慢性呼吸器疾患死が世界的に増加、死亡率は低下/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2020/03/04

 

 1990~2017年の期間に、慢性呼吸器疾患による年間総死亡数は18%増加したが、年齢標準化死亡比は年間2.41%低下し、社会人口統計学的特性(SDI)と慢性閉塞性肺疾患(COPD)、塵肺症、喘息による死亡率との間には負の相関がみられ、SDIが低い地域は疾病負担が多大であることが、中国・華中科技大学のXiaochen Li氏らによる195の国と地域のデータの解析で示された。研究の成果は、BMJ誌2020年2月19日号に掲載された。慢性呼吸器疾患による死亡や健康損失に関するこれまでの研究は、限られたデータに基づいており、地域も限定的だという。

GBD 2017のデータを系統的に分析

 研究グループは、1990~2017年の世界195の国と地域の年齢別、性別の慢性呼吸器疾患による死亡と障害調整生命年(DALY)の経時的、空間的な傾向を評価する目的で、系統的な分析を行った(National Key R&D Program of Chinaなどの助成による)。

 ベイズメタ回帰分析のツールであるDisMod-MR 2.1を用いて、「世界疾病負担研究(GBD)2017」のデータから、慢性呼吸器疾患の死亡率とDALYを推算した。ガウス分布による一般化線形モデルを用いて、年齢標準化死亡比の推定年間変化率を算出した。

 死亡率とDALYは、社会人口統計学的特性(SDI)で層別化した。SDIは、国民1人当たりの所得と学歴、合計特殊出生率による複合指標であり、5つの段階(高、高中、中、低中、低)に分けた。スピアマンの順位相関係数を用いて、SDIと死亡率の関連の強度と傾向を評価した。また、曝露データから、慢性呼吸器疾患のリスク因子を解析した。

喫煙、環境汚染、高BMIへの曝露の抑制が喫緊の課題

 1990~2017年の慢性呼吸器疾患による年間DALYは、9,720万~1億1,230万にわたっていた。この間に、喘息や塵肺症ではDALYが改善したが、COPDや間質性肺疾患/肺サルコイドーシスでは悪化した。

 慢性呼吸器疾患による年間総死亡数は、1990年の332万人(95%不確定区間[UI]:301万~343万)から、2017年には391万人(379万~404万)まで、18.0%増加した。

 一方、同時期の慢性呼吸器疾患による年齢標準化死亡比は、平均で年間2.41%(95%UI:2.28~2.55)減少し、1990年と2017年の双方で男女間に大きな差が認められた。27年間で、年間年齢標準化死亡比は、COPDで2.36%(2.21~2.50)、塵肺症で2.56%(2.44~2.68)低下したのに対し、間質性肺疾患/肺サルコイドーシスは0.97%(0.92~1.03)増加した。

 慢性呼吸器疾患による死亡数および年間死亡率の変動には、195の国と地域でかなり大きなばらつきが認められた。

 27年間の死亡率とDALYの地域差、および改善の不均衡な分布の原因となる要因の評価では、SDIとCOPD、塵肺症、喘息による死亡の間に負の相関が認められた。低SDIの地域は、死亡率とDALYが最も高かった。

 喫煙は、この間一貫してCOPDおよび喘息による死亡の主要なリスク因子であった。粒子状物質による環境汚染は、低SDI地域においてCOPDによる死亡の主要な寄与因子であった。2013年以降は、高BMIが喘息の最も重要なリスク因子となった。

 著者は、「死亡率やDALYには、喫煙、環境汚染、高BMIなどのリスク因子が寄与していると推定され、これらへの曝露を抑制するために緊急の取り組みが必要である」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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