院外心停止に対するアミオダロン vs.リドカイン vs.プラセボ/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2016/04/22

 

 電気的除細動抵抗性の心室細動(VF)または無脈性心室頻拍(VT)の院外心停止患者に対し、アミオダロンまたはリドカインの投与はプラセボと比較して、生存率や良好な神経学的アウトカムの改善に結び付かないことが、約3,000例を対象とした無作為化二重盲検試験の結果、示された。難治性ショックVF/VTの院外心停止患者に抗不整脈薬が投与されるのは一般的になっているが、生存ベネフィットは実証されていなかった。NEJM誌オンライン版2016年4月4日号掲載の報告。

3,026例を3群に無作為化、主要アウトカムは生存退院率
 試験は、55の救急医療サービス(EMS)機関の救急隊員が北米10地点で患者を登録して行われた。被験者は、18歳以上成人、非外傷性の心停止、1回以上の電気的ショック後に難治性VF/VTが認められる、および静脈路や骨髄路の確保が必要な患者であった。

 被験者をアミオダロン、リドカイン、プラセボ(食塩水)を静脈投与する群に無作為に割り付け、併せて標準的ケアを行いながら比較した。

 主要アウトカムは、生存退院率。副次アウトカムは、退院時の神経的機能良好であった。

 per-protocol(主要解析)集団には、適格基準を満たし、試験薬が用量を問わず投与され、初回難治性ショックだった患者3,026例が包含された。

生存退院率は同等、退院時の神経学的アウトカムも同等
 3,026例が無作為に割り付けられたアミオダロン群974例、リドカイン群993例、プラセボ1,059例のうち、生存退院した患者は、それぞれ24.4%、23.7%、21.0%であった。生存率差は、アミオダロン vs.プラセボは3.2%(95%信頼区間[CI]:-0.4~7.0、p=0.08)、リドカイン vs.プラセボは2.6%(同:-1.0~6.3、p=0.16)、アミオダロン vs.リドカインは0.7%(同:-3.2~4.7、p=0.70)であった。

 退院時の神経学的アウトカムも、3群で同等であった(アミオダロン群18.8%、リドカイン群17.5%、プラセボ群16.6%)。

 治療効果については不均一性がみられ(p=0.05)、心停止が目撃された(EMSまたはバイスタンダーにより)患者についてみたサブグループ解析では、実薬群のほうがプラセボ群よりも生存退院率が有意に高率だった。

 また、有害事象として無作為化後24時間以内に一時的心臓ペーシングを要した患者が、アミオダロン群(4.9%)でリドカイン群(3.2%)およびプラセボ群(2.7%)よりも多くみられた。

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コメンテーター : 香坂 俊( こうさか しゅん ) 氏

慶應義塾大学 循環器内科 専任講師

J-CLEAR評議員