医療一般|page:249

ACE2遺伝子発現の年齢依存的な増加はCOVID-19重症化と関連?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、小児では比較的重症化しにくいとされている。その要因の1つとして、小児の鼻上皮におけるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)発現が成人より少ないことがあるかもしれない。米国・Icahn School of Medicine at Mount SinaiのSupinda Bunyavanich氏らの調査で、鼻上皮におけるACE2遺伝子発現が年齢とともに増加することが示された。JAMA誌オンライン版2020年5月20日号リサーチレターでの報告。  本研究は、2015~18年にMount Sinai Health System(ニューヨーク市)を受診した4~60歳の患者の鼻上皮を後ろ向きに調査した。サンプルは、喘息におけるバイオマーカー研究のため、喘息の有無にかかわらず収集されたもの。線形回帰モデルは、統計処理ソフトウェアR version 3.6.0(R Foundation)を使用して、ACE2遺伝子発現を100万当たりのlog2カウントで従属変数として、年齢層を独立変数として作成した。年齢層は、10歳未満(45例)、10〜17歳(185例)、18〜24歳(46例)、25歳以上(29例)の4群に分類した。

切除不能StageIII NSCLC、デュルバルマブ地固め療法のPD-L1発現別転帰(PACIFIC)/Ann Oncol

 PACIFIC試験では、化学放射線療法(CRT)後に進行しない切除不能なステージIII非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、デュルバルマブはプラセボと比較して生存(PFSおよびOS)を大幅に改善した。探索的分析である腫瘍細胞(TC)PD-L1発現別の結果を含む、調査期間中央値3.3ヵ月の追跡結果が発表された。  デュルバルマブによるPFSはPD-L1にかかわらず改善がみられ、OSはTC1%を除くすべてのサブグループでOSの改善がみられた。

HER2+転移乳がんへのpyrotinib+カペシタビン、ラパチニブ併用よりPFS延長(PHOEBE)/ASCO2020

 トラスツズマブと化学療法の治療歴のある転移を有するHER2陽性乳がんに対して、pan-ErbB阻害薬pyrotinibとカペシタビンの併用が、ラパチニブとカペシタビンの併用より無増悪生存期間(PFS)を延長したことが、第III相PHOEBE 試験で示された。中国・Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical CollegeのBinghe Xu氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表した。  pyrotinibは、EGFR、HER2、HER4を標的とする不可逆的pan-ErbB受容体チロシンキナーゼ阻害薬である。第I/II相試験で、カペシタビンとの併用で転移を有するHER2陽性乳がん患者における臨床的ベネフィットと許容可能な忍容性が確認されている。今回、ラパチニブとカペシタビンとの併用と比較した多施設無作為化非盲検第III相試験であるPHOEBE試験の結果が報告された。

大腸がん、1次治療からFOLFOXIRI+ベバシズマブで予後良好/Lancet Oncol

 未治療の転移を有する切除不能大腸がん(mCRC)に対する有効な治療法が明らかにされた。1次治療でFOLFOXIRI+ベバシズマブ(BEV)療法を行い2次治療も同療法を再導入する治療法は、1次治療でmFOLFOX+BEV療法→2次治療でFOLFIRI+BEV療法を逐次投与する治療法と比較して、良好な治療成績が得られることが認められたという。イタリア・ピサ大学のChiara Cremolini氏らが、イタリア国内58施設で実施した、無作為化非盲検第III相試験「TRIBE2試験」の最新解析結果を報告した。Lancet Oncology誌2020年4月号掲載の報告。  研究グループは、2015年2月26日~2017年5月15日に未治療mCRC患者679例を、対照群(340例)と試験群(339例)に1対1の割合で無作為に割り付けた。

ニンテダニブ、進行性線維化を伴う間質性肺疾患の国内適応を追加/ベーリンガーインゲルハイム

 ベーリンガーインゲルハイムは、ニンテダニブ(商品名:オフェブ)について、2020年5月29日付で、進行性線維化を伴う間質性肺疾患(進行性線維化を伴うILD)の効能・効果で国内における製造販売承認を取得した。  今回の承認は、国際共同第III相臨床試験(INBUILD試験)に基づくもので、ニンテダニブは日本で初めて進行性線維化を伴うILDを適応として承認された治療薬となる。海外においては、2020年3月に進行性線維化を伴うILDの唯一の治療薬として、世界で初めて米国で承認された。

EGFR陽性NSCLC脳転移例に対するオシメルチニブの有用性(OCEAN)/ASCO2020

 脳転移を有するEGFR変異陽性(T790M変異を含む)の非小細胞肺がん(NSCLC)に対するオシメルチニブの治療が、有用性を示したという報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で静岡県立静岡がんセンターの和久田 一茂氏より発表された。  本試験はWJOG臨床試験グループが実施した、2コホートの第II相シングルアームの試験(OCEAN試験/LOGIK1603-WJOG9116L)である。今回の発表はそのうち、T790M変異を有するコホートの解析結果である。

急性期統合失調症に対するアリピプラゾールとブレクスピプラゾールの比較~メタ解析

 藤田医科大学の岸 太郎氏らは、急性期統合失調症に対するアリピプラゾールとブレクスピプラゾールの有効性および安全性、忍容性を評価するため、ランダム化試験のシステマティックレビュー、ネットワークメタ解析を実施した。Psychopharmacology誌2020年5月号の報告。  2019年5月22日までの研究を、Scopus、MEDLINE、Cochrane Libraryより検索した。主要アウトカムは治療反応率とし、副次的アウトカムは中止率、有害事象発生率とした。リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。  主な結果は以下のとおり。

うつ病の発症、HHV-6が持つ遺伝子SITH-1が関与か:慈恵医大

 これまで、ヒト遺伝子の中にうつ病の原因となる有効な遺伝子は発見されていなかった。今回、東京慈恵会医科大学の近藤 一博氏らは、ヒトに寄生する微生物を含む遺伝子群(メタゲノム)に着目、ヒトに潜伏感染しているヒトヘルペスウイルス6B(HHV-6B)が持つ、うつ病の原因となる遺伝子SITH-1を発見したことを発表した。SITH-1は脳のストレスを亢進させることでうつ病を発症させる作用があり、うつ病と診断されない程度の軽いうつ症状にも影響していたという。iScience誌オンライン版2020年5月21日号掲載の報告。  HHV-6Bは小児期に突発性発疹として感染し、ほぼ100%のヒトが潜伏感染している。HHV-6Bは脳神経に親和性の高いウイルスで、さまざまな脳神経疾患や精神疾患との関係が予想されている。研究チームはHHV-6Bが嗅球で潜伏感染する際に発現するSITH-1遺伝子を発見、疾患との関係を調べた。

高リスクHER2+乳がんの術後補助療法、T-DM1+ペルツズマブの効果(KAITLIN)/ASCO2020

 高リスクのHER2陽性早期乳がんの術後補助療法で、アントラサイクリン投与後、トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)+ペルツズマブは、標準治療であるトラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサンに比べて、無浸潤疾患生存期間(IDFS)を延長しなかったことが、第III相無作為化非盲検試験であるKAITLIN試験で示された。ドイツ・ミュンヘン大学のNadia Harbeck氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表した。

原発不明がんにおけるニボルマブの有効性(NivoCUP)/ASCO2020

 原発不明がん(CUP)の予後は不良であり、加えて、治療選択肢は限定されている。そのため、CUP患者の多くは、経験的な化学療法を受けている。近年、CUPの免疫プロファイルが免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が奏効するがん種と類似していることが示され、CUP患者に対するICI治療の可能性が期待されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)では、CUPに対するニボルマブの有用性を評価する多施設共同第II相(医師主導治験)であるNivoCUP試験の結果が近畿大学医学部 腫瘍内科・岸和田市民病院 腫瘍内科の谷崎 潤子氏により報告された。

Withコロナの夏に5つの提言/日本感染症学会・日本救急医学会・日本臨床救急医学会・日本呼吸器学会

 本格的な夏の到来を控え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防でのマスク着用により、例年以上の熱中症被害が危惧されている。  そこで、日本救急医学会の呼びかけにより、日本感染症学会・日本救急医学会・日本臨床救急医学会・日本呼吸器学会の4学会で構成するワーキンググループが組織され、「『新型コロナウイルス 感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言』について」が発表された。  同提言では、感染対策としての換気やマスク着用の重要性、熱中症対策としてのエアコン使用やマスクを外す必要性との両立など、夏季を迎えて注意するポイントをまとめている。

FDA、EGFR変異陽性肺がんに対するラムシルマブとエルロチニブの併用の1次治療を承認/イーライリリー

 イーライリリーは、2020年5月29日、米国食品医薬品局(FDA)がEGFR遺伝子変異を有する進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者への1次治療に対して、ラムシルマブとエルロチニブの併用療法を承認したと発表。ラムシルマブとエルロチニブ併用療法はEGFR遺伝子変異陽性の進行NSCLCにおいて、FDAが承認した初めてで唯一の抗VEGFR/EGFR-TKI併用療法。今回の承認は、無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同第III相試験であるRELAY試験から得られた有効性および安全性に基づいている。

veliparib、gBRCA変異のないBRCA-like型TN乳がんでPFS改善(SWOG S1416)/ASCO2020

 転移を有するトリプルネガティブ(TN)乳がんで、生殖細胞系列BRCA遺伝子(gBRCA)変異はないが、相同組み換え修復不全(HRD)スコアや体細胞系列BRCA1/2変異などの分析でBRCA-like型に分類された患者に対し、PARP阻害薬veliparibをシスプラチンに追加することで無増悪生存期間(PFS)が延長したことが、第II相SWOG S1416試験で示された。米国・University of Kansas Medical CenterのPriyanka Sharma氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表した。

うつ病から双極性障害や統合失調症への移行~15年間のプロスペクティブ研究

 うつ病から双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害への移行について、その時間的パターンと予測因子を調査するため、フィンランド・ヘルシンキ大学のIlya Baryshnikov氏らは、レジスターベースのコホート研究を実施した。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年5月8日号の報告。  1996~2011年に精神科病棟へ初回入院したすべてのうつ病患者4万3,495例を15年間フォローアップした。診断転換の累積発生率および部分分布ハザード比(SHR)は、累積発生関数およびFine-Gray部分分布モデルを用いて定義した。

新型コロナで8割の診療所が患者&収入減!診療科別の違いも浮き彫りに-会員医師アンケート

 新型コロナウイルス感染症の流行拡大は、診療所・病院の経営に大きな影響を与えている。今回、ケアネットでは診療所で働く会員医師に対し、2020年4月の外来患者数・経営状態についてアンケート調査を行った。アンケートは2020年5月21(木)~25日(月)に実施し、1,000名から回答を得た。  調査は、全国のケアネット会員のうち診療所(病床数0床)で勤務する30代以上の医師を対象にインターネット上で実施。回答者の年代は50代が36.7%と最も多く、60代が32.2%、40代が17.0%、70代以上が8.1%、30代が6%だった。診療科は内科が47.5%と半数近くを占め、続いて小児科が6.9%。整形外科・皮膚科が各4.7%、循環器内科・精神科が各4.6%、などとなっている。

アテゾリズマブ+ベバシズマブによりCRとなった肝がん患者に特徴はあるか(IMbrave150)/ASCO2020

 全身療法未治療の切除不能肝細胞がん(HCC)に対する第III相IMbrave150試験において、アテゾリズマブとベバシズマブの併用はソラフェニブと比べ、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示した。主要解析時点の、ソラフェニブ群に対するアテゾリズマブ+ベバシズマブ群のOSハザード比(HR)は0.58(95%CI:0.42~0.79、p<0.001)PFS HRは0.59(95%CI:0.47~0.76、p<0.0001)であった。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)では、IMbrave150試験において完全奏効(CR)となった患者のベースライン特性についての報告があった。

COVID-19による静脈血栓症、入院前に発症か/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者では、Dダイマーと凝固系での凝固促進変化、この感染症に関連する静脈および動脈血栓症の上昇率が報告されている。現時点でのさまざまな論文報告によると、ICUに入室したCOVID-19患者の死亡率は50%と高い。とくに動脈・静脈での血栓イベント発症の報告は多く、末梢静脈血栓塞栓症は27~69%、肺塞栓症は最大23%も発生している。  フランス・CCNのJulien Nahum氏らが観察研究を行った結果、深部静脈血栓症の発症割合は79%と高く、早期発見と抗凝固療法を迅速に開始することで予後を改善する可能性が示唆された。また、抗凝固薬を予防投与したにもかかわらず、ICU入室後わずか2日で患者の15%が深部静脈血栓症を発症したことから、COVID-19のICU患者すべてにおいて系統的に抗凝固療法を評価する必要があるとしている。JAMA Network Open 2020年5月29日号のリサーチレターに報告した。

パチシラン継続投与でTTR型FAPの症状が改善/アルナイラム

 アルナイラム社は、欧州神経学会バーチャル会議2020でトランスサイレチン(TTR)型家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)のRNAi治療薬パチシラン(商品名:オンパットロ)の国際共同試験の長期結果と同所性肝移植後に病状が進行した患者を対象とした治療の中間データを発表した。  TTR型家族性アミロイドポリニューロパチーは、TTR遺伝子の変異が原因で生じる進行性の難治性疾患で、患者数は全世界で約5万人と推定される。障害発生率と死亡率はきわめて高く、診断からの生存期間の中央値は4.7年、心筋症を発症した患者では3.4年とさらに短くなる。

高齢者の血清尿酸値とうつ病との関係

 可溶性尿酸塩は、とくに中枢神経系における抗酸化作用として機能することが示唆されている。血清尿酸値が低いと神経変性疾患のアウトカム不良につながることを示唆するデータも存在するが、メンタルヘルスに対する影響は十分に評価されていない。韓国・中央大学校のWoo-Joong Kim氏らは、大規模サンプルを用いて、血清尿酸値とうつ病との関連について調査を行った。Arthritis Research & Therapy誌2020年5月6日号の報告。  対象者の社会人口統計学的特性、身体的および精神的健康状態に関する情報は、2016年の韓国国民健康栄養調査(KNHANES)のデータを用いた。うつ症状の評価には、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いた。年齢により、若年成人(19~39歳)、中年成人(40~59歳)、高齢者(60歳以上)に層別化し、分析を行った。

COVID-19治療薬、ヒドロキシクロロキンに乾癬発症のリスク?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として期待された抗マラリア薬ヒドロキシクロロキン(HCQ)について、乾癬の発症・増悪・再発を誘発する可能性があることを、カナダ・トロント大学のMuskaan Sachdeva氏らが示した。乾癬に関連したHCQ治療の重大な影響を調べた試験報告を統合したシステマティックレビューの結果に基づくもので、著者は、「COVID-19患者へのHCQ治療においては、その重大な影響をモニタリングする必要がある。また、安全性プロファイルを明らかにする臨床試験の実施が不可欠だ」と述べている。HCQはCOVID-19患者のウイルス量を低減する可能性が示された一方で、治療の影響と思われる重大な皮膚有害事象の症例報告が複数寄せられていた。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年5月19日号掲載の報告。