コロナ禍の行動制限は、市民による自動体外式除細動器(automated external defibrillator;AED)の使用にも影響を及ぼした。2020~2021年の新型コロナウイルス感染症によるパンデミック中、AEDを用いた一般市民による除細動(public access defibrillation;PAD)の実施率が低下し、院外心停止(医療機関外での心肺停止)患者の転帰が悪化していたことが示された。これは新潟医療福祉大学救急救命学科の大松健太郎氏らによる研究であり、「BMJ Open」に4月8日掲載された。
バイスタンダー(救急現場に居合わせた人)が一次救命処置(basic life support;BLS)でAEDを使用することにより、電気ショックの対象となる院外心停止患者の神経学的転帰(心停止蘇生後の脳障害)が改善する。そのため多くの市民が集まる公共の場などではAEDの設置が推奨されている。一方、パンデミック中にPAD実施率が低下したことを示す研究も報告されている。