資金提供企業は臨床試験にどの程度関与しているのか?/BMJ

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ケアネット

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 インパクトファクターの高い学術雑誌において、企業が資金提供したほとんどの研究で、その計画・実施および報告に企業の社員と医療・学術機関の著者が関与している一方、データの解析はしばしば学術機関の著者が関与することなく実施されていることが、デンマーク・Nordic Cochrane CentreのKristine Rasmussen氏らによる調査の結果、明らかとなった。研究者は共同試験を有益であると考えるが、学術研究の自由が失われているとの報告もあるという。企業のほとんどが臨床試験に資金提供しており、資金提供者は、時々公益よりもむしろ経済面で、試験をどのようにデザインし報告するか影響を与える可能性があるといわれていた。BMJ誌2018年10月3日号掲載の報告。

主要7医学雑誌に発表された、企業から資金提供を受けた試験200報を解析
 研究グループは、企業から資金提供を受けたワクチン、薬剤、医療機器の試験における、学術機関の著者、資金提供者および開発業務受託機関の役割、ならびに学術論文の筆頭著者が資金提供企業と協力した経験について明らかにすることを目的に、インパクトファクターの高い7つの医学雑誌(New England Journal of Medicine、Lancet、JAMA、BMJ、Annals of Internal Medicine、JAMA Internal Medicine、PLOS Medicine)に公表され、著者のうち少なくとも1人は学術機関(クリニック、病院、大学、非営利学術研究施設)に属する、直近の第III相・第IV相試験200報について解析した。

試験のデザイン、データ解析および報告の7~9割に資金提供企業が関与
 200報中173報(87%)は、資金提供企業の社員が共著者であり、183報(92%)は試験デザインに資金提供者が関与しており、167報(84%)は学術機関の著者の関与が報告されていた。データ解析には、146報(73%)で資金提供者の関与が、79報(40%)で学術機関の著者の関与があった。試験報告には、173報(87%)で資金提供者、197報(99%)で学術機関の著者が関与していた。開発業務受託機関は、123報(62%)に関与していた。

 学術機関の筆頭著者200人のうち80人(40%)が調査に回答した。80人中29人(33%)は、研究者が試験デザインの最終決定権を有していたと報告した。また、10人は、データ解析や報告において、著者名に記載のない資金提供者/CROの社員が関与していると報告した。学術機関の著者のほとんどは企業との協力が有益であると述べたが、3人(4%)は資金提供企業に起因した公表の遅延を経験し、9人(11%)は主に試験デザインおよび報告に関して資金提供企業と意見の相違があったと報告した。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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企業治験に関与すると便益もあるがジレンマも感じるものだ(解説:折笠秀樹氏)-936

コメンテーター : 折笠 秀樹( おりがさ ひでき ) 氏

富山大学大学院医学薬学研究部バイオ統計学・ 臨床疫学 教授

J-CLEAR評議員

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