血清クレアチニンとシスタチンCの両方のバイオマーカーを用いた糸球体濾過量(GFR)の推算式は、それぞれの単一バイオマーカーに基づく推算式より、実測GFRの変化との一致率が高いことが、英国・バーミンガム大学のKatie Scandrett氏らによる前向きコホート研究の結果で明らかになった。慢性腎臓病(CKD)のモニタリングはGFRを用いて行われているが、実測GFRはあまり使用されていない。一方、血清クレアチニン値に基づく推算糸球体濾過量(eGFR)が一般的に使用されているが、不正確な場合があるという課題があった。BMJ誌2026年3月19日号掲載の報告。
実測GFRと各種推算式によるeGFRで3年後の変化を比較
研究グループは、2014年4月1日~2017年12月31日にイングランドの6施設(プライマリケア、2次および3次医療施設)において、登録前の少なくとも3ヵ月間、クレアチニンに基づくeGFRが30~59mL/分/1.73m
2でステージ3のCKDを有する18歳以上の成人1,229例を登録した。
主要解析では、3年間にわたるGFRモニタリングにおける推定式の精度を評価。実測GFR(基準値)とeGFRの年間変化量の差が±3mL/分/1.73m
2/年以内の場合を一致とみなした。副次解析では、疾患進行(実測GFRの25%以上低下、かつ病期分類の悪化)に関するeGFRの検出力を評価した。
基準となる実測GFRはイオヘキソールクリアランス法により測定し、eGFRは血清クレアチニンおよびシスタチンC濃度より慢性腎臓病疫学共同研究(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration:CKD-EPI)および欧州腎機能コンソーシアム(European Kidney Function Consortium:EKFC)の推定式を用いて算出した。
実測GFRとの一致率が最も高いのは、クレアチニンとシスタチンCに基づくeGFR
解析対象は、ベースラインおよび3年後の両方で実測GFRおよびeGFRのデータが得られた875例であった。
実測GFRの中央値は、ベースラインの48.1mL/分/1.73m
2から、3年後は43.6mL/分/1.73m
2に低下した。実測GFR変化量の中央値は、検討したすべての推算式(CKD-EPI
creatinine、CKD-EPI
cystatin、CKD-EPI
creatinine-cystatin、CKD-EPI(2021)
creatinine、CKD-EPI(2021)
creatinine-cystatin、EKFC
creatinine、EKFC
cystatin、EKFC
creatinine-cystatin)によるeGFR変化量の中央値を上回った。
eGFR変化量と実測GFRの変化量の一致の程度は良好であった。一致率は72.6~80.2%の範囲であり、2つのバイオマーカーを用いた推算式で実測GFRの変化量との一致率が高かった。一致率は、CKD-EPI
creatinine(73.1%、95%信頼区間:70.1~76.1)との比較において、CKD-EPI
creatinine-cystatin(78.6%、75.8~81.3)、CKD-EPI(2021)
creatinine-cystatin(78.1%、75.2~80.8)、EKFC
creatinine-cystatin(80.2%、77.4~82.8)が有意に良好であった(すべてのp<0.001)。
CKDの進行は139例(15.9%)で認められた。すべてのeGFRにおいてCKDの進行に関する感度は低かった(<54.1%)が、特異度は高かった(>90.4%)。
著者らは、「すべての推算式によるeGFRがGFRの経時的低下を過小評価していたことについて、さらなる検討が必要である」としたうえで、「臨床現場において複数マーカーに基づく推算式の活用を拡大することが、疾患モニタリングの改善、ひいては臨床ケアの向上に寄与する可能性がある」とまとめている。
(ケアネット)