医療一般|page:1

EGFR陽性StageIIIのNSCLC、CRT後のオシメルチニブ承認/AZ

 アストラゼネカは2025年5月19日、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)について「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法」の適応で、厚生労働省より承認を取得したことを発表した。EGFR遺伝子変異陽性の切除不能なStageIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する分子標的薬では、本邦初の承認となる。これまで、切除不能なStageIIIのNSCLCにおいては、EGFR遺伝子変異の有無を問わず、根治的化学放射線療法(CRT)およびその後のデュルバルマブによる維持療法が標準治療とされていた。

モデルナのコロナワクチン、生後6ヵ月からの追加免疫の一変承認を取得

 モデルナ・ジャパンは5月19日付のプレスリリースにて、新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス筋注」について、生後6ヵ月以上4歳以下を対象とした追加免疫に関する承認事項の一部変更を厚生労働省から取得したと発表した。  これまで「スパイクバックス筋注」は、生後6ヵ月以上5歳未満に対して初回免疫のみ承認されており、追加免疫は5歳以上が対象であったが、今回の承認により、生後6ヵ月から追加免疫としても接種できるようになる。

日本における治療抵抗性うつ病患者と医師の重要視しているポイントの違い

 福岡大学の堀 輝氏らは、抗うつ薬治療で効果不十分な日本人うつ病患者の臨床成績に対する医師と患者が重視するポイントの違いを、臨床的に意義のある最小差(MCID)の概念を適用して調査した。Frontiers in Psychiatry誌2025年3月26日号の報告。  本研究は、うつ病患者に対するブレクスピプラゾール2mg/日の増強療法を評価した52週間の非盲検多施設共同研究の事後分析として実施された。Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)スコア、シーハン障害尺度(SDS)スコア、EuroQol-5 dimension-5 level (EQ-5D-5L)から導き出された効用スコアにおけるMCIDを決定した。医師と患者の回答におけるMADRS、SDS、効用スコアの曲線下面積(AUC)との相関係数を比較した。

キウイを毎日食べると心が健康になる

 キウイフルーツは身近なフルーツとして日常で食す機会も多い。では、このキウイフルーツの摂取は、われわれの健康にどのような影響を与えるのであろうか。オーストラリア・アデレード大学の心理学研究科のMichael Billows氏らの研究グループは、ビタミンCが豊富なキウイフルーツの摂取が、高度気分障害の人に対し心理的ウェルビーイングを改善するか検討した。その結果、キウイフルーツは、気分障害の軽減に潜在的に有益性があることが示唆された。この結果は、Nutrients誌2025年4月18日号に掲載された。

心不全患者の亜鉛不足、死亡や腎不全が増加

 台湾・Chi Mei Medical CenterのYu-Min Lin氏らは、心不全(HF)患者の亜鉛欠乏が死亡率、心血管系や腎機能リスクおよび入院リスクの上昇と関連していることを明らかにした。Frontiers in Nutrition誌2025年4月28日号掲載の報告。  HF患者では、利尿薬やRA系阻害薬といった降圧薬の使用などが原因で、亜鉛欠乏症(ZD)の有病率が高いことが報告されている。また、亜鉛補充により左室駆出率を改善させる可能性も示唆されているが、亜鉛がHFの臨床転帰に与える影響を調査した大規模研究はほとんど行われていなかった。

紙巻きタバコと電子タバコの併用で健康リスクは軽減しない

 折につけて紙巻きタバコを電子タバコに替えることでがんのリスクを減らせると考える人がいるかもしれないが、その考えは正しくないようだ。新たな研究で、紙巻きタバコと電子タバコを併用しても、タバコに関連するニコチンや発がん物質への曝露量は紙巻きタバコだけを吸う人と同等であることが示された。米国がん協会(ACS)タバコ規制研究グループのシニア・アソシエイト・サイエンティストであるZheng Xue氏らによるこの研究結果は、「Nicotine and Tobacco Research」に4月15日掲載された。

米国では孤独感を抱える人は高齢層よりも中年層に多い

 社会的孤立は認知症、健康問題、精神障害、死亡のリスクを高めるため、老化の専門家の間では高齢者の孤独が大きな懸念事項となっている。しかし、少なくとも米国においてはその懸念はやや見当違いであり、むしろ中年層の方が高齢層よりも孤独を感じている実態が明らかになった。米エモリー大学ロリンズ公衆衛生大学院のRobin Richardson氏らによるこの研究結果は、「Aging and Mental Health」に4月21日掲載された。  Richardson氏は、「一般的に、加齢に伴い孤独感は増すと考えられているが、米国では、実際には中年層の方が高齢層よりも孤独を感じている人が多い」と同大学のニュースリリースで述べている。同氏はさらに、「孤独の蔓延に対処するためのこれまでの支援活動や介入策は高齢者や青少年に焦点が当てられてきた。中年層は、重要な対象であるにもかかわらず、見過ごされている」と指摘する。

カフェイン摂取とアルツハイマー病進行との関連

 アルツハイマー病は、世界的な健康問題として深刻化しており、疾患進行に影響を及ぼす可能性のある改善可能な生活習慣因子への関心が高まっている。この生活習慣因子の中でも、カフェイン摂取は潜在的な予防因子として期待されているものの、そのエビデンスは依然として複雑であり、完全に解明されていない。パキスタン・Rehman Medical InstituteのZarbakhta Ashfaq氏らは、カフェイン摂取とアルツハイマー病進行との関連性についてのエビデンスをシステマティックにレビューし、評価した。Cureus誌2025年3月20日号の報告。

コロナ入院患者の院内死亡リスク、オミクロン後もインフルの1.8倍超/感染症学会・化学療法学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、オミクロン株流行以降、重症度が低下したとする報告がある一方、インフルエンザと比較すると依然として重症度が高いとの報告もある。国内の死亡者数においても、5類感染症移行後、COVID-19による死亡者数はインフルエンザの約15倍に上ると厚生労働省の統計で報告されている。こうした背景から、長崎大学熱帯医学研究所の前田 遥氏らの研究グループは、COVID-19患者の入院中の死亡リスクをインフルエンザ患者と比較評価した。本結果は、5月8~10日に開催された第99回日本感染症学会総会・学術講演会/第73回日本化学療法学会総会 合同学会にて、前田氏が発表した。

HAE患者さんの発作不安を解消するガラダシマブ発売/CSLベーリング

 CSLベーリングは、遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制にガラダシマブ(商品名:アナエブリ)が4月18日に販売されたことに合わせ、プレスセミナーを都内で開催した。プレスセミナーでは、ガラダシマブの概要やHAE治療の課題と展望などが説明された。  「HAE長期予防のための新たな選択肢『アナエブリ皮下注 200mgペン』の製品概要」をテーマにローズ・フィダ氏(研究開発本部長)が、ガラダシマブの開発の経緯や国際共同第III相試験であるVANGUARD試験の概要について説明した。

高血圧診断後の降圧薬開始、1ヵ月以内vs.1ヵ月以降

 未治療の成人高血圧患者において、診断後1ヵ月以内に降圧薬単剤療法を開始すると、それ以降に開始した場合と比較して、診断後6~30ヵ月までの血圧コントロールが良好であった。一方で、1ヵ月以内に単剤での降圧薬療法を開始したとしても、30%超の患者では血圧コントロールは不十分であることも示された。米国医師会のRobert B Barrett氏らによる後ろ向きコホート研究の結果が、Hypertension誌オンライン版2025年4月21日号に掲載された。  診断および治療歴のない高血圧患者1万5,422例(平均年齢:56.0±14.8歳、18歳未満および85歳以上は除外、2019年1月~2023年1月に初回診断)が、5つの医療機関の後ろ向きコホートより抽出された。診断後最大42ヵ月までの期間において、血圧コントロール状況(<140/<90mmHg)およびコントロール不良時における降圧薬単剤療法の開始状況を経時的に評価した。初診時の血圧に対する降圧薬単剤療法開始のオッズを、人種、性別、および糖尿病の有無で層別化し、ロジスティック回帰モデルにより推定した。経時的な血圧コントロール達成状況については、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比を推定した。

術後の吐き気、アロマセラピーで改善か

 術後の悪心・嘔吐(PONV)は、全身麻酔による手術を受けた患者の約30%で発生する。口腔外科手術では、PONVの発生する割合がさらに上がることが報告されているが、今回、アロマセラピーにより術後悪心(PON)の重症度が軽減されるという研究結果が報告された。北海道大学大学院歯学研究院歯科麻酔学教室の石川恵美氏らの研究によるもので、詳細は「Complementary Therapies in Medicine」に3月26日掲載された。  PONVの管理は、全身麻酔での手術後の予後と患者の治療満足度にとって重要な要素の1つだ。海外のPONVのガイドラインでは、女性や、高リスクの手術、揮発性吸入麻酔薬の使用といった複数のリスク因子を有する患者に対しては、3~4つの対策を講じることが望ましいとされている。しかし、国内では保険適用可能な薬剤の数が限られており、これらの高リスク患者のPONV管理においては、複数の対策を講じるための代替となる新しい手段の検討が必要である。

アトピー性皮膚炎への新規外用薬、既存薬と比較~メタ解析

 アトピー性皮膚炎に対する治療薬として、2020年1月にデルゴシチニブ、2021年9月にジファミラストが新たに承認された。長崎大学の室田 浩之氏らは、これらの薬剤と既存の標準的な外用薬について、臨床的有効性および安全性を評価するためシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施し、結果をDermatology and Therapy誌2025年5月号で報告した。  Medline、Embase、Cochrane、ならびに医中誌から対象となる文献を選定し、有効性の評価項目として、Eczema Area and Severity Index(EASI)スコアおよびInvestigator Global Assessment(IGA)スコアを使用した。安全性の評価項目には、重篤な有害事象、ざ瘡、および皮膚感染症が含まれた。

CT検査による将来のがんリスク、飲酒や過体重と同程度?

 米国では、年間6,200万人の患者に対して約9,300万件のCT検査が行われている。CT検査は診断に役立つが、被曝によってがんリスクを高める可能性がある。2009年の分析では、2007年の米国におけるCTの使用により将来約2万9,000件のがんが発症するとの推定が報告されたが、2007年以降、年間に実施されるCT検査数は30%以上増加しているという。  CT使用に関連する将来的ながん発症率の予測値を更新するため、カリフォルニア大学サンフランシスコ校疫学・生物統計学部のRebecca Smith-Bindman氏らは、2018年1月~2020年12月にカリフォルニア大学国際CT線量レジストリの検査データ12万1,212件を使用し、リスクモデルを用いた分析を実行した。

アリピプラゾール持続性注射剤の治療継続に影響する要因

 アリピプラゾール持続性注射剤(LAI)は、有効性が良好であり、臨床現場で広く用いられる薬剤である。注目すべきことに、韓国人集団におけるアリピプラゾールLAIの治療継続に及ぼす要因を検討した研究は、これまでなかった。韓国・Inha University College of MedicineのSoyeon Chang氏らは、アリピプラゾールLAIの治療継続に影響を及ぼす実臨床における要因を明らかにするため、1年間のレトロスペクティブコホート研究を実施した。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2025年5月31日号の報告。  韓国・Inha University Hospitalにおいて、アリピプラゾールLAI治療を開始した患者68例を対象に、1年間のレトロスペクティブコホート研究を実施した。患者の診療記録をレビューし、治療継続率、継続中止までの期間、継続中止理由の評価を行った。

“スマートシャツ”で心臓病を予測

 心電図センサーが縫い込まれている“スマートシャツ”の着用が、心臓病のリスクが高い人の特定に役立つ可能性を示す研究結果が報告された。米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のManuel Hernandez氏らの研究によるもので、詳細は「IEEE Journal of Biomedical and Health Informatics」に3月11日掲載された。  Hernandez氏らは、心臓病のリスクが高い人を特定するためのアルゴリズムの構築を目指しており、今回の研究では、運動に伴う心拍変動を測定できるウェアラブルデバイスとして、Carré Technologies社が開発した、心電図機能を備えているスマートシャツを実験に用いた。

子宮頸がんワクチンの接種率は近隣の社会経済状況や地理に関連か

 子宮頸がんはほとんどの場合ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染により発症する。HPVにはワクチンが存在していることから、子宮頸がんは「予防できるがん」とも呼ばれる。この度、HPVワクチンの接種率が近隣地域の社会経済状況、医療機関へのアクセスに関連するという研究結果が報告された。近隣地域の社会経済状況が高く、医療機関へのアクセスが容易なほどHPVワクチンの接種率が高かったという。大阪医科薬科大学総合医学研究センター医療統計室の岡愛実子氏(大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室)、同室室長の伊藤ゆり氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に3月13日掲載された。

重症精神疾患に対する抗精神病薬+メトホルミン併用の有用性

 候補薬剤である。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのLuiza Farache Trajano氏らは、SGAによる治療を開始する重症精神疾患患者におけるメトホルミン併用の割合、有病率、人口統計学的パターンを明らかにし、SGA開始後2年間におけるメトホルミン併用が体重変化に及ぼす影響を推定するため、コホート研究を実施した。BMJ Mental Health誌2025年4月2日号の報告。  Clinical Practice Research Datalinkのプライマリケアデータを用いて、2005〜19年にアリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンによる治療を開始した重症精神疾患患者を対象に、コホート研究を実施した。メトホルミン併用の累積割合、期間有病率を推定し、人口統計学的および臨床的因子による併用処方率の違いを調査した。交絡因子を考慮し、SGA単独またはSGA+メトホルミン併用で治療された患者の体重変化について線型回帰法を用いて比較した。

妊娠合併症は将来の心臓の健康に悪影響を及ぼす

 妊娠中に妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群といった合併症を発症した女性は、後年の心臓の健康リスクが高いことを示す研究結果が報告された。米ノースウェスタン大学のJaclyn Borrowman氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に4月22日掲載された。  著者らによると、妊娠合併症と健康リスクとの関連は、妊娠前に過体重や肥満であった女性に、特に強く当てはまるという。そして、「女性にとって妊娠中に合併症を発症するか否かは、将来の健康状態や慢性疾患のリスクを予測するという点で、あたかも“ストレス負荷テスト”のようなものだ」と解説。またBorrowman氏は、「われわれの研究結果は、妊娠を考えている女性が体重管理を優先することが、妊娠中および将来の心臓血管の健康につながり得ることを示唆している」と話している。

免疫チェックポイント阻害薬の治療効果、年齢による差は認められず

 人の免疫システムが加齢に伴い衰えていくことはよく知られている。しかし、そのような免疫機能の低下が、がんに対する免疫療法の効果を妨げることはないようだ。がん患者に対する免疫チェックポイント阻害薬による治療は年齢に関わりなく有効であることが、新たな研究で明らかにされた。米ジョンズ・ホプキンス大学医学部腫瘍学分野のDaniel Zabransky氏らによるこの研究結果は、「Nature Communications」に4月21日掲載された。Zabransky氏は、「高齢患者に対する免疫療法の効果は、若年患者と同等か、場合によってはそれ以上だ」と述べている。