小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

非専門医による診療機会を考慮、成人先天性心疾患診療ガイドライン改訂/日本循環器学会

 成人先天性心疾患診療ガイドラインが7年ぶりに改訂され、3月28~30日に開催された第89回日本循環器学会学術集会で山岸 敬幸氏(東京都立小児総合医療センター 院長/日本循環器学会 理事/日本小児循環器学会 理事長)が改訂点などを解説した。  先天性心疾患は出生数に占める割合として1.3~1.5%で推移し、近年の少子化に伴い、その発症数は減少している。その一方で、診断技術の進歩や手術成績の向上により、患者の約90%が成人に達するようになり、生存期間中央値は、軽症84.1歳、中等症75.4歳、重症53.3歳と報告され、成人先天性心疾患の患者数は年間約1万例のペースで増加している。

新型コロナパンデミックが園児の発達に影響

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは、園児の発達をさまざまな面で遅らせているとする研究結果が報告された。パンデミック発生後(2021〜2023年)の園児は、パンデミック発生前(2018〜2020年)の園児と比べて、言語・認知発達、社会的コンピテンス、コミュニケーション能力、一般知識の平均スコアが有意に低いことが明らかになったという。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)公共政策大学院社会福祉学分野のJudith Perrigo氏らによるこの研究結果は、「JAMA Pediatrics」に3月10日掲載された。

ボディイメージにまつわる問題は小児期に始まる

 体重に関する知覚は、わずか7歳という若い年齢で機能としてすでに形成されており、目にしたものの影響を受けて変化する可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。この研究の詳細は、「Journal of Experimental Child Psychology」に3月5日掲載された。  論文の上席著者である、英ダラム大学心理学教授のLynda Boothroyd氏は、「限られた範囲の体型しか紹介しない視覚メディアに注意する必要があることは、何年も前から明らかだった。なぜなら、それが大人の体型に対する知覚に影響を与えるからだ。今回の研究により、それが子どもにも当てはまることが判明した。非常にニュートラルなイメージであっても、同じような体型を繰り返し見ると、子どもはそれを基準に太い、細いと判断するようになる」と述べている。

子供も食事の早食いは肥満に関係する/大阪大

 「早食い」は太る原因といわれている。この食べる早さと肥満の相関は、子供にも当てはまるのだろうか。この課題に対し、大阪大学有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座の高阪 貴之氏らの研究グループは、わが国の小学生1,403人の咀嚼能力および咀嚼習慣と肥満との関連を検討した。その結果、早食いや咀嚼能力の低下は、男子で肥満と関連していた。この結果は、Journal of Dentistry誌2025年3月8日号のオンライン版に掲載された。  研究グループは、大阪市の9~10歳の児童1,403人を対象に、咀嚼習慣を質問紙で評価し、咀嚼能力は色変化するチューインガムを用いて測定した。肥満は、身長と体重に基づく過体重の割合で判定し、多変量ロジスティック回帰分析を行い、咀嚼習慣と咀嚼能力を説明変数とし、性別、DMFT指数、ヘルマン歯発育段階を調整した肥満のオッズ比を算出した。

神経発達障害を併発する強迫症に関与する免疫学的メカニズム

 強迫症(OCD)は、有病率が2〜3%といわれている精神疾患である。OCD治療では、セロトニン再取り込み阻害薬などの抗うつ薬の有効性が示されているが、病因は依然としてよくわかっていない。最近の研究では、とくに自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、トゥレット症などの神経発達障害を併発したOCD患者では、免疫学的メカニズムの関与が示唆されている。兵庫医科大学の櫻井 正彦氏らは、これらのメカニズムを明らかにするため、神経発達障害を併発したOCD患者と併発していないOCD患者における免疫学的因子を調査した。Psychiatric Research誌2025年4月号の報告。

働き方改革スタートから1年、「変化を感じる」は35%/ウォルターズ・クルワー調査

 医師の働き方改革がスタートして1年。医療業界向けの情報サービス事業のウォルターズ・クルワー・ヘルスは医師を対象に「『医師の働き方改革』に関する調査」と題したアンケートを行い、その結果を発表した。 「自身の勤務先の働き方改革の取り組み」を聞いた設問には、「取り組んでいる」との回答が83%だったが、その中で自身の働き方にも「変化を感じる」と答えた人は35%に留まった。

双極症とADHD併発患者における認知機能/心理社会的機能の特徴

 双極症や注意欠如多動症(ADHD)は、神経認知および心理社会的機能に重大な影響を及ぼす慢性的な神経精神疾患である。双極症とADHDの併発は、特有の臨床的課題を呈し、認知機能および機能障害をさらに悪化させる可能性がある。スペイン・Vall d'Hebron Research InstituteのSilvia Amoretti氏らは、双極症またはADHD患者および併発した患者と健康対照者における神経認知機能および心理社会的機能の違いを明らかにするため、最新情報を統合したシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Neuroscience and Biobehavioral Reviews誌2025年4月号の報告。

5価髄膜炎菌ワクチン、単回接種で良好な免疫応答/Lancet

 生後9~15ヵ月の乳幼児における通常小児ワクチンに併用接種する髄膜炎菌ワクチンについて、血清型A、C、Y、W、Xを標的とする5価髄膜炎菌結合ワクチン(NmCV-5)の併用接種は、承認済みの4価髄膜炎菌結合ワクチン(MenACWY-TT)の併用接種と比較して安全性に問題はなく、非劣性の免疫応答が惹起されたことが、マリ・Centre pour le Developpement des Vaccins-MaliのFatoumata Diallo氏らNmCV-5 EPI study teamによる第III相単施設二重盲検無作為化対照非劣性試験の結果で示された。侵襲性髄膜炎菌感染症は、アフリカのセネガルからエチオピアにかけて広がるmeningitis belt(髄膜炎ベルト)と呼ばれる国々において、壊滅的な被害をもたらす公衆衛生上の問題となっている。

母乳育児は子どもの血圧低下に関連

 母乳育児には、子どもの血圧を下げる効果があるようだ。最新の研究で、生後1週間と1カ月時点で腸内細菌の多様性が高く、特にビフィズス菌に代表されるBifidobacterium属が多く存在する場合、6カ月以上にわたる母乳育児が6歳時の血圧に対して保護的に働く可能性のあることが明らかになった。米コロラド大学アンシュッツメディカルキャンパスのNoel Mueller氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of the American Heart Association」に2月27日掲載された。Mueller氏は、「われわれの研究結果は、幼児期の腸内細菌叢が小児期の心血管の健康に潜在的に重要な意味を持つことを示唆している」と話している。

世界初!デューク大学の医師らが生体ドナーからの僧帽弁移植に成功

 米デューク・ヘルスの医師らが、世界で初めて心臓ドナーから提供された僧帽弁を用いた移植手術を成功させたことを、2月27日報告した。この画期的な手術により、米ノースカロライナ州の3人の少女の命が救われたという。  この手術は、ノースカロライナ州ウィルソン在住のJourni Kellyさん(11歳)が、デューク大学で心臓移植手術を受けたことで可能になった。医師らは、彼女の元の心臓から健康な弁を二つ取り出し、他の子どもに移植したのだ。  弁の一つは、ノースカロライナ州シャーロット在住のクロスカントリーランナー、Margaret Van Bruggenさん(14歳)に移植された。Margaretさんは重度の細菌感染により緊急に僧帽弁置換術を必要としていた。もう一つの弁は、ノースカロライナ州ペンブローク在住の9歳のKensley Frizzellさんに移植された。Kensleyさんは、先天性の染色体異常であるターナー症候群で生まれ、心臓に構造的な異常が認められたため、生後2カ月を迎える前に、すでに2回の心臓手術を受けていた。