脳底動脈閉塞、血管内治療vs.内科的治療/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2021/05/27

 

 脳底動脈閉塞による脳梗塞患者において、血管内治療と内科的治療は良好な機能的アウトカムに有意差は認められなかったことが、オランダ・St. Antonius HospitalのLucianne C M Langezaal氏らが7ヵ国23施設300例を対象に実施した評価者盲検無作為化比較試験の結果で示された。なお、この結果について著者は、「主要評価項目の信頼区間が広いことから、血管内治療の実質的な有益性を排除するものではないと考えられる」と指摘し、「脳底動脈閉塞に対する血管内治療の有効性と安全性を判断するためには、より大規模な試験が必要である」とまとめている。NEJM誌2021年5月20日号掲載の報告。

発症後6時間以内の症例で、mRSスコア0~3の達成を比較

 研究グループは、脳底動脈閉塞による脳梗塞発症後推定6時間以内の患者を、血管内治療群と標準的な内科的治療群に1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要評価項目は、90日時点の修正Rankinスケールスコア(範囲:0~6、0は障害なし、3は中等度障害、6は死亡)が0~3の良好な機能的アウトカムとした。安全性の主要評価項目は、治療開始後3日以内の症候性頭蓋内出血および90日死亡率であった。

90日後の良好な機能的アウトカム達成、血管内治療群44.2%、内科的治療群37.7%

 2011年10月~2019年12月までに、計300例が無作為に割り付けられた(血管内治療群154例、内科的治療群146例)。

 血管内治療群では78.6%(121/154例)、内科的治療群では79.5%(116/146例)の患者に静脈内血栓溶解療法が行われた。血管内治療は、脳梗塞発症後、中央値4.4時間後に開始された。

 良好な機能的アウトカムは、血管内治療群では44.2%(68/154例)、内科的治療群では37.7%(55/146例中)で認められた(リスク比[RR]:1.18、95%信頼区間[CI]:0.92~1.50)。

 症候性頭蓋内出血は、血管内治療後の患者では4.5%、内科的治療後の患者では0.7%に発生した(RR:6.9、95%CI:0.9~53.0)。一方で、90日死亡率はそれぞれ38.3%、43.2%であった(0.87、0.68~1.12)。

(ケアネット)