第Xa因子阻害薬投与中の頭蓋内出血、アンデキサネットvs.通常治療/NEJM

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2024/05/27

 

 第Xa因子阻害薬投与中の頭蓋内出血患者において、アンデキサネット アルファ(以下、アンデキサネット)は通常治療と比較して優れた止血効果を示し血腫拡大を抑制したが、虚血性脳卒中を含む血栓イベントと関連していた。カナダ・マクマスター大学のStuart J. Connolly氏らANNEXA-I Investigatorsが報告した。第Xa因子阻害薬投与中の急性頭蓋内出血患者は、血腫が拡大するリスクを有している。アンデキサネットは第Xa因子阻害薬の抗凝固作用を中和する薬剤であるが、血腫拡大に対する効果は十分検討されていなかった。NEJM誌2024年5月16・23日号掲載の報告。

内服後15時間以内に発症した頭蓋内出血症例で、アンデキサネットと通常治療を比較

 ANNEXA-I試験は、23ヵ国131施設で実施した第IV相無作為化非盲検比較試験。

 研究グループは、経口第Xa因子阻害薬で治療中に頭蓋内出血を発症(無作為化前15時間以内に内服)した18歳以上の成人患者を、アンデキサネット群と通常治療(プロトロンビン複合体濃縮製剤[PCC]など)群に1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要エンドポイントは止血効果で、次の基準をすべて満たすことと定義した。ベースラインから12時間後の血腫体積の変化が20%以下(優れた止血効果)または35%以下(良好な止血効果)、12時間後のNIHSSスコアの増加が7点以下(スコア範囲:0~42、スコアが高いほど神経学的重症度が高い)、投与後3~12時間における救援療法(アンデキサネット、PCC、血腫除去術など)がない。

 安全性エンドポイントは、血栓イベントおよび死亡であった。

 2019年6月6日~2023年5月27日に計550例が無作為化され、このうち同意が得られなかった20例を除く530例(アンデキサネット群263例、通常治療群267例)がデータベースに含まれた。

 本試験は2023年5月31日、当初登録された452例を対象に実施した有効性に関する事前規定の中間解析で有効性の基準を満たしたことから、データ安全性モニタリング委員会の勧告により早期に中止された。したがって、452例の中間解析を有効性の主要解析とし、データベースの530例が安全性解析対象集団となった。

止血効果は67.0% vs.53.1%、血栓イベント発現率は10.3% vs.5.6%

 患者背景は両群で類似していたが、心房細動を有する患者はアンデキサネット群が通常治療群よりやや多かった(90.2% vs.84.2%)。途中でプロトコールが変更されたことから、硬膜下出血またはくも膜下出血の患者が、アンデキサネット群で22例(9.8%)、通常治療群で12例(5.3%)含まれた。通常治療群では、195例(85.5%)にPCCが投与された。

 主要エンドポイントの止血効果は、アンデキサネット群で67.0%(150/224例)、通常治療群で53.1%(121/228例)に認められた(補正後群間差:13.4%、95%信頼区間[CI]:4.6~22.2、p=0.003)。

 副次エンドポイントである抗第Xa因子活性のベースラインから投与1~2時間における最低値までの低下率中央値は、アンデキサネット群で94.5%、通常治療群で26.9%であった(p<0.001)。

 血栓イベントは、アンデキサネット群で10.3%(27/263例)、通常治療群で5.6%(15/267例)に発現した(群間差:4.6%、95%CI:0.1~9.2、p=0.048)。虚血性脳卒中はそれぞれ17例(6.5%)、4例(1.5%)に認められた。30日時の修正Rankinスケールスコアや30日死亡率については、両群間で有意差はなかった。

(ケアネット)