抗精神病薬で治療された統合失調症患者における非アルコール性脂肪性肝疾患リスク

提供元:ケアネット

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公開日:2021/07/09

 

 統合失調症患者のメタボリックシンドローム有病率は、一般集団よりも高いことはよく知られているが、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の有病率については、あまり知られていない。下総精神医療センターの是木 明宏氏らは、抗精神病薬で治療された統合失調症患者におけるNAFLDリスクについて、調査を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2021年6月4日号の報告。

 腹部エコー検査を実施した統合失調症および統合失調感情障害患者253例の医療記録を分析した。

 主な結果は以下のとおり。

・腹部エコー検査でNAFLDが認められた患者は、108例(42.7%)であった。
・これらの患者のうち、NAFLDの線維化の徴候が認められた患者は、13例(12.0%)であった。
・年齢分布に関しては、NAFLDは若年患者(とくに女性患者)において多かった。
・統合失調症患者のNAFLDと有意な関連が認められた因子は、以下のとおりであった。
 ●BMI(p<0.001)
 ●メタボリックシンドロームリスクを伴う抗精神病薬の総投与量(p=0.049)
 ●高プロラクチン血症リスクを伴う抗精神病薬の総投与量(p=0.041)
・探索的解析では、NAFLDの線維化の徴候は、女性患者においてより関連性が高いことが示唆された(p=0.023)。
・この若年女性患者でみられるリスクは、一般集団と比較し、統合失調症患者に特有である可能性が示唆された。

(鷹野 敦夫)