精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:156

COVID-19診断後、3割が半年以内に精神・神経症状発症

 COVID-19の神経学・精神医学的後遺症が報告されているが、英国・オックスフォード大学のMaxime Taquet氏ら研究グループが23万例超のCOVID-19患者のデータを分析したところ、診断後6ヵ月以内に約34%が虚血性脳卒中や不安障害、気分障害などを発症していたことがわかった。集中治療を要する重症例では、推定発生率は約47%にまで上昇していた。Lancet Psychiatry誌2021年5月号掲載の報告。  本研究は、米国の62医療機関の患者8,100万人の電子カルテから匿名データを収集するTriNetX電子健康記録ネットワークを使用し、2020年1月20日~12月13日の期間、COVID-19診断後6ヵ月間における14種の神経学・精神医学的症状の発生率を推定した(頭蓋内出血、虚血性脳卒中、パーキンソン病、ギランバレー症候群、神経・神経根・神経叢障害、神経筋接合部・筋疾患、脳炎、認知症、気分・不安・精神病性障害、精神病性障害、気分障害、不安障害、物質使用障害、不眠症)。対照群として、インフルエンザや呼吸器感染症の患者コホートを設定し、傾向スコアマッチングを用いて発症率を比較した。

精神症状の早期出現と治療抵抗性統合失調症との関係

 早期発症の統合失調症患者(EOS)では、臨床経過がより不良となることがこれまでの研究で報告されているが、研究結果には不均一性が存在する。イタリア・University School of Medicine Federico IIのFelice Iasevoli氏らは、治療抵抗性統合失調症(TRS)と発症年齢との関連について、調査を行った。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2021年5月16日号の報告。  非情動性精神疾患患者197例をスクリーニングした。そのうち、統合失調症に罹患していた99例はTRSの可能性があり、抗精神病薬の治療反応を評価するための4~8週間プロスペクティブ研究に登録された。発症年齢(18歳以下:EOS、18歳以上:AOS)と治療抵抗性の状態により、対象患者を4群(EOS-TRS、EOS-nonTRS、AOS-TRS、AOS-nonTRS)に分類した。複数の臨床変数を測定し、年齢を共変量として用いて共分散分析(ANCOVA)による比較を行った。統計学的に有意な差が、治療抵抗性の状態または発症年齢に起因するかを評価するため、二元配置分散分析(ANOVA)を用いた。

統合失調症の認知機能とキノリン酸との関連

 トリプトファンとその代謝産物(TRYCATs)は、統合失調症やうつ病の病態生理に影響する末梢免疫系の活性化や中枢神経伝達物質の異常と関連することが示唆されている。しかし、これらの疾患におけるさまざまな精神病理的な関連は、まだ解明されていない。スイス・チューリヒ大学のFlurin Cathomas氏らは、統合失調症およびうつ病患者におけるTRYCATsの潜在的な違いを調査し、認知機能への影響について検討を行った。Scientific Reports誌2021年5月11日号の報告。  統合失調症患者45例、うつ病患者43例、健康対照者19例を対象に、血漿中のトリプトファン、キヌレニン、キヌレン酸、3-ヒドロキシキヌレニン、キノリン酸の違い、血漿タンパク質と認知機能との関連を調査した。

片頭痛治療に対するメマンチンの有効性~RCTのメタ解析

 片頭痛患者に対するメマンチンの有効性を評価するため、中国・Wenzhou People's HospitalのZhili Xu氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Clinical Neuropharmacology誌2021年5月・6月号の報告。  2020年2月までに公表された、片頭痛治療におけるメマンチンとプラセボの効果を比較したランダム化比較試験を、PubMed、EMbase、Web of Science、EBSCO、コクランライブラリーデータベースより検索した。本メタ解析では、ランダム効果モデルを用いた。

統合失調症患者における抗精神病薬の剤型と自殺および死亡リスクとの関連

 統合失調症は、死亡リスクが高いことから、最も深刻な精神疾患の1つとして考えられており、この死亡リスクの減少に寄与する方法を明らかにするための研究が行われている。台湾・Bali Psychiatric CenterのCheng-Yi Huang氏らは、長時間作用型注射剤(LAI)とすべての原因、自然死、自殺による死亡リスクとの関連を調査し、新規統合失調症患者におけるLAIの早期使用の影響について、検討を行った。JAMA Network Open誌2021年5月3日号の報告。  台湾全民健康保険研究データベースを用いて、2002~17年に経口抗精神病薬(OAP)治療を行った統合失調症患者を対象に、人口ベースのコホートを構築した。本コホートにおけるLAI群の定義は、LAIへの切り替え、1年間で4回以上のLAI使用とした。LAI群は、同成分のOAP治療を行った患者と1対1でマッチした。抗精神病薬の投与経路変更、死亡、研究期間終了(2018年末)のいずれか早いほうまで、すべての患者をフォローアップした。データ分析は、2002年1月~2018年12月に実施した。主要アウトカムは、すべての原因による死亡率、自然死死亡率、自殺による死亡率、自殺企図とした。

日本における統合失調症患者の早期再入院の減少につながる院内看護

 統合失調症は、精神症状の再発を特徴とする疾患である。統合失調症入院患者の15~30%は、退院後90日以内に自傷行為、他傷行為、セルフネグレクトにつながる症状の悪化により再入院している。椙山女学園大学の牧 茂義氏らは、統合失調症患者の早期再入院減少につながる院内看護の構造およびその予測因子を調査するため、横断的研究を行った。PLOS ONE誌2021年4月30日号の報告。  調査対象は、日本の精神科病棟に勤務する正看護師724人。統合失調症患者の早期再入院の減少につながる院内看護について評価するため、質問票を新たに作成した。質問票を用いて、項目分析、探索的因子分析を行い、早期再入院減少につながる院内看護の構造を調査した。

急性期統合失調症におけるルラシドンの有効性と安全性

 千葉大学の伊豫 雅臣氏らは、日本および世界各国における急性期統合失調症に対するルラシドンの有効性を評価するため、検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2021年4月23日号の報告。  18~74歳の統合失調症患者483例を対象に、ルラシドン40mg/日(ルラシドン群)またはプラセボ群にランダムに割り付けた。有効性の主要エンドポイントは、6週間後の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアのベースラインからの変化とし、副次的エンドポイントは、臨床全般印象度の重症度(CGI-S)スコアの変化とした。安全性のエンドポイントには、有害事象、検査値、心電図のパラメータを含めた。

アルツハイマー病に対する抗Aβ抗体の有効性と有害事象リスク~第III相RCTのメタ解析

 米国国立衛生研究所(NIH)のKonstantinos I. Avgerinos氏らは、アルツハイマー病におけるAβに対するモノクローナル抗体の認知、機能、アミロイドPET、その他のバイオマーカーへの影響およびアミロイド関連画像異常やその他の有害事象のリスクについて、調査を行った。Ageing Research Reviews誌オンライン版2021年4月5日号の報告。  PubMed、Web of Science、ClinicalTrials.govおよび灰色文献より第III相のRCTを検索し、ランダム効果メタ解析を実施した。  主な結果は以下のとおり。

統合失調症における血清脂質と自殺リスク~メタ解析

 統合失調症スペクトラム障害患者における血清脂質と自殺リスクとの関連を明らかにするため、オーストラリア・ウェスタンシドニー大学のAnoop Sankaranarayanan氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2021年4月9日号の報告。  2020年9月2日までに公表された成人の統合失調症スペクトラム障害患者(18~65歳)における血清脂質と自殺リスクとの関連を調査した研究を、複数のデータベースよりシステマティックに検索した。定性分析には、米国国立衛生研究所(NIH)スケールを用いた。標準平均差(SMD)および95%信頼区間(CI)は、各研究で算出し、相対的に標準化した。調整されたp値、Z検定、不均一性を算出し、出版バイアスのテストも行った。

うつ、不安、気分症状に対するカカオ製品の影響~メタ解析

 チョコレートのようなカカオ由来の製品は、気分や感情などの問題を緩和させることが期待されるが、この効果についてはまだ解明されていない。イタリア・カターニア大学のLaura Fusar-Poli氏らは、カカオ由来製品が抑うつ症状、不安症状、ポジティブ感情、ネガティブ感情に及ぼす影響を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Critical Reviews in Food Science and Nutrition誌オンライン版2021年5月10日号の報告。