薬剤性パーキンソニズムリスク、8つの抗精神病薬比較

提供元:ケアネット

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公開日:2026/03/11

 

 薬剤性パーキンソニズムは、主に抗精神病薬によるドパミンD2受容体阻害により引き起こされる。しかし、in vitro試験では、実臨床における臨床転帰の変動性を十分に反映できないケースが多くみられる。韓国・Gachon UniversityのWoo-Taek Lim氏らは、in vitroの薬理学的指標が抗精神病薬使用に伴う薬剤性パーキンソニズムの実臨床リスクと一致するかどうかを評価するため、本研究を実施した。JMIR Public Health and Surveillance誌2026年1月28日号の報告。

 一般的に使用される8種類の抗精神病薬について、D2受容体およびセロトニン2A受容体の阻害定数(Ki)、D2受容体の解離速度(Kr)、血液脳関門(BBB)通過速度など、主要なin vitroパラメーターを集計し、6つの複合薬剤性パーキンソニズムリスク指標を構築した。Seoul National University Hospital共通データモデル(2002~21年)を用いて、実臨床における薬剤性パーキンソニズムリスクを評価した。抗精神病薬使用者と選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)使用者は、傾向スコアマッチングを用いて1:1でマッチングし、Cox比例ハザード回帰分析を用いて薬剤性パーキンソニズムリスクのハザード比(HR)を推定した。各in vitro指標と実臨床における薬剤性パーキンソニズムリスクとの相関は、対数回帰モデルを用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・8つのマッチングコホートから4万4,664例の患者を抽出した。
・薬剤性パーキンソニズムリスクが最も高かった薬剤はハロペリドール(HR:4.56、95%信頼区間[CI]:2.29~9.07)、最も低かった薬剤はアリピプラゾール(HR:2.11、95%CI:1.56~2.86)であった。
・実臨床における薬剤性パーキンソニズムリスクと最も強い相関を示した指標はpKr×BBB透過率であった(R2=0.95)。
・この相関は、D2受容体パーシャルアゴニストであるアリピプラゾールを解析に含めると低下が認められた(R2=0.58)。

 著者らは「受容体結合動態とBBB透過を統合することで、D2受容体阻害作用を有する抗精神病薬の実臨床における薬剤性パーキンソニズムリスクの変動を反映するin vitroフレームワークを構築できる可能性が示唆された。これらの知見は、早期安全性評価において薬物動態パラメーターと中枢神経系曝露パラメーターを組み合わせることの重要性を裏付けている」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)