治療抵抗性統合失調症を予測するための症状

提供元:ケアネット

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公開日:2020/02/14

 

 治療抵抗性統合失調症(TRS)を予測する症状を早期に発見することができれば、クロザピンなどによる治療の早期開始に役立つ可能性がある。ブラジル・サンパウロ連邦大学のBruno B. Ortiz氏らは、TRSを予測する症状パターンを特定するため、探索/複製研究デザインを用いて、調査を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2020年1月16日号の報告。

 統合失調症入院患者のコホート研究より164例をフォローアップした。ロジスティック回帰を用いて、TRS患者のベースライン時の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の中で最も影響を及ぼす項目を特定した。特定された症状の複数の組み合わせ予測パターンをテストするため、Receiver Operating Characteristic(ROC)解析を用いた。同項目の組み合わせについて、統合失調症外来患者207例の独立した複製サンプルとのテストを行った。

 主な結果は以下のとおり。

・退院時のTRSを予測するベースライン時のPANSS項目の組み合わせは、概念の統合障害(P2)、抽象的思考の困難(N5)、不自然な思考内容(G9)の3つの合計スコアであった。
・P2+N5+G9モデルは、AUCが0.881、感度が77.8%、特異性が83.3%であった。
・外来患者サンプルにおけるP2+N5+G9モデルの予測精度は、AUCが0.756、感度が72.3%、特異性が74.4%であり、許容可能な範囲内であった。
・P2+N5+G9モデルは、組織化されていない思考、具体的な思考、奇妙で特異な思考で構成される思考障害の構造と一致している。

 著者らは「統合失調症患者の思考障害は、臨床診断において容易に識別可能であり、TRSを早期発見するうえで、実行可能な戦略であると考えられる。臨床的な有用性を検証するうえで、初回エピソード統合失調症患者を対象としたコホートでの検証が望まれる」としている。

(鷹野 敦夫)