精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:156

うつ病や双極性障害における嗅覚記憶の比較

 嗅覚認識記憶の変化は、うつ病の感覚マーカーである可能性がある。そして、単極性うつ病と双極性うつ病で有意な差が存在する可能性もある。フランス・トゥール大学のFrancois Kazour氏らは、単極性および双極性うつ病の潜在的なマーカーを特定するため、検討を行った。Brain Sciences誌2020年3月24日号の報告。  双極性うつ病(DB)群、双極性寛解(EB)群、単極性うつ病(DU)群、単極性寛解(EU)群、正常対照(HC)群を募集した(176例)。対象者には、標準化された臨床評価および嗅覚評価を行った。

慢性期統合失調症外来患者の維持治療におけるLAIと経口剤の比較

 台湾・マッカイ医科大学のSu-Chen Fang氏らは、慢性期統合失調症患者の維持療法において、抗精神病薬治療を長時間作用型注射剤(LAI)のみで行った患者と経口薬(PO)のみで行った患者における精神科サービスの利用率の比較を行った。Human Psychopharmacology誌オンライン版2020年3月17日号の報告。  2011年の台湾全民健康保険研究データベースより、維持療法を受けた慢性期統合失調症患者のコホートを作成し、12ヵ月間のフォローアップを行った。対象患者は、統合失調症と診断されて3年以上、2011年の入院歴がない、維持療法を1年以上受けていた患者とした。精神科サービスの利用を推定するために、inverse probability of treatment weighting (IPTW法)、ロジスティック回帰モデル、線形回帰モデル、負の二項回帰モデルを使用し、LAI群とPO群の共変量の不均衡を調整した。

アルツハイマー病とレビー小体型認知症の入院リスク

 認知症患者の入院リスクは高いことが知られているが、このことに認知症の種類による違いがあるのかは、あまりわかっていない。ノルウェー・スタヴァンゲル大学病院のRagnhild Oesterhus氏らは、アルツハイマー病(AD)患者とレビー小体型認知症(LBD)患者で入院に違いがあるのかを調査し、その入院率について年齢をマッチさせた一般集団との比較を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2020年3月5日号の報告。  対象は、軽度のAD(110例)またはLBD(91例)と最近診断された外来診療所受診患者(年齢:75.7±7.4歳)。対象患者には、診断後5年間または死亡までフォローアップが行われた。

統合失調症や双極性障害患者における寛解後の睡眠と概日リズム障害~メタ解析

 統合失調症では、睡眠障害や概日リズム障害が一般的に認められるが、その特徴はよくわかっていない。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのNicholas Meyer氏らは、寛解期統合失調症患者における睡眠概日変化の重症度や不均一性について比較検討を行った。また、これらのエピソードについて双極性障害患者との比較を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年3月10日号の報告。  統合失調症または双極性障害患者を対象としてアクチグラフィーパラメータを調査したケースコントロール研究をEMBASE、Medline、PsycINFOより検索した。

うつ病の原因リスク遺伝子

 うつ病に関連するいくつかの遺伝的変異は、ゲノムワイド関連解析(GWAS)により特定されている。しかし、リスク遺伝子座において関連シグナルの要因となる原因変異を特定することは、依然として大きな課題となっている。中国・Jining Medical UniversityのXin Wang氏らは、うつ病との因果関連が認められる遺伝子の特定を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年3月15日号の報告。  Summary data-based Mendelian Randomization(SMR)とPsychiatric Genomics Consortium(PGC)のGWASサマリーおよび脳の発現定量的形質遺伝子座データを用いて、その発現レベルとうつ病との因果関連が認められる遺伝子の特定を行った。

貧血と認知症との関連~コホート研究

 従来の認知症のリスク因子に加えて、貧血がその初期のバイオマーカーであるか確認する必要がある。台湾・台北医学大学のChien-Tai Hong氏らは、台湾全民健康保険研究データベースを用いて、新規に貧血と診断された患者における認知症リスクの調査を目的とした人口ベースコホート研究を実施した。Current Alzheimer Research誌オンライン版2020年3月16日号の報告。  対象は、脳卒中による入院歴および認知症以外の中枢神経疾患・精神疾患・外傷性脳損傷・大手術・失血疾患の既往歴がない貧血患者2万6,343例。

慢性期統合失調症に対するボルチオキセチン補助療法

 新規抗うつ薬ボルチオキセチンは、統合失調症の補助療法に期待される治療薬となる可能性がある。イラン・Tehran University of Medical SciencesのEhsan Mozen-Zadeh氏らは、統合失調症の陰性症状に対するボルチオキセチンの効果について評価を行った。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2020年3月2日号の報告。  慢性期統合失調症入院患者78例を対象とした、8週間のランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間試験を実施した。対象患者は、2ヵ月間のリスペリドン(4~6mg/日)治療で安定した後、ボルチオキセチン(10mg 1日2回)群またはプラセボ群にランダムに割り付けられた。

こころとからだの質問票(PHQ-9)によるうつ病評価の信頼度

 うつ症状のアンケートは、診断を分類するためのものではない。しかし、うつ病の有病率を推定するために、こころとからだの質問票(PHQ-9)のスコア10以上の患者をうつ病患者と定義することがある。カナダ・マギル大学のBrooke Levis氏らは、PHQ-9スコア10以上と構造化面接(Structured Clinical Interview for DSM:SCID)によるうつ病の有病率を比較し、PHQ-9のカットオフ値が有病率を正確に推定できるかについて評価を行った。Journal of Clinical Epidemiology誌オンライン版2020年2月24日号の報告。

妊娠・出産に対するベンゾジアゼピンの影響~メタ解析

 妊婦に対するベンゾジアゼピン(BZD)の使用は頻繁に行われているにもかかわらず、母体や胎児への影響はよくわかっていない。カナダ・トロント大学のSophie Grigoriadis氏らは、出産前のBZD曝露が出産アウトカムに及ぼす影響について定量化を行った。Canadian Journal of Psychiatry誌オンライン版2020年3月9日号の報告。  2018年6月までの研究を、Medline、PsycINFO、CINAHL、Embase、Cochrane Libraryより検索した。研究の選択基準は、出産アウトカムについてBZD曝露群と非曝露群を比較した英語のコホート研究とした。2万3,909研究をスクリーニングし、56研究を評価、14研究をメタ解析に含めた。2人の独立したレビュアーがエビデンスの質を評価し、データを抽出した。ランダム効果メタ解析を用いて、推定値をプールした。サブ解析では、曝露のタイミングを含むいくつかの潜在的なモデレーターを調査した。

第2世代抗精神病薬LAIの実行機能に対する影響

 第2世代抗精神病薬(SGA)の経口剤から長時間作用型注射剤(LAI)への変更は、認知機能を改善する可能性がある。イタリア・Magna Graecia University of CatanzaroのFabio Magliocco氏らは、SGA-LAIで治療された統合失調症患者における認知機能への影響について評価を行った。さらに、独立したリアルワールドにおける2つの異なるSGA-LAI(月1回のパリペリドンパルミチン酸[PP1M]、月1回のアリピプラゾール[AOM])治療について直接比較を行った。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2020年3月5日号の報告。