医療一般|page:282

不安障害に対するベンゾジアゼピン長期使用~メタ解析

 不安障害の治療ガイドラインでは、ベンゾジアゼピン(BZD)の長期使用は認められていないが、実際の臨床現場では一般的に行われている。慶應義塾大学の新福 正機氏らは、不安障害に対するBZD長期使用に関するメタ解析を実施した。International Clinical Psychopharmacology誌2019年9月号の報告。  不安障害患者に対する13週以上のBZD長期使用における有効性を検討したランダム化比較試験(RCT)またはRCT後の維持研究を対象とし、2019年5月までに公表された研究をPubMedより検索した。その後、ベースラインからエンドポイントまでのハミルトン不安評価尺度(HAM-A)スコアの変化、すべての原因による中止、副作用、パニック発作回数に関してメタ解析を行った。

ribociclib+フルベストラント、HR+/HER2-閉経後乳がんでOS延長(MONALEESA-3)/ESMO2019

 ホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2-)の閉経後進行乳がんに対する、ribociclib+フルベストラント併用療法の有効性を検討した第III相MONALEESA-3試験の最新結果が発表され、全生存(OS)期間を有意に延長したことが明らかになった。スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)において、米国・David Geffen School of MedicineのDennis J. Slamon氏が発表した。ribociclibについては、HR+/HER2-の閉経前進行乳がんにおいて、内分泌療法との併用がOSを有意に延長したことがMONALEESA-7試験により示されている。

アベマシクリブ+フルベストラント、HR+/HER2-乳がんのOS延長(MONARCH-2)/ESMO2019

 ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性進行乳がんを対象とした、CDK4/6阻害薬アベマシクリブ+フルベストラントの併用療法とフルベストラント単独療法との比較試験(MONARCH-2試験)の結果が、スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・スタンフォード大学のGeorge W.Sledge氏によって発表された。 <試験概要> ・本試験は国際共同二重盲検第III相比較試験である。 ・対象:HR陽性HER2陰性乳がんで、術前ホルモン療法中か術後ホルモン療法の12ヵ月以内に再発・病勢進行(PD)が認められた症例、または進行再発がんに対する1次内分泌療法中のPD症例(閉経状況問わず。進行再発がんに対する化学療法薬の投与は認められていない)

オピオイド誘発性便秘わが国の実態(OIC-J)/Cancer Medicine

 オピオイド誘発性便秘(OIC)は、オピオイド疼痛治療で頻繁にみられる副作用だが、その発生率は報告によりさまざまで、十分に確立されているとはいえない。この発生率のばらつきは、臨床試験および横断研究におけるOICの診断基準の複数があることも要因である。  近年、大腸疾患の基準であるRome IVがOICの基準に取り入れられた。そのような中、Rome IV基準を用いた日本人がん性疼痛患者におけるOICの発生率を検討した多施設共同前向き観察研究の結果がCancer Medicine誌8月号で発表された。

統合失調症の認知機能に対する身体能力の影響

 統合失調症患者では、神経認知機能と身体能力が低下することがわかっているが、これら2つの因子の関連性を示すエビデンスは十分ではない。韓国・翰林大学校のJiheon Kim氏らは、統合失調症患者のさまざまな身体的パフォーマンスと認知機能との関連について、他の障害に関連する臨床症状を考慮したうえで、調査を行った。European Psychiatry誌2019年9月号の報告。  対象は、統合失調症患者60例。心肺持久力と機能的可動性の評価には、それぞれ踏み台昇降、supine-to-standing(STS)テストを用いた。実行機能とワーキングメモリの評価には、それぞれストループ課題、スタンバーグワーキングメモリ(SWM)課題を用いた。臨床症状の評価には、簡易精神症状評価尺度(BPRS)、うつ病自己評価尺度(BDI)、特性不安尺度(STAI)を用いた。神経認知に関連する予測因子を特定するために、関連する共変量で調整し、多変量解析を行った。

適切な治療法を届けたい、「バセドウ病治療ガイドライン2019」

 バセドウ病は1,000~2,000人に1人に発症する疾患であり、日常診療において遭遇率の高い疾患の1つである。なかでも、若い女性では約300人に1人が罹患しているとされ、妊娠中の検査で判明することも少なくない。  2019年5月、日本甲状腺学会によるバセドウ病治療ガイドラインが8年ぶりに改訂。本書は専門医だけではなく非専門医やそのほか医療者のバイブルになることを目的として作成されていることから、吉村 弘氏(伊藤病院/バセドウ病治療ガイドライン作成委員会委員長)に一般内科医にも知ってもらいたい改訂ポイントや「バセドウ病治療ガイドライン2019」の特徴について聞いた。

ザンタック自主回収、海外での発がん性物質検出受け予防的措置―GSK

 グラクソ・スミスクライン(GSK、東京都港区)は、9月26日付でH2受容体拮抗薬「ザンタック」(一般名:ラニチジン塩酸塩)の一部製品につき、自主回収を発表した。海外において、発がん性物質であるN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたとの報告を受け、同社では既に製品の出荷を停止し、調査・分析を進めている最中だが、予防的措置として自主回収に踏み切った。  自主回収の対象製品は、「ザンタック錠75」「ザンタック錠150」「ザンタック注射液50mg」「ザンタック注射液100mg」。

転移TN乳がん、GEM/CBDCAにtrilaciclib追加でOSが大きく改善/ESMO2019

 強力なCDK4/6阻害薬であるtrilaciclibは、その作用機序および前臨床試験から骨髄毒性の抑制および抗腫瘍作用の改善効果が期待されている。今回、転移を有するトリプルネガティブ乳がん(mTNBC)に対する多施設無作為化非盲検第II相試験において、ゲムシタビン/カルボプラチン(GEM/CBDCA)にtrilaciclibを追加することにより、全生存期間(OS)を有意に改善したことが報告された。一方、主要評価項目である好中球減少症の有意な抑制効果は示されなかった。スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Texas Oncology-Baylor Sammons Cancer CenterのJoyce O'Shaughnessy氏が発表。なお、本試験結果はLancet Oncology誌オンライン版9月28日号に同時掲載された。

シニアに必要な視力の健康

 9月11日、バイエル薬品株式会社は、都内において「人生100年時代の生き方・老い方会議~100年ずっと見える人生のために~」をテーマに講演会を開催した。  第2回となる今回のテーマは「見えることの重要性」で、講演会では一般のシニア約100名を前に、眼科医師による眼の健康とシニアの生き方の講演や現役で活躍するシニアの代表が登壇し、健康に生きる秘訣などを語った。  同社では、今後も世界各国でヘルシーエイジング(健康的で幸せに歳を重ねていく)活動の応援を推進するとしている。

高齢者における魚摂取量と認知症発症リスクの関連~大崎コホート2006

 魚類は、認知機能低下を予防する多くの栄養素を含んでいる。したがって、習慣的な魚類の摂取は、認知症発症リスクの低下に寄与する可能性が示唆されている。しかし、認知症発症と魚類の摂取を調査したプロスペクティブコホート研究は少なく、それらの調査結果は一貫していない。東北大学の靏蒔 望氏らは、魚類の摂取量と認知症発症リスクを評価するため、大崎コホート研究のデータを用いて検討を行った。The British Journal of Nutrition誌2019年9月3日号の報告。

東京都でインフルエンザ流行開始、昨年比で3ヵ月早く

 東京都が9月26日付でまとめた、都内のインフルエンザ定点医療機関からの第38週(9月16~22日)の患者報告数が、流行開始の目安となる定点当たり報告数1.0を超えた。インフルエンザは、例年12月から3月にかけて流行しているが、昨年と比べても11週早い。今シーズンの異例ともいえる速さでの流行開始に、都は早めの注意と対策を呼び掛けている。  都内419ヵ所のインフルエンザ定点医療機関から報告された第38週の患者報告数は、定点当たり1.06人。今シーズン(9月2日以降)において、都内の学校や社会福祉施設等で発生したインフルエンザと思われる集団感染事例は、22日までに55件報告されている。

糖尿病と食道腺がんリスク(プール解析)/Cancer

 糖尿病とさまざまながんの関係が研究されているが、食道/食道胃接合部の腫瘍との関係は明らかになっていない。米国国立がん研究所(NCI)のJessica L. Petrick氏らは、2,309例の食道腺がん(EA)、1,938例の食道胃接合部腺がん(EGJA)、1,728例のバレット食道(BE)、および1万6,354例の対照を含む、国際バレットおよび食道腺がんコンソーシアム(International Barrett's and Esophageal Adenocarcinoma Consortium:BEACON)の13の研究データを統合し、糖尿病とEA、EGJA、BEの関連についての研究固有のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を、ロジスティック回帰を用いて推定した。Cancer誌オンライン版2019年9月6日号掲載の報告。

若者に対するアルコールスクリーニングと評価尺度~メタ解析

 臨床医は、アルコールによる有害な影響を受けた若者における飲酒リスクを特定するための強力な理論的根拠を求めている。英国・ヨーク大学のPaul Toner氏らは、25歳未満の若者を対象としたアルコールスクリーニングと評価尺度に関する検証文献のエビデンスの質を評価するため、システマティック・レビューを行った。Drug and Alcohol Dependence誌2019年9月1日号の報告。  6つの電子データベース(MEDLINE、EMBASE、PsycINFO、SSCI、HMIC、ADAI)より、2016年5月までの公表されている文献および灰色文献を検索した。1980年以降に英語で公表された、以前のアルコール測定と比較したスクリーニングまたは評価尺度に関するフルテキストレポートを検証に含めた。バイアスリスクは、COSMINおよびQUADAS-2を用いて評価した。

CDK4/6阻害薬trilaciclibの小細胞肺がん化学療法における骨髄保護作用/Ann Oncol

 小細胞肺がんの治療においても、化学療法の骨髄毒性は大きな問題である。trilaciclibは、化学療法中の造血幹細胞・前駆細胞(HSPC)および免疫系機能保護を目的に開発中のCDK4/6阻害薬であり、前臨床において、HSPCのG1期からの移行を一時的に制御し、化学療法のダメージから保護することで、骨髄毒性からの回復を早め抗腫瘍免疫を強化するとされる。  未治療の進展型小細胞肺がんにおける、trilaciclibの有効性、安全性および薬物動態を検証した第I/II相試験の結果が発表された。Annals of Oncology誌2019年8月27日号掲載の報告。

高まる腫瘍循環器学への注目/日本腫瘍循環器学会

 がん治療において心血管系の合併症を避けることは容易ではない。ほとんどのがんの予後が改善される中、この合併症への対策はさらに重要になっている。2019年9月21日から第2回日本腫瘍循環器学会学術集会が開催された。東京大学の小室 一成氏は、理事長講演のなかで以下のように述べた。  腫瘍循環器学は世界的に注目が高まっている。その傾向はわが国でも同様で、多くのがん関連学会、循環器関連学会で腫瘍循環器学が取り上げられている。

ブレクスピプラゾールのリバウンド現象抑制作用

 統合失調症患者に対する抗精神病薬の長期治療は、ドパミンD2受容体感作により引き起こされると考えられる過感受性精神病や遅発性ジスキネジアを誘発する可能性がある。大塚製薬のNaoki Amada氏らは、ラットにおいて亜慢性期治療後のD2受容体感受性に対するブレクスピプラゾールの効果を検討した。また、他の非定型抗精神病薬を投与された亜慢性期ラットでのD2受容体に対する増強作用を、ブレクスピプラゾールが抑制できるかについて評価を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年9月5日号の報告。

ワクチンガイドラインが9年ぶりに改訂

 格安航空会社(LCC)の乗り入れによる海外旅行や海外商圏の広がりによる出張などで渡航する日本人の数は減少することがない。その一方で、海外に渡航し、現地で感染症に罹患するケースも後を絶たない。現地で病に臥せったり、国内には存在しない、または、まれな感染症を国内に持ち込んだりというケースもある。  こうした感染症の予防には、渡航前にワクチンを接種することが重要だが、具体的にどのようなワクチンを、いつ、どこで、誰に、どのようなスケジュールで接種するかは一部の専門医療者しか理解していないのが現状である。

統合失調症に対するブロナンセリン経皮吸収型テープ製剤の有効性と安全性

 ブロナンセリンは、統合失調症に適応を有する第2世代抗精神病薬である。藤田医科大学の岩田 仲生氏らは、急性増悪統合失調症患者におけるブロナンセリン経皮吸収型テープ製剤の有効性、安全性、薬物動態について検討を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年8月27日号の報告。  本試験は二重盲検多施設共同第III相臨床試験であり、1週間の観察期間中にプラセボの2つのテープ製剤を使用し、その後6週間の二重盲検期間を設け、患者を1日1回ブロナンセリン40mgテープ(40mg群)、80mgテープ(80mg群)またはプラセボテープ(プラセボ群)を貼付する群にランダムに割り付けた。主要エンドポイントは、PANSSスコアのベースラインからの変化量とした。安全性評価には、治療により発生した有害事象(TEAE)を含めた。

キノロン系薬に末梢神経障害などの使用上の注意改訂指示

 フルオロキノロン系およびキノロン系抗菌薬の添付文書について、2019年9月24日、厚生労働省より使用上の注意の改訂指示が発出された。今回の改訂は、フルオロキノロン系およびキノロン系抗菌薬のアキレス腱や精神、末梢神経障害に関連した副作用に関するもので、米国や欧州の添付文書が改訂されたことを受け、日本国内症例、公表論文等の情報に基づき添付文書改訂の必要性が検討されたことによるもの。フルオロキノロン系およびキノロン系抗菌薬の添付文書について、