身体活動モニターで身体活動量は増える?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2022/02/04

 

 身体活動モニター(PAM)による介入が身体活動に及ぼす効果については、エビデンスの確実性は低く、中~高強度の身体活動および座位時間に対する効果は中程度であったが、介入は安全で、身体活動および中~高強度の身体活動を効果的に増加させるという。デンマーク・コペンハーゲン大学のRasmus Tolstrup Larsen氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析の結果を報告した。最新のPAMは、身体活動について利用者に直接的なフィードバックを提供し、行動変容を促進させるものとして利用できる可能性があるとされる。2007年のシステマティックレビューでは、PAMが身体活動を増加する可能性が報告されたが、組み込まれた研究が少なく、推定効果量は不正確さに影響されており、2007年以降に発表された研究ではPAMの有効性ついて異なる結論が示されていた。今回の結果について著者は、「身体活動および中~高強度の身体活動に対する有効性は十分確立されているが、出版バイアスに起因して過大評価されている可能性がある」としている。BMJ誌2022年1月26日号掲載の報告。

121試験、計1万6,743例についてメタ解析

 研究グループは、2021年6月4日にMEDLINE、Embase、SPORTDiscus、CINAHLおよびCochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)を検索し、PAMからフィードバックを受ける(介入)群と、フィードバックを受けない(対照)群を比較した無作為化比較試験を特定した。

 PAMは、携帯型またはウエアラブル型、電子式または機械式で、加速度計、歩数計またはGPSが内蔵されたものである。試験の選択において、評価項目の種類、出版日、言語は制限しなかった。

 評価者2人がそれぞれデータを抽出し、バイアスリスクを評価した。ランダム効果メタ解析を用いて結果を統合し、GRADE(Grading of Recommendations Assessment and Evaluation)を用いてエビデンスの確実性を評価した。

 主要評価項目は、身体活動(歩数/日、歩行距離/日、エネルギー消費量/日)、中~高強度の身体活動および座位時間の3つとした。

 検索により、無作為化比較試験121件(141比較、参加者合計1万6,743例)が解析に組み込まれた。

身体活動モニターによる介入は身体活動に好影響

 介入は、身体活動に関して効果量中(103試験、標準化平均差[SMD]:0.42[95%信頼区間[CI]:0.28~0.55]、1日の歩数が1,235歩増加)、中~高強度の身体活動に関しては効果量小(63試験、SMD:0.23[0.16~0.30]、1週間の中~高強度の身体活動時間が48.5分延長)、座位時間に関しては重要ではない小さな効果(38試験、SMD:-0.12[-0.25~0.01]、1日の座位時間が9.9分短縮)であった。すべての評価項目で、介入群のほうが良好な結果が得られた。

 なお、著者は研究の限界として、すべての評価項目でかなりの異質性が認められたこと、高所得国で実施された試験がほとんどであったこと、女性の参加者の割合が高い試験が多かったことなどを挙げている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)