不眠症が泌尿器、生殖器系疾患に及ぼす影響

提供元:ケアネット

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公開日:2025/03/27

 

 不眠症が、さまざまな泌尿器系および生殖器系の疾患に及ぼす影響や因果関係は、明らかになっていない。中国・Fifth People's Hospital of Shanghai Fudan UniversityのYougen Wu氏らは、不眠症が10種類の泌尿器系および生殖器系の疾患に及ぼす影響を調査し、この関連を評価するため、メンデルランダム化(MR)研究を実施した。Translational Andrology and Urology誌2025年1月31日号の報告。

 UK Biobank、23andMe、FinnGen、遺伝子コンソーシアムより、不眠症と10種類の泌尿器系および生殖器系の疾患のデータを収集した。主なMR分析として、逆分散加重アプローチを用いた。推定値のロバストを調査するため、MR-PRESSO検定(MR多面性残差和、外れ値)、最尤法、MR-Egger法、加重中央値法を用いて感度分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・ボンフェローニ補正後、遺伝的に不眠症と診断された場合、膀胱炎および前立腺炎のリスク上昇が認められた。
 【膀胱炎】オッズ比(OR):1.81、95%信頼区間(CI):1.47〜2.24、p<0.001
 【前立腺炎】OR:3.53、95%CI:1.73〜7.18、p<0.001
・不眠症は、前立腺がんリスクの上昇、膀胱がんリスクの低下と関連していた。
 【前立腺がん】OR:1.30、95%CI:1.00〜1.67、p=0.046
 【膀胱がん】OR:0.48、95%CI:0.26〜0.90、p=0.02
・腎臓がん、腎結石および尿管結石、神経因性膀胱、前立腺肥大症、男性不妊症、女性不妊症との因果関係は認められなかった。

 著者らは「不眠症は、膀胱炎および前立腺炎の潜在的なリスク因子であることが裏付けられた。これらの疾患リスクを軽減するためにも、不眠症は重要な治療ターゲットとなりうる」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)