外科医が自分の誕生日に行った手術で、死亡率増/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2021/01/06

 

 緊急手術を受けたメディケア受給患者の死亡率を分析した結果、外科医が手術を自身の誕生日に行った患者の死亡率が、誕生日以外の日に行った患者の死亡率と比べて高いことが判明した。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の加藤 弘陸氏らが行った全米規模の観察研究の結果で、著者は「本所見は、外科医が手術室で、手術とは直接関係のない出来事で注意散漫になりうることを示すものである」と述べている。手術室では、臨床的出来事や個人的出来事によって、注意をそらされることが日常的に起きているという。研究室での実験では、注意散漫が外科医のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があることは示されているが、患者の転帰にどれほど影響するのか、リアルワールドのデータを使用した経験的エビデンスは限定的であった。BMJ誌2020年12月10日号クリスマス特集号の「THE CITADEL」より。

外科医の誕生日の手術例vs.他日の手術例で術後30日死亡率を比較

 研究グループは、外科医の誕生日に行われる手術は、外科医の注意散漫と患者の転帰の関係を評価する好機になりうるとして、これまで行われていなかった外科医の誕生日と患者の死亡率との関連を調査した。

 米国内の急性期病院とクリティカル・アクセス・ホスピタル(critical access hospital)で行われた手術データを基に、後ろ向き観察研究にて、外科医の誕生日に手術が行われた患者と誕生日以外の日に行われた患者で術後の死亡率が異なるかを評価した。

 分析対象とした患者は、2011~14年に17の一般的な緊急手術のうちの1つを受けた、65~99歳のメディケア受給者(手術費用のカバー率100%)であった。

 主要評価項目は、術後30日死亡率(術後30日以内の死亡と定義)で、患者の特性および外科医の固定効果を補正して評価した。

補正後死亡率6.9% vs.5.6%で群間差1.3%、p=0.03

 4万7,489人の外科医によって行われた98万876例の手術が分析に含まれた。外科医の誕生日に行われた手術は2,064例(0.2%)であった。

 疾患重症度など、患者の特性は、外科医が誕生日に手術を行った患者(外科医誕生日群)と、誕生日以外の日に手術を行った患者(対照群)で類似していた。

 補正前30日死亡率は、外科医誕生日群7.0%(145/2,064例)、対照群5.6%(5万4,824/97万8,812例)であった。

 患者の特性と外科医の固定効果(同じ外科医が異なる日に手術を行った患者の転帰を効果的に比較)を補正後、外科医誕生日群の死亡率は、対照群と比較してより高率であることが示された(補正後死亡率6.9% vs.5.6%、補正後の群間差:1.3%、95%信頼区間:0.1~2.5、p=0.03)。

 外科医の誕生日と手術日を比較した患者の死亡率のイベント研究分析でも、同様の結果が認められた。

(ケアネット)

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