EPA/DHAはADHD様行動を改善する可能性あり? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/12/25 ノルウェー・オスロ大学のKine S Dervola氏らが行ったラット試験の結果、ADHDに対し、ω3(n-3系)多価不飽和脂肪酸(PUFA)のサプリメントを投与することにより、挙動や神経伝達物質代謝について、性特異的な変化をもたらすことが示された。先行研究において、n-3系PUFAサプリメントがADHD様行動を減じる可能性が示唆されていた。Behavioral and Brain Functions誌オンライン版2012年12月10日号の掲載報告。 本研究の目的は、ADHD動物モデルにおけるn-3系PUFA投与の影響を調べることであった。高血圧自然発症ラット(SHR)を用いて、n-3系PUFA(EPAとDHA)強化飼料(n-6系 対 n-3系の割合1:2.7)を妊娠期間中、およびその産児に死亡するまで投与し続けた。SHRコントロール群とWistar Kyoto(WKY)ラットのコントロール群には、対照飼料(n-6系 対 n-3系の割合7:1)が与えられた。産児は生後25~50日の間、強化-依存的な注意力、衝動性、多動性および自発運動について検査を受けた。その後、55~60日時点で処分し、モノアミン、アミノ酸神経伝達物質に関して、高速液体クロマトグラフィーにて解析した。 主な結果は以下のとおり。 ・n-3系PUFA給餌により、オスのSHRでは強化-依存的な注意力の改善が認められたが、メスではみられなかった。 ・同一ラットでの新線条体の解析において、オスのSHRでは、ドパミンとセロトニン代謝率の有意な上昇が示されたが、メスのSHRでは、セロトニン分解代謝が上昇したことを除き、変化はみられなかった。 ・対照的に、オスとメスの両方のSHRで示されたのが、非強化の自発運動の低下と、グリシン値およびグルタミン代謝の性非依存的変化であった。 ・n-3系PUFAはADHDラットモデルにおいて、強化刺激行動において性特異的な変化をもたらし、非強化関連行動において性非依存的な変化をもたらすことが示された。それらは、シナプス前部線条体モノアミンとアミノ酸伝達シグナルとそれぞれ関連があった。 ・以上のことから、n-3系PUFAの摂取は、ADHD様行動(男性では強化誘発メカニズム、男女ともでは強化無反応メカニズム)をある程度改善する可能性が示された。 関連医療ニュース ・うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効? ・統合失調症患者の脳組織喪失に関わる脂肪酸、薬剤間でも違いが ・抗てんかん薬の処方、小児神経科医はどう使っている? (ケアネット) 原著論文はこちら Dervola KS et al. Behav Brain Funct. 2012 Dec 10;8(1):56. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 統合失調症患者のADHD有病率 医療一般(2018/09/13) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] SGLT2阻害薬、自己免疫性リウマチ性疾患のリスクは?/BMJ(2025/10/24) 腹部大手術時の周術期血圧管理、個別化vs.通常/JAMA(2025/10/24) ALK陽性進行NSCLCへのアレクチニブ、OS中央値81.1ヵ月(ALEX)/ESMO2025(2025/10/24) 下剤のルビプロストン、重大な副作用にアナフィラキシー追加/厚労省(2025/10/24) 免疫療法の対象とならない進行TN乳がん1次治療、Dato-DXdがPFSとOSを延長(TROPION-Breast02)/ESMO2025(2025/10/24) 結腸がん術後ctDNAによるde-escalation、リスク低減も非劣性は示されず(DYNAMIC-III)/ESMO2025(2025/10/24) 寝たきり原因第1位「脳卒中」、最新治療アクセス改善と患者支援の最前線/日本脳卒中学会・日本脳卒中医療ケア従事者連合・日本脳卒中協会(2025/10/24) 父親の厳しい子育てが子供のメンタルヘルスに影響(2025/10/24) [ あわせて読みたい ] 岡田正人のアレルギーLIVE(2020/04/10) 開発中の治療法最前線(2020/02/17) 希少疾病・難治性疾患特集 2020(2020/02/03) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) Dr.ゴン流ポケットエコー簡単活用術(2014/06/11) 診療よろず相談TV(2013/10/25)