隔治療群または対面治療群に無作為に割り付けられ、いずれにも行動活性化療法が8セッション行われた。主要評価項目は、老年期うつ病評価尺度(GDS)、ベックうつ病評価尺度(BDI)(12ヵ月後のスコアがベースラインから50%低下)、DSM-IV構造化面接(SCID)臨床医版による治療反応(12ヵ月の評価でうつ病ではないと診断される)であった。解析対象は、4セッション以上の治療を終了し、すべての評価項目を測定されたper-protocol集団であった。

 主な結果は以下のとおり。

・780例がスクリーニングを受け、241例が遠隔治療群(120例)または対面治療群(121例)に無作為化され、解析対象(per-protocol解析)はそれぞれ100例(83%)、104例(86%)であった。
・GDSに基づく治療反応率は、遠隔治療群22.45%(90%信頼区間[CI]:15.52~29.38)、対面治療群20.39%(同:13.86~26.92)、絶対差2.06%(同:-7.46~11.58)で有意差はなかった。
・BDIに基づく治療反応率も、遠隔治療群24.05%(90%CI:16.14~31.96)、対面治療群23.17%(同:15.51~30.83)、絶対差0.88%(同:-10.13~11.89)で有意差はなかった
・DSM- IV SCID臨床医版による治療反応率も、遠隔治療群43.33%(90%CI:34.74~51.93)、対面治療群48.42%(同:39.99~56.85)、絶対差-5.09%(同:-17.13~6.95、p=0.487)で有意差はなかった
・intention-to-treat解析でも同様の結果であった。
・MEM解析で、BDIおよびGDSに関して治療経過に経時的な有意差はないことが認められた。
・非劣性基準(非劣性マージン15%)を満たし、有害事象はみられなかった。

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