精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:158

第2世代抗精神病薬による統合失調症治療におけるMetSに関連する因子

 重度の精神疾患を有する人は、一般の人と比較し、合併症の罹患や死亡率が増加する。体重増加を含む抗精神病薬の有害事象は、メタボリックシンドローム(MetS)の発症に影響を及ぼす可能性があり、これはすべての原因による死亡リスクや心血管疾患による死亡リスクの増加と関連している。オランダ・ユトレヒト大学のMarius H. Sneller氏らは、第2世代抗精神病薬(SGA)による治療を行った統合失調症スペクトラム障害患者におけるMetS関連の臨床的、生化学的、遺伝学的因子について、包括的なレビューを実施した。Frontiers in Psychiatry誌2021年3月29日号の報告。

片頭痛でも診療を受けない人は43%も/日本イーライリリー

 日本イーライリリー株式会社は、わが国の片頭痛診療の現状に関する大規模横断的疫学調査を行った。本調査は、日本に居住しかつ片頭痛の診断基準(ICHD-3)に該当するもしくは1年以内に頭痛発作を経験しかつ医師による片頭痛の診断を受けたことがある成人を対象に、わが国おける片頭痛の診断状況、治療パターン、および治療の妨げに関して、記述的に評価することを目的に行われ、その結果を第62回 日本神経学会学術大会で発表した。

双極性障害治療における非定型抗精神病薬使用~RCTのシステマティックレビュー

 双極性障害の治療では、非定型抗精神病薬の使用が増加している。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のKamyar Keramatian氏らは、最近発表された双極性障害に対する非定型抗精神病薬の有効性および安全性に関するランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューを実施した。Current Psychiatry Reports誌2021年5月8日号の報告。  主な結果は以下のとおり。 ・急性期双極I型および双極II型うつ病に対するクエチアピン治療の有効性は、いくつかの研究で支持されていた。 ・クエチアピン補助療法は、治療抵抗性双極性うつ病に対し、プラセボよりも優れた有効性が認められた。 ・双極I型うつ病に対しcariprazine1.5mgによる治療が有効であった。 ・月1回のアリピプラゾール持続性注射剤400mgによる治療は、代謝への影響を最小限にとどめたうえで、躁症状の予防に有効であった。 ・若年の双極性障害患者では、急性うつ病に対してルラシドンの有用性、忍容性が認められ、急性躁病および混合性エピソードに対してアセナピンの有効性が認められた。

統合失調症に対する抗精神病薬治療の有効性と安全性~日本でのRCTを用いたメタ解析

 さまざまな人種や民族のデータをプールした解析では、生物学的および環境的な不一致性が問題となる場合がある。そこで、藤田医科大学の岸 太郎氏らは、日本で実施された統合失調症に対する抗精神病薬治療のランダム化比較試験(RCT)のみを使用して、統合失調症に対する抗精神病薬の有効性および安全性の検討を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年4月30日号の報告。  Embase、PubMed、CENTRALより、文献検索を行った。主要アウトカムは、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアの改善およびすべての原因による中止とした。副次的アウトカムは、PANSSサブスケールスコアの改善、有害事象または効果不十分による中止、16種の有害事象発生率とした。平均差またはリスク比と95%信頼区間を算出した。

日本におけるアルツハイマー病と歯数との関連

 日本人高齢者における残存または欠損している歯数とアルツハイマー病との関連について、日本歯科総合研究機構の恒石 美登里氏らは、レセプト情報・特定健診等情報データベースを用いて、横断的な分析を行った。PLOS ONE誌2021年4月30日号の報告。  歯周病(400万9,345例)またはう蝕(虫歯)による抜歯(66万2,182例)の治療を行った60歳以上の患者を対象に、歯科医療レセプトデータを用いて、残存または欠損している歯数に関するデータを収集した。これらの歯数に関するデータとアルツハイマー病の診断を含む医療データを組み合わせて分析を行った。残存する歯数および第3大臼歯(親知らず)を除く欠損している歯数は、歯科医療レセプトの歯科用式を用いて算出し、それぞれ3群に分類した。アルツハイマー病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)の算出には、年齢、性別で調整した後、ロジスティック回帰モデルを用いた。

メランコリアに特徴的な5つの主観的症状

 近年、うつ病と診断される患者には、さまざまな病態の抑うつ症状患者が含まれていることから、メランコリアが再評価されている。しかし、メランコリアのDSM-5基準(DSM-MEL)を用いて、メランコリーうつ病と非メランコリーうつ病を明確に鑑別することは困難であり、DSM-MELでは不十分であるともいわれている。メランコリアの特徴で唯一、定量的に評価できる精神運動障害は、重要な指標であると考えられる。虎の門病院分院の玉田 有氏らは、精神運動障害と関連する症状を分析し、メランコリアの主観的症状を客観的に特定する試みを行った。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2021年4月19日号の報告。

治療抵抗性統合失調症患者におけるオキシトシン系機能障害

 治療抵抗性統合失調症(TRS)は、重度の陽性症状のみならず他の症状とも関連する非常に複雑な病態生理を有している。また、統合失調症では、自閉スペクトラム症と重複する心理的および生物学的プロファイルが注目されている。千葉大学の仲田 祐介氏らは、治療抵抗性統合失調症患者におけるオキシトシン系機能障害について、検討を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年3月30日号の報告。  TRS患者30例、寛解期統合失調症(RemSZ)患者28例、ASD患者28例を対象に、一般的な認知機能および社会的認知機能障害とオキシトシン系機能障害との関連について、比較検討を行った。

日本人高齢者における認知症リスクと音楽活動

 認知症リスクの低減のために、余暇の認知活動が推奨されている。大阪大学のAhmed Arafa氏らは、日本人高齢者における認知症リスクとさまざまな音楽活動との関連について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2021年4月6日号の報告。  日本老年学的評価研究(JAGES)プロジェクトに参加した65歳以上の高齢者5万2,601人を対象に、縦断的データを分析した。楽器演奏、カラオケ、合唱、民謡などの音楽活動についてアンケートを用いて評価した。認知症の診断には、介護保険制度で標準的に使用される認知症尺度を用いた。Cox回帰を用いて、音楽活動に関連した認知症のハザード比および95%信頼区間(CI)を算出した。

妊婦のストレス症状、COVID-19パンデミック前後の比較

 コロナウイルス感染症(COVID-19)関連のストレスを受けている妊婦は、そうでない妊婦と比較してストレスレベルが有意に高いことが、オランダ・Amsterdam Reproduction & Development Research InstituteのSanne J. M. Zilver氏らによって明らかにされた。COVID-19ストレスの軽減を目的とする介入は、パンデミック下における妊婦の全体的なストレスレベルを減らす可能性がある。Journal of Psychosomatic Obstetrics & Gynecology誌オンライン版2021年4月26日号の報告。

双極性障害におけるBMIと皮質下脳容積との関連

 双極性障害患者は、肥満の割合が高く、このことが神経構造の変化と関連しているといわれている。しかし、双極性障害患者の脳構造に対する肥満の影響は、十分に研究されていない。カナダ・ダルハウジー大学のSean R. McWhinney氏らは、双極性障害におけるBMIと皮質下脳容積との関連について、検討を行った。Molecular Psychiatry誌オンライン版2021年4月16日号の報告。  ENIGMA-BDワーキンググループ内の独立した研究サイト17件より、双極性障害患者1,134例、対照群1,601例の皮質下脳容積(MRI測定)およびBMIのデータを収集した。混合効果モデルを用いて、皮質下脳容積に対する双極性障害とBMIの影響を併せてモデル化し、ノンパラメトリックブートストラップを用いて、肥満の違いによる影響をテストした。すべてのモデルは、年齢、性別、脳半球容積、頭蓋内容積、データ収集サイトにより制御した。