痛風既往例の尿酸値、再燃・入院リスクと関連/JAMA

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2024/02/21

 

 痛風の既往歴のある患者において、ベースラインの血清尿酸値は、その後の痛風再燃および再発による入院のリスクと関連しており、再発リスクの評価の指標として使用可能であることが、米国・マサチューセッツ総合病院のNatalie McCormick氏らの調査で示唆された。研究の成果は、JAMA誌2024年2月6日号で報告された。

英国の痛風既往例の後ろ向きコホート研究

 本研究は、英国のプライマリケアにおいて、痛風の既往歴を有する患者における1回の血清尿酸値測定と、その後の急性痛風再燃および痛風の再発による入院のリスクとの関連の評価を目的とする住民ベースの後ろ向きコホート研究である(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。

 対象は、2006~10年に英国で確認された痛風の既往歴を有する患者3,613例(平均年齢60.2[SD 6.8]歳、男性3,104例[86%])であり、2020年まで追跡調査を行った。

 主要アウトカムは急性痛風の再発率とし、負の二項回帰モデルを用いて補正済みの率比を算出した。

痛風再燃の98%はベースライン尿酸値5mg/dL以上

 平均追跡期間8.3年の時点で、3,613例に1,773件の痛風再燃を認め、患者はプライマリケア医の治療を受けるか入院した。このうち、1,679件(95%)はベースラインの血清尿酸値が6mg/dL以上の患者、1,731件(98%)はベースライン尿酸値5mg/dL以上の患者であった。

 1,000人年当たりの急性痛風再燃率は、ベースライン尿酸値6mg/dL未満の患者で10.6、同6.0~6.9mg/dLの患者で40.1、同7.0~7.9mg/dLの患者で82.0、同8.0~8.9mg/dLの患者で101.3、同9.0~9.9mg/dLの患者で125.3、同10mg/dL以上の患者では132.8であった。

 また、同様のベースライン尿酸値別の10年間における再燃の補正後率比は、それぞれ1.0(reference)、3.37、6.93、8.67、10.81、11.42だった(血清尿酸値1mg/dL上昇当たりの補正後率比:1.61、95%信頼区間[CI]:1.54~1.68)。

ベースライン尿酸値が高いと入院率も上昇

 追跡期間中の1,000人年当たりの入院率は、ベースライン尿酸値6mg/dL未満の患者で0.18、同6.0~6.9mg/dLの患者で0.97、同7.0~7.9mg/dLの患者で1.8、同8.0~8.9mg/dLの患者で2.2、同9.0~9.9mg/dLの患者で6.7、同10mg/dL以上の患者では9.7であった。

 また、同様のベースライン尿酸値別の、年齢、性別、人種で補正した痛風による入院の補正後率比は、それぞれ1.0(reference)、4.70、8.94、10.37、33.92、45.29だった(血清尿酸値1mg/dL上昇当たりの補正後率比:1.87、95%CI:1.57~2.23)。

 著者は、「尿酸降下薬の使用者と非使用者の双方において、血清尿酸値が高い患者では痛風再燃リスクが高かった」としており、「本研究の知見は、追跡期間が約10年までは、痛風の再発リスクの評価におけるベースラインの血清尿酸値の使用を支持するものである」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)