精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:200

うつ病や統合失調症リスクに対する喫煙の影響

 統合失調症やうつ病の患者では、一般集団と比較し喫煙率が高い。英国・ブリストル大学のRobyn E. Wootton氏らは、ゲノムワイド関連研究(GWAS)で特定された遺伝子変異を使用して、この因果関係を調べることのできるメンデルランダム化(MR)法を用いて検討を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2019年11月6日号の報告。  統合失調症およびうつ病に対する喫煙の双方向の影響を調査するため、2つのサンプルにおけるMRを実施した。喫煙行動についてはGSCANコンソーシアムから喫煙開始のGWASを使用し、UK Biobankの46万2,690サンプルより生涯の喫煙行動に関する独自のGWASを実施した。

小児および青年期のうつ病の評価と治療

 米国では、小児や青年におけるうつ病の有病率が増加している。米国・オレゴン健康科学大学のShelley S. Selph氏らは、小児および青年期のうつ病の評価や治療に関するレビューを行った。American Family Physician誌2019年11月15日号の報告。  主な内容は以下のとおり。 ・2016年には、12歳の約5%、17歳の約17%が過去12ヵ月間でうつ病エピソードを経験していることが報告されている。 ・12歳以上の青年に対するうつ病のスクリーニングは、10代向けPHQ-9などの検証済みの評価尺度を用いて、毎年実施する必要がある。

不安症状の有無による双極性障害の臨床的特徴と薬理学的治療

 双極性障害(BD)患者の半数以上において、不安症状の併存が報告されている。一部では、不安症状は気分エピソード前の最も初期に発現する精神症状だといわれている。イタリア・ミラノ大学のCesare Galimberti氏らは、BD外来患者における最初の精神症状としての不安症状の有病率、未治療期間との関連、治療について検討を行った。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2019年11月15日号の報告。  対象は、ミラノのうつ病治療センターに紹介され、DSM-IVで双極性I型障害(BD-I)、双極性II型障害(BD-II)、特定不能な双極性障害(BD-NOS)、気分循環性障害と診断された患者。レトロスペクティブチャートレビュー、直接的な患者インタビューにより、いくつかの臨床的特徴を評価した。BD発症時の不安症状の有無に基づき層別化を行い、両群間およびBDサブタイプ間で臨床的特徴の比較を行った。

日本人うつ病患者に対するボルチオキセチンの有効性、安全性

 日本において、うつ病は大きな影響を及ぼす疾患である。東京医科大学の井上 猛氏らは、日本人うつ病患者に対する抗うつ薬ボルチオキセチンの有効性および安全性を評価するため、検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2019年11月14日号の報告。  本研究は、再発性うつ病およびMontgomery-Asberg Depression Rating Scale(MADRS)スコア26以上の日本人うつ病患者(20~75歳)を対象とした、8週間の二重盲検プラセボ対照ランダム化第III相試験である。対象患者は、ボルチオキセチン10、20mg群またはプラセボ群にランダムに割り付けられた。主要エンドポイントは、ベースラインからのMADRS合計スコアの変化とした。副次的エンドポイントは、MADRSの治療反応と寛解率、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D17)、臨床全般重症度(CGI-S)、臨床全般印象度(CGI-I)、シーハン障害尺度(SDS)の変化とした。認知機能は、Digit Symbol Substitution Test(DSST)スコア、Perceived Deficits Questionnaire-5 item(PDQ-5)スコアを用いて評価した。

慢性疼痛の“記憶された痛み”をうまく取り除くには?

 国が主導となって研究チームを発足するくらい、日本人は慢性的な痛みに日々悩まされている。おまけに、なかなか症状改善しない患者がドクターショッピングに陥ることで、国の医療費はますます圧迫されてしまう。そんな負の連鎖を断ち切り、臨床現場での正確な病態把握を求めるべく、昨年、厚生労働省「慢性の痛み対策」研究班と痛み関連の7学会が連携して『慢性疼痛治療ガイドライン』を発刊した。  このガイドライン作成にも携わり、上記研究班で中心的な役割を担っている牛田 享宏氏(愛知医科大学医学部学際的痛みセンター 教授)と伊達 久氏(仙台ペインクリニック院長)が、2019年10月31日に開催されたボストン・サイエンティフィック・ジャパン株式会社主催のメディアセミナー「『難治性慢性疼痛』による経済的・社会的影響と日本の『難治性慢性疼痛』治療の最新動向~病診連携モデルと臨床データの構築~」に登壇し、慢性疼痛対策の現状を語った。

治療抵抗性統合失調症患者の特徴や薬物療法

 統合失調症患者では、抗精神病薬治療に対する反応が弱いまたは無反応で、陽性症状が持続するケースが見受けられる。米国・Zucker Hillside HospitalのChristoph U. Correll氏らは、米国における治療抵抗性統合失調症(TRS)患者の人口統計、症状、治療歴、治療選択肢に影響を及ぼす要因について検討を行った。BMC Psychiatry誌2019年11月14日号の報告。  精神科医204人を対象にオンライン調査を行った。医師は、TRS患者2例および非TRS患者1例を自己選択し、患者情報を記入した。

レビー小体型認知症の診断基準~最新情報と今後の方向性

 金沢大学の山田 正仁氏らは、2017年に改訂されたレビー小体型認知症(DLB)の臨床診断に関するコンセンサス基準より、診断基準の今後の方向性について解説を行った。Journal of Movement Disorders誌オンライン版2019年11月8日号の報告。  主な内容は以下のとおり。 ・DLBの臨床診断基準は、1996年に最初のコンセンサスレポートが公表され、2005年に第3改訂が行われた。 ・そして、2015年の国際DLB会議(米国・フロリダ州)で議論が行われた後、2017年に第4改訂が発表された。

統合失調症患者のインスリン抵抗性有病率とその特徴

 いくつかの研究において、統合失調症患者は、インスリン抵抗性リスクが高いことが示唆されている。中国・北京大学のChen Lin氏らは、中国人統合失調症入院患者におけるインスリン抵抗性の有病率および臨床的相関について調査を行った。Comprehensive Psychiatry誌オンライン版2019年11月7日号の報告。  対象は、統合失調症患者193例(男性:113例、女性:80例)。血漿グルコースおよび脂質レベルに関するデータを含む人口統計および臨床データを収集した。認知機能の評価には、Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status(RBANS)、精神症状の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた。インスリン抵抗性を評価するHOMA-IRのカットオフ値は、1.7に設定した。

てんかん重積、レベチラセタムvs.ホスフェニトインvs.バルプロ酸/NEJM

 ベンゾジアゼピン系薬治療抵抗性の痙攣性てんかん重積状態の患者に対し、静注用抗痙攣薬レベチラセタム、ホスフェニトイン、バルプロ酸は、いずれも効果は同等で、約半数で1時間以内に発作停止と意識レベル改善が認められることが明らかにされた。有害事象の発現頻度も3剤間で同程度だった。米国・バージニア大学のJaideep Kapur氏らが、384例を対象に行った適応的デザイン・無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌2019年11月28日号で発表した。これまで、同患者への薬剤選択について十分な研究は行われていなかった。

プライマリケアにおけるベンゾジアゼピン減量戦略

 ベンゾジアゼピンは一般的な医療用医薬品であり、成人の約10%において、過去1年間で使用されている。これらの薬剤は依存性があり、多くの患者に対し長期間使用され、長期的な副作用も認められている。英国・NHS Greater Glasgow & ClydeのStephen Davidson氏らは、ジアゼパムを繰り返し使用している患者の処方を見直し、必要に応じて減量および中止が可能か、また、それらの変化が24ヵ月継続するかについて調査を行った。Korean Journal of Family Medicine誌オンライン版2019年11月6日号の報告。