抗精神病薬に関連する便秘は、日常診療において多くの患者にみられる副作用であるが、その研究は十分に行われているとはいえない。便秘は、患者の身体的健康に影響を及ぼすだけでなく、疾患負担に対する心理的ストレスを増大させる要因となるため、一層の注意が求められる。中国・Affiliated Guangji Hospital of Soochow UniversityのSidi He氏らは、米国FDA有害事象報告システムより、抗精神病薬関連の便秘に関する潜在的なリスクを分析した。Expert Opinion on Drug Safety誌オンライン版2025年2月17日号の報告。
FDA有害事象報告システム(FAERS)データベースより、2017年1月〜2022年12月に報告された抗精神病薬関連便秘の有害事象報告を収集した。報告オッズ比(ROR)および95%信頼区間(CI)は、症例/非症例法を用いて算出した。
主な結果は以下のとおり。
・期間中に報告された便秘症例562件は、非定型抗精神病薬に起因する副作用であった。
・アリピプラゾールとziprasidoneを除く他の非定型抗精神病薬は、便秘リスクと有意な関連が認められた(各々、p<0.05)。
・RORは、amisulprideが最も高く(ROR:4.07)、次いでパリペリドン(ROR:2.73)、クエチアピン(ROR:1.83)、クロザピン(ROR:1.61)、オランザピン(ROR:1.50)の順であった。
・リスペリドンは、便秘への影響が最も低かった(ROR:0.71)。
著者らは「クロザピン、オランザピン、amisulpride、クエチアピン、パリペリドンは、便秘リスクとの相関が認められた。一方、リスペリドンは、胃腸機能に対する影響が最も少ないことが示唆された。抗精神病薬関連便秘の継続的なモニタリングには、他のデータベースと組み合わせたFAERSデータベース分析が不可欠である」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)