精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:275

妊娠中の抗うつ薬治療、注意すべきは

 うつ病は、妊娠中にみられる一般的な合併症である。うつ病と診断されれば、医師は治療計画を作成し、妊婦を援助しなければならない。米国・ノースウェスタン大学のCara Angelotta氏らは、妊娠中のうつ病治療について、検討を行った。Birth defects research誌2017年7月17日号の報告。  妊娠中のうつ病治療について検討した主な内容は以下のとおり。 ・抗うつ薬を検討する際には、妊婦の疾患管理のための薬物治療のメリットと胎児への薬物療法のリスクのバランスをとることが求められる。 ・これは、疾患の特徴、妊婦のうつ病への治療反応の可能性、胎児への悪影響の可能性、患者の特性や価値観に応じて、個別に決定しなければならない。 ・妊娠中のうつ病に対する治療を行う際、リスクをゼロにする解決策はなく、疾患と薬物治療のどちらも、妊婦および胎児へのリスクを伴う。 ・妊娠中に抗うつ薬治療を決定する際には、疾患リスクが治療リスクよりも大きいことが根拠となる。 ・妊婦と胎児に対する疾患リスクを最小化するための症状緩和が目的となる。

視力低下が認知機能の低下に関連か

 視力障害と認知機能低下は高齢者によくみられるが、両者の関係はよくわかっていない。米国・スタンフォード大学のStephanie P. Chen氏らは、米国の国民健康栄養調査(NHANES)および国民健康加齢傾向調査(NHATS)のデータを解析し、遠見視力障害と主観的視力障害は、認知機能低下と関連していることを示した。著者は今回の結果について、「自己申告の視力を用いている米国のメディケア受益者集団で確認されており、視力障害を有する患者を確認することの重要性を強調するものである。視力と認知機能との間の長期的な相互作用についてさらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年8月17日号掲載の報告。

陰性症状に対する最新レビュー、有効性が確認されている治療は

 統合失調症でみられる陰性症状(無気力や表出の減少など)は、健康上の重大な懸念事項である。陰性症状の適切な治療は、QOLや社会参加に向け、重要な進歩を意味している。陰性症状は、統合失調症の主症状である。その陰性症状を主要な症状と副次的な症状に区別することで、治療選択肢が得られる可能性がある。よく知られている副次的な陰性症状の原因は、精神症状、解体、不安、抑うつ、違法薬物やアルコールの慢性的な乱用、過度に高用量の抗精神病薬、社会的貧困、刺激の欠如、入院である。オランダ・ノールトホラント州地域精神保健局のSelene R. T. Veerman氏らは、二重盲検無作為化対照試験のレビューおよびメタ解析を行い、陰性症状に対する薬理学的および非薬理学的介入の有効性を評価した。Drugs誌オンライン版2017年8月3日号の報告。

エボロクマブによるLDL-C低下は認知機能に影響せず/NEJM

 スタチンへのエボロクマブ(商品名:レパーサ)併用による心血管イベント抑制効果を検証するFOURIER試験に参加した患者を対象に、認知機能を前向きに評価した結果、追跡期間中央値19ヵ月において両群で認知機能に有意差は確認されなかったことを、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のRobert P. Giugliano氏らが報告した。これまでのPCSK9阻害薬の臨床試験から、同薬によるLDLコレステロール(LDL-C)低下と認知機能低下の関連が懸念されていた。NEJM誌2017年8月17日号掲載の報告。

日本人妊婦のうつ病診断、適切なカットオフ値はいくつか

 妊娠中のうつ病は、母親と子供の両方に悪影響を及ぼす。出産前のうつ病は、出産後のうつ病の予測因子であるため、早期発見は出産後うつ病の予防につながる可能性がある。エジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)は、周産期によく用いられるが、妊娠中のカットオフ値については、日本人で確認されていない。国立精神・神経医療研究センターの臼田 謙太郎氏らは、日本における妊娠中期のEPDSカットオフ値を最適化するため検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2017年8月2日号の報告。

ニーマンピック病C1型へのHPβCDの可能性/Lancet

 ニーマンピック病C1型の患者に対し、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)を髄腔内投与は、病状進行を遅らせる可能性があるようだ。またその安全性については、中間~高周波の聴力損失が認められたほかは、重篤な有害事象は認められなかった。米国・ワシントン大学のDaniel S. Ory氏らが行った、第I-IIa相の非盲検用量漸増試験の結果で、Lancet誌オンライン版2017年8月10日号で発表した。ニーマンピック病C1型は進行性の神経変性によって特徴づけられるライソゾーム病に含まれる先天性代謝異常症の一種。HPβCDはマウスとネコモデルを用いた前臨床試験で、小脳のプルキンエ細胞消失を顕著に遅らせ、神経症状の進行を遅らせて寿命を延伸させたことが示されていた。

SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法

 うつ病女性において標準的な治療では十分な効果が得られないことがある。クレアチン水和物や5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)による従来の抗うつ薬治療の増強療法は、女性のうつ病に関連するセロトニン産生や脳の生物学的因子の欠損を補正し、相乗的な効果をもたらす。米国・ユタ大学のBrent M. Kious氏らは、SSRIまたはSNRI単独療法で効果不十分なうつ病女性に対する、5-HTPおよびクレアチン増強療法に関するオープンラベル試験を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌オンライン版2017年8月5日号の報告。