小児期発症の多発性硬化症は緩徐に進行

提供元:ケアネット

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公開日:2007/07/04

 

小児期発症の多発性硬化症(MS)は、成人期発症型よりもゆるやかに進行することが、Christel Renoux氏らKIDMUSの研究グループによって報告された。KIDMUSは、ヨーロッパの多発性硬化症データベース「EDMUS」(European Database for Multiple Sclerosis)の研究プロジェクトの1つ。一般に20~40歳の若年成人期に発症するとされているMSの、16歳以下で発症した患者(0.4~10.5%)の経過や予後を明らかにすることを目的とする。今回研究グループはEDMUSのデータベースを活用し、成人期発症型と比較しての解析を行った。詳細はNEJM誌6月21日号に掲載。

EDMUS登録の小児394例と成人1,775例を比較


本研究は、EDMUSネットワークに参加しているフランスとベルギーの13の施設の神経科の患者データから、1976年から2001年の間に登録された患者で、16歳以下で発症した患者394例、16歳以後の発症1,775例を対象に、それぞれの初期の臨床像や発症日、再発、二次進行型への転換、不可逆的障害への転帰について調査された。

不可逆的障害の判定は、Kurtzkeの機能障害評価尺度を使用。同尺度は1~10段階で、数値が高いほど障害の度合いが高いことを示す。このうち、スコア4(歩行能力に制限はあるが介助なしあるいは休まずに500m以上歩ける)、スコア6(片側から支えてもらっても休まずに100m以上歩けない)、スコア7(壁や家具など身体の支えながら休まずに10m以上歩けない)が用いられた。

小児と成人の経過差は10年以上


小児期発症MS患者の二次進行型への転換時期は、発症から推定28年、41歳時だった。障害転帰への時期は、スコア4へは発症から20.0年、34.6歳時、スコア6へは28.9年、42.2歳時、スコア7へは37.0年、50.5歳時(いずれも中央値)。

また、女性患者の比率が成人型発症MSと比べると高く(男女比1.8対2.8)、初期に再発寛解を繰り返す割合が98%と高いこと(成人期発症型は84%)、二次進行型もしくは不可逆的障害への転換・転帰へ至る期間が成人期発症型より10年以上長くかかっていた。そして転換・転帰時の年齢は両者間で約10歳の開きがあることが明らかとなった(すべての比較でP<0.001)。

(武藤まき:医療ライター)