牛乳1日3杯以上で全死亡リスクが2倍/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2014/11/13

 

 男女ともに牛乳摂取量が多い人ほど死亡率、骨折率が高く、酸化ストレスや炎症性バイオマーカーの値が高いことが、スウェーデン・ウプサラ大学のKarl Michaelsson氏らによる全国追跡コホート研究の結果、明らかにされた。骨粗鬆症予防のために牛乳を飲むことが推奨されているが、これまでの検討では、牛乳を多く飲むことの骨折・死亡予防への影響について相反する結果が報告されていた。なお今回の結果についても著者は、観察研究デザインのため残余交絡因子や逆作用現象などを有している可能性があり、解釈は慎重にすることが推奨されるとしている。BMJ誌オンライン版2014年10月28日号掲載の報告より。

牛乳摂取量と死亡または骨折までの期間を大規模コホート研究で評価

 本研究は、スウェーデン中部の3県(ウプサラ、ヴェストマンランド、エレブルー)の住民を対象に行われた2つの大規模コホート研究の参加者を対象とした。被験者は、女性が1987~1990年に行われたSwedish Mammography Cohortの6万1,433例(39~74歳)、男性は1997年に行われたCohort of Swedish Menの4万5,339例(45~79歳)であった。女性被験者は、1997年に行われたアップデート時の2回目の食物摂取頻度アンケートにも3万8,984例が回答していた。

 主要評価項目は、多変量生存モデルを用いて評価した、牛乳摂取量と死亡または骨折までの期間との関連であった。

牛乳1日3杯以上飲む人は1杯未満の人と比べて全死因死亡HRは1.93

 ベースライン時の牛乳摂取量は、女性が1日平均240g、男性が290gだった。

 女性について、平均追跡期間20.1年で、死亡1万5,541例、骨折1万7,252例(うち大腿骨頚部骨折が4,259例)が、男性は平均追跡期間11.2年で、死亡1万112例、骨折5,066例(うち大腿骨頚部骨折は1,166例)が報告された。

 女性において、牛乳摂取量が多い人ほど、全死因死亡(200g増当たりの補正後死亡ハザード[HR]比:1.15)、心血管疾患(同1.15)、がん(同1.07)の発生が高率である関連がみられた。

 牛乳を1日3杯以上(平均680g)飲む女性の同1杯未満(平均60g)と比べた全死因死亡HRは1.93(95%CI:1.80~2.06)だった。心血管死亡も同程度で(同1.90)、がん死亡は若干減弱した(同:1.44)。骨折についても、同様に牛乳1日3杯以上牛乳を飲む女性ほど発生リスクは高かった(全骨折HR:1.16、大腿骨頚部骨折:1.60)。

 男性についても同様の関連がみられたが、女性ほどリスクは大きくはなく、牛乳1日3杯以上(平均830g)飲む男性の牛乳1日1杯未満(平均50g)と比べた全死因死亡HRは、1.10(95%CI:1.03~1.17)だった。

 また、バイオマーカー値の分析は、男女とも追加コホートのサブサンプルで行った(女性は平均70歳時のSwedish Mammography Cohort Clinicalでの第3回目の食事アンケート回答者、男性はUppsala Longitudinal Study of Adult Menでの71歳時の1週間の食事記録者)。結果、牛乳摂取と尿中8-iso-PGF2α(酸化ストレスのバイオマーカー)、血清IL-6(主要な炎症性バイオマーカー)とのポジティブな関連が認められた。

 なお、チーズやヨーグルトなどの発酵乳製品の摂取量とではこれらの関連は観察されず、毎日高摂取している女性は低摂取の女性と比べて死亡率や骨折率が低いことが観察されたという。男性ではそのリスク低下はわずかか、ほとんどみられなかった。また、男女ともチーズ摂取ではみられなかったが、ヨーグルト類摂取では酸化ストレスや炎症性バイオマーカーとの逆相関がみられたという。

(武藤まき:医療ライター)

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コメンテーター : 細井 孝之( ほそい たかゆき ) 氏

医療法人財団健康院 健康院クリニック 理事長・院長

J-CLEAR推薦コメンテーター