治療抵抗性統合失調症(TRS)は、精神科医療において大きな課題となっており、患者の約10~60%が抗精神病薬に治療反応を示さない。TRSに対する早期治療は、臨床アウトカムの改善につながる可能性があるものの、客観的なバイオマーカーが欠如しているためタイムリーな介入の妨げとなっている。一般的な脳の構造変化がTRSと関連していることが示唆されているものの、大規模なTRS症例データを得ることが困難なため、明確かつ確固たる結論はいまだ得られていない。米国・Johns Hopkins University School of MedicineのSemra Etyemez氏らは、このギャップを埋めるため、ENIGMA(Enhancing Neuro Imaging Genetics through Meta-Analysis)コンソーシアムと共同で、TRSに関連する脳の構造変化を調査した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2026年3月28日号の報告。
主な内容は以下のとおり。
・複数の大陸および民族を対象とした複数の機関のデータを用いたメタ分析およびメガ分析により、十分な統計的検出力をもって、TRS患者では非TRS患者と比較し、両側被殻および両側海馬の体積、左上前頭回(SFG)表面積が有意に減少していることが明らかになった。
・健康対照群(HC)のデータを取り入れたさらなる分析では、HCから非TRS患者、そしてTRS患者へと、両側海馬体積および左SFG表面積が減少傾向にあることが示された。
・クロザピン投与量および抗精神病薬の累積曝露量は、両側海馬体積および左SFG表面積に有意な影響を及ぼさなかった。
・一方、被殻体積は、非TRS患者でHCと比較して増加しており、TRS患者とHCとの間には有意な差は認められなかった。
・抗精神病薬曝露量は、被殻体積と有意な相関関係を示したが、そのエフェクトサイズは小さかった。
・結論として本研究は、海馬とSFGの体積がTRSの潜在的なバイオマーカーであることを示唆している。
(鷹野 敦夫)