肥満症治療薬、投与中止後は体重が急増/BMJ

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2026/01/23

 

 英国・オックスフォード大学のSam West氏らは、過体重または肥満の成人における体重管理薬(weight management medication:WMM)中止後の体重増加を定量化し比較する目的でシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、WMM中止後は体重が急激に増加し、心代謝マーカーに対する有益な効果が逆転することを明らかにした。また、WMM中止後の体重増加は、行動的体重管理プログラム(BWMP:低エネルギー食と身体活動の増加を支援する肥満管理の基礎)後と比べて速かった。著者は、「より包括的な体重管理アプローチを伴わない短期の薬剤使用には、注意が必要であることを示唆している」とまとめている。きわめて効果的なWMMの開発は肥満治療に変革をもたらしたが、これまでのシステマティックレビューは、BWMPとより低強度の管理プログラムまたは管理なしの場合の体重増加や心代謝マーカーの変化を定量化し比較したものしかなかった。BMJ誌2026年1月7日号掲載の報告。

体重管理薬中止後の体重増加に関するシステマティックレビューとメタ解析を実施

 研究グループは、臨床試験登録簿およびデータベース(Medline、Embase、PsycINFO、CINAHL、Cochrane、Web of Science)を用い、2025年2月までに公表された研究を検索した。

 適格研究は、過体重または肥満の成人(18歳以上)を対象とし、WMMを8週以上使用かつ治療中止後4週以上の追跡調査を行っている無作為化比較試験、非無作為化試験または単群試験、前向き・後ろ向き観察研究で、WMMはセマグルチド、チルゼパチド、リラグルチドなどのインクレチン関連薬を含む、現行のまたは過去に体重減少目的で承認された薬剤、もしくは同クラスの効果を有すると考えられる薬剤とした。また、比較試験の場合、比較対照は行動介入、プラセボなどあらゆる非薬物介入とした。

 2人の独立した評価者が研究のスクリーニング、データ抽出を行い、無作為化比較試験についてはCochrane Risk of Bias 2ツール、非無作為化試験についてはROBINS-Iツールを用いてバイアスリスクを評価した。

 主要アウトカムは、WMM中止時からの体重増加、副次アウトカムは心代謝マーカーの変化で、混合効果モデル、メタ回帰モデルおよびtime-to-eventモデルを用いて解析した。

中止後の体重は月平均0.4kg増、心代謝マーカーは1.4年以内でベースラインに戻る

 9,288件の論文をスクリーニングし、このうち37研究(介入群63、参加者9,341例)が解析対象となった。平均治療期間は39週間(範囲:11~176)、平均追跡期間は32週間(範囲:4~104)であった。

 体重増加の月平均値は0.4kg(95%信頼区間[CI]:0.3~0.5)であった(無作為化比較試験における混合モデルでは対照群との比較において月平均0.3kg増加[95%CI:0.2~0.4])。すべての心代謝マーカーで、WMM中止後1.4年以内にベースラインレベルに戻ると予測された。

 体重増加は、初期の体重減少とは関係せず、WMM中止後のほうがBWMP後より速かった(月平均0.3kg、95%CI:0.22~0.34)。推定値と精度は、いずれの感度解析においても強固であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

専門家はこう見る

コメンテーター : 島田 俊夫( しまだ としお ) 氏

地方独立行政法人静岡県立病院機構 静岡県立総合病院 リサーチサポートセンター顧問

J-CLEAR評議員