年齢調整Dダイマーカットオフ値、下肢DVTの除外診断に有効/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2026/01/28

 

 年齢調整Dダイマーカットオフ値(50歳以上の患者では年齢×10μg/L)は、肺塞栓症(PE)が疑われる患者ではDダイマーの診断的有用性を安全性を損なわずに高めるが、下肢深部静脈血栓症(DVT)が疑われる患者に外挿可能かは確立されていない。カナダ・Ottawa Health Research InstituteのGregoire Le Gal氏らは「ADJUST-DVT試験」において、年齢調整Dダイマーカットオフ値は、安全性を低下することなくDVTを除外して診断効率を向上し、不必要な画像検査を低減する可能性があることを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年1月5日号に掲載された。

4ヵ国の前向き診断管理アウトカム研究

 ADJUST-DVT試験は、4ヵ国(ベルギー、カナダ、フランス、スイス)の27の病院で実施された前向き診断管理アウトカム研究(Swiss National Research Foundationなどの助成を受けた)。

 2015年1月~2022年10月に患者を登録した。参加施設の救急診療部を受診し、臨床的に下肢のDVTが疑われた患者3,205例(年齢中央値59歳、女性1,737例[54%])を対象とした。

 これらの患者を、Wellsスコアを用いた検査前の臨床的確率、高感度Dダイマー検査、下肢圧迫超音波検査に基づく段階的診断戦略により評価した。DVTが除外された患者は、3ヵ月間の追跡調査を受けた。

 主要アウトカムは、従来のカットオフ値(500μg/L)と年齢調整カットオフ値の間のDダイマー値に基づきDVTを除外された患者における、追跡期間中に判定された症候性静脈血栓塞栓症(VTE:下肢DVTまたはPE、あるいはこれら両方)イベントの発生率(失敗率)とした。

DVTを除外できる患者が7.4%増加

 DVTの臨床的確率が高くない(non-high)、または可能性が低い(unlikely)と判定された2,169例のうち、531例(24.5%、95%信頼区間[CI]:22.7~26.4)はDダイマー値が500μg/L未満であり、161例(7.4%、95%CI:6.4~8.6)は500μg/Lと年齢調整カットオフ値の間であった。

 したがって、従来のカットオフ値から年齢調整カットオフ値への転換により、Dダイマー陰性の割合は7.4%(95%CI:6.4~8.6)の絶対的増加を示し、23.3%(95%CI:20.3~26.6)の相対的増加がもたらされた。

 初回受診時の遠位型または近位型DVTの有病率は21.8%であった。

追跡期間中のVTEイベント発現例はない

 Dダイマー値が従来のカットオフ値(500μg/L)以上で、年齢調整カットオフ値未満の161例では、追跡期間中にVTEイベントが発現した失敗例(主要アウトカム)を認めなかった(0%、95%CI:0~2.3)。

 年齢別のサブグループ解析では、Dダイマー値が500μg/L未満の患者の割合は、18~49歳では59.6%であったが、加齢とともに低下し、75歳以上ではわずか8.7%であった。これに対し、年齢調整カットオフ値を使用すると、75歳以上のDダイマー陰性の割合は26.1%(95%CI:22.0~30.8)に上昇した。

 著者は、「高齢者のDダイマー検査の診断的有用性が一般人口と同等レベルに達した。これは、臨床現場では重要な意味を持つ。より多くの患者が画像検査なしで退院可能となり、救急診療部の滞在時間が短縮され、不必要な経験的抗凝固療法が回避される。重要な点は、これらの利点が診断の安全性を損なわずに達成されたことである」「留意点として、これらの結果は、他の血栓症の部位やタイプ(例:上皮、脳、内臓、生殖器の血栓症)には外挿できないことが挙げられる」としている。

(医学ライター 菅野 守)