新型コロナワクチン初回投与で入院リスク大幅減、スコットランドの全国調査/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2021/05/12

 

 現在、世界中でCOVID-19ワクチンの接種プログラムが進められており、ワクチンが及ぼす臨床効果の研究は急務である。今回、英スコットランド・エディンバラ大学のEleftheria Vasileiou氏らが、BNT162b2 mRNAワクチン(商品名:コミナティ、Pfizer/BioNTech)およびChAdOx1 nCoV-19(別名:AZD1222)ワクチン(Oxford/AstraZeneca)の大規模接種とCOVID-19入院との関連を調査した。その結果、COVID-19ワクチンの大規模な初回接種は、スコットランドにおけるCOVID-19入院リスクの大幅な減少と関連していた。Lancet誌2021年5月1日号に掲載。

 研究者らは、COVID-19-EAVEIIデータベースの早期パンデミック評価と強化サーベイランスを使用して、前向きコホート研究を実施した。データベースには、940の一般診療所で登録された540万人(スコットランド人口の約99%)のワクチン接種、プライマリケア、リアルタイムRT-PCR検査、および入院患者記録などが紐付けられている。COVID-19入院は、COVID-19を主な原因とする入院、または調査期間中にSARS-CoV-2陽性が判明してから28日以内の入院として評価された。なお、調査期間前に陽性と診断された患者は分析から除外された。

 主な結果は以下のとおり。

・2020年12月8日~2021年2月22日の調査期間中に、18歳以上の成人133万1,993例(30%)がワクチンの初回接種を受けた。平均年齢は65.0歳(SD:16.2)だった。
・3万3,834例が、期間中にワクチンの2回目接種を受けた。
・ワクチン接種率は併存疾患の数と共に増加し、併存疾患なしの接種率21.2%に対し、5つ以上の場合は80.0%に増加した。
・ワクチン接種後28~34日でのCOVID-19入院に対する効果推定値は、BNT162b2 mRNAワクチンの初回接種を受けた患者では91%(95%CI:85~94)、AZD1222ワクチンの場合は88%(95%CI:75~94)であり、分析を80歳以上に限定した場合でも同様の結果(BNT162b2 mRNAワクチン88%[95%CI:76~94]、AZD1222ワクチン81%[95%CI:72~89])だった。
・両ワクチンのプール分析での年齢層別の効果推定値は18~64歳で92%(95%CI:82~97)、65~79歳で93%(95%CI:73~98)、80歳以上では83%(95%CI:72~89)だった。

 研究者らは、「今回の結果から、BNT162b2 mRNAまたはAZD1222ワクチンの初回接種が、COVID-19による入院リスクの大幅な減少に関連していることがわかった。これは、われわれの知る限り、ワクチンがCOVID-19入院に及ぼす影響を評価する最初の全国的な人口レベルの研究だ」と結論している。

(ケアネット 堀間 莉穂)