精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:201

うつ症状に対するポリフェノールの影響~システマティックレビュー

 うつ病は、世界中で3億5,000万人が罹患している気分障害である。最近の研究では、うつ病に対して食事が保護的な役割を果たすことが示唆されている。いくつかのシステマティックレビューでは、うつ症状の軽減に地中海スタイルの食事パターンが有望であることが報告されている。これは、食事の中に一般的に含まれるポリフェノールの含有量が多いことが要因であると推測されている。オーストラリア・シドニー工科大学のJessica Bayes氏らは、うつ症状に対する地中海スタイルの食事に含まれるポリフェノールの影響について評価を行った。Advances in Nutrition誌オンライン版2019年11月5日号の報告。

降圧薬と認知症リスク~メタ解析

 認知症は、予防や治療戦略が難しい健康問題である。認知症を予防するうえで、特定の降圧薬使用が、認知症リスクを低下させるともいわれている。米国・国立衛生研究所のJie Ding氏らは、特定の降圧薬による血圧低下が認知症リスクに及ぼす影響について検討を行った。The Lancet. Neurology誌オンライン版2019年11月6日号の報告。  1980年1月1日~2019年1月1日までに公表された適格な観察研究より参加者データを収集し、メタ解析を実施した。適格基準は、コミュニティーの成人を対象としたプロスペクティブコホート研究、参加者2,000人超、5年以上の認知症イベントデータの収集、血圧測定および降圧薬の使用、認知症イベントに関する追加データを収集するための対面試験、死亡率のフォローアップを含む研究とした。ベースライン時の高血圧(SBP140mmHg以上またはDBP90mmHg以上)および正常血圧において、5つの降圧薬クラスを用いて、認知症やアルツハイマー病との関連を評価した。降圧薬服用確率に関連する交絡因子を制御するため、傾向スコアを用いた。研究固有の効果推定値は、変量効果のメタ解析を用いてプールした。

青年期うつ病の治療中および治療後の軌跡

 英国・ケンブリッジ大学のSian Emma Davies氏らは、UK IMPACT試験に参加した青年期うつ病患者を症状変化の軌跡によって分類し、その予測因子および治療反応の定義との比較を行った。Journal of Child Psychology and Psychiatry誌オンライン版2019年10月24日号の報告。  本研究は、成長混合モデリング(GMM)を用いた2次データ分析である。欠損データは補完された。対象患者465例について、86週間の6つの時点におけるスコアを用いて、自己報告された抑うつ症状の軌跡を作図した。

プライマリケアにおけるセルトラリンの臨床的有効性~PANDA研究

 うつ病のケアは、プライマリケアで行われることが多い。しかし、ほとんどの抗うつ薬の試験では、うつ症状の診断と重症度に基づいた適格基準を有する2次医療圏の精神保健サービスの患者を対象としている。抗うつ薬は、これまでの臨床試験の対象患者よりもはるかに幅広い患者に用いられている。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのGemma Lewis氏らは、軽度~重度のうつ症状を伴うプライマリケア患者を対象に、セルトラリンの臨床効果を調査し、治療反応に対する重症度と期間との関連について検討を行った。The Lancet. Psychiatry誌2019年11月号の報告。

統合失調症の残存症状による再発予測~PROACTIVE研究の再解析

 経口または長時間作用型持効性注射剤(LAI)の抗精神病薬で治療されている統合失調症患者の再発を予測するうえで、残存症状の影響はこれまであまり注目されていなかった。慶應義塾大学の齋藤 雄太氏らは、PROACTIVE(Preventing Relapse: Oral Antipsychotics Compared To Injectables: Evaluating Efficacy)研究のデータを用いて、統合失調症の残存症状による再発の予測について検討を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年10月28日号の報告。

不眠症状と心血管疾患リスク~50万人の10年間コホート研究

 中国・北京大学健康科学センターのBang Zheng氏らは、不眠症状と心・脳血管疾患(CVD)発症リスクとの関連を調査し、リスク軽減が可能な因子を特定するため検討を行った。Neurology誌オンライン版2019年11月6日号の報告。  中国全土の10地域から参加者を募集したプロスペクティブコホート研究であるChina Kadoorie Biobankとして実施した。ベースライン時に脳卒中、冠動脈精神疾患、がんのいずれもない30~79歳の成人48万7,200人を対象にデータ分析を行った。ベースライン時の3つの不眠症状(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒)および3日/週以上の日中の機能障害を自己報告により評価した。CVD発症は、2016年までの疾病レジストリおよび健康保険データベースよりフォローした。

サッカー選手は認知症になりやすい?(解説:岡村毅氏)-1142

サッカー選手はアルツハイマー型認知症になりやすいという論文だ。ああクリスマスか、と思ったがちょっと待て、まだ11月である。BMJのクリスマス号(英国ジョークのひねりの効いた論文が掲載される特別号)ではなく、真面目な論文であった。元プロサッカー選手と一般人口を比較すると、元サッカー選手は当然ながら健康なので死亡は少ないし、虚血性心疾患も少ない。しかし神経変性疾患は多く、アルツハイマー型認知症についてはおよそ5倍である。

血中トランス脂肪酸と認知症リスク~久山町研究

 トランス脂肪酸と認知症との関連はよくわかっていない。九州大学の本田 貴紀氏らは、トランス脂肪酸の客観的バイオマーカーである血清エライジン酸(trans 18:1 n-9)レベルと認知症やそのサブタイプとの関連をプロスペクティブに調査した。Neurology誌オンライン版2019年10月23日号の報告。  対象は、2002~03年にスクリーニング検査を受け、2012年11月までフォローアップ(期間中央値:10.3年、四分位範囲:7.2~10.4)を行った、認知症でない60歳以上の日本人高齢者1,628人。血清エライジン酸レベルは、ガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて測定し、四分位に分類した。血清エライジン酸レベルとすべての原因による認知症、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症のハザード比を推定するために、Cox比例ハザードモデルを用いた。

うつ病患者の睡眠障害と自殺との関係~メタ解析

 これまで、睡眠障害と自殺との潜在的な関連は、いくつかのレビューにより検証されてきた。中国・中南大学のXiaofen Wang氏らは、うつ病患者における睡眠障害と自殺との全体的な関連性を推定し、より具体的な関連因子を特定するため、メタ解析を実施した。BMC Psychiatry誌2019年10月17日号の報告。  PubMed、EMBASE、Cochrane Libraryより、2019年1月1日までに公表された、うつ病患者の睡眠障害と自殺との関連を報告した研究をシステマティックに検索した。オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を用いて、アウトカムを測定した。

成人ADHDにおける金銭的意思決定

 成人期の注意欠如多動症(ADHD)は、金銭的意思決定(financial decision-making:FDM)を含む日常生活において、さまざまな問題と関連している。しかし、成人ADHDのFDMに関する研究は限られており、標準化された客観的手法で検討されたことは、これまでなかった。オランダ・フローニンゲン大学のDorien F. Bangma氏らは、主観的および標準化された客観的尺度の両方を用いて、成人ADHDのFDM能力について調査を行った。Neuropsychology誌2019年11月号の報告。