医療一般|page:1

乳がん家族歴のある女性の検診、3D vs.2D/JAMA Oncol

 乳がんの家族歴のある女性を対象とした大規模コホート研究において、デジタル乳房トモシンセシス(DBT)を用いた乳がん検診が、従来のデジタルマンモグラフィ(DM)と比べ再検査率が大幅に低下し、特異度が向上したことをオーストラリア・シドニー大学のTong Li氏らが報告した。とくに、第1度近親者に乳がん患者がいる女性や乳腺散在乳房の女性でその効果が顕著で、きわめて高濃度乳房の女性では進行がん率を低下させることが示唆された。JAMA Oncology誌オンライン版2025年5月22日号に掲載。

日本における片頭痛患者の市販薬使用状況調査〜OVERCOME第2回研究

 片頭痛患者は、さまざまな理由で市販薬(OTC)を好む傾向があるが、OTC頭痛薬の過剰使用は、薬物乱用性頭痛を引き起こす可能性がある。京都府立医科大学の石井 亮太郎氏らは、片頭痛の疫学、治療、ケアに関する観察研究であるOVERCOME(Japan)第2回研究を分析し、日本における片頭痛患者のOTC頭痛薬の実際の使用状況が適切な医療の妨げとなっている可能性について、考察を行った。The Journal of Headache and Pain誌2025年5月7日号の報告。  本研究は、成人片頭痛患者を対象に、横断的地域住民ベースの全国オンライン調査として実施された。調査内容には、片頭痛に対する処方薬およびOTC薬の使用経験、片頭痛薬の認知度、片頭痛に対する態度についての報告を含めた。1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)および1ヵ月当たりのOTC頭痛薬の使用頻度に基づきサブグループ解析を実施した。

定年後も働きたい?医師が望むセカンドキャリア/医師1,000人アンケート

 近年、医師の定年後の過ごし方は多様化している。今回、CareNet.comでは、「医師の定年後の過ごし方」と題したアンケートを実施し、何歳まで働き続けたいかや、希望するセカンドキャリアなどを聞いた。対象はケアネット会員医師のうち、50代の勤務医が中心の1,002人で、内科系(545人)、外科系(282人)、その他診療科(175人)の3群に分けて傾向を調査した。  Q1では「何歳まで働きたいか」を聞いた。全体で最も多かった回答は「66~70歳まで」で28%、「61~65歳まで」が21%、「71~75歳まで」が22%だった。診療科系別にみると、「60歳まで」と回答した割合はその他診療科が12%で最も高く、「生涯現役」と回答した割合は内科系が13%でほかより若干高かった。

肥満体型の若い女性の健康状態は良好か

 体型と健康状態に相関はあるのだろうか。このテーマについて、オーストラリア・クイーンズランド大学公衆衛生学部オーストラリア女性少女健康研究センターのAnnette J. Dobson氏らの研究グループは、若年女性に多くみられる健康状態の年齢別有病率とBMIカテゴリーとの関連性が世代間で異なるかどうかを検討するため、18~30歳の女性の体重と身長を解析した。その結果、低体重・過体重の女性では、健康状態が良好ではないことが判明した。この結果は、Obesity誌オンライン版2025年5月13日号に掲載された。

高リスク前立腺がんにおいてテストステロン濃度回復は全生存率と関連

 放射線治療と長期アンドロゲン除去療法(ADT)を受けている高リスク前立腺がん患者において、血清テストステロン(T)濃度が正常レベルまで回復することは、全生存率の有意な改善と関連するという研究結果が、米国臨床腫瘍学会年次泌尿生殖器がんシンポジウム(ASCO GU25、2月13〜15日、米サンフランシスコ/オンライン開催)で報告された。  シェルブルック大学病院センター(カナダ)のAbdenour Nabid氏らは、高リスク前立腺がん患者630人を、骨盤放射線治療に加えて36カ月間のADTを行う群と18カ月間のADTを行う群にランダムに割り付けた(それぞれ310人、320人)。血清T濃度は、ベースライン時とその後も定期的に測定された。T濃度の回復は、各試験実施医療機関で正常範囲とされる範囲内に対象者のT濃度が戻ることと定義した。解析対象として、22年間(追跡期間中央値17.4年間)に測定された、515人の患者の6,587のT濃度データが利用可能であった。

EGFR陽性NSCLC、アミバンタマブ+ラゼルチニブが新たな1次治療の選択肢に/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は、2025年3月27日にラゼルチニブ(商品名:ライブリバント)について、「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の適応で、厚生労働省より製造販売承認を取得し、2025年5月21日に販売開始した。ラゼルチニブの販売開始により、EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療で、アミバンタマブ+ラゼルチニブが使用可能となった。そこで、2025年5月22日にメディアセミナーが開催され、アミバンタマブ+ラゼルチニブが1次治療で使用可能となったことの意義や、使用上の注意点などを林 秀敏氏(近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 主任教授)が解説した。

高額療養費制度見直しががん医療現場に与える影響/日本がんサポーティブケア学会

 2025年5月に開催された第10回日本がんサポーティブケア学会学術集会において、高額療養費制度の見直しに関するセッションが行われた。同セッションでは、医療者と患者双方のパネリストが登壇し議論が行われている。がん医療における高額療養費制度見直しに対する課題の多さが感じとられた。  帝京大学の渡邊 清高氏は高額療養費制度見直しの背景と、同学会が2月26日に発表した声明について説明があった。制度見直しの目的は社会保障制度の持続可能性の確保であるが、提案された見直し案には高額療養費の上限額引き上げが含まれており、患者ケアに影響を与える可能性が懸念されている。実施は見送られたものの、同学会は見直し案について、さらなる議論が必要であると共に患者と学会の声を聞くことの必要性を指摘した。

高齢者の不眠を伴ううつ病に対する薬理学的介入効果の比較〜ネットワークメタ解析

 高齢者における睡眠障害を伴ううつ病に対するさまざまな薬物治療の有効性と安全性を比較するため、中国・北京大学のJun Wang氏らは、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Psychogeriatrics誌2025年5月号の報告。  主要な国際データベース(Medline、Cochrane Library、Scopus、Embase、WHO国際臨床試験登録プラットフォーム、ClinicalTrialsなど)より、事前に設定したワードを用いて、検索した。薬物治療またはプラセボ群と比較したランダム化比較試験(RCT)を対象に含めた。ネットワークメタ解析におけるエフェクトサイズの推定には、標準平均差(SMD)および95%信頼区間(CI)を用いた。データ解析には、頻度主義アプローチを用いた。安全性評価には、治療中に発現した有害事象および重篤な有害事象を含めた。

飲酒は膵がんに関連するのか~WHOの大規模プール解析

 アルコール摂取と膵がんリスクとの関連を示すエビデンスは国際的専門家パネルによって限定的、あるいは決定的ではないと考えられている。今回、世界保健機関(WHO)のInternational Agency for Research on Cancer(IARC)のSabine Naudin氏らは、30コホートの前向き研究の大規模コンソーシアムにおいて、アルコール摂取と膵がんリスクとの関連を検討した。その結果、性別および喫煙状況にかかわらず、アルコール摂取と膵がんリスクにわずかな正の関連が認められた。PLOS Medicine誌2025年5月20日号に掲載。

原発性アルドステロン症診断のための座位生理食塩水負荷試験は有効か?

 高血圧患者の最大30%が罹患しているとされる原発性アルドステロン症の有無を確認するために広く実施されている特定の検査はしばしば不正確であることが、新たな研究で示された。カルガリー大学(カナダ)医学部准教授のAlexander Leung氏らによるこの研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に5月6日掲載された。Leung氏は、「この不正確な検査をなくすことで診断精度が向上し、治療開始までの時間が短縮される可能性がある。これは高血圧治療の領域における大きなパラダイムシフトとなる」と述べている。

希少がん患者、新たな放射線治療で副作用なくがんを克服

 米ミシガン州レッドフォード在住のTiffiney Beardさん(46歳)は、2024年4月に唾液腺の希少がんと診断されて以来、困難な道のりが待ち受けていることを覚悟していた。Beardさんが罹患した腺様嚢胞がんは神経に浸潤する傾向があるため、治療の副作用として、倦怠感、顎の痛み、食事や嚥下の困難、味覚の喪失、頭痛、記憶障害などを伴うのが常だからだ。Beardさんの場合、がんが脳につながる神経にまで浸潤していたことが事態をさらに悪化させていた。  Beardさんの担当医は、頭頸部がんに使用するのは米国で初めてとなる高度な放射線治療(陽子線治療)を行った。その結果、治療中にBeardさんに副作用が出ることはなかったという。Beardさんは、「ガムボールほどの大きさの腫瘍の摘出後、合計33回の陽子線治療を受けたが、副作用は全くなく、仕事を休むこともなかった」とニュースリリースで述べている。米コアウェル・ヘルス・ウィリアム・ボーモント大学病院のRohan Deraniyagala氏らが報告したこの治療成功症例の詳細は、「International Journal of Particle Therapy」6月号に掲載された。

自閉スペクトラム症の光過敏に新知見

 自閉スペクトラム症(ASD)は、聴覚過敏や視覚過敏などの感覚異常を伴うことが知られているが、今回、ASDでは瞳孔反応を制御する交感神経系に問題があることが新たに示唆された。研究は帝京大学文学部心理学科の早川友恵氏らによるもので、詳細は「PLOS One」に4月1日掲載された。  ASDは、様々な状況における社会的コミュニケーションの障害、ならびに行動や興味に偏りが認められる複雑な神経発達症の一つだ。発達初期に現れるこれらの症状に加え、聴覚・嗅覚・触覚などの問題に併せ、光に対する過敏性(羞明)に悩まされることが多い。

モデルナ、プレフィルドシリンジ型コロナワクチンを新発売

 モデルナ・ジャパンは5月26日付のリリースにて、新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス(R)筋注シリンジ」を新たに発売したことを発表した。本ワクチンは、12歳以上を対象とした1回接種用0.5mLを充填したプレフィルドシリンジ製剤で、医療現場での調製時間を短縮し、投与準備を簡便化する。これにより、医療従事者の負担軽減と接種の効率化が期待される。本製剤は、オミクロン株JN.1系統に対応している。  なお、2025年春夏シーズンの任意接種においては、従来からのオミクロン株JN.1系統対応バイアル製剤「スパイクバックス(R)筋注」も引き続き使用可能となっている。

抗精神病薬投与が脳構造変化に及ぼす影響

 精神疾患の自然経過に関連する潜在的な交絡因子を考慮せずに、抗精神病薬がMRI脳構造指標に及ぼす影響を明らかにすることは困難である。しかしながら、薬物治療中の患者を対象とした横断研究および縦断研究の結果を解明し、最終的な抗精神病薬の治療効果に及ぼす生物学的メカニズムの理解を深めるためには、これらの影響をより深く理解する必要がある。英国・King's College LondonのPierluigi Selvaggi氏らは、疾患の影響がない場合に、抗精神病薬投与がMRI脳構造指標の変化と関連しているかを明らかにするため、本検討を行った。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2025年5月7日号の報告。

nerandomilast、IPFとPPFの呼吸機能低下を抑制(FIBRONEER-IPF、ILD)/ATS2025

 ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害薬nerandomilastについて、国際共同第III相試験が2試験実施されている。特発性肺線維症(IPF)患者を対象とした「FIBRONEER-IPF試験」、進行性肺線維症(PPF)患者を対象とした「FIBRONEER-ILD試験」2)の結果が米国胸部学会国際会議(ATS2025 International Conference)で発表され、それぞれ2025年5月18、19日にNEJM誌へ同時掲載された。両試験において、nerandomilastは努力肺活量(FVC)の低下を有意に抑制した。

研修医の自殺、研修開始後3ヵ月が最多

 米国卒後医学教育認定評議会(ACGME)が行った以前の調査によると、2000~14年の米国における研修医・フェローの主な死亡原因は自殺とがんであった。後続研究としてACGMEは2015~21年のデータを分析し、以前の結果と比較した。Nicholas A. Yaghmour氏らによる本研究の結果は、JAMA Network Open誌2025年5月14日号に掲載された。  主要アウトカムは前回(2000~14年)と今回(2015~21年)の2つの期間における研修医・フェローの死亡率の差であった。副次的アウトカムは一般の同年代との死亡率の比較、専門分野別の死亡原因の差異だった。

マイコプラズマ肺炎、大阪府のマクロライド耐性率は約6割

 大阪府の医療施設を対象とした調査において、2024年のMycoplasma pneumoniaeのマクロライド耐性変異率は60.2%に達していたことが報告された。マクロライド耐性マイコプラズマ肺炎は2000年代から増加し、2012年前後にはM. pneumoniaeのマクロライド耐性変異率が80~90%に達した。その後、マクロライド耐性変異率は低下し、2019年前後には20~30%となった。それ以降は、COVID-19パンデミックに伴ってマイコプラズマ肺炎の報告が激減したが、2024年には再流行がみられた。そこで、宮下 修行氏(関西医科大学 内科学第一講座 呼吸器感染症・アレルギー科)らの研究チームは、大阪府の医療施設を対象として、2018~24年のマイコプラズマ肺炎の報告件数とM. pneumoniaeのマクロライド耐性変異率を調査した。本研究結果は、Respiratory Investigation誌2025年4月22日号に掲載された。

新たなリスクスコアにより頸動脈狭窄に対する不要な手術を回避

 頸動脈リスク(carotid artery risk;CAR)スコアと呼ばれる新たなスコアリングシステムにより、頸動脈狭窄が確認された患者に対する頸動脈血行再建術の必要性を判断できる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)やアムステルダム大学医療センター(オランダ)などの研究者らが開発したCARスコアリングシステムは、頸動脈狭窄の程度(狭窄率)や医療歴などを考慮して5年間の脳卒中リスクを予測する。UCLクイーン・スクエア神経学研究所の名誉教授であるMartin Brown氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Neurology」5月号に掲載された。

HAEの気道発作の救命は時間との勝負/CSLベーリング

 CSLベーリングは、5月16日の「HAE DAY(遺伝性血管性浮腫の日)」を記念し、「HAE DAYメディアセミナー 遺伝性血管性浮腫(HAE)~救急現場と患者さんの声から考える診断と治療の課題~」を開催した。遺伝性血管性浮腫(HAE)は、国の指定難病の1つで、皮膚や腹部などに突然むくみ(浮腫)が生じる疾患で、咽頭に発作が起きた場合、気道が閉塞し呼吸困難に陥り、患者の生命に関わる危険性もある。わが国には、未診断の患者も含め約2,500人の患者が推定されている。  セミナーでは、救急医療の観点からHAEと疑い診断をつけるポイントや患者会の活動と患者・患者家族の声などが語られた。なお、同社はHAEの治療薬としてヒト抗活性化第XII因子モノクローナル抗体製剤ガラダシマブ(商品名:アナエブリ)を4月18日に発売している。

うつ病に対するブレクスピプラゾール増強療法とミトコンドリア遺伝子発現変化

 うつ病患者の20%は治療抵抗性を示し、いくつかの抗うつ薬単剤療法では治療反応が得られない。このような治療抵抗性うつ病患者には、抗精神病薬による増強療法が治療選択肢の1つとなりうる。しかし、抗精神病薬増強療法のメカニズムは、依然として解明されていない。愛媛大学の近藤 恒平氏らは、遺伝子発現レベルにおけるブレクスピプラゾール増強療法の作用メカニズムを解明するため、本研究を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2025年5月6日号の報告。