乳房温存術が切除術より生存率が高いのは独立した効果か

提供元:ケアネット

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公開日:2021/05/11

 

 術後放射線療法を伴う乳房温存術が、放射線療法を伴わない乳房切除術より生存率が高いことがコホート研究で示されているが、独立した効果なのか、選択バイアスの結果なのかは不明である。今回、スウェーデン・Capio St Goran's HospitalのJana de Boniface氏らは、重要な交絡因子である併存疾患および社会経済的状態の補正後も、乳房温存術の生存ベネフィットがみられるかどうか検討した。JAMA Surgery誌オンライン版2021年5月5日号に掲載。

 本研究は、前向きに収集されたスウェーデンの全国的なデータ(National Breast Cancer Quality Registerからの全国的な臨床データ、National Board of Health and WelfareのPatient Registersからの併存疾患データ、Statistics Swedenからの個人レベルの教育と収入のデータ)を使用したコホート研究。スウェーデンで2008~17年にT1-2 N0-2の浸潤性乳がんと診断され手術を受けたすべての女性を対象に、放射線療法ありの乳房温存術、放射線療法なしの乳房切除術、放射線療法ありの乳房切除術の3群に分け、全生存率(OS)と乳がん特異的生存率(BCSS)を比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・計4万8,986例のうち、放射線療法ありの乳房温存術が2万9,367例(59.9%)、放射線療法なしの乳房切除術が1万2,413例(25.3%)、放射線療法ありの乳房切除術が7,206例(14.7%)で、観察期間中央値は6.28年(範囲:0.01~11.70)だった。
・全死亡は6,573例、乳がんによる死亡は2,313例で、5年OSが91.1%(95%CI:90.8~91.3)、5年BCSSが96.3%(95%CI:96.1~96.4)だった。
・放射線療法なしの乳房切除術を受けた女性は、年齢が高く、教育レベルと収入は低かった。
・乳房切除術を実施した2つの群では、放射線療法の有無に関係なく併存疾患の負荷が大きかった。
・すべての共変量の補正後、OSおよびBCSSは、放射線療法ありの乳房温存術に比べ、放射線療法なしの乳房切除術(OSのハザード比[HR]:1.79、95%CI:1.66~1.92、BCSSのHR:1.66、95%CI:1.45~1.90)および放射線療法なしの乳房切除術(OSのHR:1.24、95%CI:1.13~1.37、BCSSのHR:1.26、95%CI:1.08~1.46)で有意に悪かった。

 本研究では、これまで測定されていなかった併存疾患および社会経済的状態の補正後も、放射線療法を伴う乳房温存術が、乳房切除術(放射線療法の有無に関係なく)より生存率が高いことが示された。著者らは「どちらの治療も妥当な選択肢であれば、乳房切除術が乳房温存術と同等と見なされるべきではない」と結論している。

(ケアネット 金沢 浩子)