抗てんかん薬の処方、小児神経科医はどう使っている?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/10/29

 

 スウェーデン ウプサラ大学のMattsson氏らは、てんかん児の社会人口統計学的背景(居住地など)と抗てんかん薬処方との関連について調査した。その結果、年齢や居住地による専門医療アクセスの不平等さや、小児神経科医とその他の専門医とでは抗てんかん薬の処方に違いがあることが明らかとなった。著者は「広範な医療圏がてんかん児の医療機関へのアクセスを妨げていることを示す重要な報告となった。小児神経科医の充実が専門的医療サービスへのアクセスにとって重要であるかどうかについて、データの獲得はできなかったものの、傾向を把握することができた」と指摘している。Epilepsia誌オンライン版2012年10月12日号の報告。

 スウェーデンのてんかん児において、社会人口統計学的な違いが専門医療サービスへのアクセスや抗てんかん薬処方と関連しているかを調べた。てんかんの罹患、抗てんかん薬の処方箋、社会人口統計学的因子について複数の全国レジスターからデータを入手し、小児神経科医へのアクセスや抗てんかん薬の処方について、性、年齢、親の教育レベル、居住地、出生地、世帯収入により異なるかを検討した。また、抗てんかん薬の処方が小児神経科医とその他の専門医で異なるかについても評価した。

主な結果は以下のとおり。

・2006年末時点でスウェーデンに住んでいた1~17歳(178万8,382人)において、てんかんの診断を受けたのは9,935例(0.56%)であった。
・抗てんかん薬治療を受けていたのは、3,631例(スウェーデン全1~17歳児の0.24%)であった。
・そのうち小児神経科医から処方を受けていたのは、2,301例(63.4%)であった。
・1~5歳児は、より年長の小児と比べ、小児神経科医による治療を受けていた。また大都市に住んでいる小児および青年のほうが、小都市や農村地域に住んでいる小児と比べて、小児神経科医による治療を受けていた。
・大都市に住んでいる小児は農村地域に住んでいる小児と比べて、より顕著に多くオキシカルバゼピン治療を受けていた。
・レベチラセタムの処方を受けていた小児は、両親の収入が高い小児ほど、より多かった。
・最も処方頻度が高かった5剤の抗てんかん薬の中で、ラモトリギン、オキシカルバゼピン、レベチラセタムの3剤の処方は、他の専門医よりも小児神経科医でより多かった。カルバマゼピンの処方はより少なかった。

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(ケアネット)