働き盛り世代の心房細動が腎機能低下の加速と関連/京大

提供元:ケアネット

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公開日:2026/06/01

 

 日本の就労世代を対象とした全国規模のコホート研究において、新規に確認された心房細動(AF)は、eGFR低下の加速およびeGFRが30%以上低下するリスクの増加と関連していたことを、京都大学の森 雄一郎氏らが示した。JAMA Network Open誌2026年5月14日号掲載の報告。

 AFは心不全や慢性腎臓病(CKD)の合併症としてよく知られているが、就労世代の成人では単独の所見として健康診断で偶然見つかることもある。若年~中年層のAFは将来的な心不全リスク上昇と関連することが知られている一方、その後の腎機能低下と関連するかどうかは明らかになっていない。そこで研究グループは、就労世代におけるAF確認後の腎機能推移を検討するため、後ろ向きコホート研究を実施した。

 研究では、2015年4月1日~2023年3月31日の全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康診断記録(心電図およびeGFR)と保険請求データを用いた。対象は、ベースライン時に洞調律で、AFや心血管疾患、末期腎不全の既往歴のない35~59歳の健康診断受診者であった。その後約1年間の外来受診歴および次回健診時の心電図所見から新たにAFが確認された個人を、確認されなかった個人と1対5で傾向スコアマッチングした。主要アウトカムは線形混合効果モデルを用いて推定したeGFRの年間低下率、副次アウトカムはCox比例ハザードモデルを用いて評価したeGFRの30%以上の低下とした。参加者を、全死因死亡イベント、腎代替療法開始、保険資格喪失、2023年3月31日のうち最も早い時点まで追跡した。

 主な結果は以下のとおり。

●解析対象は、マッチング後の14万1,060例(新規AF群2万3,510例、非AF群11万7,550例)であった。平均年齢49.8歳、男性81.8%、追跡期間中央値4.73年。
●新規AF群では、非AF群と比較してeGFRの年間低下率が有意に大きかった。
 ・新規AF群 -1.23mL/分/1.73m2/年(95%信頼区間[CI]:-1.26~-1.21)
 ・非AF群 -0.94mL/分/1.73m2/年(95%CI:-0.95~-0.93)
 ・群間差 -0.29mL/分/1.73m2/年(95%CI:-0.32~-0.26)(p<0.001)
●AF確認前のeGFR低下は両群ともに-0.99mL/分/1.73m2/年であり、AF確認後に腎機能低下が加速した可能性が示唆された。
●新規AFは、eGFRが30%以上低下するリスク増加と関連していた(ハザード比:2.91、95%CI:2.72~3.11、p<0.001)。
●7年時点でのeGFRの30%以上低下の累積発生率は、新規AF群で11.0%(95%CI:10.2~11.7)、非AF群で4.9%(95%CI:4.7~5.2)であった。
●女性および糖尿病患者ではAF確認後のeGFR低下がさらに顕著であった。一方、ベースラインの蛋白尿の有無による有意な交互作用は認められず、蛋白尿の有無にかかわらず同様にeGFRが低下していた。
●その後の健康診断でもAFが再確認された群は、洞調律へ復帰していた群と比較してeGFR年間低下率が有意に大きかった(-1.55 vs.-1.15mL/分/1.73m2/年、p<0.001)。

 研究グループは「これらの結果は、就労世代のAF管理では腎機能も重要であることを示唆している。AFがCKD進行に及ぼす累積的な影響やAF治療による腎保護効果についてはさらなる研究が必要」としている。

(ケアネット 森)