日本発エビデンス|page:74

コーヒー1日3杯以上で脳腫瘍リスク低下~JPHC研究

 わが国の多目的コホート研究(JPHC研究)で、コーヒーや緑茶を飲む頻度で脳腫瘍のリスクを比較したところ、コーヒーを1日3杯以上飲むグループでリスクの低下がみられ、日本人ではコーヒー摂取が神経膠腫(グリオーマ)を含む脳腫瘍のリスクを減らす可能性が示唆された。International Journal of Cancer誌2016年12月号に掲載。

統合失調症への補助療法、その影響は:昭和大

 統合失調症患者における非薬理学的介入(NPI)と末梢脳由来神経栄養因子(BDNF)との関係を調査した研究はいくつかある。昭和大学の真田 健史氏らは、統合失調症(統合失調感情障害を含む)患者を対象に末梢血清および血漿BDNFにおいてNPIの有効性を確認するため、システマティックレビュー、メタ解析を行った。International journal of molecular sciences誌2016年10月24日号の報告。

うつ病患者のベンゾジアゼピン使用、ミルタザピン使用で減少:千葉大

 千葉大学の橋本 佐氏らは、うつ病エピソードの第1選択薬としてSSRIの代わりにミルタザピンを選択することで、うつ病患者のベンゾジアゼピン使用を低下させることが可能かを評価した。また、臨床的反応と血清成熟型脳由来神経栄養因子(BDNF)、前駆体proBDNFの関係を同時に調査した。Annals of general psychiatry誌2016年10月19日号の報告。

毛孔性紅色粃糠疹の発症にCARD14遺伝子変異が関与

 毛孔性紅色粃糠疹(PRP)は炎症性角化症の1つであるが、発症機序はわかっていない。名古屋大学医学部皮膚科助教の武市 拓也氏らは、CARD14遺伝子に着目して研究を行い、PRP V型(家族性および散発性)はCARD14遺伝子変異に起因している可能性があることを突き止めた。JAMA Dermatology誌オンライン版2016年10月19日号掲載の報告。

難治性てんかんに対するレベチラセタムの評価:群馬大

 レベチラセタムは、良好な忍容性を有しており、さまざまな発作型やてんかん症候群に対し有効な薬剤である。しかし、MRI所見や知的障害の有無に基づいた、子供の難治性てんかんに対するレベチラセタムの有効性を評価した研究はなかった。群馬大学の村松 一洋氏らは、子供の難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有効性、安全性を評価した。Brain & development誌オンライン版2016年10月13日号の報告。

果物摂取と胃がんリスクが逆相関~日中韓での研究

 果物・野菜の摂取と胃がんリスクとの関連について疫学的な知見は一貫していない。北京大学のTianyi Wang氏らは、日本・中国・韓国において前向き試験のプール解析を行った結果、果物の摂取量が多いと非噴門部胃がんリスクが低下する可能性を報告した。International journal of cancer誌オンライン版2016年10月19日号に掲載。

接触皮膚炎治療に有望視される開発中のJAK阻害薬

 サイトカインのシグナルを伝達するヤヌスキナーゼ(JAK)の阻害が、接触皮膚炎のような炎症性皮膚疾患の治療手段となりうる可能性が報告された。京都大学の天野 渉氏らがマウスを用いた実験において、JAK阻害薬JTE-052は抗原特異的T細胞活性化とその後の接触過敏症のような皮膚の獲得免疫に対して抑制作用を示すことを明らかにした。Journal of Dermatological Science誌オンライン版2016年9月13日号掲載の報告。

毎日5杯の緑茶で認知症予防:東北大

 生物学的研究では、緑茶の特定の構成要素が、認知神経の保護効果を有することが示唆されている。しかし、ヒトを対象とした疫学研究が十分でないため、認知症発症率に対する緑茶消費量の影響は確認されていない。東北大学の遠又 靖丈氏らは、緑茶消費量と認知症発症との関連を明らかにするため、コホート研究を行った。The American journal of geriatric psychiatry誌2016年10月号の報告。

双極性障害や統合失調症のバイオマーカー検出の試み:理研BSI

 双極性障害と統合失調症の診断マーカーは必要とされている。バイオマーカーの発見の遅れは、薬物治療の効果を混乱させる。理化学研究所 脳科学総合研究センターの影山 祐紀氏らは、薬物治療を行っていない双極性障害と統合失調症患者における血清バイオマーカーを同定するため、メタボローム解析を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2016年9月27日号の報告。

統合失調症の性機能障害改善のための補助療法:名古屋大学

 補助的アリピプラゾール療法は、高プロラクチン血症を改善することは知られているが、性機能障害に対する効果についての十分なエビデンスが得られていない。名古屋大学の藤生氏らは、性機能障害を有する統合失調症患者に対する補助的アリピプラゾール両方の有用性を評価した。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2016年9月22日号の報告。

維持期統合失調症、LAI使用で注意すべきポイント:慶應義塾大

 統合失調症の維持療法において、必要なドパミンD2受容体占有率は明らかになっていない。慶應義塾大学の猪飼 紗恵子氏らは、ベースライン時、リスペリドン長時間作用型注射剤(RLAI)を投与された統合失調症患者の臨床転帰を3年間追跡し、ドパミンD2受容体占有率を調査し、血漿中薬物濃度を推定した。Psychopharmacology誌オンライン版2016年9月8日号の報告。

がん登録データ活用し、がん患者の人口動態変化を予測~神奈川県

 団塊の世代の高齢化に伴い、がん患者の人口動態も大きく変わることが予想されており、それに対応できる専門医の配置などを含めた医療体制を整えていくことが求められている。とくに、首都圏近郊にはおよそ200万人の団塊の世代が居住しているといわれており、がん患者の地域分布は大きく変化していく可能性があると考えられている中で、乳がん患者データから将来のがん患者の人口動態変化を予測した、神奈川県立がんセンターの片山 佳代子氏らによる研究結果がPLOS ONE誌2016年8月17日号に発表された。

統合失調症患者の口腔ケア、その重要性は:東医大

 統合失調症患者は抗精神病薬で治療されるが、多くの場合、抗不安薬の併用が行われている。東京医科大学の岡本 彩子氏らは、定型、非定型抗精神病薬、抗不安薬、非向精神薬を服用中の統合失調症患者における口腔内乾燥症を評価するため、口腔水分計を用いて調査を行った。Journal of clinical pharmacy and therapeutics誌オンライン版2016年9月24日号の報告。

2型糖尿病患者、若いほどGERDが多い

 日本人の2型糖尿病患者において、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬(H2RA)の使用に関係なく、若年が独立して胃食道逆流症(GERD)に関連する可能性が示唆された。愛媛県内の関連病院による多施設共同研究である道後Studyにおける解析を愛媛大学の池田 宜央氏らが報告した。Digestive diseases and sciences誌オンライン版2016年9月22日号に掲載。

日本初のDOAC特異的中和剤イダルシズマブ、承認取得

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃)は、2016年9月28日、直接トロンビン阻害剤ダビガトラン(商品名:プラザキサ)の特異的中和剤であるイダルシズマブ(遺伝子組換え)(商品名:プリズバインド)の製造販売承認を取得したことを発表した。直接トロンビン阻害剤やXa因子阻害剤などの直接作用型経口抗凝固薬(DOAC:Direct oral anticoagulant)に対する特異的中和剤の製造販売承認取得は日本初である。なお、米国と欧州では昨年、承認を取得している。

高齢者の視力低下、認知障害と関連

 視力障害と認知障害は共に高齢者のQOLを左右する重要な問題であるが、両者には関連があるのだろうか。奈良県立医科大学眼科学教室の峯 正志氏らは、奈良県在住の65歳以上の高齢者を対象としたコホート研究「藤原京スタディ」を行い、認知障害は視力障害と有意に関連していることを明らかにした。著者は、「認知障害のリスクを減らすためには良好な視力を維持することが重要である」とまとめている。BioResearch Open Access誌2016年8月1日号掲載の報告。

揚げ物はうつ病の天敵か:日医大

 感情の調整に対して、長鎖n-3、n-6系多価不飽和脂肪酸(LC n-3/n-6 PUFA)は重要な役割を担っている。以前の著者らの研究では、LC n-3 PUFAが豊富な魚類の消費量とうつ病へのレジリエンス(逆境に直面してストレスに対処する能力)との関連が報告されていた。魚類の高摂取は日本の伝統的な食事パターンであるが、現在の日本人の食事パターンは西欧化している。西洋食は、一般的に揚げ物に使用される植物油によるLC n-6 PUFAを多く含有し、うつ病リスクと関連する。日本医科大学 多摩永山病院の吉川 栄省氏らは、揚げ物の消費量とうつ病へのレジリエンスとの関連を検討した。Lipids in health and disease誌2016年9月15日号の報告。