統合失調スペクトラム症では、抗精神病薬治療を行っているにもかかわらず、幻聴が持続することが少なくない。認知行動療法(CBT)は確立された心理療法であるが、難治性幻聴に対する視聴覚補助療法であるAVATAR療法は、インタラクティブなデジタルアバターを統合した新しいアプローチとして近年導入されている。台湾・高雄医学大学のTien-Wei Hsu氏らは、薬剤抵抗性の幻聴に対するAVATAR療法とCBTの有効性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Psychological Medicine誌2026年4月13日号の報告。
2025年6月1日までに公表された研究を5つの主要なデータベースよりシステマティックに検索し、いずれかの治療を評価したランダム化比較試験(RCT)を特定した。主要アウトカムは、幻聴の重症度とした。副次的アウトカムは、精神病症状、気分指標、すべての原因による治療中止とした。
主な内容は以下のとおり。
・選択基準を満たしたRCTは26件(2,273例、男性の割合:65.0%、平均年齢:39.3±4.1歳)。
・AVATAR療法は、CBTと比較し、幻聴の重症度を有意に軽減する効果が認められなかった(標準化平均差[SMD]:-0.23、95%信頼区間[CI]:-0.55~0.10)。
・しかし、AVATAR療法は、治療後3ヵ月時点での持続的な改善効果(SMD:-0.37、95% CI:-0.69~-0.05)および全体的な精神病症状の軽減効果(SMD:-0.41、95%CI:-0.75~-0.06)において、有意な効果が認められた。
・陽性症状、陰性症状、抑うつ症状、不安症状、QOLに関するアウトカムについては、統計学的に有意な差は認められず、治療中止率も同程度であった。
・小規模研究の影響(幻聴の重症度に関するEgger検定:p<0.01)や、対象となった試験全体におけるバイアスリスクが中程度~高度であったことを考慮すると、本結果の解釈には注意が必要である。
著者らは「AVATAR療法は持続的な有効性を示し、CBTと同等またはわずかに優れている可能性があるため、薬剤抵抗性の幻聴に対する代替療法となりうる」としている。
(鷹野 敦夫)