扁平上皮NSCLCの1次治療、ペムブロリズマブ併用でOS、PFS延長/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2018/10/10

 

 未治療の転移を有する扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者の治療において、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)を化学療法と併用すると、化学療法単独に比べ全生存(OS)期間および無増悪生存(PFS)期間がいずれも有意に延長することが、スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis Paz-Ares氏らが行った「KEYNOTE-407試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年9月25日号に掲載された。転移を有する扁平上皮NSCLCの現在の標準的1次治療は、プラチナ製剤ベースの化学療法またはペムブロリズマブ(腫瘍細胞の≧50%がPD-L1を発現している患者)とされる。一方、非扁平上皮NSCLCでは、最近、プラチナ製剤ベース化学療法とペムブロリズマブの併用により、OS期間の有意な延長が報告されていた。

化学療法との併用の効果をプラセボと比較
 本研究は、日本を含む17ヵ国137施設が参加した二重盲検無作為化第III相試験(Merck Sharp & Dohmeの助成による)。今回は、2回目の中間解析の結果が報告された。

 対象は、年齢18歳以上、病理学的にStageIVの扁平上皮NSCLCと確認され、転移病変に対する全身療法が行われておらず、全身状態(ECOG PS)が0または1の患者であった。

 被験者は、ペムブロリズマブ(200mg)またはプラセボを、3週を1サイクルとしてDay 1に投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。全例が、1~4サイクルまで、カルボプラチンと、パクリタキセルまたはナブパクリタキセルの投与を受けた。5サイクル以降は、ペムブロリズマブまたはプラセボのみが投与され、最大で合計35サイクルまで治療が行われた。

 主要エンドポイントはOSおよびPFSの2つとし、盲検化された独立の中央判定委員会により画像の評価が行われた。2016年8月~2017年12月の期間に559例が登録され、ペムブロリズマブ群に278例、プラセボ群には281例が割り付けられた。

OS期間が4.6ヵ月、PFS期間は1.6ヵ月延長し、リスクが36%、44%低減
 ベースラインの年齢中央値は、ペムブロリズマブ群が65歳(範囲:29~87歳)、プラセボ群も65歳(36~88歳)、男性がそれぞれ79.1%、83.6%であった。全体の63.1%がPD-L1発現率(tumor proportion score: TPS)≧1%であり、60.1%でパクリタキセルが選択され、19.0%が東アジア人であった。フォローアップ期間中央値は7.8ヵ月だった。

 OS期間中央値は、ペムブロリズマブ群が15.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:13.2~未到達)と、プラセボ群の11.3ヵ月(9.5~14.8)に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.64、95%CI:0.49~0.85、p<0.001)。1年OS率はペムブロリズマブ群が65.2%、プラセボ群は48.3%であった。PD-L1の発現状況(TPS<1%、≧1%、1~49%、≧50%)を含む、事前に規定された主なサブグループのすべてにおいて、ペムブロリズマブ群のほうがOSが良好であった。東アジア人のHRは0.44(95%CI:0.22~0.89)、その他の地域は0.69(0.51~0.93)だった。

 PFS期間中央値は、ペムブロリズマブ群が6.4ヵ月(95%CI:6.2~8.3)であり、プラセボ群の4.8ヵ月(4.3~5.7)に比し有意に良好であった(HR:0.56、95%CI:0.45~0.70、p<0.001)。事前に規定された主なサブグループのすべてにおいて、ペムブロリズマブ群のほうがPFSが良好であり、PD-L1の発現が増加するにしたがってPFSの改善度が大きくなった(TPS<1%:6.3 vs.5.3ヵ月[HR:0.68、95%CI:0.47~0.98]、1~49%:7.2 vs.5.2ヵ月[0.56、0.39~0.80]、≧50%:8.0 vs.4.2ヵ月[0.37、0.24~0.58])。東アジア人のHRは0.49(95%CI:0.30~0.82)、その他の地域は0.58(0.46~0.73)だった。

 奏効率は、ペムブロリズマブ群が57.9%(95%CI:51.9~63.8)、プラセボ群は38.4%(32.7~44.4)、奏効期間中央値は、それぞれ7.7ヵ月、4.8ヵ月であり、いずれもペムブロリズマブ群で良好だった。

 両群とも、貧血(53.2 vs.51.8%)、脱毛(46.0 vs.36.4%)、好中球減少(37.8 vs.32.9%)の頻度が高かった。Grade3~5の有害事象の発症率は、ペムブロリズマブ群が69.8%、プラセボ群は68.2%であった。有害事象による治療中止の頻度は、ペムブロリズマブ群のほうが高かった(13.3 vs.6.4%)。免疫関連有害事象とinfusion reactionの発症率は、それぞれ28.8%(そのうちGrade3~5は10.8%)、8.6%(3.2%)であった。治療関連死はそれぞれ3.6%、2.1%にみられ、免疫関連有害事象による死亡は両群に1例ずつ認められた(いずれもGrade5の肺臓炎)。

 著者は、「2回目の中間解析の結果であるため、フォローアップ期間が短いが、他の長期フォローアップ試験の結果から、ペムブロリズマブ群のベネフィットは、今後も維持または増大すると期待される」としている。

(ケアネット)

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コメンテーター : 小林 英夫( こばやし ひでお ) 氏

防衛医科大学校 内科学講座 准教授

J-CLEAR推薦コメンテーター