医療一般|page:285

ダパグリフロジンがHFrEF患者で主要評価項目達成、同クラスで初/AstraZeneca

 AstraZeneca(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者:パスカル・ソリオ)は2019年8月26日までに、ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の心不全に対する有効性を検討した第III相DAPA-HF試験において、主要評価項目を達成したことを発表した。2型糖尿病合併の有無を問わず、心不全患者の標準治療への追加治療として、SGLT2阻害薬の有効性および安全性が実証されたのは初となる。  第III相DAPA-HF試験は、2型糖尿病合併および非合併の成人HFrEF(左室駆出率が低下した心不全)患者を対象に、心不全の標準治療(アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬[ARB]、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬[MRA]およびネプライシン阻害薬を含む薬剤)への追加療法としてのダパグリフロジンの有効性を検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験。

日本の小中学生におけるインフル予防接種の有効性

 インフルエンザワクチンの接種は、インフルエンザの発症予防や発症後の重症化の予防に一定の効果があるとされている。今回、東北大学の國吉 保孝氏らが、地域の小中学生における季節性不活化インフルエンザワクチン接種(IIV)の有効性について2シーズンで評価した結果が報告された。Human Vaccines & Immunotherapeutics誌オンライン版2019年8月19日号に掲載。  本研究は、公立小中学校の生徒における2012/13年および2014/15年シーズンのデータでの横断調査。調査地域における対象学年の全員にアンケートを配布し、得られた7,945人の回答を分析した。予防接種状況とインフルエンザ発症は、両親または保護者による自己申告式アンケートにより判断した。一般化線形混合モデルを用いて、学校および個人の共変量におけるクラスタリングを調整し、予防接種状況とインフルエンザ発症との関連についてオッズ比および95%信頼区間(CI)を計算した。

小児抑うつ尺度-日本語版の信頼性と妥当性

 うつ病は、個人だけでなく社会に大きな悪影響を及ぼす疾患であり、早期発見のための心理学的な評価ツールが求められる。久留米大学の大園 秀一氏らは、アップデートされた小児抑うつ尺度-日本語版(CDI-J)の信頼性および妥当性を評価し、うつ病検出のカットオフ値を設定するため検討を行った。Pediatrics international誌オンライン版2019年7月25日号の報告。  対象は、7~17歳の子供・青年465人。小・中学校の生徒および病院スタッフの子供たちより集められた群を対照群、小児心身外来および思春期精神科外来患者を外来患者群とした。両群のCDI-Jスコアを、バリマックス回転を用いた因子分析の対象とし、その後、測定不変性分析を行った。妥当性を評価するため、Youth Self Report(YSR)を実施した。外来患者群には、現在の抑うつ症状を診断するため、精神疾患簡易構造化面接法を実施した。うつ病発見のパフォーマンスを評価し、うつ病検出のカットオフ値を設定するため、ROC解析を実施した。

ラムシルマブ適応拡大、肝細胞がんは薬を使い切る戦略が鍵に

 ラムシルマブの登場で、肝細胞がんの薬物治療は4剤が使用可能となったが、治療アルゴリズムはどう変化するのか。2019年6月、化学療法後に増悪した血清AFP値400ng/mL以上の切除不能な肝細胞がんに対して、ラムシルマブが適応拡大された。これを受けて8月1日、都内でメディアセミナー(主催:日本イーライリリー)が開催され、工藤 正俊氏(近畿大学医学部消化器内科 教授)が講演した。  本邦における肝がんの年間罹患数は約4万人、年間死亡数は約2万7,000人となっている。性別ごとの年間死亡数では、男性では肺、胃、大腸に次ぐ4番目、女性では大腸、肺、膵臓、胃、乳房に次ぐ6番目と、今もって死亡の多いがんといえる1)。肝がんの主要な背景疾患であるC型肝炎の新たな感染が減ったことで、死亡数は漸減の傾向にあるが、食事の欧米化などの影響から、B型/C型ウイルス由来ではない肝細胞がんが増加傾向にある。

アトピー性皮膚炎、FLG変異に人種差

 アトピー性皮膚炎(AD)とフィラグリン遺伝子(FLG)変異との関連について、米国・ペンシルベニア大学のDavid J. Margolis氏らは、軽症~中等症アトピー性皮膚炎児のコホートにおいて、FLG機能欠損(LoF)変異は人種による顕著な違いがみられること、そしてそれがADの持続と関連していることを明らかにした。ADとFLG変異の関連に関しては4つの変異が最もよく評価に使われている。今回の結果を踏まえて著者は、「従来の4つの変異を調べるだけでは不十分である。ADについてFLG LoF変異に基づく遺伝子診断テストを計画する場合は包括的に行うべきであり、最もよく試験されている変異に依存すべきではない」と指摘している。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年7月31日号掲載の報告。

ベンゾジアゼピンや抗コリン薬の使用と認知症発症との関連

 ベンゾジアゼピンや抗コリン薬の使用と認知症リスクの関連について、オランダ・アムステルダム大学のMelanie Hafdi氏らが、プロスペクティブコホート研究を行った。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2019年7月9日号の報告。  対象は、オランダの家庭医療116施設より募集された認知症でない70~78歳の高齢者3,526人。薬剤使用に関する情報は、ベースラインおよび2年間のフォローアップ期間中に報告され、対象者の電子カルテと照合した。抗コリン薬の曝露は、抗コリン作動性認知負荷尺度(anticholinergic cognitive burden score)により定義した。対象者は、2年ごとのフォローアップ中に認知症について評価され、電子カルテや死亡記録から情報を補填した。

肺がん2剤併用療法、ベースはシスプラチン?カルボプラチン?/Lung Cancer

 進行期非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、プラチナベース化学療法はいまだ大きな柱である。実臨床においてはシスプラチンとカルボプラチンの2つのプラチナ製剤が多く使われる。すでに、Cohchraneグループによるカルボプラチンとシスプラチンベースの化学療法を比較するメタアナリシスが行われているが、NSCLCにおける急速な治療の変化と拡大する臨床試験の中、新たなデータの反映が求められていた。そのような中、ドイツのGriesingerらは、2013年〜2018年1月に発表されたNSCLC1次治療におけるカルボプラチンとシスプラチンの無作為化比較試験のシステマチックリサーチを⾏い、解析結果を更新した。評価項⽬は全⽣存期間(OS)、1年⽣存率(1yOS)、客観的奏効率(ORR)、Grade3/4の薬物関連有害事象など。Lung Cancer誌2019年9⽉号掲載の報告。

第6回 東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座【ご案内】

 東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター、同医学部附属病院 消化器化学療法外科、同大学院臨床腫瘍学分野、同大学院未来がん医療プロフェッショナル養成プランは、2019年9月23日(月・祝)に、第6回東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座を開催する。本講座は、同学が地域がん診療連携拠点病院の活動の一環として、がんに関するさまざまなテーマで開催する公開講座の6回目となる。今回は『広がるがん治療の選択肢』をテーマに、最近話題の治療、新たに保険適用となった治療のメリットや留意点、自分に最適な治療を決めるためのサポートなどについて、さまざまな立場から情報提供する。各種ブース展示や体験コーナーなど、楽しく学べる企画が予定されている。

急性期統合失調症治療に対する経口抗精神病薬32種類の有効性と忍容性の比較

 統合失調症は、最も一般的な疾患の1つであり、世界中の成人において負担や費用のかかる精神疾患である。統合失調症治療では、抗精神病薬が選択されるが、どの薬剤を使用するべきかについては意見が分かれている。ドイツ・ミュンヘン工科大学のMaximilian Huhn氏らは、ランダム化比較試験のデータを定量化することにより、抗精神病薬の比較とランク付けを行った。Lancet誌オンライン版2019年7月11日号の報告。  プラセボ対照試験およびhead-to-headランダム化比較試験のネットワークメタ解析を実施し、32種類の抗精神病薬を比較した。各データベースより、2019年1月8日までのデータを検索した。2人の独立した著者が研究を選択し、データを抽出した。統合失調症または関連疾患の急性期症状を有する成人患者を対象としたランダム化比較試験を選択した。治療抵抗性、初回エピソード、陰性症状または抑うつ症状が主症状、併存疾患、再発予防に関する研究は除外した。主要アウトカムは、標準化された評価尺度を用いて測定された全体的な症状変化とした。8つの有効性および8つの安全性アウトカムのデータを抽出した。研究結果の差異は、メタ回帰および感度分析により調査した。エフェクトサイズの尺度は、標準化平均差(SMD)、平均差、リスク比(95%信用区間[CrI])とした。エビデンスの信頼性は、CINeMA(ネットワークメタ解析の信頼性)を用いて評価した。

BRCA変異に対する予防的卵巣摘出は骨にどのような影響を及ぼすか

 BRCA遺伝子変異の保有者において、予防的卵巣摘出術は骨にどのような影響を及ぼすのか。カナダ・Women's College Research InstituteのJoanne Kotsopoulos氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、とくに手術時に閉経前だった女性において卵巣摘出術と骨密度低下は関連していることが示された。著者は、「この患者集団に対しては、骨の健康を改善するため定期的な骨密度評価およびホルモン療法などの管理戦略を定めるべきである」と述べている。JAMA Network Open誌2019年8月号掲載の報告。

手術不要な心不全患者の救急搬送を減らすには?

 救急車で運ばれた心不全患者のうち、約8割の患者は手術が不要であったことが、厚生労働省作成による診断群分類毎の集計結果(2017年)から明らかになった。これはいったい何を意味しているのだろうか-。2019年8月8日に開催されたメディアセミナー『ハート・トーク2019』において、磯部 光章氏(榊原記念病院 院長/東京医科歯科大学名誉教授)が「脳卒中・循環器病対策基本法について」、代田 浩之氏(順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学)が「心臓病の二次予防と心臓リハビリテーション」について講演。トークセッションでは、俳優の渡辺 徹氏が心筋梗塞の発症当時のエピソードや再発予防策について語った(日本心臓財団、アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社共催)。

青年期双極性障害患者のメタボリックシンドローム有病率

 メタボリックシンドローム(MetS)の有病率は増加しており、中年期の双極性障害におけるMetSが重要な臨床的相関を示すことが報告されているにもかかわらず、青年期および若年成人におけるこの問題に関してはよくわかっていない。カナダ・トロント大学のChristine Li氏らは、青年期の双極性障害患者のMetSについて、COBY(Course and Outcome of Bipolar Youth)研究を実施し、検討を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2019年7月30日号の報告。  2000~06年にCOBY研究に登録された青年期および若年成人の双極性障害患者162例(平均年齢:20.8±3.7歳、年齢範囲:13.6~28.3歳)を対象に、横断的レトロスペクティブ研究を実施した。MetSの定義には国際糖尿病連合の基準を用い、測定値(血圧、ブドウ糖、HDLコレステロール、トリグリセライド、胴囲)を単一時点で収集した。気分、併存疾患およびMetS評価の6ヵ月前の治療は、Longitudinal Interval Follow-Up Evaluationを用いて評価した。

非扁平上皮NSCLCの維持療法、ベバシズマブかペメトレキセドか併用か/JCO

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の維持療法にはベバシズマブまたはペメトレキセドの単剤投与か併用投与なのか、あるいはいずれも有効なのか。米国・エモリー大学ウィンシップがん研究所のSuresh S. Ramalingam氏らは、それらを直接比較する「ECOG-ACRIN 5508試験」の結果、ベバシズマブ単剤またはペメトレキセド単剤は有効であるが、生存ベネフィットの不足とその毒性から、ベバシズマブ・ペメトレキセドの併用療法は推奨できないとまとめている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年7月30日号掲載の報告。

がん患者が言い出せない、認知機能障害への対応策/日本臨床腫瘍学会

 がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害(cancer-related cognitive impairment;CRCI)は海外で研究が進みつつあるものの、国内での認識は医療者・患者ともに低い。第17回日本臨床腫瘍学会学術集会では、「がんと関連した認知機能障害:病態解明・診断・治療/ケアはどこまで進んだか」と題したシンポジウムが開かれ、国内外の知見が紹介された。本稿では、橋本 淳氏(聖路加国際病院 腫瘍内科)、谷向 仁氏(京都大学大学院医学研究科)による発表内容を中心に紹介する。  がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害は、現時点で有効な評価方法や治療は確立されていないが、がんそのものによる肉体的・精神的影響によって治療前からみられるもの、化学療法や手術、内分泌療法などの治療に伴ってみられるものがあると考えられている。橋本氏は、乳がん、卵巣がん、消化器がんなどにおける海外の報告を紹介。治療前は20~30%の患者で1)、化学療法に伴うものとして17~75%の患者でみられたという報告がある(報告により認知機能の評価法が異なり、幅のある結果となっている)2~3)。

日本におけるベンゾジアゼピン長期使用に関連する要因

 ベンゾジアゼピンやZ薬(BZD)の長期使用は、現在の臨床ガイドラインで推奨されていないものの、実臨床において引き続き行われている。東京医科歯科大学の高野 歩氏らは、日本における長期BZD使用率とそのリスク因子について調査を行った。BMJ Open誌2019年7月26日号掲載の報告。  本研究は、健康保険データベースを用いたレトロスペクティブコホート研究である。対象は、2012年10月1日~2015年4月1日の期間にBZD使用を開始した18~65歳の外来患者8万6,909例。そのうち、初回BZD使用日に手術を行った患者762例および8ヵ月間フォローアップを行っていない患者1万2,103例を除く7万4,044例を分析した。新規BZD使用患者の8ヵ月以上の長期使用率を調査した。患者の人口統計、診断、新規BZD使用の特徴、長期BZD使用の潜在的な予測因子について評価を行った。長期使用と潜在的な予測因子との関連を評価するため、多変量ロジスティック回帰を用いた。

エヌトレクチニブ、NTRK固形がんとROS1肺がんでFDA承認

 2019年8月15日、米国食品医薬品局(FDA)は、NTRK融合遺伝子陽性でほかの治療法がない固形がんに対して、ROS1/TRK阻害薬エヌトレクチニブを迅速承認した。同時に、転移のあるROS1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対しても承認している。  NTRK陽性がんの有効性は、ALKA、STARTRK-1、STARTRK-2の3つの多施設単群臨床試験のいずれかでエヌトレクチニブを投与された54例の成人患者で検討された。54例の独立評価委員による全奏効率(ORR)は57%(95%CI:43~71)であった。奏効期間(DOR)は、患者の68%が6ヵ月以上は、45%が12ヵ月以上であった。

医師は仕事でSNSを使っている? 会員医師アンケート

 多くの人が日常的に使っているソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)。人によっては、仕事上の情報収集・情報発信の目的で利用しているケースもある。では、医師の場合、研究や日常診療に役立つ情報を収集するために、どのSNSを利用しているのだろうか。ケアネットでは、2019年7月にCareNet会員医師を対象にSNS利用動向についてのアンケートを行った。アンケートは、2019年7月4日(木)~19日(金)の期間にインターネットで行われ、会員医師400人(20~30代・40代・50代・60代以上の各年代100人)から回答を得た。